東京と日本の中央駅。東海道・山陽・東北・上越・山形・秋田・北陸の各新幹線、東海道・中央・総武・東北の各線、山手線や京浜東北線などの電車が、一日あたり3000本以上行き交い、100万人以上の利用者で終日賑わう。駅弁はJR東日本やJR東海の子会社のもので約100種類とも、エキナカの商品を含め400種類以上とも、デパ地下の弁当を含め1000種類以上とも言われ、さらに全国各地の駅弁も集まり、こちらも日本最大。1914(大正3)年12月20日開業、東京都千代田区丸の内1丁目。
2018(平成30)年4〜5月のゴールデンウィークに発売か。駅弁売店でなく、東京駅の地下の商業施設「グランスタダイニング」のテナントが販売するお弁当で、三大都市圏の商業施設で手広く売られる「笹八」「ゐざさ」「中谷本舗」ブランドの弁当群のひとつ。名前からして、東京駅でのみ売られる商品と考えられる。
白飯をタレがしたたる豚焼肉で巻いた物を8個と、半身の煮玉子、煮物、大根と小松菜の和え物を黒い折箱にはめて、赤レンガの色と絵柄を持つ包装紙に包んでいた。軽食に持て余し、一食には足りない分量感。
2019年1月の京王百貨店の駅弁大会で購入。米子駅の駅弁として売られていたが、その名前からして、以下の「東京黒昆布巻き押し鮨」などと同じく、東京都内の歌舞伎座やデパートなどで売られる商品ではないかと思う。中身は米子駅弁「吾左衛門鮓」と同じく、酢飯とシメサバを黒板昆布で巻く棒寿司を、ラップに巻いて5切れ分を詰めるもので、4年半前の「十四代吾左衛門鯖すし」とまったく同じ。引き続き、駅弁の鯖棒寿司では最高峰の味だと思う。
2015(平成27)年3月に羽田空港で空弁として発売、いつしか東京駅でも取り扱いが始まった模様。2010(平成22)年発売の東京駅弁「賛否両論弁当」と同じく、東京都恵比寿の日本料理屋のブランドを名乗るが、似たのは名前だけで、見た目も内容もまるで異なる。
中柄な正方形の発泡材製折箱を二段に重ね、人物画の掛紙を巻く。中身は下段がタケノコやサクラエビなどを散らす茶飯に紅白の手まり飯を添え、上段が唐揚、角煮、焼サバ、玉子焼、刻みニンジンなどのおかず。量をやや抑えた高級弁当で、価格を気にしなければ昼食や空弁や駅弁に向く感じ。公式な名称は「賛否両論季節の二段重」であるようで、すると季節により中身が変わるのだろう。
調製元は米子駅の駅弁屋だが、関東地方で売られる商品ではないかと思う。白ごまを混ぜた酢飯にシメサバを合わせて黒板昆布で巻いた、名物の「吾左衛門鮓 鯖」を5切れ分、ラップで巻いてカットして、「特選笹塩」を添付し、中身の美しい見本写真を載せた紙箱に収める。笹塩の添付以外は、米子駅や駅弁催事で売られる「吾左衛門鮓鯖5貫」と同じ。同じ味も、笹塩での味の変化も楽しめる。価格は2014年の購入時で1,000円、2017年時点で1,100円ではないかと思う。
歌舞伎の絵柄を印刷した細長い紙箱の中に、厚い昆布を巻いた焼かないサバの棒寿司が1本、竹皮に包まれ、ビニール袋に詰められて収まる。全国の駅弁を食べた駅弁ファンであれば、この中身にきっと見覚えがあるはず。米子駅で「吾左衛門鮓 鯖」として売られる商品が、ここでは歌舞伎座名物として東京の顔をして販売されているのである。実際に東京での販売拠点を持ち、歌舞伎座の他に日本橋三越や銀座三越などでもこれを販売し、下記のとおり専用の公式サイトまで持っている。値段は2020年時点で2,100円。
