抹香鯨の鉄道事故年表 2010年以降の鉄道事故

TOP>2010年以降の鉄道事故

2024年7月24日 新山口駅貨物列車脱線事故(負傷者なし)

事故調査の過程で検査の不正が発覚し各社で列車が運休

概要

2024(令和6)年7月24日(水)12時32分頃、山口県山口市のJR西日本山陽本線新山口駅構内で、走行中の福岡貨物ターミナル駅発東京貨物ターミナル駅行貨物列車(JR貨物EF210形式電気機関車1両+貨車23両編成・乗員1名)の、機関車の先頭1軸2輪が脱線した。。

原因

機関車の車軸が折れたため。

影響

山陽本線の大道・厚東間に加えて、山口線の全線(新山口・益田間)も26日15時頃まで不通。事故の原因を調査する過程で9月10日に、JR貨物での車両の車軸に車輪をはめる作業において規格外の圧力値を改ざんし規格内とした事例が564両分発覚、点検の対象となる車両を探すために日本全国でJRの貨物列車が丸一日止まった。さらに国土交通省の点検指示によりJR東海や東京メトロなど他社でも同様の事例が発覚し、列車の運休や編成の短縮が起きた。

2024年7月22日 東海道新幹線保守用車両衝突(負傷者4名)

東海道新幹線の終日運休で迂回路が混雑

概要

2024(令和6)年7月22日(月)3時37分、愛知県蒲郡市のJR東海東海道新幹線豊橋・三河安城間の上り線で、停止していた保守用車両(マルチプルタイタンパ1両)に、他の保守用車両(砕石運搬散布車6両と軌道モータカー3両の9両編成)が衝突した。マルチプルタイタンパの後方3軸と軌道モータカーの前方1軸が脱線、係員4名が重軽傷。

原因

砕石運搬散布車のブレーキ力が大きく低下した状態で走行したため。

影響

東海道新幹線の浜松・名古屋間が22時過ぎまで運休し、約25万人に影響。東京・浜松間と名古屋・新大阪間で各駅停車のみ毎時2往復程度が運転された。新幹線各駅が待ち客であふれ、北陸新幹線、特急サンダーバード、近鉄特急、全日空、日本航空などで臨時便が出た。

2023年9月25日 弘南鉄道全線運休(負傷者なし)

事故でも災害でもなく電車が止まり代行輸送もなく再開も見通せず

概要

2023(令和5)年9月25日(月)12時頃から、青森県の弘南鉄道は、弘南線と大鰐線の全線全列車を運休した。

原因

線路が傷んだため。8月6日の大鰐駅でのレールの摩耗による列車の脱線を受けて、外部の研究機関に線路の検査を委託したところ、6箇所でレールの交換基準を上回る摩耗が見つかった。鉄道会社にお金と技術がなく、従業員が減り、検査が不十分であったうえ、修理に時間を要した。

影響

弘南線の弘前・田んぼアート間が10月25日(水)まで、田んぼアート・黒石間が11月6日(月)まで、大鰐線の津軽大沢・中央弘前間が11月19日(日)まで、大鰐・津軽大沢間が12月7日(木)まで運休。バス代行輸送が10月2日(月)まで開始できず、旅客鉄道輸送が丸一週間止まったはずが、運休本数や影響人数は公表されていないほか、不便だとの声がマスコミに拾われた以外の影響が伝わってこない。

2023年8月10日 ゴッタルドベーストンネル脱線事故(負傷者なし)

世界最長の鉄道トンネル事故で物流が約1年間滞る

概要

2023年8月10日(木)、スイスのウーリ州とティチーノ州を結ぶゴッタルドベーストンネルで、貨物列車の貨車30両中16両が脱線した。

原因

貨車の車輪が割れたため。

影響

列車が約8キロメートルもの線路を壊したため、単線2本のトンネルのうち1本が不通。貨物列車は単線での運転となり、旅客列車は非常時対応の問題でトンネルを通れず旧線を迂回し所要時間が1時間以上増え、いずれも輸送力が落ちた。10月からは金土日曜のみ旅客列車もトンネルを経由。復旧には2024年9月1日までかかり、約150億スイスフラン(約2.6兆円)の費用を要した。ゴッタルドベーストンネルは全長57104メートルと57017メートルの世界最長の鉄道トンネルで2016年に開通。

2023年8月5日 東海道線電化柱衝突事故(負傷者3名)

電車が電柱にぶつかり夏休みや花火大会の輸送が広く混乱

概要

2023(令和5)年8月5日(土)21時24分頃、神奈川県鎌倉市の東日本旅客鉄道東海道本線大船・藤沢間の大船駅構内で、小田原発横浜行臨時普通列車(E231系電車5両+E233系電車10両編成・乗客1,000名以上)の列車の先頭車が電化柱に衝突し停止した。運転士と乗客2名が軽傷。

原因

電化柱が線路内に倒れたため。設計耐力の8割の力がかかる鉄筋コンクリリートの電柱に、何らかの理由でひび割れが生じ、水がしみ込み鉄がさびて、鉄筋が切れて柱が折れた。列車は神奈川県茅ヶ崎市の花火大会「第49回サザンビーチちがさき花火大会」や同県小田原市の「第34回小田原酒匂川花火大会」の観客輸送で臨時に運行されていた。

影響

東海道線東京・熱海間に加えて、停電により「横須賀線」東京・久里浜間や根岸線が翌朝まで運休。これらの区間に直通する列車にも遅れや運休が相次ぎ、約15万人の足に影響。停電により駅間で1時間以上停止した13本の列車内で熱中症にかかったり、駅で停止した列車内で翌朝まで過ごした客が出た。寝台特急列車「サンライズ瀬戸・出雲」が客を乗せて翌朝まで東京駅で抑止のうえ運休。夜の東海道新幹線上り「のぞみ」「ひかり」が熱海駅や小田原駅に臨時停車し客を運んだ。

2022年11月19日 宇都宮ライトレール脱線(負傷者なし)

注目の路面電車新線で開業前の電車の脱線も注目

概要

2022(令和4)年11月19日(土)0時30分頃、栃木県宇都宮市のJR宇都宮駅東口で、電車(宇都宮ライトレールHU300形電車3両編成)の1両目全4輪と2両目の後方2輪が軌道から逸脱して停止した。

