「European Rail Timetable」など、日本国外の列車時刻などを掲載する時刻表です。
総重量は約6キログラム。ドイツ鉄道の全線全駅全列車の時刻を10分冊で収録する、世界最大最強の時刻表。写真は2002年版で、主要列車と駅名索引で1冊、地域別に7分冊、列車名索引と車内平面図で1冊、営業案内1冊、他に索引地図が、取っ手付きの頑丈な紙箱に入っていました。
1995年のドイツ訪問時には3キロ1冊の分量で、駅の切符売り場で鉄道旅客が使っており、駅での販売を見つけられませんでしたが、2002年と2006年の時点では、駅でこの時刻表を使う人は皆無であり、ドイツ鉄道直営の鉄道グッズ屋で売られているそうです。
購入者のほとんどは鉄道ファンでしょうが、通常の需要もあるのか、ドイツの書店では分冊単位でのバラ売りもあるそうです。CD−ROM版や復刻版も出ており、日本人の次に時刻表好きな人種はおそらくドイツ人だと思います。
国内での入手方法は分かりません。ドイツに行くか在住の鉄道ファンに注文し、現地から送ってもらうのが確実でしょう。
日本国内での紹介例はほとんどないと思いますが、イタリアでも冊子鉄道時刻表が発行されています。写真は2002年末に発行されたと思われる、2002年12月15日から2003年6月15日まで有効な時刻表。
表紙も中身もすべてイタリア語で書かれており、他の外国語時刻表に見られる英語の注釈さえもないため、私には全く読めませんが、おそらくイタリア国内全線全駅全列車、あるいは主要路線主要駅主要列車の時刻を収録した時刻表だと思います。
なお、私のイタリア訪問経験が、1995年のスイスからの往路昼行復路夜行でのベネチア観光しかないため、鉄道や時刻表の詳細や状況は分かりません。
上記「nuovo orario delle ferrovie」と全く同じ期間の時刻を収録する、他の出版社の時刻表。まさか日本以外の国で複数の出版社が鉄道時刻表の販売を競っているなど思わず、びっくりしました。
こちらほうが路線図や索引や解説の分量が多いだけで、いずれも全線全駅全列車の時刻を掲載しているように見えますが、各駅停車の区間列車について、前者にだけある列車や後者にだけある列車が読み取れました。
日本やトーマスクックの時刻表と異なり、両時刻表とも広告はほぼ皆無ですが、後者のみ表紙にホテルの広告が載っています。日本でもJTB時刻表の前身も「汽車汽船旅行案内」もなかった百年近く前の時刻表は、何の本だか分からないくらい表紙は広告で埋め尽くされており、その点だけは懐かしく見えるかもしれません。
2003年秋に現地を訪問した友人から、北欧フィンランドの冊子時刻表の情報を得ました。写真は2003年9月28日から2004年1月10日まで有効な時刻表。おそらくフィンランド語で書かれており中身は全く読めませんが、国内の各種交通機関の時刻を、鉄道約220ページ、バス約330ページ、航空約30ページ、航路約10ページを割いて掲載しているようです。
鉄道については、巻頭が二カ国語(おそらくフィンランド語とスウェーデン語)を用いた営業案内。記号の説明と簡単な営業案内は英仏独露の各言語でも解説がありました。続いて国際列車の時刻表、そして恐らく鉄道の乗車券で乗れるバス便やバス路線を含めた全線全駅全列車の時刻表、最後にヘルシンキ近郊列車のまた全線全駅全列車の時刻表と、何らかの情報を発信していると思われる列車番号・発時刻・運転区間を記したリストを掲載しています。
発行頻度は不詳ですが、表紙「3・2003」の文字と、北欧では夏期の観光シーズンに別ダイヤを立てていることから、1〜6月、6〜9月、9〜1月の年3回の発行ではないかと推測します。北欧の物価高はバックパッカー泣かせですが、日本の中版程度のサイズで、ドイツのあの巨大時刻表の倍も取る、えらく高価な時刻表のようです。
フィンランドでは、全国の鉄道時刻表をパンフレットにして無料で配っているようです。写真は2003年6月2日から12月31日まで有効な時刻表。上記時刻表との期間の区切りの差は気になりますが、理由は分かりません。
午前2時台や3時台に夜行列車ではない列車がいくつも見つかったり、要求しないと列車が止まらない駅を示す記号が用意されていたり、一日の列車は夜行1往復だけで昼間はバス便となる路線があったり、日本では見ることができない鉄道運行の形態を感じられるため、地理に疎くても興味深く眺められる時刻表です。
特殊な時刻表