東京と日本の中央駅。東海道・山陽・東北・上越・山形・秋田・北陸の各新幹線、東海道・中央・総武・東北の各線、山手線や京浜東北線などの電車が、一日あたり3000本以上行き交い、100万人以上の利用者で終日賑わう。駅弁はJR東日本やJR東海の子会社のもので約100種類とも、エキナカの商品を含め400種類以上とも、デパ地下の弁当を含め1000種類以上とも言われ、さらに全国各地の駅弁も集まり、こちらも日本最大。1914(大正3)年12月20日開業、東京都千代田区丸の内1丁目。
東京駅構内の商業エリア「グランスタ」の開業10周年を記念した様々な商品のうちひとつで、2017(平成29)年10月25日から11月30日まで駅弁売店「駅弁屋 祭」で販売。「東北旅祭」の副題が付くとおり、中身は牛たん飯、アサリ飯、いも煮、赤魚焼とかまぼこと玉子焼、若桃とりんご、玉こんにゃくとレンコンやニンジンなどの煮物、いぶりがっこ、帆立貝ひもと数の子和え、枝豆やコーンやパプリカの揚げ物と、それぞれ東北や関東の各都県の名前を連想する料理が細々と詰まっていた。
エキナカという用語ができてから、東京駅で東京以外の駅弁を売る売店ができてから、だいたい10年くらい。まずは2004(平成16)年8月に「駅弁屋旨囲門」ができ、2006(平成18)年10月に「東京エキッチン」に拡張移転、2012(平成24)年8月に同じ場所で「駅弁屋 祭」となり、2016(平成28)年11月に中央通路の反対側へ拡張移転した。
地下1階では2007(平成19)年10月に「駅弁屋 極」ができ、これがグランスタ10周年の根拠となるが、その駅弁売店自体は2012(平成24)年7月に閉店している。他に2010(平成22)年12月に「ニッポンの駅弁」が開店したが、2016(平成28)年2月に閉店。2012(平成24)年12月には駅弁売店のひとつに「駅弁屋 踊」の名が付いたが、2018(平成30)年3月限りで閉店した。
東京駅の待合せ場所シンボル「銀の鈴」の設置50年を理由に、2017(平成29)年6月1〜18日に東京駅構内の商業施設「グランスタ」で展開されたキャンペーン「銀の鈴フェア」の期間中に販売されたお弁当。正六角形の容器に、商品名とフェアの鈴のマークを描いた掛紙を巻く。中身は豚丼が3等分で3種類。甘辛醤油煮、うま味噌味、坦々風のピリ辛ごま味で、ここでの人気駅弁「スペイン産ベジョータイベリコ豚重」が入る。ここのいつもの味で違う風味な、豚丼づくしのお弁当。
JR各社の発足30周年を記念して、2017(平成29)年4月8日から16日まで、東京駅の駅弁売店「駅弁屋 祭」「駅弁屋 踊」と新宿駅の駅弁売店「駅弁屋 匠」で販売。掛紙には商品名と記念の絵柄とおしながきと、JR各社が共通で使えそうな「おかげさまでJRは30周年」の絵柄を掲載する。
中身は15区画に「3つのお祝ご飯と、30種類の食材を使ったおかず」を詰めたという。内訳は、めで鯛ちらし、赤飯、日の丸ご飯、紅鮭塩焼き、昆布山椒煮、煮穴子、キャロットラベ、スモークチーズ、うずら玉子醤油漬け、玉子焼き、紅白蒲鉾、さくら大根漬、紅白なます、炙り鯵の酢〆、海老酢漬、高野豆腐の煮物、椎茸煮、筍煮、人参煮、蒸し鶏、枝豆梅肉あえ、蒸し鶏ネギ塩ダレ、ひじき煮、あさりの時雨煮、豚みそ漬け焼き、牛肉オイスターソース煮、竹輪磯辺揚げ、しらすかき揚げ、鯖トマトソース煮、厚揚げの素揚げ、アイガモスモーク、ポテトサラダ、緑茶羊かん、マンゴーシラップ漬けと、全34種。まるで青森駅弁「ひとくちだらけ」のような怪作。それでもさすがは東京で、味も見栄えも美しくできている。ただし調製は、神奈川県の大船軒。
