新大阪駅から新幹線で約1時間半。広島市は広島県の西側で瀬戸内海に面する、人口約120万人の城下町で政令指定都市。中国地方の商工業の中枢であるほか、世界唯二の被爆都市としてもその名が知られる。駅弁は国鉄時代からの駅弁屋が多種の駅弁を販売するほか、駅ビルで山陽・九州新幹線沿線の駅弁も売られるようになった。1894(明治27)年6月10日開業、広島県広島市南区松原町2丁目。
2005年に発売か。この形状ははたして釜なのかとも思う、赤く浅いプラ製釜飯容器に割り箸を置いて輪ゴムでしばり、商品名と中身写真を載せた紙枠にはめる。中身は牛肉細切れも載った松茸釜飯。広島名物でもなんでもないと思う、特徴なき釜飯風弁当。
群馬県の横川(よこかわ)駅弁のおかげで釜飯には駅弁のイメージがあるので、新幹線拠点駅に釜飯駅弁があるのは良いと思う。ただ、現地での販売は確認できていない。なお、東隣の駅弁屋である三原駅に同じ名前の定番駅弁があるほか、JR広島駅の西隣の駅は、群馬と同一表記の横川(よこがわ)駅。
広島駅の秋季限定の駅弁。駅弁図鑑西日本版では「時価」と恐ろしい表現になっているが、同じく昔の資料で時価とされた著名駅弁「しゃもじかきめし」と同様、1,050円に収まるのだと思う。薄く小さい長方形の容器にボール紙でふたをして、広島駅弁らしくラップで密封する。中身はそのまんま、鶏照焼を添えた松茸御飯。1ミリ厚5切れの松茸で香りと食感をギリギリ確保していた。
上記の「広島名物松茸ご飯」の、9年後の姿。おかずがなくなったが、マツタケの分量は見た目で大幅に増えた。こうやって遠くの地の駅弁催事で売られる商品ながら、その知名度は無に近い感じ。ネット上でも「近所のスーパーで半額で買えた!」のような感想が、いくつか見つかるくらい。
上記の駅弁「広島名物松茸ご飯」のリニューアル品か。正方形の容器に透明なふたをして、松茸と駅弁の名前と大鳥居をしゃもじを描いたボール紙のパッケージにはめる。中身はマツタケの混ぜ御飯の上にマツタケ、クリ、ニンジン、鶏照焼、山菜、広島菜漬を載せるもの。
マツタケは頭から4分割して6切れ、つまり1本半も入る豪華版。パッケージのシール「焼き松茸」ではなく食品表示ラベル「松茸煮」は、香りや食感こそスライスのものと変わらない程度だが、その代わりに上げ底の松茸御飯が良い香りを出していた。
国産の松茸が豊作になったという話は聞かないが、近年は輸入マツタケ松茸が中国や北朝鮮ではなく北欧や北米から入ってくるようになっており、これで千円の駅弁でも分量を出せるようになったのだろうか。その他の具はなぜか、不思議な甘さを持っていた。