banner  旅の友「駅弁」。館長が食べた駅弁を中心に、日本全国と世界の駅弁を紹介します。
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駅売り緑茶(汽車土瓶、ポリ茶瓶)について

駅弁にお茶は付き物。駅売り弁当の歴史は、そのまま駅売り緑茶の歴史でもあります。その販売は長らく、汽車土瓶入り緑茶の立売という形態でしたが、駅弁立売と同様の理由で立売が、ポリ茶瓶の登場で汽車土瓶が駆逐され、それとて後の缶入り緑茶やペットボトル入り緑茶の登場で、最近はほとんど見ることがなくなりました。

汽車土瓶やポリ容器に入ったお茶の販売状況については、当館にも問い合わせが入る事項ですので、館長の調査でその販売駅をまとめました。

駅弁資料館では引き続き、汽車土瓶やポリ茶瓶の販売状況に関するの情報を求めています。情報をお持ちでしたら談話室(掲示板)でのご提供をお願いします。

お茶を汽車土瓶で販売する駅

日本国内で汽車土瓶に入れたお茶が販売されている駅は、当館の情報では2014年11月現在で1駅を確認しています。

汽車土瓶(小淵沢)

山梨県・中央本線小淵沢駅※2014年10月現在

1985(昭和60)年10月の小淵沢駅弁「元気甲斐」登場と同時に、過去に駅売りされた汽車土瓶の復刻販売を始めました。現時点で唯一の、汽車土瓶でお茶を販売する駅だと思います。2014年10月の訪問時は380円で、改札外駅舎内の売店や中央本線ホーム上の駅弁売店で販売されていました。通常は空き容器の状態で売られますが、注文によりティーバッグを入れてお湯を注いでくれます。

愛知県・「リニア・鉄道館」※2017年3月現在

愛知県名古屋市でJR東海が運営する「リニア・鉄道館」の、2階売店「デリカステーション」において、白色と茶色の信楽焼「復刻汽車土瓶」を514円で販売しています。同館の公式サイトでも紹介されています。お茶を入れた状態での販売は行わないようです。

東京都・京王百貨店、大阪府・阪神百貨店※2017年3月現在

毎年1月中旬に開催される京王百貨店の駅弁大会や、毎年1月下旬に開催される阪神百貨店の駅弁大会で、汽車土瓶が販売されることがあります。ただし、中身を入れた状態での販売は見たことがありません。

お茶をポリ茶瓶で販売する駅

日本国内でポリ茶瓶に入れたお茶が販売されている駅は、多くはありませんが、少なくもないようです。当館では下記のとおり、2016年6月現在で9駅を確認しています。大都市圏を除き、駅弁屋の直営売店が残る駅では、だいたい現存しているようですので、その数はもっと多いのではと思います。

ポリ茶瓶(釧路)

北海道 JR根室本線 釧路駅※2014年9月現在

1番ホームの駅弁売店で、ポリ容器入りのお茶を販売するようです(右写真)。なお、この売店は特急「スーパーおおぞら」上り列車の発車前のみの営業です。

ポリ茶瓶(旭川)

北海道 JR函館本線 旭川駅※2016年11月現在

改札外コンコースの駅弁売店で、ポリ容器のお茶が110円で販売されています(右写真)。お湯を注いだ状態でも、空き容器の状態でも、販売してくれます。2016年11月の時点でも健在でした。

秋田県 JR奥羽本線 大館駅前

駅前の駅弁屋の弁当売店で販売されているようです。2012年時点での販売情報もあります。駅構内での駅弁販売は、駅舎内のコンビニだけですので、そこでは買えないものと思われます。

ポリ茶瓶(横川)

群馬県 JR信越本線 横川駅前※2013年8月現在

駅前の駅弁屋の食堂で、もみ出しタイプのポリ茶瓶で販売されています(右写真)。食事でもテイクアウトでも、お湯入りでもお湯なしでも、100円で販売していました。

ポリ茶瓶(神戸)

群馬県 わたらせ渓谷鉄道 神戸(ごうど)駅※2017年7月現在

神戸駅のホーム上に据えた鉄道車両で駅弁を調製する、わたらせ渓谷鉄道直営の「レストラン清流」で、100円で販売されています。購入時は冷たいほうじ茶が入っていました(右写真)。