原因

急曲線で車輪がレールに強く押し付けられて乗り上がった。現場は2023年8月に開業予定の宇都宮ライトレール宇都宮芳賀ライトレール線(ライトライン)宇都宮駅東口停留場の分岐器に近い、半径25メートルの急カーブ。前々日から電車の試運転が始まり、開業後の営業運転で使わない緊急時のルートに電車を走らせたところ脱線した。

影響

電車が脱線しにくくなるよう、施設を所有する宇都宮市で、4千万円かけて宇都宮駅東口停留場の曲線のカントをなくす工事と軌間を縮める調整を実施。車両等の復旧に約1億円。該当のルートでの緊急走行時に列車速度を時速15キロから5キロに下げる。路線の工事には影響なく、予定どおり2023年8月26日に開業した。

2022年5月27日 南海高野線車庫脱線(負傷者なし)

特急こうやが運休や車両変更

概要

2022(令和4)年5月27日(金)0時21分頃、和歌山県橋本市の南海電気鉄道小原田(おはらた)車庫の分岐器で、車両(30000系電車4両編成)が脱線した。

原因

運転士が停止信号を見落とし、開通していない分岐器へ車両を進入させたため。

影響

特急用電車が車庫から出られなくなり、5月31日まで高野線の特急列車すべてを全車自由席の一般車両で運行。以後も特急車両の不足で2023年4月28日まで、高野線特急が一部運休し、8両編成の列車が4両編成になった。また、11月から2023年9月まで、難波・和泉中央間の特急「泉北ライナー」の一部列車に空港特急ラピート向け電車が使われた。

2022年5月27日 2022年4月25日 近鉄橿原線踏切事故(乗員乗客の負傷者なし)

踏切内にも点字ブロックを敷設

概要

2022(令和4)年4月25日(月)18時10分頃、奈良県大和郡山市の近畿日本鉄道橿原線近鉄郡山・筒井間の郡山第2踏切で、女性が橿原神宮前発京都行特急列車(電車4両編成)にはねられ死亡した。列車の乗員乗客に負傷者なし。

原因

女性が遮断機の下りた踏切内にいたため。防犯カメラの映像により、全盲の視覚障害を持つ女性が、踏切を渡る途中で下りた遮断機の手前を、踏切の外と勘違いしたのではないかと報道される。

影響

大和郡山市では踏切内の点字ブロックを敷き直した。国土交通省は6月に「道路の移動等円滑化に関するガイドライン」を改定し、踏切道への視覚障害者誘導用ブロックの設置を推奨、2024年1月には同ガイドラインを再改定し、誘導ブロックを含む踏切道内誘導表示の設置を標準化した。全国の踏切で路面標示や点字ブロックの追加が進んだ。

2022年3月16日 東北新幹線やまびこ号脱線事故(負傷者5名)

新幹線営業列車で2例目の脱線事故

概要

2022(令和4)年3月16日(水)23時36分頃、宮城県白石市の東日本旅客鉄道東北新幹線福島・白石蔵王間の高架橋で、東京発仙台行新幹線列車「やまびこ223号」(E6系新幹線電車7両+北海道旅客鉄道H5系新幹線電車10両編成・乗員5名乗客78名)の、13号車(前から5両目)を除く16両が脱線した。当初報道では乗員3名、負傷者なしとされたが、後日に訂正された。

原因

地震のため。福島県沖を震源とする最大震度6強の地震が発生し、東北新幹線の橋脚や電柱が壊れる被害が出た。

影響

地震の影響もあり東北新幹線が4月13日まで、最大で那須塩原・盛岡間で運休。2004年10月の上越新幹線とき325号以来となる新幹線の営業列車の脱線は、テレビや新聞などで大きく繰り返し報道された。

2021年11月11日 視覚障害者用スピーカー設置誤り(負傷者なし)

全国の鉄道で誘導チャイムを総点検

概要

2021(令和3)年11月11日(木)、東京都渋谷区の東日本旅客鉄道渋谷駅の埼京線ホームについて、視覚障害者用の音声案内スピーカーが誤った方向に設置されていると報道された。

原因

JR東日本がスピーカーを設置する際、バリアフリー新法に基づく国土交通省令に関するガイドラインの趣旨によらず旅客動線を考慮し、ホーム長軸方向でなく短軸方向に音響が流れる向きに設けたため。音声案内の方向を頼りにホーム上を移動した視覚障碍者が線路に転落しかねないと指摘された。

影響

JR東日本は謝罪し、管内の59駅でスピーカーの向きを変更。国土交通省は旅客鉄道事業者に確認と報告を通知。

2021年10月7日 日暮里・舎人ライナー脱線事故(負傷者3名)

新交通システムの営業列車が地震で「脱線」

概要

2021(令和3)年10月7日(木)22時41分頃、東京都足立区の東京都交通局日暮里・舎人ライナーの舎人公園駅構内で、日暮里発見沼代親水公園駅行列車(300形電車5両編成・乗員なし乗客約30名)の先頭車の前台車が走行路を外れた。

原因

地震のため。千葉県北西部を震源とする最大震度5強の地震が発生した。指令が緊急地震速報により、すべての列車を非常停止する操作をしたところ、該当の列車が分岐部で走行路を外れた。交通局では「前3両が脱輪」と表記。日暮里・舎人ライナーは車両がゴムタイヤでコンクリートの路面を走行する「新交通システム」であり、報道等では「脱線」「脱輪」などの表現が混乱した。

影響

線路の支障と設備の損傷で、日暮里・舎人ライナーは10日まで全線で運休。

2021年8月6日 小田急線車内傷害事件(負傷者10名)

車内への防犯カメラの設置を促進

概要

2021(令和3)年8月6日(金)20時30分頃、東京都世田谷区の小田急電鉄小田原線成城学園前・祖師ヶ谷大蔵間を走行中の藤沢発新宿行快速急行列車(5000形10両編成・乗員乗客数不明)の車内で、男が乗客に切り付けた。乗客10名が重軽傷。

原因

男の刃物と油による無差別な殺人未遂放火未遂事件。5000形電車は小田急で初めて車内防犯カメラを搭載した車両であり、容疑者(手配前にコンビニで自首)の速やかな特定につながったと考えられる。