1987(昭和62)年4月、日本全国で約2万キロの鉄道網を運営していた日本国有鉄道は、6つの旅客鉄道会社と1つの貨物鉄道会社と、5つの関連組織に分割された。主因は赤字。それは国鉄当局や国鉄職員の怠慢なのか、低運賃と不採算路線を押し付けた政治の圧力か、労使関係を荒らしストライキを頻発した労働組合の横暴なのか、国有企業は本質的にそうなるものか、30年を経過しても総括されていない感じ。総論としては国鉄分割民営化は成功だったと、権力を持つ政界関係者やテレビや新聞は語る。しかし世界を見渡せば、イギリスでもニュージーランドでもアルゼンチンでも、民営化した鉄道の国有化や国営化が珍しくなくなっている。
駅弁の名前のとおり、東京駅の開業100周年を記念して、同年10月11日から2015(平成27)年1月31日まで販売。正八角形の容器はおそらく東京駅丸の内駅舎のドームの平面形状に合わせたのではないかと思う。この記念事業で使われた、東京駅員が作成したという絵柄をふたとした。
中身は盛りだくさん。白飯とにんべんのかつおふりかけ、赤飯、五目御飯、日本ばし大増の金平牛蒡とひじき野、メゴチ天麩羅、牛すき煮、昆布煮豆とベッタラ漬、「東京駅」羊羹とクルミ甘露煮の8区画で、江戸うま煮、神茂の蒲鉾、築地・すし玉青木の江戸巻、築地・田中商店のカラスガレイ粕漬焼、アサリとゴボウの深川煮を囲む。価格も見栄えも分量もまるで、上等の仕出しかデパ地下の高級弁当
この駅弁のふたの絵柄は、東京駅開業100周年記念Suica(スイカ:ICカード乗車券)にも使用され、東京駅開業100年目の2014(平成26)年12月20日の朝8時から、一人あたり3枚限り、1万5千枚限定で2000円にて売り出すとした。すると深夜組を含め1万人近い行列ができて現場は混乱、販売は途中で中止されたうえ、買えた人がヤフオクなどネット上で高額転売するなど、悪者をさしおいて鉄道会社の不祥事として東京のテレビや新聞から袋叩きに遭った。
そこでJR東日本は希望者全員にこの記念カードを販売することを決定、翌2015(平成27)年1月30日から2月9日までインターネットや郵送で申込を受け、一年半かけて427.6万枚ないし499.1万枚を製造し発送した。駅弁の販売は話題にならなかったが、この絵柄は広く知られ、所有されるようになった。芸大進学を果たせず鉄道会社に就職した女性社員が描いたのだと、後日の新聞記事になったそうな。
東京駅100周年を記念して、正確にはおそらく東京駅100周年を題材にした駅構内商業施設の拡販キャンペーンで各テナントに割り当てられて、2014(平成26)年11〜12月頃に販売か。そのアイコンが掛紙に載る。東京のデパートで知られるトンカツ屋の、トンカツを使わないお弁当。白御飯を塩だれの豚バラ肉できれいに覆い、赤パプリカと黄パプリカと煮玉子を載せ、ポテトサラダとタマネギグリルを添えていた。「東京X」とは、幻の豚肉や唯一のナントカとか、煽り文句を付けて売られたり在京大手メディアで紹介されることが多い、東京都畜産試験場が開発したブランド豚。
商品名のとおり、東京駅の商業施設「グランスタ」の3周年を記念して、2010(平成22)年11月前後に同施設内の駅弁売店「駅弁屋 極」で販売されたお弁当。黒塗りの長方形の発泡材容器に、食堂車内を撮影した絵はがきと金色の袋に入った割りばしを置き、昔の食堂車内の写真を印刷した掛紙を巻く。中身は日の丸御飯にハンバーグ、エビフライ、ホタテフライ、肉入りオムレツ、スパゲティ、マカロニ、ポテトフライなど。
コンセプトは絵はがきに「大正時代から現代までの食堂車の人気メニュー」と書かれている。掛紙と絵はがきには戦前と昭和と21世紀がぐちゃぐちゃに混在しており、どんな商品を作りたかったのだろうか。和風洋食の味は悪くない。