東京駅から東北新幹線で約1時間20分。東北新幹線と東北本線、磐越西線、磐越東線が接続し、水郡線の列車が乗り入れる駅。郡山市は福島県の真ん中に位置する、人口約32万人の宿場町。明治時代に発展した農業に加えて、鉄道や国道や高速道路が四方から集まる立地に商工業が集積、東北地方で仙台に次ぎ福島を上回る都市圏を形成する。駅弁は明治時代から売られ、昭和時代から2010年代まで複数の駅弁屋が競った。1887(明治20)年7月16日開業、福島県郡山市燧田。
2022(令和4)年10月1日に郡山、福島、新白河、会津若松、東京の各駅で発売、11月30日まで販売。日本鉄道構内営業中央会の鉄道開業150年記念復刻駅弁企画により、同月から期間限定で販売された31社34駅弁のひとつ。さらにこの期間のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2022」にエントリー。昭和40年代の掛け紙デザインを用いて幕の内の「OLD NEW」を表現したという。
昭和40年代に使用していたデザインをアレンジしたという掛紙には、汽車と会津磐梯山と、動輪とナンバープレートが描かれる、中身は日の丸御飯に焼鮭、かまぼこ、玉子焼を添え、えび磯辺揚げ、白身魚フライ、牛肉煮、きんぴらごぼう、煮物、漬物、豆みそなど。昭和40年代の幕の内駅弁の内容を、現在の折詰に仕立てた感じ。普段使いの幕の内駅弁として、また買いたいと思える記念駅弁だった。
2011(平成23)年10月8日から10日までの東京駅「第14回東日本縦断駅弁大会」の開催までにデビューか。よく見るとおめでたいかもしれない掛紙に包まれた長方形の容器の中に、日の丸御飯、焼鮭とカマボコと玉子焼、コンブやニンジンなどの煮物、エビ磯部揚、つくね、牛肉煮、菜の花醤油漬、豆みそ、柴漬け、きんぴらごぼうなどを収める。
これのどこか「おとな」なのかは、誰も知らない。おそらく既存の駅弁「ずうずう弁」のリニューアルではないかと思うし、たしかに幕の内駅弁は今ではおそらく大人の食べ物である。多種のおかずは上等幕の内駅弁にふさわしいし、この名前によって売れ行きを確保できていそうだ。価格は2012年の購入時で900円、2015年時点で950円、2017年時点で980円、2019年時点で1,000円。2020年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記小柄な長方形の容器を二段に重ねてボール紙でふたをして、商品名と四季のアイコンを印刷した掛紙を巻く。その掛紙には昭和の昔の懐かしい「株式会社伯養軒」の文字とロゴが載る。中身は下段がごはんで茶飯にタケノコ煮、菜の花、シイタケ、エビを載せたもの、上段がおかずで焼鮭、かまぼこ、玉子焼、エビ天、シイタケやがんもどきなどの煮物、大根味噌漬など。
掛紙の絵柄のとおり、この春はタケノコ、夏はウナギ、秋はマツタケ、冬は豚肉?が入るのだろうか。価格は2011年の購入時で1,000円、2015年時点で1,050円。調製元が2020年の夏頃までに支店を閉めてしまい、この駅弁もなくなった模様。
※2021年3月補訂:終売を追記昭和の頃から雑学的な知名度で、郡山駅を代表した駅弁。長方形の白いボール紙箱に透明ビニールと「郡山弁豆知識」なるしおりを置いて、赤ベコと駅弁の名前を描いて食品表示と方言での宣伝文を印字したボール紙のふたをかけ、麻ひもでしばり割りばしを挟む。
中身は日の丸俵飯に小さな蒲鉾、ニシン、玉子焼で幕の内駅弁の要件を備え、白身魚フライとレンコンや蒲鉾の天ぷら、ゴボウその他の煮物に昆布巻、牛こんにゃくに煮豆その他の付け合わせ。半透明トレーの使用とすき間の多さと食材の素材感で安かろう悪かろうの印象も受けるが、おかずの種類の多さは光るし風味は良く、パッケージとチラシでの郡山ローカルの演出はとてもいい感じ。幕の内駅弁の佳作。2009年までの販売か。
鼻音や濁音の多用が特徴である、主に東北地方の方言の総称「ずうずう弁」。下手に使うと差別用語になりかねないし、自虐的な用例は国会議事録にも見られるが、これが駅弁の名前として数十年も定着しているとおり、これはきっと郷土の誇りなのだろう。駅弁も言葉も、標準化は便利だが、多様性こそ味がある。
※2015年8月補訂:終売を追記2009年のNHK大河ドラマ「天地人」にちなんだ駅弁で、2009(平成21)年10月24日と25日に東京駅で開催された東日本縦断駅弁大会に向けた投入か。黒い正方形の容器を、「愛」の字や会津の風景を描いた黒い掛紙で包む。
中身は日の丸御飯に栗をのせたしめじ茶飯、鶏竜田揚、マイタケやタケノコの天ぷら、玉子焼、つくねとニンジンやゴボウなどの煮物、マス塩焼、みつばなめこ、カズノコわさび漬など。山のものを中心に多種が詰まる、幕の内駅弁の機能を確かに備えるお弁当。大河ドラマの放送終了後に同じ名前で生き残っているかどうかと思ったが、2010年時点でも販売中。2011年内に終売の模様。
※2015年8月補訂:終売を追記1995(平成7)年に発売。駅弁の名前は括弧書きで、幕の内弁当とも書かれる。平面積は少ないが高さのある、ボール紙製でピンク色の長方形の容器を、花と駅弁の名前を描いた掛紙で巻いて麻ひもで十字にしばる。中身は容器の中にもうひとつ容器が入る構造で、底にはカニ飯が入り、上には鶏照焼や鯉甘酢和えや海老天や玉子焼に煮物数点などが入る。少量高額だがとても雰囲気の良いお弁当。2005年の購入の頃以降に売られたことは、ないかもしれない。
安曇沼と結び付けて古今和歌集に歌われる花かつみは、それが何を指すかに諸説があり、奥の細道にこれを聞き探すも分からなかった旨の記述もある。郡山市ではこれをヒメジャガと決めて市の花とする。安曇沼の位置もいくつかの候補あるいは特定の沼を指さないという説があるが、芭蕉の時代にはすでに湿地か水田に変わっていたらしい。駅弁のどこを見てもそんなことは分からないが、それも幕の内駅弁らしいと言える。
※2017年10月補訂:終売を追記1972(昭和47)年7月19日13時の調製と思われる、昔の郡山駅弁の掛紙。描かれた風景は磐梯山と猪苗代湖であろうか。「DISCOVER JAPAN」のロゴマークの下に「東北には緑がある」の副題が入っている。
おそらく1920年代、大正時代末期か昭和時代初期のものと思われる、昔の郡山駅弁の掛紙。鶴と花、左三つ巴の家紋、鉄道省の注意書きなどを描く。