東京駅から東北新幹線で約50分。宇都宮市は栃木県の中央に位置する、人口約52万人の城下町で県庁所在地。工業都市として栄えるほか、二荒山神社の門前町や、餃子の町としても知られる。駅弁は明治時代から一貫して健在。駅弁の発祥地はここだという説がある。1885(明治18)年7月16日開業、栃木県宇都宮市川向町。
1957(昭和32)年頃に発売。小ぶりの赤いプラスティック製容器を、エメラルドグリーンの掛紙で覆う。中身は駅弁の名前どおり、御飯粒のしっかりした醤油の香りが香ばしい茶飯が何も混ぜられずに敷かれ、鶏肉とゆで卵、帆立にゴボウと人参の煮物が添えられる。
明らかにおかずの量が不足する、茶飯の御飯そのものを味わう駅弁。ただ、おいしい茶飯とはいえ何も混ざっていない御飯を食べ続けるのはさすがに飽きが来るので、どちらかといえばおかずが豪華な1,050円の茶めし弁当をおすすめしたい。2008年に調製元が駅弁から撤退したため、この駅弁も終売となった。
※2009年3月補訂:終売を追記井形のプラ容器に、春に関連する駅弁以外にはあまり使われないピンク色の掛紙をかける。中身は宇都宮駅弁名物の茶めしに、鶏そぼろと鶏もも肉を載せたもの。茶めしとチキンの一体感はまるでなくても、茶めしもチキンも高品質で美味い。多くの駅弁屋さんが店を畳む夕刻の時間帯にホーム上での駅弁立売で購入できたことも嬉しい。2008年に調製元が駅弁から撤退したため、この駅弁も終売となった。
※2009年3月補訂:終売を追記こちらは1960(昭和35)年に発売。長方形の容器の中で、茶めしの周囲を、帆立・焼売・海老フライとともにおでんの具一式が取り囲む、食べ応えのある駅弁。
長い間駅弁の創始者と信じられてきた白木屋ホテルは、現在は宇都宮駅弁から撤退したが、この駅弁の製造元である富貴堂は宇都宮駅開業の翌年に創業し、数年後に2回目の還暦を迎える老舗。下記「日光杉並木」の松廼家も明治時代の1893年創業と、3世紀をまたぐ。東北本線上野・黒磯間は、東北と呼ばれるのは心外だと1990年に「宇都宮線」という愛称を付けられたが、このような米が主題の駅弁は東北のものだ。2008年に調製元が駅弁から撤退したため、この駅弁も終売となった。
※2009年3月補訂:終売を追記200円の価格から昭和40年代のものと思われる、昔の宇都宮駅弁の掛紙。大谷石と大谷平和観音、男体山などの日光連山、名産として干瓢(かんぴょう)とマッシュルームが描かれる。