※2020年12月補訂:値上げを追記東京駅グランスタへの調製元の期間限定出店に合わせて、2019(令和元)年6月の発売か。専用の紙箱には東京タワーと浅草雷門が、まるでマイコン時代の作画演習のような拙さで描かれる。中身はミニ天丼とミニ穴子丼とアサリ俵飯、ミニいなりと細巻き、玉子焼、ミニ牛すき焼き、海老天とマイタケ天、ニンジンやカボチャなどの煮物。見た目も内容も幕の内弁当らしくない感じの、御飯だらけで油の強い雑多な弁当。2020年3月までの販売か。
※2020年12月補訂:終売を追記2019(平成31)年の発売か。市販の真っ黒な弁当容器の9区画に、日の丸、じゃこめし、古代米赤飯で3種の御飯と鮭漬焼、赤魚幽庵焼、エビとナスの天ぷら、煮物、切昆布煮、春雨と玉子焼。たしかに肉がなく魚がある、なんでもまるごと弁当。2019年内に終売か。
※2020年12月補訂:終売を追記2018(平成30)年の夏頃から販売か。羽田空港ではその前年から売られていたかもしれない。賛否両論ブランドの商品らしからぬ、簡素なデザインの掛紙をかける。細長い容器で五目飯を鶏照焼やレンコン煮や紅生姜などで覆い、玉子焼、さつまいも、いぶりがっこ、クリームチーズ、わらびもちなどのおかず。常温で普通においしいお弁当。最近はネットやメディアの話題は薄めだと思うが、売上は順調なのだろう。この姿と内容では、半年間ほどの販売か。
※2020年12月補訂:終売を追記東京駅での発売時期は不詳。漆器の折箱のようなボール紙製容器にタイの炊込飯を詰め、タイの切り身6枚を並べ、きゃらぶきと甘酢生姜を添える。徳島の鳴門で育った大鳴海鯛を使用した鯛めしは、調製元である東京は神田明神下の仕出し弁当屋のメニューにもなっている。豪華さはないが、淡い味と香りとシンプルさでいける。おそらく現存しない。いつまで売られたのだろうか。
※2020年5月補訂:終売を追記2015(平成27)年12月18日に羽田空港の空弁として発売。後に東京駅にも来るようになったのだろう。真っ黒なボール紙のスリーブに書かれるとおり、東京は西麻布の和食レストラン「吾空」とのタイアップ商品で、羽田空港の空弁の「東京名店シリーズ」第5弾だそうな。
スリーブの窓開きから一部が見える中身は、白御飯に牛肉煮と、チキン南蛮というよりは鶏唐揚を載せ、玉子焼とレンコンと大根漬物を添える。東京駅の駅弁屋なので冷蔵販売、羽田空港でも同じだろうが、デパ地下のお惣菜程度に温かいと、よりおいしかったのではないかと思った。2019年までの販売か。
※2020年5月補訂:終売を追記通常の駅弁より簡素なプラ製容器に茶飯を詰め、カキの生姜煮を5個並べ、ニンジン、インゲン、錦糸卵で残りを覆い、タケノコ、シイタケ、大根桜漬を添える。カキは小柄ながら、味も歯応えも締まっていた。おそらく現存しないだろうが、いつからいつまで売られたかは不詳。
※2020年5月補訂:終売を追記下記「東京たこめし」の2015年時点での姿で、引き続き東京駅構内「京葉ストリート」の「築地銀だこ」での限定販売。容器がプラ製の赤いタコになり、餅米混じりのタコ混ぜ御飯の上に載る具がタコ焼き、タコ形ウインナー、エビフライに変わり、値段が安くなった。これならば、どこの駅弁の模倣でもない。調製元のプレスリリースによると2014年7月19日の発売で、発売当時は980円でもっといろんな具が載っていた模様。今回はあまり話題になっていない。駅弁に特段の興味を示さない方々に、カワイイ駅弁として支持される。販売店舗が2016(平成28)年2月頃に退店したため、現在は売られていない。
