新大阪駅から新幹線と特急列車「やくも」を乗り継いで約3時間。米子市は鳥取県の西端で日本海と中海に面した、人口約15万人の城下町。県庁所在地でないにもかかわらず、商業都市として山陰地方を代表する都市のひとつとなっている。駅弁は国鉄時代からの駅弁屋が「吾左衛門鮓」シリーズなどの駅弁を販売。1902(明治35)年11月1日開業、鳥取県米子市弥生町。
大きなパッケージに収まる井形の硬いプラ製容器に酢飯を敷き、錦糸卵を貼り、カニの細身なほぐしと脚を流す。高価で美味な「吾左衛門寿し」を名乗る片鱗を感じる。付合せの昆布がよく合っている。価格は2013年の購入時で950円、2019年時点で980円、2020年時点で1,200円。
※2020年5月補訂:値上げを追記上記の駅弁「山陰吾左衛門寿し本舗蟹寿し」の、2001(平成13)年時点での姿か。長方形のボール紙製のパッケージにホカホカ弁当風な簡素な容器が入る。中身は酢飯の上に錦糸卵とカニの身が載るだけのシンプルな構成。昭和中期には登場しているはずが、なぜか時刻表や調製元のウェブサイトなどの資料に登場しない、幻?の駅弁。ただし味はよい。
クリーム色で正六角形のボール紙製容器には、カニが中海に漬かっているようなマンガが描かれる。白いプラ製トレーに収まる中身は、酢飯を錦糸卵で覆いベニズワイガニのほぐし身と細いカニ脚肉を載せ、パイナップル、しじみ、ワカメ佃煮、奈良漬、さくらんぼを添えるもの。つまり古き佳き時代からの山陰地方特有のカニ寿司駅弁。パインとさくらんぼを詰める点にも古めかしさが出ている。価格は2011年の購入時で1,020円、2014年4月の消費税率改訂により1,050円。2017年までの販売か。
※2020年4月補訂:終売を追記昭和40年代のものと思われる、昔の米子駅弁の掛紙。今も米子駅を含め、山陰本線の沿線各地にはカニの駅弁が存在するが、昔のように松葉がにを使うことは、もうできないだろう。