東京と日本の中央駅。東海道・山陽・東北・上越・山形・秋田・北陸の各新幹線、東海道・中央・総武・東北の各線、山手線や京浜東北線などの電車が、一日あたり3000本以上行き交い、100万人以上の利用者で終日賑わう。駅弁はJR東日本やJR東海の子会社のもので約100種類とも、エキナカの商品を含め400種類以上とも、デパ地下の弁当を含め1000種類以上とも言われ、さらに全国各地の駅弁も集まり、こちらも日本最大。1914(大正3)年12月20日開業、東京都千代田区丸の内1丁目。
2022(令和4)年8月上旬に東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」で販売か。調製元や販売元の発表や広報がないので分からないが、どうもこの駅弁売店の10周年を記念した商品のようで、10年前のリニューアルオープン時に販売した駅弁「宵宮」を復刻したものらしい。掛紙は10年前の絵柄に「復刻」と入れたものになっている。
掛紙の裏側に記される中身は、10年前と少し異なり、今回は金目鯛の西京焼、牛肉と玉ねぎのオイスターソース炒め、ひじき煮、蒲鉾、玉子焼、煮物、海鮮ちらし寿し、しらすご飯、香の物、甘味。中身は内容に加えて、その見た目も異なるので、復刻という感じはしない。ちらしずしの色彩でお祭り気分を感じられるかどうかの、普通のお弁当に見えた。
「駅弁屋 祭」は10年間、コロナ禍の2年間を除き、朝5時台から満員になり、日中や土休日には駅弁を探したり選ぶ客と会計待ち行列が激しく交錯し、夕方になれば商品がなくなり、夜には客が来ては何も買えずに去って行く日々を繰り返す。ここは間違いなく世界一の駅弁売店、もしかすると弁当を世界一売る店舗かもしれない。東京と東北地方を中心に、全国の駅弁200種類以上を集め、一日に1万個かそれ以上の駅弁が売られるという。米沢駅弁「牛肉どまん中」も、仙台駅弁「網焼き牛たん弁当」も、今ではむしろ東京のここで売る駅弁。東北駅弁の生殺与奪の権を握る存在となっている。
2020(令和2)年6月17日の東京駅弁売店「駅弁屋 踊」の開業を記念した弁当であることは、駅弁の名前からして明らかであるが、発売や販売は開店時でなく8月のみであった模様。中身は文字と写真で紙帯に記されるとおり、下段は鯛ごはんに鯵の押寿しと海老押寿し、上段は蒸し鶏、かまぼこ、玉子焼、牛時雨煮、煮物、ようかんなど。調製元が大船駅の駅弁屋で、もっとも今はJR東日本の孫会社として東京の駅弁を手広く調製するが、この中身には大船駅弁の要素も少し感じられた。
ここには2018(平成30)年4月まで同じ名前の駅弁売店があり、駅の耐震補強工事と商業開発工事のため閉店していた。再開店において、駅弁を収めたショーケース越しに駅弁を注文できた売店が、タッチパネルで商品を選択してレジで受け取るスタイルに変化。そのためかコロナ禍かどうか、閉店前の売店にあった、客の取り巻きや行列が、開店後はすっかり消えてしまった。
JRグループの観光キャンペーン「「本物の出会い 栃木」デスティネーションキャンペーン」の実施に合わせて、2018(平成30)年4月1日から6月30日まで、東京、新宿、上野、大宮の各駅で販売。掛紙にはその名とロゴマークと、栃木県の観光地5箇所と食べ物5種類の写真を掲載した。
中身はかみのかわ黒チャーハン、いちご飯バーガー、いもフライとモロ(サメ)フライ、ゆばなどの煮物。字面では奇抜で、味はそれほど奇抜でない記念駅弁。調製元はつまり日本レストランエンタプライズ(NRE)で、調製会社の社名を2018年4月にNRE大増から「日本ばし大増」に変えた。
JR東日本の駅のコンビニ「NewDays」で、2017(平成29)年9月5日から25日まで販売。「東日本旨いものフェア」として、東日本17都県の食材を手軽に味わえるオリジナル商品の販売や、名産品の販売したという。これは見た目や名前で判断して、東京駅の駅弁「東日本うまいもん弁当」と同じようなものではないかと思う。
