東京駅から普通列車で約25分。横浜市は東京湾に面した人口約370万人の港町で、東京の衛星都市として人口日本一の市であるほか、異国情緒とウォーターフロントで多くの観光客も集める。駅弁は国鉄時代からの駅弁屋がコンコースやホーム上や駅周辺各地に駅弁売店を構え、「シウマイ弁当」は日本一売れる駅弁とされる。1915(大正4)年8月15日開業、神奈川県横浜市西区高島2丁目。
駅弁の名前は「シウマイ弁当」でもOK。1954(昭和29)年4月1日に発売された、駅弁の枠を超えて横浜を代表する著名なお弁当。時刻表掲載の横浜・新横浜・保土ケ谷駅などの他に市内の多くの私鉄駅や地下鉄駅や百貨店などでも購入でき、会議の昼食としても重宝される。一日で約2.5万個、年間で800万個以上が売れると言われる、おそらく日本一販売個数の多い駅弁。
昔ながらの駅弁らしい底浅な長方形のエゾマツの経木折に、蒸機炊きの俵型御飯が8個、シウマイが5個、鶏唐揚・まぐろ・玉子焼・蒲鉾とタケノコ煮・あんずなどが入る。中身は登場後12回ほど変更されており、最近では2003年11月に蓮根を玉子焼に置き換えた。なお、名物のしょうゆ入れ「ひょうちゃん」はシウマイ単品のものに入っており、弁当類は入っていない。
東京都内や羽田空港でも買えるが、調製する工場が異なり、経木のふたと掛紙をボール紙に置き換えたものとなる。価格は最近長らく710円であったが、2007年3月1日から740円。18年ぶりの値上げだそうな。さらに2008年10月1日に780円へ再値上げ。2010年9月1日には750円へ価格を少し戻した。2014年4月の消費税率改定で770円、同年8月の豚肉高騰による価格改定で800円。2016年9月から830円、2018年9月から860円。
※2020年12月補訂:写真を更新崎陽軒の「次の主役は誰だ!2020 シウマイ弁当リレー企画」による旬替わり弁当4種を売り終えた2020(令和2)年11月10日に発売が発表され、翌11日から23日まで販売された企画商品。普段の横浜駅弁のシウマイ弁当について、シウマイ5個を通常版とえび、かに、黒豚、きのこですべて違えて販売した。掛紙の背景も5色の縦じまに。
崎陽軒の「次の主役は誰だ!2020 シウマイ弁当リレー企画」による商品の第4弾として、2020(令和2)年11月1日から10日まで販売。普段の横浜駅弁のシウマイ弁当について、シウマイ5個を同じ大きさの「きのこシウマイ」に差し替えて、掛紙の絵柄を少し変えて販売した。えび、かに、黒豚、きのこと、この企画をすべて追いかけてきて、弁当の御飯に合うのはやっぱり普段のシウマイであることを改めて感じた。東京エリアでも販売。
崎陽軒の「次の主役は誰だ!2020 シウマイ弁当リレー企画」による商品の第3弾として、2020(令和2)年10月21日から31日まで販売。普段の横浜駅弁のシウマイ弁当について、シウマイ5個を同じ大きさの「黒豚シウマイ」に差し替えて、掛紙の絵柄を少し変えて販売した。これは初めての内容。やはり豚肉を使う通常のシウマイとの大きな違いは、胡椒を混ぜるか否か。
崎陽軒の「次の主役は誰だ!2020 シウマイ弁当リレー企画」による商品の第2弾として、2020(令和2)年10月11日から20日まで販売。普段の横浜駅弁のシウマイ弁当について、シウマイ5個を同じ大きさの「かにシウマイ」に差し替えて、掛紙の絵柄を少し変えて販売した。これは初めての内容。
崎陽軒の「次の主役は誰だ!2020 シウマイ弁当リレー企画」による商品の第1弾として、2020(令和2)年10月1日から10日まで販売。普段の横浜駅弁のシウマイ弁当について、シウマイ5個を同じ大きさの「えびシウマイ」に差し替えて、掛紙の絵柄を少し変えて販売した。2018(平成30)年9月以来の再登板で、値段は当時より60円アップ。
2019(令和元)年5月1日から6月18日まで販売。駅弁の名前のとおり、シウマイ弁当の御飯を赤飯に置き換えたものであり、発売月からの新元号の「令和」を記念するもの。掛紙の絵柄はおおむね通常版と同じで、地色が赤や金になっている。これは2017(平成29)年8月に崎陽軒公式サイト上で実施したアンケート企画「トンデモ!?シウマイ弁当」の、「お赤飯バージョンのシウマイ弁当」の商品化のようにも見える。