ポリ茶瓶(大原)

千葉県 いすみ鉄道 大原駅※2017年2月現在

2011(平成23)年9月の大原駅での駅弁の販売開始に合わせて、ポリ容器でのお茶の販売も始めたようです(右写真)。2014年11月時点で一個120円。容器を買い、セルフサービスで電気ポットからお湯を注ぐ方法で売られます。駅弁を買えば、ひとつに1個が無料で付いてきます。

ポリ茶瓶(伊東)

静岡県 JR伊東線 伊東駅※2017年6月現在

駅舎内で改札外と1番ホームの両方に面した駅弁売店で、伊東名物「ぐり茶」をポリ茶瓶で売ってくれます(右写真)。130円。注文時にポリ茶瓶へティーバッグを入れ、電気ポットのお湯を注いでいました。

ポリ茶瓶(亀山) ポリ茶瓶(亀山)

三重県 JR紀勢本線 亀山駅前※2017年2月現在

かつて公式の駅弁屋であり、現在も当時の名物駅弁「名物志ぐれ茶漬」を販売している駅前商店で、100円で販売されています(右写真)。

ポリ茶瓶(津和野)

島根県 JR山口線 津和野駅※2014年11月現在

駅舎内で駅弁を売る立ちそば屋で、調製シール付きポリ茶瓶のほうじ茶が、常温・加温とも100円で販売されています(右写真)。

コラム・汽車土瓶やポリ茶瓶がなくなる理由、残る理由

汽車土瓶がポリ茶瓶に置き換えられ、さらに缶入り茶にシェアを奪われ、そしてペットボトル茶(ポリエチレンテレフタレート樹脂製容器に入ったお茶)に代わられようとしている理由は、その登場順に追っていくことで考えられそうです。

まずは汽車土瓶。明治時代から昭和30年代頃までは、機能面や価格面において、旅先で使い捨てられる飲料容器として唯一の存在であったのではと思います。しかし重く割れやすい性質は、おそらく当時でも取り扱いにくかったはず。軽くて割れず、しかも清潔感があり安価なポリ茶瓶の登場で、これに駆逐されてしまったのは自明のことだと思います。

しかし、ここで問題になったのはお茶の味。容器のビニール臭さ、中身の冷めやすさ、多くの商品での添付のティーバッグや茶葉の品質や風味の悪さ、そして容器が軽くて軟らかいがゆえの取り扱いの不便さが災いし、この容器が主力であった時期でも、その評判は必ずしも良くはなかったと感じています。

一方で缶入り茶は技術的に商品化が困難だったのか、またはお茶を入れずに買う習慣がなかったためか、缶ジュースや缶コーヒーが普及した後でも、その商品化がウーロン茶で1981(昭和56)年まで、緑茶で1985(昭和60)年までかかりました。ポリ茶瓶を置き換えていく力も小さく、容量の増加で割高感が消え、飲料の健康志向や無糖ブームで大手メーカーの商品開発が盛んになって初めて、やっとポリ容器茶を駆逐し始めたもの。

ペットボトル茶(横浜)

これらをまとめて駆逐したのがペットボトル茶(右写真)です。強度があるのに軽くて安く、飲みかけを簡単に一時保存できるメリットに加え、飲料業界が廃棄物発生の抑制を主目的に容量1リットル未満の商品を出さないとしてきた自主規制を1996(平成8)年に解除したことで、まずは冷茶の市場ができました。1999(平成11)年の商品化成功により温茶も普及したことで、駅構内を含めて外出先で買えるお茶のほとんどが、このタイプに置き換えられました。

しかし、汽車土瓶も旅情と郷愁あるいは客寄せ効果が、ポリ茶瓶も安価軽量なことが、缶茶も少容量や自動販売が可能なことが支持され、今でも根強く残っています。今後も当分はペットボトル茶の天下が続くと思いますが、それぞれ一定の需要が残り続けていくことでしょう。あるいは環境意識の高まり、資源価格の相場、規制の変更や強化などの要因により、それぞれのシェアが変動するケースも考えられそうです。新たな販売形態の登場や復活も考えられます。

駅弁が健在で、駅弁や鉄道移動に対する飲料としてのお茶の需要が健在である限り、様々な形で駅弁売店や駅構内でお茶が売られ続けると思います。