長方形の容器の半分に、醤油飯は秋田しょっつる御飯、ホタテは青森県産、味噌漬は宮城仙台、海苔佃煮は東京か、半分がおかずでマイタケ天は新潟県産、牛肉煮は山形米沢か、こんにゃくは群馬などの煮物、サツマイモ甘煮、ポテトサラダ、ニンジンとイカの醤油漬はどこか、「東日本9県の食材」を使った弁当だという。上の駅弁「東日本うまいもん弁当」を598円のコンビニ弁当にすると、こんな感じになるのだろう。味は駅弁とたいして変わらない。調製元は地域により異なると思うが、東京都内の上野駅で買えたものは、駅弁も作るJR東日本の子会社であった。
東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」のリニューアルオープンを記念して、開店日の2016(平成28)年11月9日から30日まで販売。新潟県十日町の魚沼コシヒカリを使用したそうで、掛紙にはその田と稲刈りの写真が使われる。中身は日の丸御飯に鮭の焼き漬け、蒲鉾、玉子焼、五色あられ揚、南瓜揚、煮物、笹団子という、新潟県な内容で、今の正しい幕の内駅弁のタイプ。いつものNREの東京駅弁より御飯がうまいという印象までは受けなかった。
日本一の駅弁売店と呼んでよい東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」。この駅弁の発売日に、東京駅の中央通路の北側から南側へ移転し、店舗面積が187uから240uに、売場面積が113uから150uに、駅弁が170種類から200種類に、それぞれ3割くらい増えた。リニューアルというものの、店舗そのものは、液晶画面と内照看板が増えたなと思うくらいで、あまり変化がない。レイアウトも線対称に貼り付けただけ。
東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」のリニューアルオープンを記念して、開店日の2016(平成28)年11月9日から30日まで販売。掛紙に描かれるとおり、東京駅の名物駅弁「チキン弁当」「東京弁当」「深川めし」の詰合せ。チキン弁当はチキンライスと鶏唐揚とスモークチーズ、東京弁当は白飯と焼鮭と牛肉煮と玉子焼、深川めしは茶飯にアサリとアナゴとわけぎと煮物という具合に、それぞれの駅弁の特徴が完璧に詰められていた。
福井県庁とJR東日本グループとの「コラボ」により、2016(平成28)年7月28日から8月31日まで、東京、品川、新宿、上野、大宮の各駅のNREの駅弁売店で1万個を販売した、期間限定駅弁。福井県が「恐竜王国福井」の認知度向上、観光客等の誘客拡大、福井県の食の魅力のアピールを狙ったという。東京駅では福井駅の駅弁も毎日販売されているが、これを福井駅の駅弁屋が作ったり、福井駅で販売することは、なかったようだ。
恐竜の卵をイメージしたのかもしれない、真っ黒な卵形の容器を、商品名や恐竜骨格などをデザインしたボール紙の枠にはめる。中身は紙枠側面のおしながきによると、福井うまれのこしひかり米、ふくいポークの蜂蜜カレーソース、鰆の雲丹しお焼、小鯛の手鞠寿し、永平寺厚あげと九頭竜まいたけの煮物、五目玉子焼、鯖のへしこと大根の浅漬など。海苔にも恐竜を描き、箸袋と添付のチラシでも恐竜王国福井をアピールするが、東京では目立たない外観と、東京では福井らしさを感じにくい中身で、印象に残りにくいのではないかと感じた。同じ売店で買えるカニ飯やサバ鮨のほうが、福井らしい。
駅弁の名前のとおり、JR烏山(からすやま)線の新型車両「EV−E301系」の、鉄道友の会の2015年「ローレル賞」の受賞を記念して、2015年10月24〜31日のみ、大宮駅と東京駅と鉄道博物館だけで販売した弁当。掛紙には、該当の車両の外観と車内とロゴマークを印刷する。容器と価格は駅弁誕生130周年記念秋の味覚弁当と同じ。中身も松茸飯を塩ごはんに置き換えたのみである。
JR東日本のEV−E301系電車は、2014(平成26)年3月ダイヤ改正で、栃木県のJR烏山線でデビュー。国内で初めて営業運転を実施した、バッテリー駆動の電車である。車内にリチウムイオン電池を搭載、東北本線に乗り入れる宇都宮駅〜宝積寺駅の架線や、烏山駅に設けられた架線から直流1500ボルトの電気を得て充電し、電化されていない烏山線をバッテリーからの電気で走る。