2019(平成31)年4月20日から30日まで販売。駅弁の名前のとおり、平成最後の11日間に売られた駅弁。掛紙には昭和64年に開催予定で平成元年の3〜10月に横浜市内のみなとみらい21地区で開催された、横浜市制100周年と横浜港開港130周年を記念した地方博「横浜博覧会」の俯瞰写真を使い、平成時代の横浜の略年表を掲載した。
中身は日の丸俵飯、シウマイ5個、タケノコ角煮、マグロ漬焼、鶏唐揚、かまぼこ、玉子焼、エビフライ、あんず、レンコンの炒め煮、昆布と紅生姜と大根漬。通常版に、平成時代にかかる過去のシウマイ弁当に入っていた、エビフライ、大根漬、レンコンの炒め煮を追加して120円増しにした記念駅弁。通常版のシウマイ弁当も併売された。
2018(平成30)年9月7日から13日まで販売。同年7月に調製元が自社公式サイト内で実施した人気投票企画「崎陽軒 創業110周年・シウマイ誕生90周年記念 90年目の総選挙」で、「昔ながらのシウマイ」に次ぎ投票数が多かった「えびシウマイ」を、期間限定でシウマイ弁当にした。
通常版のシウマイ弁当のうち、シウマイ5個を同じサイズのえびシウマイに差し替え、掛紙の色彩を「えびシウマイ」と同じピンク色にして、値段は60円高い。特製シウマイ大である通常版より小粒なえびシウマイは、エビの香りとプリプリがより強かったような。
2018(平成30)年9月8日に購入した、横浜駅弁の掛紙。上の「えびシウマイ御弁當」との違いは、製造者が横浜の崎陽軒か東京工場かの違いだけ。通常版のシウマイ弁当では、横浜製のものは経木折に掛紙をかけてひもで十字にしばり、東京製のものはボール紙のふたをしてフィルムで留める。今回の期間限定駅弁では、東京製も横浜と同じく、掛紙を使用していたので驚いた。駅弁と崎陽軒の上級者にしか分からない違い。
調製元の創業110周年とシウマイ誕生90周年の記念企画の一環で、2018(平成30)年7月1日から31日まで販売。掛紙の意匠は通常版に似るが、色使いや大きさが異なる。中身は赤飯、シウマイ類5個、タケノコ角煮、玉子焼とかまぼこ、マグロ照焼、鶏唐揚、あんず、昆布、紅生姜と、通常版になんとなく似ている。
記念で御飯が赤飯になり、駅弁の名前「味くらべ」のとおり、かにシウマイ、えびシウマイ、特製シウマイ、昔ながらのシウマイ(通常版)、シウマイまんの5種が入り、普段は弁当に入れない陶製醤油入れ「ひょうちゃん」が入り、その絵柄は創業110年・シウマイ90年の記念版。中身はすべて既存の横浜駅弁に入るものであり、味はそれらのものと同じ。食べた感想としては、味の方向が拡散しない通常版が良かったような。
2017(平成29)年9月23〜24日に横浜駅エリアで1,000個を販売。前月に崎陽軒公式サイト上で実施したアンケート企画「トンデモ!?シウマイ弁当」の結果に基づき、これと「忍法唐揚げの術シウマイ弁当」を、2日間限定で商品化した。
容器と価格は、通常版のシウマイ弁当と同じ。おかずから鶏唐揚とマグロ照焼を省き、シウマイを5個から3個に減らし、生み出した空間に通常の4倍量のタケノコ角煮を敷き詰めた。少し色調を変えた掛紙では、龍が竹を登り、崎陽軒本社ビルの隣にタケノコビルが建ち、流れ星が見える。販売日の駅弁売店に朝から行列ができ、買えなかった報告がネット上にあふれる、大変な話題と人気を集めた。
なお、「トンデモ!?シウマイ弁当」における「ドリーミング筍シウマイ弁当」の中身は、上の写真のようなものであった。商品化にあたり、内容を一部変更したという。
2017(平成29)年9月23〜24日に横浜駅エリアで1,000個を販売。前月に崎陽軒公式サイト上で実施したアンケート企画「トンデモ!?シウマイ弁当」の結果に基づき、これと「ドリーミング筍シウマイ弁当」を、2日間限定で商品化した。
容器と価格は、通常版のシウマイ弁当と同じ。おかずのシウマイを5個から1個に減らし、鶏唐揚を1個から5個に増やした。少し色調を変えた掛紙では、龍が巻物をくわえて手裏剣を持ち、崎陽軒本社ビルに忍者が立つ。販売日の駅弁売店に朝から行列ができ、大変な話題と人気を集めた。
