抹香鯨の鉄道事故年表 2020年以降の鉄道事故

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2025年10月5日 田園都市線梶が谷駅列車接触事故(負傷者なし)

深夜の事故で翌日の通勤輸送が混乱

概要

2025(令和7)年10月5日(日)23時4分頃、神奈川県川崎市の東急電鉄田園都市線梶が谷駅構内で、停止していた車両(5000系電車10両編成、乗員3名)に、中央林間発渋谷行上り列車(2020系電車10両編成、乗員2名・乗客149名)が接触した。車両1両が脱線、列車3両が破損。

原因

梶が谷駅止まりの回送列車が折り返して留置線に入る際、速度超過により非常ブレーキがかかり停止、上り3番線の分岐器上に最後尾車両が残った状態で、上り列車が進入したため。信号設備の設定ミスにより、上り線に停止信号が出なかった。

影響

運輸安全委員会の鉄道事故調査により、田園都市線の渋谷・鷺沼間と大井町線電車の二子玉川・溝の口間が翌6日23時半頃まで運休。梶が谷、鷺沼、長津田の車庫から電車が出られなかった影響で、大井町線大井町・二子玉川間と東京メトロ半蔵門線渋谷・押上間の列車が半数以上減便。振替輸送の各線各駅が混雑し、バスやタクシーの乗り場に行列ができ、沿線では自動車に加えて歩行者の渋滞も発生、自転車や電動キックボードのシェアサービスが枯渇した。

2025年6月17日 山形新幹線E8系電車一斉故障(負傷者なし)

暑い夏の日に4編成が一斉に故障するミステリー

概要

2025(令和7)年6月17日(火)11時24分頃、JR東日本東北新幹線宇都宮・那須塩原間の下り線で、回送列車(E8系新幹線電車7両編成)が停止した。

原因

車両故障のため。車両の補助電源装置の半導体部品が壊れ、走行不能となった。同日には13時56分に郡山駅で上り回送列車、14時38分に山形新幹線(奥羽本線)福島・笹木野間で「つばさ139号」、15時26分に小山駅で「つばさ136号」が、それぞれ同じ理由で走れなくなった。

影響

東京・仙台間で東北新幹線の列車が17時まで運休。駅間で停止した列車の乗客約1,100人が一時車内に取り残され、約5万5千人の足に影響。翌18日からE8系電車の運行をとりやめ、一日30本以上の山形新幹線列車が一部または全区間で運休し、福島駅での乗り換えが必要になった。8月1日から11月中旬までかけて、順次運行を再開。

2025年3月25日 熊本市電追突事故(負傷者15名)

熊本市電そのものの危険性を指摘

概要

2025(令和7)年3月25日(火)8時30分頃、熊本県熊本市の熊本市交通局の熊本城・市役所前電停で、停車中の田崎橋行電車(1060形電車1両編成)に後続の上熊本行電車(1090形電車1両編成)が追突した。停車電車の運転士と両電車の乗客14名が負傷、うち乗客2名が重傷。

原因

3月26日時点で公表されていない。追突列車のブレーキが効かなかった、レールに油が付いていたという考察がある。事業者にお金がなく、現役の電車の約半数が昭和30年代までの製造であるなど車両や設備の老朽化や、運転士を非正規職員とするなど限界を超えた経費縮減が指摘されている。2024年に重大インシデントを含む脱線や信号無視など16件の運行トラブルが生じ、有識者委員会を設けて提言を受けるなど、熊本市電そのものの安全性の欠如も指摘される。

影響

熊本市電の辛島町・水道町間が3月26日まで運休。今までのトラブルにより2024年11月に延期が公表された上下分離方式の導入と、1月に延期が公表された市電の延伸が、さらに延期または中止される可能性がある。

2025年2月9日 姫新線回送列車燃料切れ(負傷者なし)

西日本では珍しいと思うガス欠

概要

2025(令和7)年2月9日(日)2時25分頃から、岡山県真庭市の西日本旅客鉄道姫新線中国勝山・月田駅間で、新見発中国勝山行回送列車(1両編成)が約5時間停止した。

原因

燃料切れ。積雪による倒竹の撤去作業で、刑部駅にて長時間待機したためと報道された。

影響

列車2本の運休と4本の遅延で約20人に影響。東日本でまれに起きる列車のガス欠が西日本で起きるのは珍しいと鉄道ファンに記憶される。

2024年12月12日 川内駅貨物列車脱線事故(負傷者なし)