海外では、路面電車が市街地の上空に電線を引いて景観を害したくない場合に好まれる技術。国内でも(公財)鉄道総合技術研究所が、やはり路面電車の中古車や試験車両で2003(平成15)年から実験を続けている。国内の鉄道会社はどうも、電力会社との契約電力を減らして電気代を節約したり、今回の烏山線のように電化せずに電車を走らせることで電気設備を節約したりディーゼルカーのメンテナンスを省くという、合理化の観点で興味を示しているのではと思う。
2015(平成27)年3月14日の上野東京ラインの開業を記念して、同日から5月31日まで東京駅、上野駅、品川駅、大宮駅、鉄道博物館などで販売。車内販売に乗るとは聞いていなかったので、常磐線特急ひたち号で買えて驚いた。掛紙にはこの特急列車と、上野の西郷隆盛像、東京駅舎、水戸の後楽園の梅林の写真を使う。茨城出身でいばらき大使の磯山さやかさんを起用し、同氏がプロデュースした茨城の農産物を使用したこだわり弁当という位置付け。
9区画の中身は、「雑穀入りご飯、茨城県産しらす、飾り人参煮」「飯村牛(茨城県産)入りコロッケ、枝豆入り真丈揚、二色パプリカ揚」「五目ご飯、穂筍煮」「常陸鶏(茨城県産)唐揚の野菜入り和風あんかけ、ピーマン素揚、ブロッコリー」「ひじきご飯、刻み梅」「ローズポーク(茨城県産)照焼、人参コンソメ煮、ミニ玉葱コンソメ煮、いんげん」「茨城県産蓮根のサラダ、茨城県産さつまいも甘露煮」「茨城県産メロンのゼリー」「玉子焼、鯖塩焼、菜の花お浸し」で9区画。茨城を使う、なんでもまるごと弁当。
東北新幹線の工事により1973(昭和48)年に分断された東海道本線東京駅〜東北本線上野駅の線路について、2002(平成14)年3月にJR東日本は「東北縦貫線」として、2009(平成21)年度までに自社負担で約300億円かけて建設することを発表した。またまた神田地区の反対で着工が4年遅れ、東日本大震災で工事が1年遅れ、真夜中の都心で鹿島建設が夜な夜な鋼鉄の柱を立て桁を架け、約400億円の事業費をかけて、2015(平成27)年3月14日のJRグループのダイヤ改正に合わせて「上野東京ライン」の愛称で開業した。上野駅止まりの宇都宮線や高崎線の電車と、東京駅止まりの東海道本線の電車が相互に直通し、常磐線電車の一部が品川駅まで乗り入れた。
JR東日本は上野東京ラインの整備理由を、公式には上野駅〜御徒町駅などの混雑緩和、乗り換えの解消による速達性の向上、輸送ネットワークの強化とする。一方で昭和初期からの田町駅〜品川駅の車庫では、寝台特急を廃止し、通勤電車の車庫機能の一部を神奈川県国府津や埼玉県大宮へ移し、生み出した土地の更地化を進めた。上野東京ラインで東海道本線と東北本線を結べば、車両を東京都心に置かず、郊外へ逃がすことができる。
2014(平成26)年6月にJR東日本は、こうして東京都港区内で生み出した13.9ヘクタールの土地で、新駅を設置して不動産開発を実施すると発表した。つまり、400億円の投資で2000億円(=200万円/u×100000uと計算)分の土地を生み出す事業が、上野東京ラインであると考えることができる。その高輪ゲートウェイ駅は、東京五輪の開催前の2020年の春に暫定開業する予定。高さ約170mのオフィスビルやマンションなど8棟のビルを建て、駅や広場などを含め2024年度までに5000億円を投資し、3000億円の利益を得ると報道されている。
駅弁の名前のとおり、埼玉県さいたま市の鉄道博物館での標記の特別展の開催に合わせて、2013(平成25)年10月12日から2014(平成26)年1月13日まで、東京駅と大宮駅と鉄道博物館で販売した記念駅弁。北陸新幹線向けE7系新幹線電車のイラストを描いた掛紙を使う。中身はマス寿司、かにめし、ブリ照焼とかまぼこと玉子焼、鶏肉の治部煮、ホタルイカわさび漬、ホタテやレンコンやサトイモなどの煮物など。富山や金沢をイメージした中身に見える。知っている人にはとても分かりやすいコンセプト。
今回(2015年3月)開業の北陸新幹線がどんな峠を越えているかというと、飯山駅と上越妙高駅との間の飯山トンネルで信越本線でいう野尻坂峠を、新高岡駅と金沢駅との間の新倶利伽藍トンネルで倶利伽羅峠を、それぞれ越えている。いわゆる長野新幹線も公式には北陸新幹線であり、1997年10月にあの碓氷峠を越えた。