崎陽軒の横浜工場の弁当製造ラインの新設記念で、2017(平成29)年6月23日から7月22日まで、「メガシウマイ御弁當」とともに販売。その名のとおり、シウマイ弁当の高級版。
いつもより小柄な弁当箱に、絵柄を流用しながら金色に輝かせた掛紙を巻く。中身は小田原梅干の俵飯に、シウマイと特製シウマイとえびシウマイ、マグロ利休焼、蒸し鶏の彩り和え、タケノコなどの煮物、ニシン昆布巻という感じで、通常版の具の多くを少し上質にした。飛び抜けて高級にしたわけでもないので、通常版よりミニというわけでも、プレミアムというわけでもないような感じだった。
横浜駅弁の崎陽軒は、かつて全国各地の駅弁屋がそうであったように、横浜駅の駅前で弁当を作る。加えて1975(昭和50)年に郊外の第三京浜道路港北インター付近に工場を新設し、シウマイの製造を移転したことで、駅弁を駅前で作り駅で売る駅弁屋の殻を破り、会社発展の原動力となった。今回はそこに、弁当の製造ラインも設けるものである。
崎陽軒の横浜工場の弁当製造ラインの新設記念で、2017(平成29)年6月23日から7月22日まで、「MINIプレミアムシウマイ弁当」とともに販売。その名のとおり、シウマイ弁当の増量版。
容器と掛紙とひもの幅を、1.5倍くらいに拡大した感じ。中身も俵飯を8個から12個に、シウマイを5個から8個に、マグロ照焼を1.5倍大に、鶏唐揚を1個から2個に、玉子焼の厚さを2倍に、タケノコ角煮の分量を1.5倍に、切り昆布と千切り生姜を2倍にしたという。分量以外は通常版と同じなので、味もまったく同じ。容器は経木折とならなかったものの、内ふたと飯の底に経木を使っていた。
駅弁を駅前で作らなければならないことはない。崎陽軒の弁当もその多くが、黄色と青に塗られた商用車で配送され、その起点が駅前である必要はない。ただ、他でも書いたとおり、駅前でシウマイ弁当が作られているから、例えば2011年3月の東日本大震災で電気と物流が止まり、横浜駅とその周辺から食べ物が消えた際にも、駅弁売店にシウマイ弁当がぞくそくと入荷した。もし横浜駅東口駅前の坪500万の土地から駅弁工場や食堂を追い出して、再開発ビルが建つのならば、それも時代の流れかもしれないが、ちょっとさみしい。
2017(平成29)年10月28日に購入した、横浜駅弁の掛紙。上記の駅弁「メガシウマイ弁当」が、わずか3か月で早くも復刻販売。11月4日のラグビー日本代表の試合にタイアップし、10月27日から試合当日まで販売された。そのため掛紙にその事実が書かれたり、龍がラグビーボールをつまみ、シルエットに日産スタジアムが追加されている。中身は変わらない。
上記の企画駅弁「メガシウマイ弁当」が再登板。今回は調製元と横浜市と出版社のKADOKAWAとのコラボレーション企画で、2019(令和元)年9月20日から11月2日まで販売。日本でのラグビーW杯の開催期間に合わせたもので、公式なライセンスやタイアップではないが、「横浜とラグビーの未来を応援しよう」という理屈で販売したようだ。中身は従前と、掛紙の絵柄は2年前と、ほぼ同じ。
2008年10月12〜13日に東京駅構内で開催された「東日本縦断駅弁大会〜秋〜」で販売されたお弁当。メガ駅弁をテーマに、横浜駅のシウマイ弁当を拡大コピーした。横浜でも何かのイベントにつけて限定販売すれば、少なくとも神奈川新聞の記事とTVKのニュースになるはず。
俵飯こそ日の丸ゴマ降り御飯に簡略化されているが、シウマイ5個は4個の特製シウマイに、蒲鉾は紅白各1切れに、玉子焼の厚さは3倍に、マグロ照焼の面積も2倍以上か、アンズは干さずに体積を増し、タケノコと付合せはそのまま増量、鶏唐揚に替えて鶏フライを添付し、容器の外枠と間仕切りは経木を確保した。
2015(平成27)年1月の、東京都新宿での京王百貨店駅弁大会で購入した、横浜駅弁のシウマイ弁当。見た目も味も通常版と同じだが、これはデパートの催事場で実演販売されたもの。ということで、掛紙に消費期限の印字がなく、百貨店の名前で調製印が押された。
設備の整った横浜と東京の工場内でなく、仮設のブースで衆人環視のもとに作られた、希少な製品である。とはいえ、シウマイ弁当は東京の各地で容易に買えるし、当たり前であるがこれとそれで何も変わらないため、駅弁大会であえて買う人はとても少なかった。