影響

事件はテレビやネットなどで大きく報じられ、鉄道各社では警備を強化。国土交通省は鉄道事業者に警備の強化や防犯カメラの活用などの対策を求めようとしたところ、10月31日(日)19時55分頃に東京都調布市の京王電鉄京王線布田・国領間を走行中の新宿行特急列車(8000系電車10両編成。)の車内でも、男が刃物と燃料で無差別な殺人未遂放火事件を起こし16名の重軽傷者を出したことで、鉄道各社はさらに警備を強化し、国土交通省は鉄道事業者に避難誘導の徹底や防犯設備の充実に手荷物検査の検討などの対策を求めた。国土交通省は2023年10月15日から、新幹線や三大都市圏の新車を対象に、録画できる防犯カメラの設置を義務化した。

2021年6月7日 東京メトロトイレ閉じ込め(乗員乗客の負傷者なし)

全国の鉄道でバリアフリートイレを点検

概要

2021(令和3)年6月7日(月)23時頃、東京都中央区の東京地下鉄日比谷線八丁堀駅のバリアフリートイレ内で警備員が倒れた男性を発見、病院で死亡が確認された。

原因

男性の病気によるもの。2022年3月の報道で、男性が約7時間トイレ内にいたこと、通報装置のブレーカーが切られて駅事務室に通報されない状態であったこと、トイレ内に30分以上在室した場合に駅事務室へ警報するケーブルがつながっていなかったことが判明。

影響

東京メトロは謝罪し設備の点検と改修を実施。国土交通省は各鉄道事業者に注意喚起。

2020年4月21日 長崎路面電車脱線事故(負傷者なし)

10年に4度脱線した交差点でまた脱線

概要

2020(令和2)年4月21日(火)15時25分頃、長崎県長崎市の長崎電気軌道諏訪神社前・公会堂前間の交差点で、3系統蛍茶屋発赤迫行列車(電車1両編成・乗員1名乗客5名)が脱線した。

原因

運転ミス。交差点を右折するための切換装置の誤操作により、車両の前方の台車が右折した後、後方の台車が直進してしまい脱線した。

影響

蛍茶屋・市民会館間が一時運休した。事故の原因について新聞やライターが誤報を連発した。

2019年12月24日 会津鉄道脱線事故(負傷者なし)

車両不足で列車の運休と減便ダイヤ改正

概要

2019(令和元)年12月24日(火)19時08分頃、福島県南会津郡下郷町の会津鉄道会津線弥五島(やごしま)・塔のへつり間で、東武日光発会津若松行列車(AT−650形気動車1両編成・乗員2名乗客3名)が脱線した。

原因

線路の老朽化のため。軌道のまくらぎと締結装置の不良で、列車の走行により軌間が拡大、列車の車輪がレールとレールの間に落ちた。鉄道会社にお金と技術がなく、脱線箇所での不良の把握や軌道の整備が行われていなかった。

影響

会津鉄道が27日まで全線で運休。鉄道会社はまくらぎの木製からコンクリート製への交換を引き続き進めることとし、線路の点検と補修に関するルールを見直した。前月の11月27日にも土砂災害での脱線事故が起きていた会津鉄道では車両が不足し、東武日光・会津若松間「AIZUマウントエクスプレス」3往復のうち1往復を運休、2021(令和3)年3月のダイヤ改正で廃止した。

2019年10月13日 長野新幹線車両センター水没(負傷者なし)

新幹線電車120両の廃車で二階建新幹線「Max」延命

概要

2019(令和元)年10月13日、長野県長野市の東日本旅客鉄道長野新幹線車両センターが冠水、留置されていた新幹線電車の天井付近まで水没した。

原因

台風19号(令和元年東日本台風)による大雨で千曲川が決壊し、雨水が一帯へ流入したため。北陸新幹線の整備主体である鉄道・運輸機構がここに車両基地を設け、後に長野市が10mから20mの冠水を予測するハザードマップを公開していた。広大で平坦な整形地が必要な鉄道の車庫は昔から、冠水や軟弱地盤など何らかの問題があるから市街化されなかった土地に設けられることが多く、過去にも1982年8月の国鉄関西本線王寺駅など、車庫が水没したり、車庫の水没で車両が廃車となる出来事が起きてきた。

影響

北陸新幹線の長野・上越妙高間が10月24日まで不通。長野新幹線車両センターは車両検修の機能を失った。水没時の留置車両すべて、JR東日本のE7系電車8編成96両と、JR西日本のW7系電車2編成24両が廃車。上越新幹線向けに製造中のE7系電車を北陸新幹線に流用したため、2020年度末に予定していたE4系新幹線電車、オール二階建て車両「Max」の全廃が2021年10月まで延期された。JR東日本では大雨の予報で車両を避難させることにした。JR東日本は鉄道・運輸機構と協議のうえ、車両基地の浸水対策を進めていくとしている。

2019年9月5日 京急神奈川新町踏切事故(負傷者77名)

京急ファンの記憶に残る壮絶な踏切事故

概要

2019(令和元)年9月5日(木)11時40分頃、神奈川県横浜市の京浜急行電鉄(京急)本線神奈川新町駅付近の神奈川新町第1踏切で、青砥発三崎口行快特列車(1000形電車8両編成・乗員2名乗客約500名)が大型トラックと衝突、前3両が脱線し先頭車が炎上した。トラックの運転手は死亡。乗員2名と乗客75名が重軽傷。

原因

大型トラックが踏切内で立ち往生したため。道に迷ったと考えられる。加えて列車の運転士が踏切支障の信号を見落としてブレーキ操作が遅れたため。

影響

京急川崎・横浜間が9月7日13時過ぎまで不通。電車の全8両が廃車。京急は該当の信号機を移設したほか、踏切支障を示す信号の発光では非常ブレーキを扱うよう規程を改正した。壮絶な踏切事故として京急ファンの記憶に残る。この年の横浜市内では下記のとおり鉄道事故が続いた。

※2023年8月補訂:運輸安全委員会の鉄道事故調査報告書に基づき乗員乗客数を追加し負傷者数を訂正

2019年8月29日 横浜市営地下鉄オーバーラン事故(負傷者1名)

電車の不足で列車を削減

概要

2019(令和元)年8月29日(木)8時37分頃、神奈川県横浜市の横浜市交通局1号線(横浜市営地下鉄ブルーライン)踊場駅で、回送列車(3000N形電車6両編成・乗員1名)が引上線で停止位置を過ぎて行き止まりのトンネル壁面に衝突した。運転士が負傷。

原因

車両の運転ミス。運転士が眠り、ブレーキをかけなかったという。事故後の検査で重症のSAS(睡眠時無呼吸症候群)であったことが判明。踊場駅止まりの列車が引上線で折返し踊場駅始発の列車になる間に、事故が起きた。