※2016年6月補訂:終売を追記2013(平成25)年3月20日の東京駅構内でのデパ地下タイプな商業施設「京葉ストリート」のオープンに合わせて、ここに入居したタコ焼き屋の全国チェーン「築地銀だこ」が同日に発売。このブランドのロゴマークを浮き出したタコツボ型の陶器に、餅米混じりの混ぜ御飯を詰め、上にタコ煮、刻みアナゴ、インゲン、アサリ煮を置き、底にうずらの卵とたこボール煮を沈める。容器は全国の「築地銀だこ」店舗で50円の金券として使用でき、店舗へ返却された容器は東日本大震災の復興支援の一環として石巻でタコの養殖に再利用されるという。
東京駅の新たなエキナカでの、有名チェーン店の新商品で、しかも震災復興のフレーズも付いたため、東京の、つまり全国のテレビや雑誌やネットなどで紹介された。しかしこれは西明石駅の名物駅弁「ひっぱりだこ飯」のパクリである。よく見比べればこちらは容器が、薄手のガラス質な電子レンジ非対応でやや大きい気はするし、味も駅弁に対する仕出し弁当のように、淡くて柔らかい。しかし模倣には寛容に見える駅弁業界内でも、2004年に静内の疑義駅弁屋が「北海たこつぼめし」でパクったことが問題視されたようなのに、業界外で自社より年商が一桁多い大手業者が「東京駅限定」の掛紙をかけて模倣したうえで、東京駅弁として話題になってしまっては、きっと心中穏やかでないと察する。なお、この調製元の震災復興との関係はこの商品だけのものではなく、震災直後の炊き出しや夏の仮設商店街設置そして年末の本社移転という、地に足が着いたものである。
※2015年9月補訂:新作の収蔵により、終売を追記東京駅で最も賑わう駅弁売店「駅弁屋 祭」の隣の土産物屋でも、駅弁のような20種類以上の弁当の販売がある。これはそこで売られていたお弁当のひとつ。日の丸御飯にサケ西京焼、帆立フライ、海老あんかけ、玉子焼、シイタケやタケノコなどの煮物、マグロ角煮など。無難な味と内容と美しい見栄えも、御飯の分量に対しておかずがとても少なかったような気が。魚編があるということは肉編もあり、値段は同じで魚の代わりに牛豚鶏の肉を入れる模様。あまり長続きしなかったのではないかと思う。
※2020年5月補訂:終売を追記スーパーやデパートの駅弁大会や駅弁催事業者の商品紹介サイトでは米子駅の駅弁と紹介しているが、その商品名から上記の駅弁「東京黒昆布巻き押し鮨 鯖」と同じく、米子駅の駅弁屋がおくる東京向けの商品ではないかと思う。長方形の容器に、歌舞伎と歌舞伎座のイメージイラストをデザインしたボール紙で直接ふたをする。
中身は御飯の上を玉子焼とサバとマスとカニのサイコロやイクラで覆い、カニ寿司とマス寿司と玉子焼とガリを添えるもの。つまり米子駅弁の「海の宝箱」と「吾左衛門鮓 蟹」と「吾左衛門鮓 鱒」の合わせ技。柔らかい色をして、味は臭みのない米子駅弁。現存しない模様。
※2020年12月補訂:終売を追記東京・銀座のとんかつ専門店のブランドを名乗る生姜焼き弁当。同社のトンカツ弁当と同じ意匠の容器を使用、中身は日の丸御飯に透明なプラ製トレー入りの豚肉生姜焼をスパゲティの上に載せ、玉子焼、シイタケとニンジンの煮物、柴漬けを添えるもの。個人的な好みとしては、あまりうまくなかったと思う。2012年頃までの販売か。
