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 旅の友「駅弁」。館長が食べた駅弁を中心に、日本全国と世界の駅弁を紹介します。

1.駅弁とは何か(駅弁の定義)

千葉県・小湊鉄道五井駅「あさりめし」

国語辞典で「駅弁」を引くと、「〔「駅売り弁当」の略〕鉄道の駅や車内で売っている弁当。」(三省堂「大辞林」)「鉄道の駅や車内で旅客に売っている弁当。」(小学館「大辞泉」)などとあります。辞書のレベルではこれで良いでしょう。しかしこれを駅弁の定義とすると、例えば駅構内に進出したコンビニエンスストアで販売されるコンビニ弁当も駅弁に該当するなど、一般に駅弁としてイメージされる像と相違が生じます。

ここに、ひとつ目安となる定義が存在します。国鉄の許可を受けて駅構内で主に飲食業を営む事業者の組織として、1946(昭和21)年8月に設立された社団法人「国鉄構内営業中央会」の加盟業者が駅構内で販売する、中身に御飯物を含む弁当を、駅弁とみなすものです。例えば、国鉄時代つまり第二次大戦後の昭和時代に出版された、全国駅弁紹介本のほぼすべてが、この定義に従い駅弁の販売駅数や総数を数えています。

日本鉄道構内営業中央会「駅弁マーク」

同会は国鉄分割民営化後に「日本鉄道構内営業中央会」へ改称、現在もJRの許可を受けて駅構内で主に飲食業を営む事業者の組織として活動中です。加盟業者が販売する駅弁のパッケージや掛紙には、右のような1988(昭和63)年制定の「駅弁マーク」を付けることができます。なお現在は、中身に御飯物を含まなくても、駅弁と名乗れるようです。

しかしこの定義では、JR以外の鉄道駅で販売される駅弁が網羅できません。また国鉄時代と異なり、現在は同会への加盟が駅構内営業の必要条件ではなくなったようで、非加盟業者が、あるいはかつての加盟業者が脱会した後も従前と同じように、JR駅構内で駅弁を販売するケースがよくみられます。それに、加盟業者であり駅弁を販売するものの、駅構内の売店を閉じて自社の店舗や調製所でのみ駅弁を販売するようなケースもあります。

鹿児島県・鹿児島本線川内駅「特製お好み弁当」

つまり、現在において「駅弁」に、一般的な確固たる定義はありません。

そこで当館では、駅弁の定義を独自に次のように定め、この3項目すべてを満たした弁当を、収蔵し展示する駅弁を選定する基準とします。

  1. 鉄道の駅で販売される弁当類である
  2. 特徴的な容器や包装や掛紙を使用する
  3. 弁当に対して特定の駅名がただひとつ定まる
  4. これ以外に、上記の3項目のいくつかを満たさずに、次の3項目のいずれかを満たす弁当を、駅弁として収蔵し展示することがあります。

  5. 日本鉄道構内営業中央会が定めた駅弁マークを包装などに付けた商品である
  6. 鉄道事業者が駅弁として紹介または販売する弁当類である
  7. 館長自身が駅弁またはそれに準じるものとみなした弁当類である

1.2.駅弁の分類に関するメモ

1922(大正11)年10月18日の鉄道省「停車場構内営業人従業心得」は、今でいう駅弁の種類と内容について以下のとおり規定していました。駅弁を上等弁当、並等弁当、特種弁当、普通鮨、特種鮨、サンドイッチの6つに分類していたことがうかがえます。

辨當、鮨、「サンドウヰツチ」の容器、容量及賣價は左記の通とす但し特種の辨當、鮨類は此の限に在らす
種類上等辨當
飯入
上等辨當
菜入
並等辨當普通鮨サンドウヰツチ
容器製式木折箱方形
角落し
同上※一重木折箱
長方形
同上※同上※
摘要折箱は縱内規五寸三分、横内規三寸二分深内規一寸二分とす折箱は縱内規五寸三分、横内規三寸二分深内規九分とす折箱は縱内規六寸五分(内菜入の部分は二寸とし仕切を設くること)、横内規三寸七分深内規一寸二分とす折箱は縱内規五寸五分、横内規三寸六分深内規一寸とす折箱は縱内規五寸五分、横内規三寸六分深内規六分とす
可成「サラダ」の如きものを添へ乾燥及風味を損することなからしむへし
容量飯量百匁以上 飯量百匁以上  
一箇の賣價金四拾錢
金参拾五錢
金貳拾錢金貳拾錢金四拾錢
上等辨當は並等と共にするにあらされは携帯販賣することを得す
辨當、鮨、サンドウヰツチ、鯛飯、鰕飯には「ナプキン」及消毒しくる箸「袋入」楊子を添付すへし
辨當、鮨、サンドウヰツチ、鯛飯、鰕飯には「レッテル」を使用し適當の箇所に其の調製月日及時刻を押捺す
注:カタカナはひらがなに置き換えた。※はこの表では「同左」の意と思われる。

1925(大正14)年10月1日の名古屋鉄道局「営業人従業心得」は、上表の内容を転載するとともに、それぞれの駅弁について内容を規定しています。

注:カタカナはひらがなに置き換えた。原文はおそらく旧字体。

鉄道省は1940(昭和15)年2月16日に構内営業規程を制定、当時の駅弁を含む駅構内営業についてルールを整理しました。駅弁は第20条で価格を、第23条で容器を、第25条で表記を以下のとおり指定されています。つまり、駅弁には「弁当」と「普通鮨」と「サンドウヰツチ」の3種類がありました。

 弁当普通鮨サンドウヰツチ
価格(第20条)30銭20銭30銭
寸法(第23条)縦横内規12糎
深さ内規
飯入4糎0
菜入2糎5
縦内規16糎5
横内規11糎0
深さ内規3糎0
 
表示(第25条)種類、駅名及営業人の氏名又は商号
調製の日及び時間
注:「糎」=センチメートル

日本国有鉄道(国鉄)は1965(昭和40)年4月、駅弁の多様化を受けて、地方特産品などを原材料として調製した弁当を「特殊弁当」、焼き魚、卵焼き、かまぼこなどを詰め合わせて調製した幕の内形式の弁当を「普通弁当」としました。


※2021年3月改訂:当館における駅弁の定義について趣旨を変えずに表現を手直し、駅弁の分類に関するメモを追加

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