東京と日本の中央駅。東海道・山陽・東北・上越・山形・秋田・北陸の各新幹線、東海道・中央・総武・東北の各線、山手線や京浜東北線などの電車が、一日あたり3000本以上行き交い、100万人以上の利用者で終日賑わう。駅弁はJR東日本やJR東海の子会社のもので約100種類とも、エキナカの商品を含め400種類以上とも、デパ地下の弁当を含め1000種類以上とも言われ、さらに全国各地の駅弁も集まり、こちらも日本最大。1914(大正3)年12月20日開業、東京都千代田区丸の内1丁目。
2016(平成28)年4月27日に発売。発売に際して特段の案内はなかったが、この年の3〜5月にフランスのパリで駅弁を販売したり、販売した駅弁5〜6種のうちひとつが同じ名前と掛紙のデザインだったりするため、何らかの関連性があるのではないかと思う。
2019(令和元)年9月にリニューアル。700円も値上げし、同年秋のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2019」へエントリー。正八角形の容器にぴったり合う掛紙には、富士山や五重塔など外国人が持つ日本のイメージを表したような金色の絵柄を掲載。
中身は中央にタケノコやアサリやゴボウやキノコなどを使う4種の手まり御飯を据え、その周囲を「つきじ青木」の玉子焼に鶏肉と長ねぎの照焼串、かまぼこと黒豆、サバ味噌煮ときんぴらごぼうとインゲン、牛すき煮と仙台麩煮と飾り人参煮、抹茶わらび餅、紅白なますとイクラ醤油漬、海老と穴子の天ぷらとパプリカ揚、サトイモやニンジンなどの煮物で囲う。中身にパリ駅弁との関連性はないと思う、幕の内タイプの高級駅弁。2020年東京オリンピックを待たず、2019年で終売か。
訪日外客数は2018年に3000万人を突破、出国日本人数の約1900万人を大きく上回るようになった。東京の主要な観光地に加え、昔から外国人観光客に人気の京都や、関西空港にLCCがたくさん飛んでくる大阪では、通行人が外国人だらけ、ホテルが全然取れない、海外ツアー客専用の土産物屋、中国人に人気の踏切やタイ人に人気の公園といった、海外の著名観光地に見られるような光景が国内でも出現したり、観光公害という訳語が出たオーバーツーリズムの影響が出るようになった。
※2021年3月補訂:終売を追記2018(平成30)年8月1日に東京駅の駅弁売店「膳まい」3店舗で発売。掛紙の絵柄は江戸時代の日本橋付近の運河の風景だろうか。中身は左側で白飯をあさりと牛蒡の深川煮、「にんべん」味付おかか、べったら漬で覆い、右側にサバの江戸味噌煮、いんげん、有頭海老煮、玉子焼、焼き合鴨串、サトイモやゴボウなどの江戸うま煮、野菜のしそ酢和えと「桃屋」江戸むらさきごはんですよ!のおかず。見た目は駅弁風で、中身はデパ地下風な、東京の雰囲気を持つお食事。
調製元の日本ばし大増はかつての日本食堂、販売元の膳まいはかつての鉄道弘済会。現在は東京駅その他都内でそれぞれ「駅弁屋」「膳まい」という駅弁売店を構えて競う、JR東日本の100%子会社ないし孫会社。その両社がここで相互乗り入れを行ったことが興味深い。2019年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記2016(平成28)年11月18日に発売。かつての東京駅弁「北海味メッセ」の生まれ変わりか。長方形の容器の中心で、酢飯をカニとイクラとサケで覆い、左右に一部北海道産の食材や北海道の料理を取り入れた、揚げ物や煮物や焼き物や酢の物を収めた。2019年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記上記の駅弁「日本のおもてなし弁当」の、2016(平成28)年5月時点での姿。長方形の容器に、イクラとカニのちらし寿司、エビやマイタケやレンコンなどの天ぷら、タケノコやカボチャなどの煮物、菜の花おひたし、赤カブ漬と小ナス漬、大福などを詰めていた。おしながきが日英中韓の各国語で書かれたり、天ぷらや煮物など日本らしい食材で主に構成されているところに、日本と駅弁をパリに紹介した2016年のパリ駅弁とのコンセプトの類似を感じる。
下記の前回の同じ名前の駅弁の発売から6年が経ち、日本の外国人入国者数は2015(平成27)年に、3年前の倍となる1969万人まで激増。過去20年間あまり変わらず1621万人となった日本人出国者数を、1970(昭和45)年以来45年ぶりに逆転した。外国人観光客の増加の過程では、例えばかつて日本人のノーキョーの団体が欧米で迷惑をかけていたように、中国人と韓国人のマナーの悪さばかりが目に付いたりテレビや週刊誌で叩かれていたが、この頃は日中韓以外の方々も東京駅でよく右往左往していたり、慣れたのか良くなったのかマナー違反の記事や体感が目立たなくなったような気がする。
