東京と日本の中央駅。東海道・山陽・東北・上越・山形・秋田・北陸の各新幹線、東海道・中央・総武・東北の各線、山手線や京浜東北線などの電車が、一日あたり3000本以上行き交い、100万人以上の利用者で終日賑わう。駅弁はJRの子会社が調製するもので100種類以上とも、エキナカの商品を含めて400種類以上とも、デパ地下の弁当を含めて1000種類以上ともいわれる、世界一の駅弁販売駅。1914(大正3)年12月20日開業、東京都千代田区丸の内1丁目。
2022(令和4)年7月に東京駅と蒲田駅のHANAGATAYAで発売。テレビのロケ弁で知られる東京の仕出し弁当店「オーベルジーヌ」のカレーライス。販売元は数量限定をうたう。ここでの調製元はなぜか、茨城県は水戸駅弁のしまだフーズとなった。大きな長方形の加熱機能付き容器に、バターライスとじゃがいも、ビーフカレー、青しその実漬け、福神漬けを詰める。
3日間煮込んだタマネギにバターを生クリームと24種類のスパイスを混ぜ合わせたという、シェフ自慢つまり弁当店自慢のカレーライス。口当たりは甘く、しかし口内と胃腸にしっかり辛く。これが東京駅で駅弁のように売られることが、驚きをもって東京のマスコミ関係者に伝わっていった。駅弁趣味の側から見ると、容器を少し傾けるとルーがこぼれ、列車内で食べるとにおいが気になると思う、値段も高価に思える、難あり弁当。
東京駅で買えた、常温の牛たん弁当。長方形のプラ容器に麦入りご飯を敷き、牛たん焼と牛カルビ焼で覆い、玉子焼と柴漬けを添える、シンプルな内容。これは仙台でも東京でも全国各地でも買える、利久の牛たん弁当。しかしこのような、注文を受けて作る出来立ての弁当でも、加熱機能付き容器を使う弁当でも、掛紙やスリーブをあまり使わないデパ地下弁当タイプでもないバージョンは、東京の駅や羽田空港以外では買いにくいかもしれない。
2013(平成25)年かそれ以前に発売か。東京都恵比寿の焼肉店「焼肉チャンピオン」のブランドを名乗る牛肉弁当。真っ黒な容器に透明のプラ製トレーを収め、白飯を敷き、牛焼肉で覆い、キムチとナムルを添える。
中身が韓国風牛肉弁当であることから、東京駅では先輩で知名度もある「叙々苑特製焼肉弁当」の廉価版に思えた。味はそれに似ていて、肉の分量と値段は約半分。調製元は「膳まい」で買える弁当やコンビニ弁当で時々見掛ける横浜市内の食品工場。
羽田空港や東京都内では2016(平成28)年、駅では2017(平成29)年の発売か。掛紙には商品名とブランド名と組み合う相撲取りを描く。3区画の容器に右から、「牛飯(秘伝のたれで煮込んだ和牛)」「牛ごぼうすき飯(明治時代のすき焼味)」と、玉子焼、大根餅、野菜酢漬、たまり漬、「亀辛麹」カップを詰めていた。千円の駅弁と今半ブランドの中間にあたるようなレベルの牛肉弁当。亀辛麹は一片を舐めて超激辛だったので使わなかった。添付のしおりには不思議と、他の商品で駅では見なかった「勝運両国」の中身も紹介される。
東京駅で駅弁を売る売店にて購入したが、仙台を発祥に全国各地へチェーン展開する牛たん屋「利久」の各店舗で販売する牛たん弁当ではないかと思う。容器の左側に塩焼き牛タン丼、右側にタレ焼き牛タン丼、間に玉子焼と煮物を配置して、商品名を描いた掛紙を巻く。肉は薄さと質感で、まるでわら半紙を食べているよう。これは高級感だったのか、肉を減らしすぎたのか。
2006(平成18)年の東京駅弁デビューか。東京都心で芸能人に人気がある高級焼肉チェーン店と東京駅のキヨスクがタイアップした、韓国風焼肉弁当。見るからに高級そうな厚手の専用紙箱に透明のトレーを入れて、白御飯に焼肉6切れを載せる焼肉丼と、キムチ、茎ワカメ、大根ナムル、金時豆を詰める。価格は発売当時で2,100円、2011年時点2,300円、2014年4月の消費税率改定により2,365円。
メインの牛肉は、厚みがあるうえに見るからに凄い霜降り。常温下でもかじると豊かな肉汁と脂味を出してきて、口の中で溶ける様は、その品質の良さが知れるもの。容器も風味も価格も焼肉駅弁の枠をはみ出しており、これが駅弁だと思われると全国各地の牛肉駅弁が厳しい評価を受けかねない。胃腸への重さも加え、食べたいけど購入を自粛しそうな弁当。
