東京と日本の中央駅。東海道・山陽・東北・上越・山形・秋田・北陸の各新幹線、東海道・中央・総武・東北の各線、山手線や京浜東北線などの電車が、一日あたり3000本以上行き交い、100万人以上の利用者で終日賑わう。駅弁はJR東日本やJR東海の子会社のもので約100種類とも、エキナカの商品を含め400種類以上とも、デパ地下の弁当を含め1000種類以上とも言われ、さらに全国各地の駅弁も集まり、こちらも日本最大。1914(大正3)年12月20日開業、東京都千代田区丸の内1丁目。
2015(平成27)年11月20日に東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」で駅弁デビュー。福島県の農業プロデュース会社のコンセプトヴィレッジとIT大手のヤフーが共同開発し、NREと飲料大手のキリンの協力により販売した、福島がコンセプトのお弁当。コンセプトヴィレッジが、福島県産の食材を使い首都圏の企業向けに販売する弁当の第3弾にして、初めて一般に市販された弁当だという。調製は羽田の空弁屋である日本エアポートデリカが担当している。
中身のイメージ写真が美しい掛紙では、その表と裏で福島県いわき市内のフランス料理店の監修をアピール。窓から中が見える紙箱の中身は、ライス、ポテト、福島牛と麓山高原豚のハンバーグ、ペンネ、トマトソース、コーン、桃の酢漬け。掛紙と容器と中身の白さが、肉の駅弁屋ハンバーグの駅弁らしからぬ爽やかさを演出し、見た目も味もおしゃれなもの。ただ、密度が高くて固く締まったハンバーグを、添付の割りばしを折らずに食べるのには工夫が要ると思った。
2010(平成22)年2月1日に東京、品川、新宿、上野、大宮の各駅で発売したNREのハンバーグ駅弁。長方形の容器に焼き木目柄のふたをして輪ゴムで留め、商品名と牛の顔?を描いた黒い掛紙を巻いて、食品表示ラベルとセロハンテープで留める。中身は白御飯と、プラ製トレーに入ったハンバーグ、ニンジン、ブロッコリー、ポテト、マッシュルーム揚など。
おかずは機内食の見栄えだが、なるほどこうすればタレや汁を気にせずに容器を選定できるのかと。メインのハンバーグは割りばしで切れないほど密度の濃い挽肉塊で、ソースの分量や味の濃さが丁度良い、常温でうまいハンバーグ弁当。下記の記念駅弁「東京赤煉瓦ハンバーグ弁当」と、名前や価格は違うが中身と製造工場が同じなので、レギュラー入りに伴い特定駅への属性を消したものか。2015(平成27)年に「国産牛ハンバーグ弁当」へリニューアルの模様。
※2017年1月補訂:リニューアルを追記2007(平成19)年10月25日の東京駅地下1階商業施設「グランスタ」のオープンと同時に発売か。鉄板焼プレート風のプラ製トレーに透明な上げぶたをして、商品名を書いた掛紙を巻く。中身は白御飯、ハンバーグ、ポテト、ニンジン、インゲンという、ガチなファミレス風ハンバーグステーキ。山形県産の牛肉と黒豚を使ったそうで、ハンバーグのジューシーさは駅弁にないもの。一方でデパ地下弁当らしくて駅弁らしくないとも言える。
駅構内、鉄道用地内の業務施設を整理または移転、その跡地を商業施設に変えて収益と集客を図る、いわるゆエキナカ。東京駅では1階に続いて地下1階でも「グランスタ」の名前でそれを手掛け、惣菜店全店で駅弁を売るという話を小耳にしたため期待していたが、開業後に訪問したらNREの駅弁売店「駅弁屋 極」を除き、どう見てもデパ地下の惣菜屋がブースを連ねていた。国鉄時代に親しまれていた大丸地下の食品売り場がアップデートのうえ改札内に移転してきた印象。たしかにそのほうが、普通の利用者には便利かも。
惣菜弁当風ビニール容器を薄いボール紙の箱に詰める。中身は日の丸御飯にデミグラスソースがかかったハンバーグ、海老フライにイカリングフライにクリームコロッケといった、ほかほか弁当タイプのハンバーグ弁当。駅弁の風情は微塵も感じられないが、東京駅で千円以下なのに味が良い。実用本位のお弁当。
2009(平成21)年10月24、25日に東京駅構内で開催された「第10回東日本縦断駅弁大会」で販売された記念駅弁。木目を焼いた絵柄の容器をセロハンテープで留め、赤煉瓦を背景に中身の写真を載せた掛紙を巻いて、食品表示ラベルとセロハンテープで留める。中身は白御飯、ハンバーグ、ニンジン、ラッキョウ、ブロッコリーだけが入るシンプルさ。
掛紙もデミグラスソースに漬かるハンバーグも商品名も、復原工事が進む東京駅丸の内駅舎をイメージなのだろう。大会の後にレギュラー入りするという案内があり、実際に直後にはNREの駅弁売店で見た気がするが、ほどなく消えてしまった模様。個人的には価格が手頃なのにボリュームのあるかなりおいしいハンバーグ弁当だと思ったのだが、駅弁に求められる方向性とは違ったのかどうか。