東京駅から新幹線で3駅35分。小田原市は神奈川県の南西部で相模湾に面する人口約19万人の城下町かつ宿場町。関東地方の西の出入口として、戦国時代や江戸時代に歴史の舞台となった。駅弁は明治時代に国府津駅で創業した、東海道本線では最古の駅弁屋が健在だが、実態はJRや小田急の子会社が近隣のものを含めた駅弁を集めて売る。1920(大正9)年10月21日開業、神奈川県小田原市栄町1丁目。
2015(平成27)年9月の新作か。白御飯の上に「箱根山麓豚(はこねさんろくとん)」の豚しぐれ煮、甘だれの焼豚、塩だれの焼豚を貼り、半身の煮玉子、みぶ菜とワサビの醤油漬、大根漬、ミョウガ酢漬けを添える。下記の「箱根山麓豚炙り焼弁当」とそっくり。豚肉は、焼いた各2枚は脂が勝る重い風味で、しぐれ煮が良い口直し。繊維が細かく脂質が甘いという、箱根山麓豚の宣伝文句どおりの味がした。
2018年に「箱根山麓豚弁当カルビ&ロース」に改称し1,080円に値上げ。価格は2022年6月16日から1,180円、2023年6月から1,200円。
※2023年8月補訂:値上げを追記2015(平成27)年3月13日に東京都内の新宿駅で駅弁売店「駅弁屋 頂」がオープンした際にそこでデビューか。箱根の浮世絵風イラストと中身のイメージ写真で美しくデザインしたボール紙の枠を使用、中身は白御飯に焼豚を貼り、ネギ塩を塗り、半身の煮玉子、山菜、たくあん、梅干しを添える。「箱根山麓豚(はこねさんろくとん)」の使用をパッケージの文字で地味に宣伝するが、催事受けする見栄えと普通の内容と味を持つ豚丼駅弁だと感じた。この年限りの販売か。
※2016年9月補訂:終売を追記2005(平成17)年10月3日の発売。毎年1月2日と3日に小田原市内を通過する、著名な駅伝大会にあやかったものか。正方形の容器を、弁当名などを書いた大きな掛紙で割りばしごと覆い、紙ひもでしばる。中身はその掛紙にも一部書かれているように、小鯵押寿司2個としそ巻き1個と金目鯛寿司1個に鯛めしという、小田原の名物駅弁のオールスターに、ワカサギや鶏肉や玉子焼や煮物など。
小田原駅弁の詰め合わせで、なるほどこれで駅伝かと。なので味の保証があるし、名前と掛紙が観光客受けしそうな感じ。掛紙には「本商品は大会主催者と一切関係ありません」と世知辛い追記があるし、なぜかその追記と駅弁マークがぼやけているのは不思議。この駅弁大会シーズンの半年間くらいの販売だった模様。
※2015年9月補訂:終売を追記2005(平成17)年4月29日の発売。長方形の容器に掛紙代わりの紙のふたをかけてゴムでしばる。中身は白御飯の上に胡麻振り豚肉味噌漬が貼り付けられるスタミナ食。豚肉は肉の部分も脂身も歯応えがあり、肉の柔らかさを至上とする近年の傾向に逆らい、ついでに水産物や幕の内が主力の小田原駅弁の商品構成にも逆らう、個性的な駅弁。
紙のふたには、源頼光が足柄峠で金太郎を見いだし家来にした際に猪味噌漬を振る舞われたというストーリーが書かれる。さすがにイノシシは駅弁にできなかったようだが、代わりに豚でこの駅弁を開発した、とここでは読める。神奈川県に伝わる民話で、ほとんどの日本人が幼いときに聞いたことがあるはずの、あの金太郎だ。価格は2005年の購入時で850円、2015年時点で950円。2015年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記竹皮柄の厚紙を組み立てて輪ゴムでしばり、箱根旧街道のイラストマップな掛紙を巻く。中身は鮭と梅干しの海苔巻握り飯に鶏唐揚など。中身のグレードや品質に格別のものはない割に、いい値段を取る気はするが、シンプルで分かりやすいコンセプトには見るべきものがある。調製元が小田原市内の食肉店兼惣菜屋である駅弁風のお弁当で、小田原駅の自由通路で駅弁を山積みする売店で購入。その体裁と販売形態から、駅弁と見なして良いと思う。現存しない模様。
※2015年9月補訂:終売を追記