日本政府観光局の「ビジット・ジャパン・イヤー」を記念して、2010(平成22)年1〜3月に販売された期間限定駅弁。鈴か鞠の絵柄を印刷した黒塗りの容器を輪ゴムで留め、ウメかサクラかと駅弁マークやロゴマークを印刷した掛紙を巻き、食品表示ラベルとセロハンテープで留める。
中身はベニマス押寿司とアナゴ押寿司、カニやイクラやレンコンなどのちらしずし、サトイモやタケノコやカボチャなどの煮物、エビフライとホタテフライ、海老しそ天ぷら、ししとう、伊達巻、かまぼこなど。これが日本語、ハングル、繁体中国語、簡体中国語、英語の5か国語によるお品書きで記され、掛紙にもそれぞれの言葉で「弁当」と書かれる。分量は少なく、味付けはほどほど、価格は高く思うが、駅弁の名前のコンセプトは強く感じる。発売期間は延長されている模様。
お品書きの裏面には「ビジット・ジャパン・イヤー」の解説が日本語と英語で記される。日本旅行の楽しみや素晴らしさを世界中に発信とか、2010年1〜12月は外国人旅行者を対象に様々なキャンペーンを行い日本全体で歓迎するとか書かれているが、つまりは2003年1月の内閣総理大臣施政方針演説に始まる、2010年までに外国人観光客を倍増させよう、年間1000万人にする目標を達成しようという、公約というか政策というかノルマであろう。
その成果か、あるいは単に日本から近い韓国と中国の経済成長により両国からの数字で稼げたためか、2003年の頃は日本人海外旅行者数の1/3程度であった訪日外国人旅行者数が、2010年には900万人に届かなかったものの1/2程度まで縮小している。
2016(平成28)年2月26日に東京駅と品川駅の駅弁売店「膳まい」で、「笠原流彩り懐石御膳」(1,620円)「坂井宏行特製バルサミコ風味のすき焼き重」(1,280円)とともに駅弁デビュー。ただ、同じようなコンセプトあるいは内容の駅弁が、新宿駅のNREの駅弁売店や、東京駅の駅弁売店「ニッポンの駅弁」、2014年1月の京王百貨店の駅弁大会で出ているため、目新しさはない。「膳まい」のロゴマークがパッケージに入ったのは初めて。
ほうじ茶の茶飯の上を、銀鮭の幽庵焼で覆い、エビと鶏のつくねとしば漬を添え、おかずとしてナスのオランダ煮、しらたきの山椒煮、サツマイモの甘露煮、抹茶わらび餅などを付ける。この手の駅弁はコンセプトやパッケージに宣伝臭が強いと思うので、ああそうですかと聞き流してしまうところ。東京ではこれくらいアクが強くないと生き残れないのだろうと思う。
NHK大河ドラマ「義経」放送に伴い、2005(平成17)年1月21日に発売。最近に流行の竹皮製容器に、平泉と義経を描いた掛紙をかけてセロテープで留める。中身は兜型の蒲鉾に山菜がたっぷり載った白御飯と、ジンギズカン甘辛煮、カニ爪薩摩揚、帆立などの煮物に玉子焼など、デザートに義経ざくら饅頭。お品書きに平泉や義経と食材との関係が記される。
風情も風味も良いがやや高価か。それよりも、馬から落馬するように駅弁の名前にわざわざ「駅弁」と入れるにもかかわらず、東京・新宿・上野・大宮・品川・八王子の他に仙台駅と盛岡駅でも販売されるという、所属駅不明な販売形態は駅弁と呼べないし、これらの販売駅とドラマの義経との関係はないに等しいとも思う。売れれば何でもアリという姿勢の表れか。2005年内に終売か。
大きめな八角形の竹篭容器に帯をして封とする。御飯の部は国産有機米の俵飯が斜めに5個もたれかかり、紀州南高梅と富里大根の沢庵が添えられる。おかずの部は大きいカットでのゴボウ・レンコン・人参などの煮物、色鮮やかなアラスカ産キングサーモン、笹の葉にくるまれた彩香鶏、そしてポークの手造りコロッケ。
有機・自然のものをできるだけ取り入れた食材はお品書きで紹介する。味も風味も、個々の食材の美しさや全体のレイアウトも申し分なし。財布を気にしなければ駅弁の名前どおり幸福な気分でいただける駅弁で、東京の駅弁は1,300円以上払えば美味いものが手に入るようだ。
海外の食材や料理が大好きなNRE(旧・日本食堂)が初めて出した、アメリカ農産物貿易事務所の企画協力による輸入食材をふんだんに使用した駅弁。正方形の大きなボール紙の容器の中にはプラスティックのトレーが入り、その9分割された区画にサーモンやチキンボールやビーフステーキにジャンバラヤやサフランライスやポテトサラダなどが入るランチボックス。全体的にアメリカンな大味ではあるが、街の洋風弁当には負けない上質な素材と味が楽しめると思う。量もなかなか多い。現存はしない模様。