駅弁の多くは、特徴的な容器や包装や掛紙を使用しています。逆に、駅で売られる弁当のうち、特徴的な容器や包装や掛紙を使用するのものが、旅客などに駅弁と認識されています。
容器を「掛紙」(かけがみ)と呼ばれる包装紙で包み、ひもで十字にしばるものです。昔の駅弁はほとんどがこの姿であり、イラストや写真や宣伝文などが描かれる掛紙は明治時代からのコレクターズアイテムです。現在は下記のとおり様々なものに合理化され、掛紙を使う駅弁は少なくなってきています。掛紙を使っていても、ひもでしばるのではなく、セロハンテープや輪ゴムで留めるものが多数です。
写真:横浜駅「シウマイ御弁當(シウマイ弁当)」
容器をボール紙の枠にはめます。最近の駅弁では、このタイプが最も多いと思います。調製元の手間が省け、掛紙より厚く丈夫で汚損の不安が薄く、収集家にとってもかさばらず、印刷の品質は掛紙と差がないため、少々の旅情や郷愁を除き、掛紙の駅弁と差はありません。
写真:米沢駅「牛肉どまん中」
本体とふたが一体となった、主にボール紙でできた容器を使用します。最近の駅弁では、このタイプも多くなっています。調製元の手間が省け、掛紙より厚く丈夫で汚損の不安が薄いため、食べて捨てるのであれば問題ありません。収集家にとっては、折りたためる場合でも分厚くなり、折りたためない構造だと嵩張るか破壊を要すため、収集しにくい、掛紙やスリーブよりも評価の低い構造です。
写真:東京駅「チキン弁当」
容器を主にボール紙でできた箱に詰めます。スリーブや一体型よりコストが高いと思われ、有名な駅弁を除きあまり使われません。収集家にとっては、印刷の大きさや美しさを楽しめる一方で、折りたためない構造だと嵩張るか破壊を要し、折りたためる場合でも平面積が大きく収納に困るため、評価の分かれる構造です。
写真:岡山駅「桃太郎の祭ずし」
容器をビニール袋に詰めます。駅弁を1個だけ購入する場合、そのまま持ち運べて持ち歩きやすいため、とても利便性の高い包装だと思いますが、運搬や販売で積み重ねることが難しいためか、このような駅弁はほとんど見られません。
写真:高崎駅「だるま弁当」
容器を専用の紙袋に詰めた駅弁が、ごく一部に見られます。掛紙でもスリーブでも一体型でもなく、箱詰めでも袋詰めでもない包装の利点は、よくわかりません。手提げの構造を持たないため、持ち歩きには別の袋や箱が必要になります。収集家にとっては、掛紙と同等の利便性があります。
写真:福井駅「越前かにめし」
容器を布製または和紙風のプラ製の風呂敷で包む駅弁があります。見た目に個性または高級感があり、人気の駅弁に使われるか、風呂敷の駅弁が人気になることがあります。収集家にとっては、風呂敷そのものに駅弁の情報が記されることがほとんどなく、保管も面倒であり、あまり好まれないのではと思います。
写真:米原駅「湖北のおはなし」