原因不明の脱線事故で長期不通も新幹線が活躍

概要

2024(令和6)年12月12日(木)3時3分頃、鹿児島県薩摩川内市の九州旅客鉄道鹿児島本線川内駅構内で、熊本発鹿児島貨物ターミナル行予定臨時貨物列車(EF81形式電気機関車+コンテナ貨車11両、乗員1名)の、先頭の機関車と貨車2両が脱線した。

原因

公表も報道もされていない。

影響

鹿児島本線の川内・隈之城間が31日16時過ぎまで不通。バス代行輸送を16日からの平日の朝夕に限り行い、振替輸送は九州新幹線で実施した。

2024年11月16日 函館本線貨物列車脱線事故(負傷者なし)

前代未聞のレール粉砕で列車脱線

概要

2024(令和6)年11月16日(土)1時41分頃、北海道森町のJR北海道函館本線森・石倉駅間で、名古屋ターミナル発札幌ターミナル行貨物列車(DF200形式ディーゼル機関車1両+コキ100系貨車20両)の運転士が列車を停車させると、貨車の前から12,15,17,19,20両目が脱線していた。

原因

鷲ノ木道路踏切で線路のレールの片方が塩害により激しく腐食し、列車の走行で割れたため。

影響

森駅から長万部駅までの区間が18日まで運休。函館駅と札幌駅を結ぶ特急列車「北斗」22本中14本が運休し、函館駅から長万部駅または洞爺駅までの区間で8本のみ運転した。JR北海道は海沿いの踏切を緊急点検、探傷車によるレールの点検を強化した。ネットニュースのライターや北海道新聞が事故の発生に加えて代行バス手配の不備を主張しJR北海道を袋叩きにした。

2024年10月4日 いすみ鉄道脱線事故(負傷者なし)

またまた限界を超えた廃止危惧路線の線路

概要

2024(令和6)年10月4日(金)8時6分頃、千葉県いすみ市のいすみ鉄道いすみ線国吉・上総中川駅間で、大原発上総中野行列車(キハ350形2両編成、乗員1名・乗客104名)が脱線した。

原因

まくらぎの老朽化で、列車の走行中に軌間が拡大し、車輪がレールから落ちたため。鉄道会社にお金と技術がなく、線路の修理が行き届かなかったことに加えて、修理の基準や測定の方法に問題があり、必要な修理ができていなかった。

影響

いすみ線は全線で運休しバス代行輸送を実施。事故後の専門機関による調査で全線に渡り線路の老朽化で列車が安全に運行できないことが判明、10月末を目標としていた運行の再開が無期限で延期されている。2025年6月時点で、大原・大多喜間での2027年秋頃までの運行再開を目指している。国の運輸安全委員会は2025年10月に鉄道事故調査報告書を公表し、いすみ鉄道に軌道変位の管理方法と補修体制にPCまくらぎ化を勧告した。

2025年10月補訂:公表された鉄道事故調査報告書に基づき原因の内容を見直し

2024年9月19日 はやぶさ・こまち列車分離(負傷者なし)

併結の新幹線が走行中に分離も安全に停止

概要

2024(令和6)年9月19日(水)8時7分頃、宮城県大崎市のJR東日本東北新幹線仙台・古川間で、連結して走行中の盛岡発東京行列車「はやぶさ6号」(E5系電車10両編成・乗客約200名)と秋田発東京行列車「こまち6号」(E6系電車7両編成・乗客約120名)の、連結が外れて停止した

原因

機器から連結を解放する信号が意図せず出たため。E6系電車の製造時に、金属片が車両内部に残り、これが該当のスイッチを短絡した。列車は分離すると自動で停止するように、その際に後ろの編成には強くブレーキがかかるようになっており、分離した両列車は安全に停止した。

影響

列車72本の運休と35本の遅れで約4万5千人の足に影響。JR東日本では新幹線で併合運転を行う全96編成について、併合作業が完了しない場合に再度分割させる電気回路の配線を取り外して暫定的に無効化し、この回路が走行中に動作しない仕組みに改修する。

2024年8月6日 クイーンビートル浸水隠蔽(負傷者なし)

