京阪電車の三条駅で売られるお弁当。中身は俵型の御飯に、焼鮭、かまぼこ、玉子焼と、メンチカツ、タケノコ煮、高野豆腐、フキ煮、サトイモ煮、柴漬け、煮豆など。売り場は駅のコンビニ「アンスリー」。出町柳でも買えると聞く。この弁当の調製元は、長らくJR京都駅の駅弁屋であった。
コンビニで売られる弁当なのに、掛紙の絵柄も、中身の見栄えも内容も、経木折に掛紙をかけて、ひもで十字にしばる姿も、すべてが半世紀くらい前の幕の内駅弁ないし折詰の姿を残す。貴重な文化遺産と言ってもよい。幕の内駅弁と考えれば、日本一安いと思う。
大阪から特急電車で約100分。山陰本線に福知山線が合流し、京都丹後鉄道の宮福線を分け、四方向に特急列車が出るターミナル。福知山市は京都府中部の人口約8万の城下町で、福知山盆地の中心。駅弁は2002年に地元業者が撤退、その後は兵庫県豊岡駅の駅弁が買えたが、これも今はない。1904(明治37)年11月3日開業、京都府福知山市天田。
1989(平成元)年のNHK大河ドラマ「春日局」の放映を記念して、同年に登場した幕の内弁当風の駅弁。「お福」とは春日局の幼名とのこと。正方形の容器を対角線で仕切り、しめじの炊き込み御飯が半分、さらに3分割して鳥の唐揚・卵焼き・煮物・ふきや高野豆腐などが入る。骨付きの唐揚げは駅弁には珍しい。確かな品質で、あたたかい気持ちで食べられる駅弁だ。2002年9月15日限りで駅弁業者が撤退したため終売となった。
1931(昭和6)年2月1日の調製と思われる、昔の福知山駅弁のとても小さな掛紙。「亀の家」とは現在で言うどこの業者なのだろう。
入手状況から1977(昭和52)年頃の調製と思われる、昔の福知山駅弁の掛紙。あるいはその紙質とデザインから、駅弁業者が調製する仕出し弁当向けの掛紙かもしれない。
入手状況から1994(平成6)年頃の調製と思われる、昔の福知山駅弁の掛紙。属地的な情報が何もない掛紙に見えて、上部には明智光秀の家紋が青く入っており、ここで福知山とのつながりを取ることができる。明智光秀は織田信長を殺した日本史上の悪役として、小学生高学年以上の多くの日本人に認識されていると思うが、福知山では治水事業による城下町や農地の開発で街を発展させた功労者として、江戸時代から市民の信望を集めている。
1990年代頃の調製と思われる、昔の福知山駅弁の掛紙。山陰本線の京都から城崎までとその周辺では、駅弁販売駅ごとに容器と中身がそっくりな鮎姿寿司駅弁が売られていたが、嗜好の変化や駅弁屋の撤退で、今は紹介例も購入報告もほとんど見ない。