2013(平成25)年9〜11月の公益社団法人やまなし観光推進機構とJR東日本八王子支社との観光キャンペーン「My Premium 山梨 空に、大地に。」の一環で、同年9月1日から11月30日まで、NREの東京駅、上野駅、新宿駅、品川駅、大宮駅、八王子駅、甲府駅の駅弁売店で販売された駅弁。富士山を模式化した姿の掛紙を見ると、ユネスコによる2013年6月の世界文化遺産への登録も記念していることが分かる。
中身はとりそぼろと生のりをかけた白御飯に、鶏味噌焼、鶏つくね、玉子焼、かまぼこ、マイタケ天、カボチャとナスの素揚げ、星形ニンジン、べったら漬と小茄子漬、和菓子など。味と中身は総論として、東京のNREの鶏飯駅弁。実際に販売期間中の東京エリアではほぼ、既存の鶏飯駅弁を置き換えるような形でたくさん売られていた。鶏に山梨県産を使い、御飯で富士山を描くことで、発売の趣旨に合わせる。
富士山は有史以来の観光地あるいは御神体であるが、前述の世界文化遺産への登録により改めて、外国人を含む観光客や登山者で賑わうようになった。富士へ行くなら電車や高速バスの便が良い山梨県側で、見るなら地上からでも上空からでも順光の静岡県側で、特に東海道新幹線の車窓だなと、私は考えている。
2013(平成25)年8月9日から18日まで、東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」で開催された、「「駅弁屋 祭」開店1周年記念駅弁大会」の期間限定商品3種類のうちのひとつ。お祝いの掛紙に包まれた二段重ねの容器の中身は、下段が鯛飯、上段がサトイモやシイタケやカボチャなどの煮物、レンコンの柚子胡椒和え、からしれんこん、カニかま天、大豆たんぱく、薩摩揚げ、和菓子など。柔らかい鯛飯に振る鯛ほぐし身は柔らかくてみずみずしく、上段の焼き物や練り物や揚げ物などは自然に鮮やかで、10日間で売り止めるには惜しい内容。
各地の駅弁を東京駅に集める駅弁売店「駅弁屋 祭」は、今では約170種類の駅弁を常時販売するとされ、朝の5時台から夜の22時前後まで店内は満員、日が暮れると残り少ない弁当が奪い合われる、日本一賑やかで混雑する駅弁売店になったと思う。一方で、かつて何重もの人垣ができていた東京5号売店改め「駅弁屋 踊」など、他の東京駅構内のNRE駅弁売店は、すっかり静かになったとも思う。
東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」のオープニングイベントとして、2012(平成24)年8月9日から19日まで同売店で開催された駅弁大会で販売された記念商品。調製元は大船駅の駅弁屋であり、今はNREの1ブランドでもある大船軒。中身はエビやホタテやサーモンなどのちらしずし、しらす丼、アジの酢締めとキンメダイ照焼、かまぼこと玉子焼、サトイモやシイタケなどの煮物、ようかんなど。大船駅弁の食材とNREの見栄えや調理がうまくミックスされていた。
「駅弁屋 祭」とは、JR東日本による東京駅の改札内1階中央通路での商業開発「セントラルストリート」の一環で、2012年8月9日にオープンした、あるいは従前の「駅弁屋旨囲門」をリニューアルしたとも言える、JR東日本エリアを中心とした全国各地の駅弁170種類以上を常時取り扱う駅弁売店。東京駅で最大の駅弁売店として、朝5時台から満員の賑わい。かつての旨囲門やその前身である「東京エキッチン」と異なり、サンドイッチやNREの駅弁をあまり取り扱わず、夜になると商品が欠乏しがちになるため、弁当を探して客が右往左往する光景が見られると感じる。
2011(平成23)年10月8〜10日に東京駅で開催された「第14回東日本縦断駅弁大会」で販売された商品で、ヨネスケこと落語家の桂米助氏のプロデュースによるもの。まきすを用いた容器を、商品名を描いた掛紙で巻く。竹皮柄の紙に包まれた中身は、白おこわ、銀鮭粕漬焼、大山鶏の照焼、丹波黒豆、江戸焼玉子、タケノコやニンジンなどの煮物、りんごシロップ漬など。築地の老舗が詰まるという都会の弁当なのに、見ても食べても内容でも、整然の中に風情が感じられた。
ヨネスケ氏は本業の落語の傍ら、タレントとしてワイドショーなどで活躍するほか、駅弁空弁紹介ブログ「ヨネスケの駅弁!空弁!食べて答弁!!」(http://blog.livedoor.jp/yonemeshi/)を運営し、その内容が著書「ヨネスケの駅弁・空弁600選」にもなっている。駅弁評論家としての顔がどれだけ知られているかは分からないが、このまま東京駅弁としてのデビューを期待したいところ。
