東京駅から新幹線で3駅35分。小田原市は神奈川県の南西部で相模湾に面する人口約19万人の城下町かつ宿場町。関東地方の西の出入口として、戦国時代や江戸時代に歴史の舞台となった。駅弁は明治時代に国府津駅で創業した、東海道本線では最古の駅弁屋が健在だが、実態はJRや小田急の子会社が近隣のものを含めた駅弁を集めて売る。1920(大正9)年10月21日開業、神奈川県小田原市栄町1丁目。
2024(令和6)年3月18日から5月6日まで販売。同年の4月10日の駅弁の日に合わせ、日本鉄道構内営業中央会の会員のうち31社が各社おすすめ駅弁に共通ノベルティ「千社札風カード」を添付して期間限定で販売した駅弁の、小田原駅バージョン。この名と見た目から、今後に小田原駅の春駅弁として毎年売られるようになるのではないかと思う。実際に、中央会のリリース文による前記の販売期間と、現地での販売期間は異なった模様。
仕出し弁当向けの黒い紙箱に、春の色と文字と絵柄を持つ掛紙を巻く。「六種のおかずと三種のご飯」を名乗る、プラ製トレーによる9区画の中身は、日の丸御飯、たけのこ御飯、玉子そぼろ御飯、小田原駅弁のとりそぼろと玉子焼、甘鯛の塩焼き、タケノコの土佐煮と大根の漬物、切り干し大根とシイタケやレンコンやニンジンの煮物、たけのこと海老の天ぷら、鶏唐揚にみぶ菜とわさびの醤油漬。タケノコは小田原駅弁では通年のものなので、中身はオールシーズンで使えそう。
2000年代までには発売されていたらしい、春限定の駅弁。正八角形の容器を包む掛紙はサクラ色が満開で、小田原城も描かれる。中身はタケノコ御飯、タケノコや高野豆腐などの煮物と桜餅、有頭海老、サワラの山椒焼き、いんげん揚げ、ちくわ磯辺揚げ、みぶ菜漬、とりそぼろなど。エビで見栄えを華やかにした、タケノコのお弁当。小田原駅弁名物のとりそぼろにも、普段からタケノコが混じる。価格は2011年時点で1,100円、2023年時点で1,200円。
※2023年8月補訂:値上げを追記2013(平成25)年頃の発売か。春季限定の駅弁と思われる。小田原駅で伝統の駅弁「小鯵押寿司」と同じ構造の容器に、小鯵押寿司と同じような大きさで、サーモン4個、炙り金目鯛2個、高菜巻1個、しそ巻1個の押寿司と、桜餅1個を並べる。不思議と紹介例や収穫報告がほとんどない、幻のような駅弁。酸っぱい要素がないので食べやすい。
2011(平成23)年2月に発売か。長方形の容器を2段重ねて、木目柄のボール紙でふたをして、梅花を描いた梅色の掛紙で包む。中身は下段が梅御飯、上段がおかずでキンメダイ照焼、かに風味コロッケ、タラノメやタケノコなどのかき揚げ、鶏の梅焼き、サトイモやニンジンなどの煮物、かまぼこと玉子焼、シュウマイ2個など。少々のチープ感があり、下段は梅干し嫌いでも問題なく食べられるほど梅の風味が薄いものであるが、花見の弁当にできそうな分量と彩りと風味があった。2014年にも売られたようだが、おそらく現存しない。
※2020年5月補訂:終売を追記小田原駅の春駅弁の、2006(平成18)年版。前年と比べて容器や掛紙は同じで、中身も間違い探しの範囲でしか異ならないが、なぜか値段は70円下がり、3桁に抑えられた。駅弁マークが掛紙ではなく食品表示ラベルに載るのは引き続きユニーク。小田原駅の橋上化後長らく、改札内コンコースでの駅弁販売は屋台だったが、今回訪問したら改札脇に立派な売店ができており、びっくりした。
小田原駅の春駅弁の、2005(平成17)年版。木目調正方形の容器に木目印刷の紙のふたをして、これを春色の掛紙で包んで桜色の紙ひもでしばる。中身は井形の仕切りの中央に桜御飯を詰め、その周囲にブリと菜の花、里芋などの煮物、玉子焼やエビフライなどを配置する。従来の季節駅弁より200円高いが、おかずの見栄えと分量と品質がそれ以上は向上し、しかし大きな食品表示ラベルで見栄えを落としている。
2004(平成16)年の春に発売された、新たな季節駅弁シリーズ。ふたの枠だけ経木でその他の部分はボール紙製の小判型容器をボール紙の枠で留める。中身は竹の子や椎茸などを散らした茶飯に、煮魚や煮物や玉子焼。以前からある季節の駅弁と比べて、同じ価格で同じ品質でも少量なのは寂しいが、一方でこれは少食な方にも季節駅弁を提供しようという駅弁屋さんの姿勢かもしれない。このシリーズはこの年限りか。
※2015年9月補訂:終売を追記小田原駅の春限定の駅弁。正方形の容器に桜色の掛紙をかけてピンク色の紙ひもでしばる、外見だけで春いっぱいの駅弁。中身はタケノコと油揚げの混ぜ御飯にサワラ・アジフライ・里芋などの煮物・菜の花和えなどと、桜色の衣を付けた海老団子。おかずに濃い味のものが少なく御飯が余りそうに見えて、飯だけで食が進み逆におかずを余してしまった。このシリーズも現存しないと思う。
※2015年9月補訂:終売を追記