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旅の友「空弁」。館長が実際に食べた空弁を中心に、日本全国と海外の空弁を紹介します。
◆空弁入門

1.空弁とは
羽田空港「焼売弁当」  空弁(そらべん)とは、空港で売られるお弁当です。テレビや雑誌で取り上げられる商品の性格に基づき、もう少し詳しく書くと、空港のターミナルビルで販売されるお弁当のうち、コンビニエンスストアの弁当や惣菜やこれに類するものと、レストランのテイクアウト商品を除くもの、とできそうです。

 空弁という呼び方は2003年秋頃に急速に広まりました。それ以前は一般的な総称がなく、「空港弁当」「空港弁」「ヒコ弁」などと呼ばれたものです。「空港弁当」という呼び方は、今でも一部に残っています。


2.空弁のはじまり
羽田空港「みち子がお届けする若狭の浜焼き鯖寿司」  空弁は事実上、2002年12月に羽田空港で販売が始まった「みち子がお届けする若狭の浜焼き鯖寿司」の販売好調を、2003年秋頃に一部の雑誌が取り上げたあたりが起源だと思います。その裏では販売元のJALUXの情報提供があったものと推測しています。

 ただ、それ以前から空港での弁当販売は存在しました。1970年代頃から東京都大田区蒲田の弁当屋が羽田空港で、1990年代かその前から北海道千歳市のケータリング業者が千歳空港で、それぞれ弁当を販売していたものと思われます。また、その他の空港でも、ターミナルビルに進出したコンビニエンスストアや総合売店が弁当を販売したり、レストランがテイクアウト可能な軽食や折詰を販売していたものと思われます。

 2003年秋以降に雑誌やテレビや新聞で空弁ブームが発生してから、約1年ほどで国内の主要空港に空弁が出現しました。鉄道の駅弁屋が空港売店に弁当を卸したり、航空会社の子会社売店が弁当をプロデュースしたり、街おこしや空港おこしで創作弁当を興したり、その形態はさまざまです。2004年秋頃からは、スーパーや百貨店が鉄道の駅弁催事で空弁も販売するようになりました。

 その後はメディアが空弁を取り上げることこそ少なくなりましたが、大きな空港では売店に空弁を山と積む光景が、その他の空港でも賑やかな空弁ショーケースが目に付くようになるなど、すっかり定着した感じです。飛行機旅行の楽しみがひとつ増えました。


3.空弁の特徴
 空弁の形態は様々ですが、雑誌や新聞では一般に、次のような特徴を備えているとしています。
  1. コンパクト
    国内線航空便の普通席のテーブルに収まるサイズ
  2. 少量
    国内線航空便のシートベルトサイン消灯時間で消費可能な分量
  3. においを抑える
    密閉された航空機内で迷惑にならない

4.空弁ブームの背景
 2003年秋頃からの空弁ブームの発生要因、あるいは空弁が登場し旅客に受け入れられた理由について、次のものが挙げられるとされています。

(1)機内食の廃止
 かつては国内線でも短距離便を除くほとんどの便で、普通席の旅客にも提供されていた機内食や軽食茶菓が、1990年代の旧運輸省の航空関連規制緩和に伴う、直接的にはスカイマークエアラインズと北海道国際航空の新規参入による運賃競争の発生により、廃止されました。そのため、機内で食事や軽食を取るために、空港で弁当を買う需要が発生した、とするものです。
 ただ私見として、空弁ブームの以前も以後も航空機内や搭乗待合室で弁当を食べる光景がほとんど見られないことと、1〜2時間の移動時間では食事の必要性に迫られることも薄いと考えられるため、これを空弁ブームの主因とするには力不足だと思います。

(2)空港滞在時間の短縮
 航空利用の大衆化と搭乗手続の短縮化あるいは空港アクセスの整備で、国内線では登場間際の空港到着が一般的となり、以前のように空港の食堂でゆっくり食事を取ることが困難になったため、ここに弁当需要が発生した、とするものです。
 ただ私見として、その速さで鉄道旅客を奪ってきた航空の旅客が、かつてはそんな悠長な行動をしていたとは考えにくいもの。むしろファストフードやコンビニエンスストアの普及で軽食のテイクアウトが定着し、空港にもそういう店舗が入るようになった側面はあると思いますが、いずれも空港で弁当需要を創出するほどの力はないのではと思います。

(3)航空旅客の増加と航空利用の大衆化
 先に記した国内線航空便の運賃競争の発生により、鉄道など他の交通モードからの転移や需要の創出により航空旅客が増大したため、空港でお弁当が売れやすく、売りやすくなったというもの。
 これはたしかに一理あると思います。今の羽田空港が、大都市の鉄道駅やバスターミナルに匹敵する交通結節点機能と、大都市の百貨店に匹敵するショッピングセンター機能を兼ね備えるなど、戦前の鉄道駅や戦後の地方都市バスターミナルに見られた交通と商業の集積が、空港にも現れてきたと思います。

(4)JALUXの商売上手 ※私見
 たしか2003年の春頃にJALの機内誌が、「みち子がお届けする若狭の浜焼き鯖寿司」の販売好調を1ページの記事にしたはずです。これが雑誌や新聞の関係者の目に留まり、そこでJALUXがうまく上記のような情報を取材者に提供し、実は流行ってもいないのに空弁が流行だとか熱いだとか書いてもらったことで、ブームを生み出した、というもの。
 雑誌や新聞にこんなことは書かれていませんが、個人的にはこれが空弁誕生の主因だと考えています。世のファッションの流行など、このようなブームの創出は、よくあること。それまで私も含め一部の人が搭乗待合室や機内で弁当を食べて、警備員に遠視されたり客室乗務員が目を丸くしてお茶とおしぼりを持ってきたものが、うまい具合に市民権を得たのだと思います。


5.空弁の将来
 空弁ブームはもう去った印象ですが、一定の利用者を集める空港ではほぼ定着した印象です。
 例えば国内の鉄道の駅弁は、鉄道旅客数あるいは交通における鉄道の地位に沿って、1890年代頃の発生から1960年頃の隆盛を経て、その後は長期低落傾向を示していますが、今でも約300駅で2000種類以上が存在します。

 航空に1970年代以降の鉄道のような、劇的なスピードアップあるいは旅行時間の短縮あるいは他の交通モードへの転移が発生するとは、すぐには考えられませんから、空弁の種類や市場も、長期安定あるいは緩やかな成長傾向を示すことになるだろうと思います。

 逆に、空弁ブームでありとあらゆる空弁が一気に登場したことから、例えば一日に東京便1便しか来ない空港に何種類もの空弁が出現しているとされたり、実需以上の空弁や空弁屋が進出してしまったような、実態を伴わないケースが淘汰される揺り戻しも、あると思います。

 今後に空弁が歴史を重ねていくことによって、空弁にも鉄道や駅弁のような、空弁趣味や空弁文化が誕生することでしょう。今はあまり存在していない空弁紹介ウェブサイトも、今後の出現が期待できると思います。


2006年2月19日開館 2011年6月26日再編 URL:http://kfm.sakura.ne.jp/soraben/
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