東京駅から東北新幹線はやぶさ号で約3時間。八戸市は青森県の南東端で太平洋に面する、人口約22万人の港町。かつて水揚げ日本一を誇った漁港と、県内一の工業地帯を誇る産業都市。駅弁は明治時代からの駅弁屋の駅弁が売られ、東京や北海道など東日本の各地でも盛んに売られる。1891(明治24)年9月1日開業、青森県八戸市尻内町。
1961(昭和36)年に八戸市役所が中心となったアイデアグループが開発した、新幹線延伸前の八戸駅で最も有名な駅弁で、デパートの駅弁大会でも客を呼べた逸品。民謡「八戸小唄」にちなんで三味線をイメージし、容器は三味線の胴を型取り、切り分け用の白いプラスティック製のへらは三味線の撥(ばち)をイメージ。内容はすしめしの上に分厚く脂の乗ったサバが4切れと鮭が2切れ載るもの。価格は2001年時点で1,050円、2006年時点で1,100円、2014年時点で1,150円、2019年時点で1,200円、2023年時点で1,280円。
※2023年7月補訂:値上げを追記2001(平成13)年6月29日に購入した、八戸駅弁のパッケージ。上記の2019年のものと、たいしてかわらない。この駅弁は長らく、「全国駅弁コンクール第一位」が売り文句であった。1967(昭和42)年に日本観光新聞社が主催した全国駅弁コンクールで第一位になったというもの。
2020(令和2)年12月に八戸駅や東京駅に出現した模様。発売の告知はされておらず、東北新幹線の新青森駅開業10周年でも記念したのだろうか。見た目は10年前の復刻版と同じなので、1960(昭和35)年の発売当時の姿をしているのだと思う。
三味線の胴には見えない、楕円形で市販品の木製エコ容器に、シートを敷いて酢飯を詰め、サバとサケの切り身の酢漬けで覆い、菊花とガリを添える。三味線のバチを模したプラ製ナイフや割りばしは、現行の八戸小唄寿司と同じ。掛紙の表面は、現行法令とQRコードと昭和時代のハイブリッドな絵柄となった。2022年10月には日本鉄道構内営業中央会の鉄道開業150年記念復刻駅弁企画により、同月から期間限定で販売された31社34駅弁のひとつとして、1,380円で11月まで売られた。
※2023年4月補訂:再販を追記2020(令和2)年秋の新作か。10月のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2020」にエントリー。正方形のしめ鯖と紅鮭と平目の押寿司を各2個、個別に包装して箱詰めし、中身の写真が美しい厚紙を巻く。八戸駅で約60年の歴史を刻んだ名物駅弁「八戸小唄寿司」から、八戸小唄の要素だった三味線の胴と撥(ばち)を廃して、便利で食べやすいものになった。味も脂やにおいが抑えられて、現代的あるいは都会的。価格は2020年の購入時で1,380円、2023年時点で1,450円。
※2023年7月補訂:値上げを追記2019(平成31)年2月までに発売か。八戸駅で半世紀の歴史を刻む、新幹線延伸前の名物駅弁「八戸小唄寿司」と同じ容器を、中身のイメージ写真を使うスリーブに収める。中身はその八戸小唄寿司から鮭を抜いて食用菊を加えたようなもので、酢飯をサバの切り身の酢締めで覆う。飯の上に折り重ねたサバがジューシーだった。年内までの販売か。
※2020年12月補訂:終売を追記1892(明治25)年創業の調製元の、創業123周年の記念商品として、2015(平成27)年7月までに発売か。八戸駅で伝統の駅弁「八戸小唄寿司」と同じ構造の容器と包装を使い、中身は酢飯の上にヒラメのスライスと鮭スライスを貼り付けたもの。
材料のせいか、時季のせいか、売場のせいか、魚はいずれも、見た目でも口の中でも無味無臭のペーストと化し、まったくうまくなし。これはどうしたものか。八戸小唄寿司の名声も今世紀に入り、2002年12月の東北新幹線の八戸駅までの延伸開業後に八戸駅弁の新作が激増した影響で、あまり聞かれなくなったと思う。1年間ほどの販売か。
※2017年5月補訂:終売を追記2010(平成22)年4月10,11日に東京駅構内で開催された「駅弁の日 東日本縦断駅弁大会(春)」で、八戸、一ノ関、山形、小田原、大船、千葉、高崎、新宿が出た8種類の復刻駅弁のうちのひとつ。1960(昭和35)年当時のレシピと掛紙を再現したという。
木目を印刷したボール紙製の楕円形の容器を、駅弁の名前や唄を印刷した掛紙で包み、ひもでしばってからビニール袋に入れる。中身は今のものと同じく、酢飯の上にサバとシャケを貼り付ける。加えてガリと食用菊を笹の模造葉の上に置いている。味も今の物と同じ。お値段はちょっと高め。
八戸駅の伝統の駅弁「八戸小唄寿司」の発売50周年を記念し、2008(平成20)年10月に発売。ということは八戸小唄寿司の発売開始は1958(昭和33)年ということか。昔から駅弁紹介本には上記のとおり、1961(昭和36)年と書いてあるのだが。
通常版と異なる押寿司タイプの容器を、通常版と構造は同じだけれどデザインがまるで違う、中身の写真を小さく載せた赤いボール紙製パッケージに詰める。中身はサバの棒寿司、サーモンの棒寿司、昆布のウニ入り棒寿司の詰合せ。通常版と同じバチと、通常版にない絵葉書状のカードが付いている。カードの絵柄は毎年が変わる旨の案内があるということは、これは記念作ではなく新商品なのかと。通常版も併売。しかしこれは1年間ほどで終売か。
1971(昭和46)年2月7日の調製と思われる、昔の八戸駅弁の掛紙。「唄に夜明けた かもめのみなと 船は出てゆく 南へ北へ さめの岬は 潮煙り」と続く八戸小唄の歌詞の一部が駅弁の名前で隠れ、その周囲の文字も八戸小唄の歌詞だろうか。この絵柄の掛紙が、上記のとおり21世紀になって何度か復刻されている。