東京と日本の中央駅。東海道・山陽・東北・上越・山形・秋田・北陸の各新幹線、東海道・中央・総武・東北の各線、山手線や京浜東北線などの電車が、一日あたり3000本以上行き交い、100万人以上の利用者で終日賑わう。駅弁はJR東日本やJR東海の子会社のもので約100種類とも、エキナカの商品を含め400種類以上とも、デパ地下の弁当を含め1000種類以上とも言われ、さらに全国各地の駅弁も集まり、こちらも日本最大。1914(大正3)年12月20日開業、東京都千代田区丸の内1丁目。
2002(平成14)年10月1日に発売。紙製ながら強度も質感も杉材を思わせる黒塗りの容器に、2012(平成24)年10月に復原された東京駅丸の内駅舎を描いた掛紙をかけて、金色のゴムで留める。中身は三分割された区画に御飯、おかず・デザート、煮物を配置する幕の内弁当風の構成。
焼鮭は人形町魚久のキングサーモン京粕漬、煮物は浅草今半の牛肉たけのこ、玉子焼はすし玉青木、蒲鉾は日本ばし神茂、芋ようかんは舟和、つぼ漬は酒悦という具合に、東京都内の老舗店の食材を詰めている。中身に妥協がない分、値段も妥協がない。価格は2014年時点で1,650円、2019年時点で1,680円、同年10月時点で1,850円。
※2023年3月補訂:写真を更新2019(令和元)年10月26日に購入した、東京駅弁の掛紙。東京弁当の掛紙の絵柄は時々変わり、この時は旧東京郵便局側、商業施設「KITTE」側から見た、青空に映える東京駅丸の内復原駅舎だった。容器もいつしか、黒から茶色に変化。容器の構造と中身のコンセプトは変わらない。
2003(平成15)年2月2日に購入した、東京駅弁の掛紙。上記の駅弁「東京弁当」の、発売当時の姿。内容はおおむね変わらない。当時の掛紙の絵柄は、戦災を受ける前の三階建東京駅煉瓦造駅舎を描いたもの。この駅舎「東京駅丸の内本屋」は、2003(平成15)年に重要文化財に認定される予定で、2006(平成18)年までの予定で竣工時の三階建に戻される予定で工事が進められていた。
※2019年11月補訂:新版の収蔵で解説文を手直し2018(平成30)年8月16日に発売。同年同月6〜26日に、東京駅の地下1階の商業施設「グランスタダイニング」で駅弁の臨時販売を実施、その中で過去にここにあった駅弁「銀幕」が復活した。臨時販売の終了後も販売が継続されている。
東京日本橋の錦絵を模した絵柄の掛紙を使用、裏面におしながきを記す。中身は銀しゃりと南高梅の日の丸御飯に、銀鮭の粕漬焼、銀箔を添えた黒豆煮、江戸うま煮とあるサトイモやゴボウなどの煮物、江戸巻とある玉子焼、カニ蒲鉾に味付おかかなど。前作と同じく、東京駅の待ち合わせのシンボルだった「銀の鈴」にちなみ、ゴムひもに小さなスズが付く。
東京駅の改札内地下通路の商業開発「グランスタ」内テナント「駅弁屋 極」のオープンに伴い、2007年10月25日に同店限定販売駅弁として発売。駅弁の名前は「銀の鈴幕之内弁当〜日本ばし〜銀幕」とも紹介される。深さのある長方形の紙箱に銀色のふたをして食品表示ラベルを貼り、日本橋の錦絵と駅弁の名前を描いた掛紙をかけて、鈴を付けたゴムでしばる。
中身は銀粉付き日の丸銀シャリ(御飯)、銀鮭塩焼き、銀ダラ煮付け、銀杏、小エビの銀ぷら、和菓子の銀つば、鈴型の小芋など。これらの銀づくし鈴づくしは、東京駅流浪の待合せ目印で、グランスタのオープンとともにその構内に新調された四代目「銀の鈴」にちなむ。
割りばしにヒノキを使い、おかずの一部に東京の老舗を組み込んだ、「大人の休日」以来の流れをくむ東京駅高級コンセプト駅弁。風味は当然に良いが、中身の見栄えでは200円安い自社製「東京弁当」に劣る印象で、売店の周囲をこれより安くて出来立ての惣菜屋で囲まれるとなると、商品としての存続が厳しく思える。同売店の2012年7月2日限りでの閉店により、現在は売られていないものと思われる。
※2013年8月補訂:終売を追記下記の駅弁「駅弁北海味メッセ」が、2008(平成20)年5月にリニューアルされた。容器は以前よりコンパクトな八角形に、ふたは透明に、掛紙はボール紙の枠に変わり、おしながきは省略。内容と風味はそれほど変わっていないと思うが、カニの分量が寂しくなった気がした。価格は200円の値下げ。具の分量に割高感がないとは言えないが、東京駅弁の定番商品として販売が続けられた。2010年頃までの販売か。
※2017年7月補訂:終売を追記2003(平成15)年10月22日発売。細長い競馬場型の容器に掛紙をセロテープで留めてさらに黄色のゴムひもでしばる。中身は確かに北海の海の幸が満載、国産減農薬米の御飯の上にはズワイガニのほぐし身がたっぷり、ウニとイクラが少量載り、鮭塩焼にエイヒレ唐揚にタラバフライや帆立、イカと鮭の粕漬けや団子などが取り囲む。総料理長の朱印入りお品書きも付属。メイン格のズワイガニはほのかな香りが本場並み、しかし価格は東京だからか、かなり高め。
公式サイトなどで告知がないまま、2005(平成17)年5月3〜5日限定で販売された駅弁。NREは他にも特定日にちなんだ高級駅弁を出しているらしい。ひょうたん型の容器を草色の和紙風風呂敷で包み「子供の日」シールと食品表示ラベルを貼る。
中身はお品書きに書かれ、ひょうたん型の白御飯に金粉付き俵型赤飯、焼サワラや玉子焼や海老に里芋などの煮物、ハゼ天にホッキ貝にバイ貝など、そしてかしわもちひとつ。里芋や玉子焼や人参もひょうたん型だし、ひょうたんそのものも入っている。無名駅弁の枠にはめるのが惜しい、手の込んだ高級弁当。
2004(平成16)年4月に発売した高級季節駅弁。正方形の木目調容器に黄緑色ベースの掛紙をかけてゴムで留める。中身はイクラが載る山菜おこわと笹寿司に焼鯖、玉子焼、甘海老唐揚、蟹爪薩摩揚、カボチャなどの煮物、タケノコ磯辺揚などなど、上品なおかずだらけの内容。
この駅弁に価格を除き悪く言う要素は何もない。しかし、「極附弁当」を筆頭とする高額駅弁のヒットで、NREはこのようなお札一枚で買えない駅弁を次々に投入しており、この調子ではそのうち東京駅から千円未満の駅弁が消えてしまうかもしれない。旅の友がコンビニ弁当か高額駅弁かの二者択一では寂しい。