2011(平成23)年9月17〜25日に東京駅で開催された「東北応援駅弁大会」で販売された商品。中身は商品名どおりの温泉玉子付きハヤシライスで、耐水紙製のカップに白御飯を敷き、半熟卵と福神漬をプラ製ミニカップで詰め、その上に牛肉とタマネギを混ぜたデミグラスソースを詰めた透明なふたをしたもの。
ハヤシライスは好物だが、常温では油のクセが気になるもの。この商品も品質や風味は悪くないはずが、さすがにそんな欠点は消せない。おそらくここで話題になればレギュラー入りを描いた実験的作品だろうが、残念ながらまったく話題にならなかったので、もう二度と出会えないと思う。
東北新幹線新青森開業を記念して、2010(平成12)年12月4日に東京、上野、品川、新宿、大宮の各駅で発売。竹皮製の長方形の容器に、今回の新幹線の開業区間や中身の写真にねぶた祭や十和田湖の写真やなどを印刷した掛紙を巻く。透明なプラ製トレーに収まる中身は、カニやイクラやホタテやエビや山菜が載るちらし御飯に、ホタテ風味フライ、イカ磯部揚、鶏肉と野菜のうま煮、ナガイモ揚、みず生姜漬、りんごシロップ漬。具の種類が豊富な北の味だが、この価格には身構える。2015年頃までの販売か。
東北新幹線は1982(昭和57)年に大宮〜盛岡、1985(昭和60)年に上野〜大宮、1991(平成3)年に東京〜上野、2002(平成14)年に盛岡〜八戸と開業し、この日の八戸〜新青森の開業で全通した。1971(昭和46)年に当時の国鉄が着工した頃は、1976(昭和51)年度には東京〜盛岡が開業しているはずであったが、1973(昭和48)年のオイルショックによる総需要抑制策、大宮以南における新幹線反対運動、国鉄の財政難、その他政治的な駆け引きにより、これほどの長い時間がかかってしまった。
その間、このような状況では新幹線としての路線の延伸がとても見込めない山形県や秋田県は、在来線の改修によるいわゆる「ミニ新幹線」で、1992年や1997年に東京直通の新幹線列車を手に入れた。青森県はあくまでも新幹線での延伸にこだわり、両県に10年ないし18年の遅れを取ることにはなった。
※2016年9月補訂:終売を追記2010(平成22)年10月9〜11日に東京駅で開催された「第12回東日本縦断駅弁大会」の開催記念駅弁。容器に経木のふたをかけ、江戸時代の錦絵を模して非なる絵柄の掛紙で巻く。中身は日の丸俵飯に焼鮭、かまぼこ、玉子焼、サトイモやニンジンなどの煮物、キス天ぷら、アサリ佃煮。内容こそ確かな幕の内駅弁であるが、掛紙も容器も中身も詰め方も、やっつけ感が先行。御飯の味は良かったのだが、これはどうしてしまったのだろうか。
プロ野球マスターズリーグ5周年を記念して、2005(平成17)年11月3日から販売。黒いトレーを入れた正方形のボール紙箱は、フタに村田兆治投手と石毛宏典内野手の写真を載せ、裏ぶたに2005年度の日程表を記す。昭和の食卓をイメージしたという中身は、日の丸御飯に白身魚フライやハムカツ、海老や焼鮭や玉子焼など。日程表が1月22日までなので、その頃までの限定商品と思われる。
プロ野球マスターズリーグとは、日本のプロ野球で活躍したOBが2001(平成13)年から毎年11〜1月に、札幌・東京・名古屋・大阪・福岡の5チームに分かれて対戦する野球興行。かつての有名選手の勇姿が再び見られることが人気なのか、一試合平均で約一万六千人もの観客を集めるという。フタ記載の「挑戦する勇気と悦び」は5年目シーズンのキャッチフレーズ。
2005(平成17)年10月9,10日の上野〜新潟間イベント列車「懐かしの特急とき号」運転に合わせ、列車内とおそらく東京・上野・品川・新宿・大宮の各駅で販売された記念駅弁。従前の「復刻昭和弁当」などと同じ容器と中身と価格で、掛紙だけ特急とき号の写真を載せた特別バージョンに変えている。
特急とき号は、1962(昭和37)年から1982(昭和57)年まで上野と新潟を上越線経由で結んだ電車特急。乗車率でも鉄道ファンにも人気の列車は、上越新幹線の開業でその名称を新幹線に譲り消滅したが、2001(平成13)年から年中行事で復活運転が続く。