船のひび割れと浸水を組織ぐるみで隠蔽

概要

2024(令和6)年8月6日(火)に国土交通省海事局が実施したJR九州高速船への抜き打ち監査で、同社が博多港と釜山港の間で運行する高速船「クイーンビートル」について、同年2月12日(月祝)に浸水が確認されたにもかかわらず国への報告を怠り運航を継続したうえで、後に浸水記録や警報装置を改修し不正に運航を続けていたことが発覚した。

原因

航路の運休を避けるため、社長が浸水の隠蔽を指示したとされる。2022年11月からこの国際航路に就航した高速船クイーンビートルは、2023年2月に浸水を確認、しかし報告や検査を行わなかったとして国から輸送の安全確保に関する命令を受けたうえ、2024年5月と7月にも浸水による運休が起きていた。

影響

JR九州は8月13日に社長を交代させ、11月26日に当時の取締役3名を懲戒解雇。国土交通省は9月17日、法律に基づく輸送の安全確保に関する命令と安全統括管理者・運航管理者の解任命令を出した。クイーンビートルは8月13日から運休、12月23日にJR九州が航路事業そのものからの撤退を決め、航路は再開されることなく2025年2月限りで廃止された。なお、この航路は鉄道連絡船でなく、鉄道会社が2005年9月まで直営し、以後もその100%子会社が運航した航路である。

※2025年2月補訂:航路廃止を追記

2024年7月24日 新山口駅貨物列車脱線事故(負傷者なし)

事故調査の過程で検査の不正が発覚し各社で列車が運休

概要

2024(令和6)年7月24日(水)12時32分頃、山口県山口市のJR西日本山陽本線新山口駅構内で、走行中の福岡貨物ターミナル駅発東京貨物ターミナル駅行貨物列車(JR貨物EF210形式電気機関車1両+貨車23両編成・乗員1名)の、機関車の先頭1軸2輪が脱線した。。

原因

機関車の車軸が折れたため。

影響

山陽本線の大道・厚東間に加えて、山口線の全線(新山口・益田間)も26日15時頃まで不通。事故の原因を調査する過程で9月10日に、JR貨物での車両の車軸に車輪をはめる作業において規格外の圧力値を改ざんし規格内とした事例が564両分発覚、点検の対象となる車両を探すために日本全国でJRの貨物列車が丸一日止まった。さらに国土交通省の点検指示によりJR東海や東京メトロなど他社でも同様の事例が発覚し、列車の運休や編成の短縮が起きた。

2024年7月22日 東海道新幹線保守用車両衝突(負傷者4名)

東海道新幹線の終日運休で迂回路が混雑

概要

2024(令和6)年7月22日(月)3時37分、愛知県蒲郡市のJR東海東海道新幹線豊橋・三河安城間の上り線で、停止していた保守用車両(マルチプルタイタンパ1両)に、他の保守用車両(砕石運搬散布車6両と軌道モータカー3両の9両編成)が衝突した。マルチプルタイタンパの後方3軸と軌道モータカーの前方1軸が脱線、係員4名が重軽傷。

原因

砕石運搬散布車のブレーキ力が大きく低下した状態で走行したため。ブレーキシリンダーのストローク量の管理について、マニュアルの不備により車両メーカーの想定と鉄道会社の確認が相違し、車輪に制輪子を押し付ける力が弱くなった。

影響

東海道新幹線の浜松・名古屋間が22時過ぎまで運休し、約25万人に影響。東京・浜松間と名古屋・新大阪間で各駅停車のみ毎時2往復程度が運転された。新幹線各駅が待ち客であふれ、北陸新幹線、特急サンダーバード、近鉄特急、全日空、日本航空などで臨時便が出た。JR東海では保守用車の点検内容を見直した。

2023年9月25日 弘南鉄道全線運休(負傷者なし)

事故でも災害でもなく電車が止まり代行輸送もなく再開も見通せず

概要

2023(令和5)年9月25日(月)12時頃から、青森県の弘南鉄道は、弘南線と大鰐線の全線全列車を運休した。

原因

線路が傷んだため。8月6日の大鰐駅でのレールの摩耗による列車の脱線を受けて、外部の研究機関に線路の検査を委託したところ、6箇所でレールの交換基準を上回る摩耗が見つかった。鉄道会社にお金と技術がなく、従業員が減り、検査が不十分であったうえ、修理に時間を要した。