※2020年5月補訂:終売を追記駅弁を食べ過ぎていると、北海道や東北ではなく東京駅にあることに違和感を覚える商品名。黒塗り金文字で高級感を出した長方形のボール紙容器に、その対極を行く簡素な掛紙を巻いて、セロハンテープで留める。中身は半分がイクラ酢飯、半分が鮭粕漬と玉子焼の他は細々とした煮物を詰め込むおかず。
経験的に駅弁屋の調製ではない東京駅弁は、運搬中にビニール袋の中で転倒する確率が高い。これもその被害に遭い、気が付いたら容器が横に立っていて、大粒いくらが煮物や容器の隙間に飛散した。こういう気遣いに駅弁屋とそれ以外との差が出る。中身の見た目は悲惨だが、風味は散らし弁当になって乙なものだった。おかずもていねいに作られていた。現存しない模様。
※2020年5月補訂:終売を追記2006(平成18)年の初頭に東京駅と羽田空港へ投入された模様。中身はおこわの上に松阪牛そぼろと薄焼き肉1枚を載せるもの。硬い御飯と牛肉の組み合わせのミスマッチと、風味も柔らかさもなく松阪牛であることを疑いそうな少量な牛すき焼き肉と牛そぼろ。東京広尾の廣尾瓢月堂が主に羽田空港で手掛けるおこわ専門店のブランドネームが泣きそうな商品だった。数年間の販売で、現存しないのではないかと思う。
※2020年12月補訂:終売を追記東京駅構内で駅弁のように売られる、銀座ハゲ天の天丼弁当。白御飯の上に大きな海老天が2本横たわり、蓮根天、カボチャ天、ししとう天も添えて御飯を覆い尽くす。3年半前に酷評したハゲ天「天丼」の後継商品か。容器が発泡材長方形+透明なふた+掛紙の駅弁風に改善され、それでも冷めた天ぷらというハンデキャップは否めないが、以前よりは風味が改善したし、具にボリュームがあった。2010年頃までの販売か。
※2020年12月補訂:終売を追記2004(平成16)年3月26日発売。十代三百年続く都内の割烹屋「八百善(やおぜん)」が監修した松花堂弁当。いくら・ゆかり・緑茶時雨の扇形御飯、高野豆腐・穂付筍・風呂吹き大根などの煮物、海老風月煮・鶏紅梅煮・揚げ蒲鉾など「口替り焼物」というジャンルで括られた八百善秘伝の折料理、デザートにミルクプリン「八百善豆腐」。最近の東京駅には似たような高級弁当が続々と登場して競争が厳しく、その中で一定の地位を獲得できるかどうか。2005年頃までの販売か。
※2020年5月補訂:終売を追記内面だけ朱塗りで高級風な長方形の容器に白い掛紙をかけて真っ赤な専用のリボンで見栄え良くしばる。中身はプレーンな白御飯にタンシチュー、鶏照焼、鮭マスタードソース、海老フライ、パスタ、ポテトサラダなど。なんでもない御飯と箸も内容を演出する、洋食という言葉が生きていた時代を反映させている和風洋食弁当。東日本キヨスクの弁当売店「膳まい」での取り扱い。現存しないのではないかと思う。
※2017年7月補訂:終売を追記店名を印刷した容器の中に、御飯の上に海老・穴子・かき揚げ等の天ぷらが載るもの。美味い店の旨い天丼なはずが、製造後時間が経ちすぎていたか、御飯の水分を吸ってべちゃべちゃになった天ぷらは不味いものに変わってしまっており、素材の良さの名残だけが感じられた。
なお、これは東京駅構内の一部の駅弁売店で販売されている、都内飲食店のお弁当。通常は駅弁と見なさないが、雑誌や書籍では東京駅の改札内で販売されている弁当すべてを東京駅弁と紹介する傾向にあるため、当館もそれに従い東京駅弁として紹介する。ハゲ天の弁当が駅弁売店で買えたのは、2010年頃または2014年頃までだろうが、東京駅の商業施設にハゲ天も入居するので、駅の中で天丼を買うことはできる。
※2020年12月補訂:終売を追記