影響

踊場駅での普通列車の折返し運転ができなくなったことで、9月7日まで快速列車を運休。電車の全6両が廃車。6月6日の脱線事故とこの事故でブルーラインの車両が不足し、翌2020年の1月31日に平日朝ラッシュ時間帯の運転間隔を4分20秒から4分30秒に変えるダイヤ改正を実施した。

2019年6月6日 横浜市営地下鉄脱線事故(負傷者なし)

「横取り装置」の名前と存在が知られる

概要

2019(令和元)年6月6日(木)5時22分頃、神奈川県横浜市の横浜市交通局1号線(横浜市営地下鉄ブルーライン)立場・下飯田間のトンネル内で、湘南台発あざみ野行列車(3000S形電車6両編成・乗員1名乗客121名)の前4両が脱線した。

原因

横取り装置の復位忘れ。夜間の点検で、レールにレールを被せて車両の進行方向を変える手動式の分岐器「横取り装置」を操作し、これを元に戻さずに列車を走らせたため、列車の車輪が分岐器に乗り上げて脱線した。2009年2月の近鉄東青山駅列車脱線事故と同じケース。

影響

踊場・湘南台間が6月10日午前中まで約4日半運休。横浜市は職員7人に停職や減給などの処分をした。電車の全6両が廃車。

2019年6月1日 シーサイドライン逆走事故(負傷者17名)

車両の設計ミスにより列車が全速力で逆走

概要

2019(令和元)年6月1日(土)20時15分頃、神奈川県横浜市の横浜シーサイドライン金沢シーサイドライン新杉田駅で、新杉田発並木中央行列車(2000型電車5両編成・乗員なし乗客25名)が車止めに衝突した。

原因

車両の制御に使うケーブルが走行中に切れたため、無人運転の列車が折り返す駅でモーターの回転方向が変わらず、発車時に列車の進行方向と反対側の車止めに向かって加速した。車両の設計時に鉄道会社と車両メーカーと部品メーカーの考えがすれ違い、断線で機器が思わぬ動きをしてしまった。

影響

シーサイドラインの全線が6月4日11時まで約2日半運休。以後も有人での運転や監視の実施により12月1日まで減便運行。

2018年10月21日 台湾・普悠瑪(プユマ)号脱線事故(死者18名・負傷者215名)

日本製の特急電車が台湾で脱線転覆

概要

現地時間2018年10月21日(日)16時50分頃、台湾の宜蘭県の台湾鉄路管理局(台鉄)宜蘭線新馬・蘇澳新間で、樹林発台東行自強号6432次普悠瑪(プユマ)号(TEMU2000型電車8両編成・乗客366名)のすべての車両が脱線、うち4両が転覆した。

原因

列車の速度超過のため。列車は時速75kmの速度制限を受ける半径306mの曲線を時速141kmで走行し脱線転覆した。列車の運転士は車両の故障警告表示を受け、運転指令の指示より花蓮駅まで運転することとなり、ATP(列車が制限速度を超えたり信号を冒進するとブレーキをかける保安装置)の機能を停止させ列車を走らせた。台鉄は事前に車両の不具合を把握していたが、車両の製造時の契約により修理できなかったという。

影響

宜蘭線が約半日運休。台鉄は車両とATPを点検し、教育訓練と管理態勢を見直したほか、ATPに機能停止時の時速60km制限と時速63km発動の仕組みを設けた。台湾政府は鉄道事故の原因を調査し再発を防止する組織の設置を決め、2019年8月に航空分野の飛航安全調査委員会に鉄道分野を含めて国家運輸安全調査委員会に改称した。TEMU2000型電車は台鉄が日本の住友商事に発注し日本車輌製造が製造した電車であり、台鉄は住友商事に損害賠償請求訴訟を起こした。11月の台北駅での駅弁大会が中止された。

2017年12月11日 のぞみ34号台車き裂(負傷者なし)

2001年の鉄道事故調査制度開始以来初めてとなる新幹線の重大インシデント

概要

2017(平成29)年12月11日(月)17時3分頃、愛知県名古屋市の東海旅客鉄道東海道新幹線名古屋駅で、博多発東京行列車「のぞみ34号」(西日本旅客鉄道N700系新幹線電車16両編成・乗員4名乗客約1,000名)の運行を、異臭の発生により打ち切った。

原因

先頭から4両目(13号車)の台車にひびが入ったため。振動で周囲の部品が壊れ、油漏れや発熱が起きた模様。列車では博多駅の出発後に車内で、焦げたにおい、モヤ、甲高い音、若干の振動を乗務員が断続的に確認していて、運輸指令への連絡や車両保守係員の確認が行われていたが、結果的に3時間以上も列車を通常に運行した。台車の製造時に位置合わせで基準を超えて部材を削ったことで強度が落ち、普段はひび割れが起きない場所にひびが入ったのではないかと考えられている。

影響

マスコミが例の「安全神話の崩壊」というフレーズで新幹線の不安をあおり、JR西日本を袋叩きにした。国土交通省はすべての新幹線台車の点検を指示、台車を作った川崎重工はJR東海とJR西日本に納入した基準外の台車約140台分を新品に交換。国の運輸安全委員会は規定により事故調査の対象としない考えであったが、公明党の石井啓一国土交通大臣の指示により「重大インシデント」として調査を開始、2001年10月の制度発足後初となる新幹線での重大インシデントの発生となった。故障車両の留置で12月17日まで名古屋駅14番線が使えず、ダイヤの変更で岐阜羽島駅にのぞみ号が臨時停車した。

2017年5月22日 わたらせ渓谷鉄道イーストアイ脱線事故(負傷者なし)

検測車イーストアイの脱線映像がテレビのニュースに登場

概要

2017(平成29)年5月22日(月)15時頃、群馬県桐生市のわたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線花輪・水沼間で、間藤発桐生行回送列車(東日本旅客鉄道キヤ193系気動車3両編成・乗員7名)の中間車が脱線した。

原因

線路の老朽化。赤字ローカル線の弱い線路に、普段は来ない重たい列車が載ったことで、まくらぎが壊れてレールが倒れた。脱線した車両は、JR東日本が所有する検測車両、愛称「East i−D(イーストアイ・ダッシュディー)」。走りながら信号、通信、電力、軌道の状態を測定でき、自社で使うほか他社にも貸し出している。

