東京駅から新幹線はやぶさ号で約100分。仙台市は宮城県の中央に位置する、人口約110万人の城下町で県庁所在地。豊かな植生で杜の都(もりのみやこ)と呼ばれる、東北地方の首都として君臨する大都会。駅弁は明治時代から売られ、戦後昭和から平成時代に3社が競う日本一の激戦区であったが、JR東日本の子会社が駅弁売店を独占した2010年代からは活気がない。1887(明治20)年12月15日開業、宮城県仙台市青葉区中央1丁目。
2022(令和4)年10月1日に仙台駅で発売。同月からのJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2022」にエントリー。鉄道開業150年にちなみ、JR東日本仙台支社管内の仙台、米沢、山形、郡山の各駅では、6社で7種類の駅弁が発売された。調製元のウェルネス伯養軒は日本鉄道構内営業中央会の会員でないため、同会の鉄道開業150年記念復刻駅弁企画により同月から期間限定で販売された31社34駅弁には含まれない。
井形の発泡材容器に半透明のプラ製トレーを仕込み、茶飯を詰め、鮭を並べ、はらこ(イクラ)を散らし、大根の味噌漬けを添える。この容器の構造と中身で、1982(昭和57)年の仙台駅弁「鮭はらこめし」の発売当時の姿、2009年までの姿を再現した。紙のふたの絵柄は当時とは違い、1910年代と思われる仙台駅舎の写真を使用。2000年代まで仙台駅や盛岡駅や、東北新幹線の主な駅で買えた、少し懐かしい、今ほどみずみずしくはない味が、再現されたように思えた。仙台駅では通常版の「鮭はらこめし」も併売された。
2020(令和2)年の8月に発売か。この調製元では約10年ぶりの鮭はらこめし駅弁かもしれない。楕円形のような容器に茶飯を詰め、サケの煮物とイクラの醤油漬で覆い、万来漬を添える。宮城県や亘理町の郷土料理に由来する鮭はらこめしの駅弁として、基本に忠実な内容と見た目どおりの味を持つため、駅弁売店の運営元がちゃんとこれを発注するのであれば、きっと長く売られる駅弁になると思う。価格は2020年の発売時や2021年の購入時で1,250円、2021年12月のリニューアルで1,300円。
※2022年4月補訂:値上げを追記2009(平成21)年の末頃に下記の駅弁「紅鮭はらこめし」をリニューアルか。円形の容器を、中身の写真を美しく印刷したボール紙の枠にはめる。中身は鮭風味飯なる茶飯の上を、レアに焼いた紅鮭漬け焼と輝くイクラ醤油漬で覆い、ダイコンの味噌漬けを添えるもの。東北地方っぽい塩辛さがうまい。価格は2010年の購入時で1,000円、2017年時点で1,100円、2018年時点で1,150円、2020年時点で1,200円。
※2021年10月補訂:値上げを追記東北新幹線の大宮駅〜盛岡駅の開業に合わせ、「阿武隈川鮭はらこめし」の名前で、1982(昭和57)年6月に900円で発売。現在は東北新幹線の開業を記念して、その2年後の1984(昭和59)年に発売と紹介される。長方形の容器は、2009(平成21)年までのリニューアルで正八角形になった。これに茶飯を詰め、鮭の切り身焼きを並べ、はらこ(イクラ)を散らし、ひしほ味噌を添える。現在の宮城県南部の郷土料理「はらこ飯」を、駅弁で再現した。飯もサケもイクラも、とろけるうまさ。
平成に入り牛たん弁当が人気になる前は、これが仙台駅弁でナンバーワンの存在であった。現在でも人気の駅弁で、上記や下記のとおり、仙台駅弁の3社すべてが鮭はらこ飯を競う。調製元の伯養軒でもかつて、仙台駅で「阿武隈川鮭はらこめし」、盛岡駅で「北上川鮭はらこめし」、青森駅で「南部鮭はらこめし」の名で、同じ中身と味と価格を持つ鮭はらこめしを東北地方一帯で展開していた。価格は2015年の購入時で1,100円、2019年5月に1,350円へ値上げ。
※2019年8月補訂:値上げを追記2009(平成21)年11月9日に購入した、仙台駅弁のパッケージ。味や中身は上記の2015年のものと変わらないが、当時は中身にふたがあり、そこに鮭はらこめしの解説文が掲載されていた。なお、底面の「新古川」駅は古川の誤記である。
上記の駅弁「鮭はらこめし」の、2008(平成20)年時点での姿。これが1984(昭和59)年の発売当時の姿。内容は変わらないが、当時は全体的に、特に鮭が、後の物と比べるとパサパサしていたと思う。2005(平成17)年の調製元の清算と事業譲渡によるものか、パッケージから駅弁マークが消え、右上に書かれていた阿武隈川なり北上川なり南部なりの文字が外れていた。
※2018年1月補訂:解説文を整理上記の駅弁「鮭はらこめし」の、2002(平成14)年時点での姿。発売から四半世紀、その姿を変えなかった。東北地方の他の駅でも同種の駅弁を、「阿武隈川」のかわりに「北上川」や「南部」を冠して販売した。
※2018年1月補訂:解説文を整理JR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2019」へのエントリーに向け、2019(令和元)年10月1日に仙台駅と東京駅で発売。駅弁では初めて出現したと思う、高級はらこめし。長円形の容器に、宮城県産米だて正夢を使う鮭飯を詰め、宮城県産銀鮭を使う焼サケを散らし、イクラと漬物を添える。見た目では具が少なそうで、しかし味はとろけるおいしさ。2020年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記仙台駅弁伯養軒の代表商品「鮭はらこめし」のNRE版。小判型容器を、駅弁の名前や鮭や宣伝文句を描いたボール紙の枠にはめる。中身はまんまの鮭はらこめし。鮭風味の茶飯の上に鮭とイクラを少々載せる。
風味は満点。しかし伯養軒が東北新幹線とともに守り続けてきた主力商品と、容器の形を除きあらゆる面で似すぎている。中身は郷土料理で名称は一般名詞だから問題はないのだろうが、駅弁屋の監督権限を持つ鉄道会社の直系子会社が、同じ駅で同じ中身で同じ値段の駅弁をぶつけてくるのは、倫理上どうかと思う。
2005(平成17)年8月に発売か。長方形の黒い容器に同色同素材のふたをして輪ゴムで留め、中身イメージ写真を載せた紙枠にはめる。中身は仙台駅弁名物の鮭はらこめし。味噌しそ巻、うぐいす豆、ゆず大根、紅大根が付け合わせ。
茶飯とイクラは普通の風味も、鮭が妙にポソポソしており、そこだけ例えば東京駅冷凍輸入駅弁「O−bento」当初版の味。現地でもそうならば、仙台駅弁3社中3番手の評価になりそう。加熱機能付き容器版もあるそうだが、イクラを暖めるのはよくない。2009年頃までの販売か。
※2017年8月補訂:終売を追記