影響

弘南線の弘前・田んぼアート間が10月25日(水)まで、田んぼアート・黒石間が11月6日(月)まで、大鰐線の津軽大沢・中央弘前間が11月19日(日)まで、大鰐・津軽大沢間が12月7日(木)まで運休。バス代行輸送が10月2日(月)まで開始できず、旅客鉄道輸送が丸一週間止まったはずが、運休本数や影響人数は公表されていないほか、不便だとの声がマスコミに拾われた以外の影響が伝わってこない。

2023年8月10日 ゴッタルドベーストンネル脱線事故(負傷者なし)

世界最長の鉄道トンネルでの事故で物流が約1年間滞る

概要

2023年8月10日(木)、スイスのウーリ州とティチーノ州を結ぶゴッタルドベーストンネルで、貨物列車の貨車30両中16両が脱線した。

原因

貨車の車輪が割れたため。

影響

列車が約8キロメートルもの線路を壊したため、単線2本のトンネルのうち1本が不通。貨物列車は単線での運転となり、旅客列車は非常時対応の問題でトンネルを通れず旧線を迂回し所要時間が1時間以上増え、いずれも輸送力が落ちた。10月からは金土日曜のみ旅客列車もトンネルを経由。復旧には2024年9月1日までかかり、約150億スイスフラン(約2.6兆円)の費用を要した。ゴッタルドベーストンネルは全長57104メートルと57017メートルの世界最長の鉄道トンネルで2016年に開通。

2023年8月5日 東海道線電化柱衝突事故(負傷者5名)

電車が電柱にぶつかり夏休みや花火大会の輸送が広く混乱

概要

2023(令和5)年8月5日(土)21時24分頃、神奈川県鎌倉市の東日本旅客鉄道東海道本線大船・藤沢間の大船駅構内で、小田原発横浜行臨時普通列車(E231系電車5両+E233系電車10両編成、乗員3名・乗客約1,500名)の列車の先頭車が電化柱に衝突し停止した。運転士と乗客4名が軽傷。

原因

電化柱が線路内に倒れたため。設計耐力の8割の力がかかる鉄筋コンクリリートの電柱に、何らかの理由でひび割れが生じ、水がしみ込み鉄がさびて、鉄筋が切れて柱が折れた。列車は神奈川県茅ヶ崎市の「第49回サザンビーチちがさき花火大会」や同県小田原市の「第34回小田原酒匂川花火大会」の観客輸送で臨時に運行されていた。

影響

東海道線東京・熱海間に加えて、停電により「横須賀線」東京・久里浜間や根岸線が翌朝まで運休。これらの区間に直通する列車にも遅れや運休が相次ぎ、約15万人の足に影響。停電により駅間で1時間以上停止した13本の列車内で熱中症にかかったり、駅で停止した列車内で翌朝まで過ごした客が出た。寝台特急列車「サンライズ瀬戸・出雲」が客を乗せて翌朝まで東京駅で抑止のうえ運休。夜の東海道新幹線上り「のぞみ」「ひかり」が熱海駅や小田原駅に臨時停車し客を運んだ。

※2024年11月補訂:運輸安全委員会の事故報告書に基づき、負傷者数を3名から5名へ、乗員を追加し乗客数を1,000名以上から約1,500名へ訂正。

2022年11月19日 宇都宮ライトレール脱線(負傷者なし)

注目の路面電車新線で開業前の電車の脱線も注目

概要

2022(令和4)年11月19日(土)0時30分頃、栃木県宇都宮市のJR宇都宮駅東口で、電車(宇都宮ライトレールHU300形電車3両編成)の1両目全4輪と2両目の後方2輪が軌道から逸脱して停止した。

原因

急曲線で車輪がレールに強く押し付けられて乗り上がった。現場は2023年8月に開業予定の宇都宮ライトレール宇都宮芳賀ライトレール線(ライトライン)宇都宮駅東口停留場の分岐器に近い、半径25メートルの急カーブ。前々日から電車の試運転が始まり、開業後の営業運転で使わない緊急時のルートに電車を走らせたところ脱線した。

