東京駅から新幹線で3駅35分。小田原市は神奈川県の南西部で相模湾に面する人口約19万人の城下町かつ宿場町。関東地方の西の出入口として、戦国時代や江戸時代に歴史の舞台となった。駅弁は明治時代に国府津駅で創業した、東海道本線では最古の駅弁屋が健在だが、実態はJRや小田急の子会社が近隣のものを含めた駅弁を集めて売る。1920(大正9)年10月21日開業、神奈川県小田原市栄町1丁目。
2019(平成31)年に従来の駅弁「うな重」をリニューアル。小田原駅でなく東京駅で売られる駅弁かもしれない。白い紙に商品名を記す掛紙の絵柄は、リニューアル前に似る。中身は白飯を錦糸卵とうなぎ蒲焼で覆い、奈良漬と添え、タレと山椒を付けるもの。そんなシンプルさも従前とほぼ変わらず、なぜ駅弁の名前を変えたのか不思議なところ。価格は2019年時点で2,400円、2022年6月16日から2,700円。2023年8月限りで終売の予定。
※2023年8月補訂:終売予定を追記小田原駅のウナギ駅弁。長方形の容器に白御飯を詰め、ウナギの蒲焼きを2枚敷き、奈良漬2枚と「鈴勝蒲焼のたれ」を添える。中身はこれだけの、シンプルで潔い鰻重。掛紙の絵柄も白地に黒文字だけで、とてもシンプル。小田原駅よりむしろ東京駅で売られる駅弁。2019年に「うなぎ蒲焼弁当」2,400円へリニューアル、2022年6月16日から2,700円。
※2022年6月補訂:現況を追記2012(平成24)年の発売か。当時はウナギとアナゴの押寿司と高菜巻とシソ巻で、2014(平成26)年からこの姿になった模様。真っ黒なボール紙でふたをした細長い容器に、タレに染まる酢飯に薄いウナギ蒲焼を貼り付けたウナギ押寿司が6切れ分と、シソ巻が1個と、山椒味噌を詰める。ウナギの高騰で仕方がないのだが、味も香りも食感も感じられない少量が悲しい。2015年までの販売か。
※2020年5月補訂:終売を追記下記の駅弁「うなぎ弁当」の、2010(平成22)年時点での姿か。容器は5年前と同じままで、パッケージのデザインが変わり、中身はウナギ蒲焼が3切れから2切れに減り、大根漬物が桃色から黄色に変わり、価格が大きく上がった。
小田原駅弁のうなぎ弁当は現地では、6月から7月までの間を除き買えたためしがなく、しかしこの時点で東京駅の駅弁売店「駅弁屋旨囲門」では通年で販売する定番の商品になっている。中身は直球勝負、しかし今回の鰻は臭かった。資源の枯渇が深刻化する中、国産を偏重し過ぎるのも良くないのかと。なお、小田原駅のウナギ駅弁は、2015年時点で「うな重」(2,310円)になっている。
小田原駅で夏季限定のうなぎ駅弁の、2005(平成17)年版。風味や中身と価格は前年と同じで、パッケージは容器に紙のふたと大きく変わり、商品としての見栄えは向上したが、経木製容器が失われたのは残念だ。鰻蒲焼の大きさが昨年より小さく見えるのはロットの問題だと思うが、パッケージの写真ような巨大なものが載ることはないとも思う。
小田原駅で夏季限定のうなぎ駅弁。経木枠の長方形の容器に木版でふたをして、駅弁の名前と調製元社名を大きく記したシンプルな掛紙をかけて真っ白な紙ひもでしばる。中身は「鰻重」の一言、白御飯の上に関東風背開きの、香りと口当たりの良いふんわり鰻蒲焼がタレをまとい載るもの。庶民レベルの鰻重として最上位級の味で、東京から遠くないのに千円を切る価格がなかなか。
2004(平成16)年6月頃に発売の、新たな季節駅弁シリーズ。ふたの枠だけ経木でその他の部分はボール紙製の小判型容器をボール紙の枠で留める。中身はつまりウナギ弁当。写真のとおり、鰻重でもなく、ひつまぶしでもなく、分量をケチったと見られそうな鰻蒲焼の分量と配置は、稚魚不漁によるウナギ高騰の影響か。価格も前年より30円アップ。煮物も含めた品質は良かった。
1981(昭和56)年9月14日9時の調製と思われる、昔の小田原駅弁の掛紙。昭和時代は全国各地で、東海道本線や東海道新幹線の駅や車内では特に、ウナギの駅弁が盛んに売られ、人気を得ていた。