影響

わたらせ渓谷鉄道は6月9日まで大間々・間藤間を運休し、まくらぎの検査や交換を実施。国や県などの補助金で、2018年度から5年間で17億1400万円かけて、まくらぎのコンクリート化や太いレールへの交換を実施する予定。脱線シーンがたまたま鉄道ファンにより動画で撮影されていて、これがテレビのニュースで放送された。検測車両が事故後半年間ほど使われず、以後も脱線した電力関係測定車両を抜いて走るため、各社の検測に影響が出たのではないかと思う。

2016年6月2日 長崎路面電車脱線事故(負傷者なし)

同じ交差点で10年に4度の路面電車脱線

概要

2016(平成28)年6月2日(木)22時50分頃、長崎県長崎市の長崎電気軌道諏訪神社前・公会堂前間の交差点で、3系統蛍茶屋発赤迫行列車(360形式電車1両編成・乗員1名乗客1名)が脱線した。

原因

直接の原因は、よくわかっていない。交わる線路の変形と急カーブにより、電車の車輪がレールに乗り上がったと考えられる。この交差点では2007年5月19日と5月24日に脱線事故が起きて7月18日まで運休、2015年10月11日にも電車の脱線が起き、2016年5月22日までこのルートを通る列車を運休してレールの形を改良していた。

影響

長崎電気軌道では、該当の線路を走る「3系統」を2017年11月29日まで運休、線路のカーブをゆるくする抜本的な改良を施した。

2016年4月14日 九州新幹線脱線事故(負傷者なし)

またまた地震で新幹線が脱線

概要

2016(平成28)年4月14日(木)21時26分頃、熊本県熊本市の九州旅客鉄道九州新幹線熊本・新八代間で、熊本発熊本総合車両所行回送列車(800系新幹線電車6両編成・乗員1名)のすべての車両が脱線した。

原因

熊本地震が起きたため。脱線現場付近で震度6強や7の揺れが観測された。現場が高架橋で、線路が揺れやすかった。地震による本線上での新幹線の脱線は、2004年10月23日の上越新幹線とき325号、2011年3月11日の東北新幹線の試運転列車に次ぐ3例目。新幹線列車の全車両の脱線は史上初。

影響

熊本・新水俣間が4月26日まで不通。JR九州は熊本・熊本総合車両所間の線路に脱線防止ガードを設置した。新幹線電車6両が廃車。

2016年4月4日 半蔵門線九段下駅ベビーカー戸挟み(負傷者なし)

事故防止対策でホーム先端がカラフルに

概要

2016(平成28)年4月4日(月)15時1分頃、東京都千代田区の東京地下鉄半蔵門線九段下駅で、中央林間発押上行列車(8000系電車10両編成)の乗降扉にベビーカーを挟んだまま発車、ホーム端の柵でベビーカーは大破し、列車は次駅の神保町駅まで走行した。

原因

車掌が扉にベビーカーが挟まれたことに気付かず、運転士に列車の出発を合図したため。列車の発車後に車内とホーム上で非常通報の機器が操作されたが、車掌は列車停止の手配を躊躇(ちゅうちょ)した。

影響

東京メトロでは外部有識者の委員会を設置して再発防止を議論、ヒューマンファクターの観点で社員の養成と異常時の取扱を見直した。加えて各駅でホームの先端部を赤色やゼブラ模様で塗り視認性を向上、この取組は他の鉄道事業者にも広まった。

ホームの先端部を赤く着色した事例

写真:ホームの先端部を赤く着色した事例(広島県 JR可部線 あき亀山駅 2017年3月撮影)

2016年3月2日 根室本線列車燃料切れ(負傷者なし)

JR東日本で起きたガス欠がJR北海道でも起きる

概要

2016(平成28)年3月2日(水)19時5分頃、北海道白糠郡白糠町の北海道旅客鉄道根室本線古瀬・白糠間で、新得発釧路行列車(キハ40系気動車1両編成・乗員1名乗客4名)が立ち往生。

原因

燃料切れ。暴風雪により前々日から車両の運行計画が度々変わり、給油の予定を入れ忘れたという。

影響

約3時間の不通で列車4本が運休、特急1本が2時間半遅れ。乗客はタクシーで輸送した。JR東日本では2005年1月13日の北上線や1990年11月14日の釜石線で起きていた燃料切れ立ち往生が、JR東日本の役員が送り込まれたJR北海道でも起きた。

2015年12月11日 山田線列車脱線事故(負傷者16名)

鉄道の不通で鉄道旅客の移動が便利に

概要

2015(平成27)年12月11日(金)19時30分頃、岩手県宮古市の東日本旅客鉄道山田線平津戸・松草間で、宮古発盛岡行列車(キハ110系気動車1両編成・乗員2名乗客22名)が倒木や土砂に乗り上げて脱線した。乗客1名が重傷、乗員1名と乗客14名が軽傷。

原因

線路際の斜面が崩れたため。

影響

復旧工事のため上米内・川内間が2017年11月4日まで約2年間不通。JR東日本は列車代行バスを運行せず、鉄道の切符で岩手県北自動車の並行路線バス「106急行」に乗れるようにしたため、一日4本の列車が毎時1本のバスに替わり便利になった。2010年7月31日の事故で約3年半の運休のすえ廃止された岩泉線と違い、こちらは廃止されなかった。

2015年11月14日 フランスTGV脱線事故(死者11名・負傷者42名)

TGV史上初の死亡事故

概要

現地時間2015年11月14日(土)15時31分頃、フランスのバ=ラン県ストラスブール=カンパーニュ郡エックヴェルスハイムのTGV東ヨーロッパ線の未供用区間で、試験走行中の列車(TGV−Dasye10両編成・乗員等53名)のすべての車両が脱線し転覆した。

原因

運転士のブレーキ操作の遅れにより、時速176kmで通過する予定であった曲線を時速265kmで通過したためと考えられている。

影響

2016年4月3日予定の新線開業が、翌2007年6月10日まで延期された。事故の前日にパリ同時多発テロ事件が発生したが、事故との関連はないとされる。

2015年8月4日 京浜東北線架線切断事故(負傷者なし)

繰り返されるエアセクション事故で花火大会の帰宅輸送が大混乱

概要

2015(平成27)年8月4日(火)19時10分頃、神奈川県横浜市の東日本旅客鉄道根岸線横浜・桜木町間で、下り列車(E233系電車10両編成・乗員乗客約1000〜1500名)が立ち往生した。