影響

電車が脱線しにくくなるよう、施設を所有する宇都宮市で、4千万円かけて宇都宮駅東口停留場の曲線のカントをなくす工事と軌間を縮める調整を実施。車両等の復旧に約1億円。該当のルートでの緊急走行時に列車速度を時速15キロから5キロに下げる。路線の工事には影響なく、予定どおり2023年8月26日に開業した。

2022年5月27日 南海高野線車庫脱線(負傷者なし)

特急こうやに運休や長期の車両変更が発生

概要

2022(令和4)年5月27日(金)0時21分頃、和歌山県橋本市の南海電気鉄道小原田(おはらた)車庫の分岐器で、車両(30000系電車4両編成)が脱線した。

原因

運転士が停止信号を見落とし、開通していない分岐器へ車両を進入させたため。

影響

特急用電車が車庫から出られなくなり、5月31日まで高野線の特急列車すべてを全車自由席の一般車両で運行。以後も特急車両の不足で2023年4月28日まで、高野線特急が一部運休し、8両編成の列車が4両編成になった。また、11月から2023年9月まで、難波・和泉中央間の特急「泉北ライナー」の一部列車に空港特急ラピート向け電車が使われた。

2022年5月27日 2022年4月25日 近鉄橿原線踏切事故(乗員乗客の負傷者なし)

踏切内にも点字ブロックを敷設

概要

2022(令和4)年4月25日(月)18時10分頃、奈良県大和郡山市の近畿日本鉄道橿原線近鉄郡山・筒井間の郡山第2踏切で、女性が橿原神宮前発京都行特急列車(電車4両編成)にはねられ死亡した。列車の乗員乗客に負傷者なし。

原因

女性が遮断機の下りた踏切内にいたため。防犯カメラの映像により、全盲の視覚障害を持つ女性が、踏切を渡る途中で下りた遮断機の手前を、踏切の外と勘違いしたのではないかと報道される。

影響

大和郡山市では踏切内の点字ブロックを敷き直した。国土交通省は6月に「道路の移動等円滑化に関するガイドライン」を改定し、踏切道への視覚障害者誘導用ブロックの設置を推奨、2024年1月には同ガイドラインを再改定し、誘導ブロックを含む踏切道内誘導表示の設置を標準化した。全国の踏切で路面標示や点字ブロックの追加が進んだ。

2022年3月16日 東北新幹線やまびこ号脱線事故(負傷者5名)

新幹線営業列車で2例目の脱線事故

概要

2022(令和4)年3月16日(水)23時36分頃、宮城県白石市の東日本旅客鉄道東北新幹線福島・白石蔵王間の高架橋で、東京発仙台行新幹線列車「やまびこ223号」(E6系新幹線電車7両+北海道旅客鉄道H5系新幹線電車10両編成・乗員5名乗客78名)の、13号車(前から5両目)を除く16両が脱線した。当初報道では乗員3名、負傷者なしとされたが、後日に訂正された。

原因

地震のため。福島県沖を震源とする最大震度6強の地震が発生し、東北新幹線の橋脚や電柱が壊れる被害が出た。

影響

地震の影響もあり東北新幹線が4月13日まで、最大で那須塩原・盛岡間で運休。2004年10月の上越新幹線とき325号以来となる新幹線の営業列車の脱線は、テレビや新聞などで大きく繰り返し報道された。

2021年11月11日 視覚障害者用スピーカー設置誤り(負傷者なし)

全国の鉄道で誘導チャイムを総点検

概要

2021(令和3)年11月11日(木)、東京都渋谷区の東日本旅客鉄道渋谷駅の埼京線ホームについて、視覚障害者用の音声案内スピーカーが誤った方向に設置されていると報道された。

原因

JR東日本がスピーカーを設置する際、バリアフリー新法に基づく国土交通省令に関するガイドラインの趣旨によらず旅客動線を考慮し、ホーム長軸方向でなく短軸方向に音響が流れる向きに設けたため。音声案内の方向を頼りにホーム上を移動した視覚障碍者が線路に転落しかねないと指摘された。

影響

JR東日本は謝罪し、管内の59駅でスピーカーの向きを変更。国土交通省は旅客鉄道事業者に確認と報告を通知。

2021年10月7日 日暮里・舎人ライナー脱線事故(負傷者3名)

新交通システムの営業列車が地震で「脱線」

概要

2021(令和3)年10月7日(木)22時41分頃、東京都足立区の東京都交通局日暮里・舎人ライナーの舎人公園駅構内で、日暮里発見沼代親水公園駅行列車(300形電車5両編成・乗員なし乗客約30名)の先頭車の前台車が走行路を外れた。