専用の紙箱に貼られる食品表示ラベルには、販売者が江崎グリコ、加工所が旭紙工とある。これは添付の口臭ケアタブレット「ブレオ」のものであり、弁当に対するものは商品名を記したプラ製の白帯に印字されていた。
※2019年11月補訂:写真を更新2017(平成29)年3月14日に購入した、東京駅弁のパッケージ。上の2年後のものと、紙箱や内容器や中身や値段や味は変わらない。当時はグリコ「ブレオ」の添付がなく、食品表示ラベルは紙箱に貼付し、商品名のプラ帯がなかった。
2016(平成28)年5月28日に購入した、東京駅弁のパッケージ。焼肉店の店内と外観の写真を掲載した、叙々苑特製焼肉弁当史上最も派手なデザインだったと思う。中身は発売当時も上記の1年後も、容器の構造を含めて変わらない。
2006(平成18)年10月14日に購入した東京駅弁のパッケージ。10年後のものとだいたい同じ意匠だが、細部はいろいろ異なる。容器や中身や味は変わらない。
2015(平成27)年の発売か。上記の「叙々苑特製焼肉弁当」の廉価版と考えられる。容器は共通で、中身もほぼ共通で、中身の霜降り牛カルビが普通の牛焼肉になり、価格が約4割オフ。つまり、よくある牛肉駅弁を韓国風にしたもの。これでも値段も味も分量も、十分に高額で高級な牛肉駅弁。値段は1,400円、1,500円、1,600円と諸説ある。
2013(平成25)年2月の鶴屋百貨店の駅弁大会で、東京駅弁「叙々苑焼肉弁当」などとともに実演販売されたお弁当。牛肉を商品名どおりの熊本あか牛サーロインの一枚物に差し替えた以外、容器や中身は東京駅弁と同じである。霜降りの脂身を味わう通常版と違い、こちらは柔らかい赤身を味わうもの。デパートでの実演販売に即し、調製元の所在地と連絡先が百貨店のそれになっている。
木目柄で正方形の容器を、商品名とブランド名と「国産牛使用」表記と「和牛100%使用」シールのある掛紙で包む。中身は白御飯の上に刻み海苔を振り、甘辛く煮たタマネギ混じりの牛肉しぐれ煮で覆うもの。シンプルで少量な牛丼。
添付の「和牛のしおり」では、国産牛と和牛の定義、和牛の素晴らしさ、本製品における表示の理由などが記される。このような説明が必要になるほど、国内における牛肉に関する偽装の横行や定義の混乱が発生しているのだろう。
2020(令和2)年3月14日に、「一流料理人が作るバリュー弁当」の触れ込みで、「幕の内弁当」「海苔弁当」「焼肉弁当」とこの「ハンバーグ弁当」の4種類が、赤いパッケージと940円で発売されたもの。これは「1959年創業「ブッツ・デリカデッセン」のこだわりハンバーグ」なのだとか。白飯、ハンバーグ、フライドポテトとスパゲティ、コーンとウインナー、きんぴらごぼう、キャベツ炒めを詰めた、まるで幕の内弁当のようなハンバーグ弁当。調製元は東京都近郊の各地に「ブッツ・デリカデッセン」などの惣菜店を出す営業者そのもので、監修でなく調製で駅弁にかかわっている。2021年限りでシリーズごと、ひっそりと終売か。
※2022年9月補訂:終売を追記2020(令和2)年3月14日に、「一流料理人が作るバリュー弁当」の触れ込みで、「幕の内弁当」「海苔弁当」「ハンバーグ弁当」とこの「焼肉弁当」の4種類が、赤いパッケージと940円で発売されたもの。これは「神田明神下・雅 総料理長一押し」なのだとか。白飯をタマネギと牛肉で覆い、野菜コロッケ、エビフライ、スパゲティ、焼売、肉団子、玉子焼、ごまわかめ、柴漬けを添える。焼肉弁当を名乗るほど、肉に量や味があるわけではない、牛肉幕の内駅弁。2021年限りでシリーズごと、ひっそりと終売か。
※2022年9月補訂:終売を追記2011(平成23)年10月1日に駅での販売を開始。四角い加熱機能付き容器に麦入りご飯を敷き、牛たんで覆い、ネギとキムチと辛味噌を添える。付合せの刺激が強すぎると思うが、不揃いな特上タン塩を食べる本体は、まあうまいもの。ただ、牛たんは仙台という印象が強いうえ、最近は仙台で人気の牛たん屋がチェーン展開し、東京駅でもそれらの弁当が買えるようになっているので、東京都恵比寿の韓国焼肉店の弁当は相対的に地味になる。2015年頃までの販売か。