原因

運転士が架線の切れ目(エアセクション)で止めた電車を発車したため。通常は列車を止めてはならないエアセクションで止めた列車を発車させる場合、変電所や車両のパンタグラフの操作が必要になるが、これをせずに電車を発車させたため、電流で架線を焼き切った。JR東日本では2007(平成19)年6月22日にも、埼玉県さいたま市の東北本線で同じトラブルを起こしている。

影響

京浜東北・根岸線が終日運休するなど、横浜エリアのJR各線で列車150本が運休、159本が最大6時間20分遅れ、乗客約35万人に影響。当日は横浜市みなとみらい地区で花火大会が開催されており、帰宅の足を直撃した。JR東日本では運転士の教育により再発を防止するという。

2015年6月30日 東海道新幹線車両火災(死者2名、負傷者27名)

車内でのガソリン自殺で乗客が巻き添えに

概要

2015(平成27)年6月30日11時30分頃、神奈川県小田原市の東海旅客鉄道東海道新幹線新横浜・小田原間で、東京発新大阪行列車「のぞみ225号」(東海旅客鉄道N700系電車16両編成・乗員9名乗客約900名)の先頭車の車内で火災が発生し停止した。乗客2名が死亡、乗客2名が重傷、運転士と車掌と乗客23名が軽傷。

原因

乗客の焼身自殺。車内にガソリンを撒いて火を着けた。他の乗客1名が巻き添えで犠牲に。

影響

東海道新幹線が約3時間不通。火災車両は車体を廃棄し新造車体に振り替えた。JR東海とJR西日本は新幹線の客室内にも監視カメラを設置、JR各社は2016年4月28日にガソリン・灯油・軽油の車内持ち込みを禁止した。車両は火災後に自走で移動、新幹線車両の火災への強さが証明された。

2015年4月12日 山手線電化柱倒壊事故(負傷者なし)

国会でも取り上げられたJR東日本の工事ミス

概要

2015(平成27)年4月12日(日)6時10分頃、東京都千代田区の東日本旅客鉄道「山手線」神田・秋葉原間で2本一組の電化柱が倒れ、もう2本一組の電化柱が傾斜した。

原因

JR東日本の工事ミス。電車線路の改良工事による電化柱の建て替えで、半月前に2本の電化柱を結ぶ梁を撤去した際、計算ミスにより柱に取り付けた支線を引っ張る強度が足りなくなった。事故の前々夜に電車の運転士が電化柱の傾斜を発見していたものの、改修を事故の翌日に実施することとしていた。

影響

山手線と京浜東北線が約9時間不通となり、乗客約41万人に影響した。負傷者や列車の衝突や脱線が起きておらず、国の運輸安全委員会は調査の対象としなかったが、公明党の太田昭宏国土交通大臣の発言により「重大インシデント」に認定。JR東日本では1か月ですべての電化柱を点検し、今後の工事で安全対策を徹底するという。政府の事故への対応について衆参両院の国土交通委員会で取り上げられた。

2015年4月3日 青函トンネル列車発煙(負傷者なし)

青函トンネルの防災設備「定点」を初めて活用

概要

2015(平成27)年4月3日(金)17時07分頃、青森県東津軽郡外ヶ浜町の北海道旅客鉄道海峡線知内信号所・津軽今別駅間の青函トンネルを走行中の、函館発新青森行特急「スーパー白鳥34号」(789系電車6両編成・乗員5名乗客124名)の前から2両目で発煙し、緊急停止した。

原因

電車のシステムの不具合で、モーターへ過剰な電流が流れたため、電線が過熱し発煙した。

影響

青函トンネルが約14時間に渡り不通。JR北海道では車両のシステムを改修し、青函トンネルの避難マニュアルを見直した。乗客は青函トンネル内を竜飛定点(2014年3月まで竜飛海峡駅)まで歩き、ケーブルカー(青函トンネル記念館青函トンネル竜飛斜坑線)で地上へ避難。青函トンネルの防災設備が初めて実際に活用された。

青函トンネルの避難誘導設備

写真:青函トンネルの避難誘導設備(2007年6月撮影)

2014年6月22日 江差線貨物列車脱線事故(負傷者なし)

軽便鉄道が重貨物輸送を担う日本の鉄道インフラ

概要

2014(平成26)年6月22日(日)4時12分頃、北海道上磯郡木古内町の北海道旅客鉄道江差線泉沢・札苅間で、札幌貨物ターミナル発宇都宮貨物ターミナル行貨物列車(EH500形式電気機関車1両+コキ100系貨車20両・乗員1名)の後ろから2両目の貨車が脱線し、最後尾の車両が線路上に置き去りにされた。

原因

不詳。急カーブ、貨車に積んだコンテナの中での貨物の偏り、規定内での線路のゆがみ、貨車の揺れ方などが複合的に働き、脱線に至ったと考えられている。泉沢駅付近では2012年4月26日と同年9月11日にも、貨物列車の脱線が起きていた。

影響

津軽海峡線がほぼ2日間運休。北海道と本州を結ぶ唯一の鉄路が止まり、またまた物流と旅客を足止めした。脱線現場とその周辺の急カーブ区間では時速45kmの徐行運転を実施。JR北海道は線路の傾きを改良したうえで脱線防止ガードを増設、JR貨物はコンテナの重量バランスを測れる荷役機械を導入、左右のアンバランスを10%以内に抑えるよう荷主に通知した。道路ではよく実施される、かつての軽便鉄道を叩き直して重貨物輸送を担う江差線の改善、急カーブをゆるくするような改良は、鉄道では行われないため、今後も定期的に貨車の脱線が起こる懸念がある。江差線は2016年3月から道南いさりび鉄道。

2014年2月23日 京浜東北線列車脱線事故(負傷者2名)

京浜東北線やJR東日本で繰り返される連絡ミスでの鉄道事故

概要

2014(平成26)年2月23日(日)1時11分頃、神奈川県川崎市の東日本旅客鉄道「京浜東北線」川崎駅で、桜木町発蒲田行回送列車(E233系電車10両編成・乗員2名)が、線路上に置かれていた工事用車両に衝突。2両が脱線し、先頭車が転覆。先頭車の運転台にいた乗員の全員が軽傷。

原因

工事業者が車両を線路上に置いたため。駅通路新設工事で、連絡の行き違いや思い込みにより、線路4本のうち列車を止める手続きをしていない線路にまで車両を進めてしまった。