原因

地震のため。千葉県北西部を震源とする最大震度5強の地震が発生した。指令が緊急地震速報により、すべての列車を非常停止する操作をしたところ、該当の列車が分岐部で走行路を外れた。交通局では「前3両が脱輪」と表記。日暮里・舎人ライナーは車両がゴムタイヤでコンクリートの路面を走行する「新交通システム」であり、報道等では「脱線」「脱輪」などの表現が混乱した。

影響

線路の支障と設備の損傷で、日暮里・舎人ライナーは10日まで全線で運休。

2021年8月6日 小田急線車内傷害事件(負傷者10名)

車内への防犯カメラの設置を促進

概要

2021(令和3)年8月6日(金)20時30分頃、東京都世田谷区の小田急電鉄小田原線成城学園前・祖師ヶ谷大蔵間を走行中の藤沢発新宿行快速急行列車(5000形10両編成・乗員乗客数不明)の車内で、男が乗客に切り付けた。乗客10名が重軽傷。

原因

男の刃物と油による無差別な殺人未遂放火未遂事件。5000形電車は小田急で初めて車内防犯カメラを搭載した車両であり、容疑者(手配前にコンビニで自首)の速やかな特定につながったと考えられる。

影響

事件はテレビやネットなどで大きく報じられ、鉄道各社では警備を強化。国土交通省は鉄道事業者に警備の強化や防犯カメラの活用などの対策を求めようとしたところ、10月31日(日)19時55分頃に東京都調布市の京王電鉄京王線布田・国領間を走行中の新宿行特急列車(8000系電車10両編成。)の車内でも、男が刃物と燃料で無差別な殺人未遂放火事件を起こし16名の重軽傷者を出したことで、鉄道各社はさらに警備を強化し、国土交通省は鉄道事業者に避難誘導の徹底や防犯設備の充実に手荷物検査の検討などの対策を求めた。国土交通省は2023年10月15日から、新幹線や三大都市圏の新車を対象に、録画できる防犯カメラの設置を義務化した。

2021年6月7日 東京メトロトイレ閉じ込め(乗員乗客の負傷者なし)

全国の鉄道でバリアフリートイレを点検

概要

2021(令和3)年6月7日(月)23時頃、東京都中央区の東京地下鉄日比谷線八丁堀駅のバリアフリートイレ内で警備員が倒れた男性を発見、病院で死亡が確認された。

原因

男性の病気によるもの。2022年3月の報道で、男性が約7時間トイレ内にいたこと、通報装置のブレーカーが切られて駅事務室に通報されない状態であったこと、トイレ内に30分以上在室した場合に駅事務室へ警報するケーブルがつながっていなかったことが判明。

影響

東京メトロは謝罪し設備の点検と改修を実施。国土交通省は各鉄道事業者に注意喚起。遺族は2023年9月29日に東京メトロに対し1億円以上の損害賠償を求め提訴、2025年2月7日に和歌山地裁は請求を棄却した。

※2025年2月補訂:訴訟について追記

2020年4月21日 長崎路面電車脱線事故(負傷者なし)

10年で4度脱線した交差点にてまた脱線

概要

2020(令和2)年4月21日(火)15時25分頃、長崎県長崎市の長崎電気軌道諏訪神社前・公会堂前間の交差点で、3系統蛍茶屋発赤迫行列車(電車1両編成・乗員1名乗客5名)が脱線した。

原因

運転ミス。交差点を右折するための切換装置の誤操作により、車両の前方の台車が右折した後、後方の台車が直進してしまい脱線した。

影響

蛍茶屋・市民会館間が一時運休した。事故の原因について新聞やライターが誤報を連発した。

鉄道事故年表

2020年以降の鉄道事故

2010年から2019年までの鉄道事故

2000年から2009年までの鉄道事故

1990年から1999年までの鉄道事故

1980年から1989年までの鉄道事故

1970年から1979年までの鉄道事故

1960年から1969年までの鉄道事故

1950年から1959年までの鉄道事故

1940年から1949年までの鉄道事故

1920年から1939年までの鉄道事故

1830年から1919年までの鉄道事故

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管理者 まっこうくじら
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