影響

蒲田・鶴見間が丸一日運休。JR東日本では工事の監督態勢や指示系統を強化、この工事では4線すべての列車が来なくなってから作業を始めることとした。製造後4年ほどの電車2両が廃車。

2014年2月15日 東急東横線元住吉駅列車追突事故(負傷者72名)

大雪時の運行を再考させた電車のスリップ事故

概要

2014(平成26)年2月15日(土)0時30分頃、神奈川県川崎市の東京急行電鉄(東急)東横線元住吉駅で、停車していた渋谷発元町・中華街行列車(東急5050系電車8両編成・乗員2名乗客約80名)に、後続の渋谷発元町・中華街行列車(横浜高速鉄道Y500系電車8両編成・乗員2名乗客約60名)が追突した。両列車の乗客72名が負傷、うち1名は骨折の重傷。

原因

降雪の影響で後続列車のブレーキの利きが悪かったため。車輪とブレーキシューとの間に雪や油やホコリが挟まれて滑りやすくなっていたと考えられる。停車していた列車も元住吉駅に止まれずオーバーランしており、停止位置を直すため後退しようとしていた。

影響

武蔵小杉・日吉間が丸一日運休。東急では降雪時における運転規制やブレーキ使用の基準を明確化した。首都圏鉄道各社でも大雪予報時に列車を間引いたり速度を落とす対策が強化されたように見える。電車は全16両が廃車。東急はY500系電車の代替として、2016年5月に横浜高速鉄道へ5050系電車1編成8両を譲渡した。

2013年10月1日 横浜線川和踏切事故(乗客の負傷者なし)

女性の勇気ある行動に全国が感動

概要

2013(平成25)年10月1日(火)11時30分頃、神奈川県横浜市の東日本旅客鉄道横浜線中山駅付近の川和踏切で、東神奈川発橋本行列車(205系8両編成)に通行人2名が轢かれ、女性が死亡、男性が重傷。

原因

警報機が鳴り遮断機が下りた踏切に侵入したため。踏切内で倒れている男性を助けようと、女性が踏切待ちの車両から下車し、救出を試みたという。

影響

女性の勇気ある行動に対して、メディアが全国へ感動を発信した。政府は女性に紅綬褒章を授与。

2013年9月19日 函館本線貨物列車脱線事故(負傷者なし)

長年の不正の発覚でJR北海道が政府とメディアの監視下に

概要

2013(平成25)年9月19日(木)18時5分頃、北海道亀田郡七飯町の北海道旅客鉄道函館本線大沼駅で、帯広貨物発熊谷貨物ターミナル行貨物列車(18両編成)の6両目から9両目のコンテナ貨車が脱線した。

原因

軌間の拡大(左右のレールの間隔が広がった)によるもの。検査の結果が保守の基準を超え、本来は修理すべき個所を、検査結果を書き換えるなどして、JR北海道が放置していた。

影響

事故を機に同様の不正が各地で全社的に発覚し、JR北海道は政府とメディアから袋叩きに遭った。国土交通省は約1か月かけて監査や査察を実施し、翌年2月には安全統括管理者の解任を命令。JR北海道は乗客の減少と経費の増加で経営がさらに悪化、元社長の相談役が自殺し、新型車両の開発を中止し、JR東日本から幹部を招き、駅や路線や列車の廃止に着手した。

2013年7月6日 函館本線特急出火事故(負傷者なし)

JR北海道が四半世紀続けた特急高速化の終焉

概要

2013(平成25)年7月6日(土)15時45分頃、北海道の北海道旅客鉄道函館本線山崎・鷲ノ巣間で、札幌発函館行特急列車「北斗14号」(キハ183系気動車8両編成・乗員4名乗客約200名)の4両目の床下から発煙、出火し、緊急停止した。

原因

ディーゼルエンジンの故障。エンジン内の部品が壊れ、油や燃料が漏れ、発火した。過去の同じような故障への対策が十分でなかったとされる。

影響

JR北海道では同じエンジンを積む車両36両の使用を中止、札幌・函館間特急「北斗」4往復が運休するなど同区間の輸送力が半減し、混雑のため他の交通機関の利用を呼び掛けた。他にも特急車両でトラブルが相次いだため、JR北海道では同年11月ダイヤ改正で、すべての気動車特急の最高時速を130kmから110kmまたは120kmに引き下げ、以後の特急気動車の製造では高速走行のための車体傾斜をとりやめた。

2012年9月24日 京急列車脱線事故(負傷者32名)

ネット上にあふれた「がんばれ京急」

概要

2012(平成24)年9月24日(月)23時58分頃、神奈川県横須賀市の京浜急行電鉄本線追浜・京急田浦間で、京成高砂発三浦海岸行特急列車(1500形電車8両編成・乗員2名乗客約700名)が線路上の土砂に乗り上げ、トンネル内で前3両が脱線した。

原因

集中豪雨でトンネル入口付近の斜面が崩れたため。

影響

金沢八景・逸見間が55時間半に渡り不通となり、列車1548本が運休し約63万人の足に影響、三浦半島の交通が麻痺した。テレビや新聞などのメディアや国土交通大臣が京急を非難し糾弾する中、インターネット上では短文投稿サイト「ツイッター」を中心に、京急を称賛し応援するメッセージがあふれた。

2012年8月6日 秩父鉄道C58脱線(負傷者なし)

SLパレオエクスプレスが半年間「EL」に

概要

2012(平成24)年8月6日(月)9時32分頃、埼玉県熊谷市の秩父鉄道広瀬川原車両基地で、機関車(C58形式蒸気機関車)が脱線した。

原因

秩父鉄道では「係員の確認の疎漏が重なった人的ミス」と紹介。具体的な内容は不明。

影響

SLの修理のため、翌2013年3月までSL列車「SLパレオエクスプレス」が運休。代わりに電気機関車の牽引による「ELパレオエクスプレス」が走った。

2011年7月23日 中国・高速鉄道追突事故(死者35〜43名、負傷者192〜211名)

いわゆる中国版新幹線で起きた重大な列車事故

概要

現地時間2011年7月23日(土)20時34分頃、中国の浙江省温州市で、橋梁上で停車中の杭州発福州南行D3115列車(CRH1B型電車16両編成・乗員1,072名)に北京南発福州行D301列車(CRH2E型電車16両編成、乗客558名)が追突、停車列車の後2両と追突列車の前4両が脱線し、追突列車の前4両が橋梁から約20メートル下の地面へ転落した。

原因

落雷による列車の運行管理や衝突防止に関するシステムの故障とされる。落雷により走れなくなったD3115列車に、運行管理または信号設備あるいは運転士のミスで、D301列車が追突したらしい。

影響

同年8月16日以降、高速鉄道の各路線で最高速度を落とすダイヤ改正が実施された。高架橋から転落した事故車両を現地で埋め立てたり、事故の後も安全対策を見せないまま運行の再開や路線の拡大をしたことで、中国版新幹線は危険だと、世界各地での高速鉄道の受注競争で日本のメディアがライバルの中国を非難する際に、この事故が必ず引き合いに出されていると思う。

※2015年10月補訂:影響の追記
※2012年9月補訂:影響の書き換え

2011年5月27日 JR石勝線特急脱線火災事故(負傷者79名)

燃え尽きて垂れ下がった車両の姿に衝撃

概要

2011(平成23)年5月27日(金)21時55分頃、北海道勇払郡占冠村の北海道旅客鉄道石勝線新夕張・占冠間の第1ニニウトンネル内で、釧路発札幌行特急列車「スーパーおおぞら14号」(キハ283系気動車6両編成・乗員4名乗客248名)の前から5両目が脱線し全車両が全焼した。車掌1名と乗客78名が軽傷。

原因

前から4両目の床下で動力伝達装置が脱落し、最後尾車両の燃料タンクが損傷したため。詳細な原因は特定できなかった。車両の保守や乗客の避難に関して、部署別や現場ごとに異なるルールがあることが指摘された。

影響

車両6両は廃車。全焼し車体が曲がった特急車両の写真や映像に世間や鉄道ファンが衝撃を受けた。車両不足により「スーパーとかち」一部列車に短編成化、グリーン車やバリアフリー対応車両の非連結、キハ183系気動車での代走が発生した。JR北海道ではマニュアルを改訂。同年9月には社長が自殺。

※2015年11月補訂:運輸安全委員会の報告書に基づき負傷者内訳と原因を訂正
※2012年1月補訂:乗客数と負傷者数の訂正(出典:運輸安全委員会の平成24年1月25日付の調査進捗報告)
※2012年9月補訂:車両と列車への影響を追記

2010年12月17日 舞子駅乗客転落死亡事故(乗員乗客の負傷なし)

事故がJR西日本の電車の顔を変える

概要

2010(平成22)年12月17日(金)21時50分頃、兵庫県神戸市の西日本旅客鉄道山陽本線舞子駅で、姫路発米原行快速列車(電車12両編成)から降りた客が線路に転落、列車に轢かれて死亡した。

原因

客がホームから線路へ転落した箇所は、先頭車両同士の連結部であり、車両に転落防止ガードを付けていなかった。

影響

JR西日本では先頭車両同士の連結部でも前照灯を点灯し、客への気づきを促した。加えて一部の在来線電車と以後の在来線向け新型電車では、先頭車両にも転落防止ガードを設置し、客が線路へ落ちにくいようにした。

JR西日本227系電車の転落防止ガード JR西日本227系電車の転落防止ガード

写真:JR西日本227系電車の転落防止ガード(2017年3月撮影)

2010年7月31日 岩泉線列車脱線事故(負傷者4名)

崖崩れでJRのローカル線が廃線に

概要

2010(平成22)年7月31日(土)7時35分頃、岩手県下閉伊郡岩泉町の東日本旅客鉄道岩泉線押角・岩手大川間で、茂市発岩泉行列車(キハ110形1両編成・乗員2名乗客7名)が線路上の土砂に乗り上げ脱線した。運転士1名と乗客3名が軽傷。

原因

前日の降雨や斜面の風化のため、線路脇の崖が崩れたため。現場は建設時に崖崩れを予測し、あらかじめ落石シェルターを備えていたが、崩れた土砂の量が多く、線路上にも一部がこぼれていた。

影響

多額の対策費用と利用者の少なさで、JR東日本は地元に鉄道の廃止とバス路線への転換を協議。マイクロバスでの代行輸送が続いたまま、2014年3月限りで岩泉線は廃止された。

2010年7月23日 氷河特急脱線転覆事故(死者1名・負傷者40名)

人気列車の脱線事故で日本人観光客が犠牲に

概要

現地時間2010年7月23日(金)12時頃、スイスのバレー州のマッターホルン・ゴッタルド鉄道ラックス・フィーシュ間で、観光列車「グレーシャーエクスプレス(氷河特急)」(電気機関車+客車6両、乗客約210名)の後部3両が脱線し、うち後部2両のパノラマ1等車が転覆した。

原因

列車の速度超過のため。運転士が時速35km制限の曲線を抜けた直後に加速したため、曲線内にいた後部車両が時速約56kmまで加速、最後尾車両から転覆が始まったと思われる。

影響

JTBとANAの日本人ツアー客が事故に巻き込まれ、1名が死亡し38名が負傷したため、日本国内で大きく報道された。なお、氷河特急とは過去に氷河急行と訳されていた列車と同じ。

※2012年9月補訂:事故名の変更と影響での注釈の追記

2010年1月29日 JR函館本線踏切事故(負傷者約24名)

JR北海道が前面展望を全面的に取り止め

概要

2010(平成22)年1月29日(金)12時25分頃、北海道深川市の北海道旅客鉄道道函館本線妹背牛・深川間の深川6号線踏切で、旭川発札幌行特急列車「スーパーカムイ24号」(789系電車5両編成・乗員2名?乗客102名)がダンプカーと衝突、先頭車両が脱線した。運転士1名と乗客約23名が負傷。ダンプカーの運転手は軽傷。

原因

吹雪の中でダンプカーが遮断機の下りた踏切に進入したもの。スリップが原因か。

影響

滝川・旭川間が丸一日不通。JR北海道は5月から特急列車の先頭車貫通路を立入禁止とし、6月にリゾート列車「クリスタルエクスプレス」の先頭部座席を撤去した。

鉄道事故年表

2010年以降の鉄道事故

2000年〜2009年の鉄道事故

1990年〜1999年の鉄道事故

1980年〜1989年の鉄道事故

1970年〜1979年の鉄道事故

1960年〜1969年の鉄道事故

1950年〜1959年の鉄道事故

1940年〜1949年の鉄道事故

1920年〜1939年の鉄道事故

1830年〜1919年の鉄道事故

TOP(ご案内・連絡先)

管理者 まっこうくじら
当年表の内容は、自由に利用、転載、加工していただいて構いません。