東京駅から東北新幹線やまびこ号で約3時間。花巻市は岩手県の中西部に位置する、人口約9万人の城下町。花巻温泉や宮沢賢治で知られる。新幹線の駅の開業で、花巻駅の駅弁屋が進出したが、2018年1月に撤退し、今は盛岡駅などで売られる駅弁が売店に入荷する。1985(昭和60)年3月14日開業、岩手県花巻市矢沢第10地割。
盛岡駅から東北本線の電車で約40分。1982年に東北本線が開業する前は、東京と東北や北海道を結ぶ東北本線が釜石線を分岐する主要駅であり、急行列車や長距離列車が発着し、昭和時代より前から駅弁が売られた。駅弁は調製元の倒産で2018年1月に消えた。1890(明治23)年11月1日開業、岩手県花巻市駅前大通。
2022(令和4)年7月の発売か。釜石線の花巻駅と釜石駅を結ぶ観光列車「SL銀河」で、2019年度の運行開始に合わせ4月29日から車内限定で販売されるお弁当「SL銀河帆立おこわ弁当」の姉妹品として、「金時赤飯弁当」と合わせ3種類まとめて冷凍食品としてネット通販されるほか、予約により単品で新花巻駅の駅弁売り場でも買える商品。今回は盛岡駅で予約なしに、解凍されたものを買えた。
この冷凍食品は自然解凍で食べるものとされ、これに対応し長方形のプラ容器に掛紙を巻いた状態で透明な袋に密封する、駅で買える駅弁にない姿を持つ。赤い掛紙に記されたおしながきによる中身は、イーハトーヴの畑(五目おこわ)、金剛石(かち割大根わさび漬け、生姜甘酢ガリ)、どっどどどどうど豚肉玉ねぎ生姜焼き、銀河鉄道厚焼き玉子、風の又三郎(すり身海苔巻き紅生姜天ぷら)、山猫軒の旨煮。宮沢賢治の文学作品にちなんだように見えて、おしながきの表現を除きそうでもない。食べれば少し密度の高い、普通の駅弁、五目おこわ弁当で、冷凍食品のイメージは無い。調製元は釜石市内の餅屋兼仕出し弁当店。
2022(令和4)年7月の発売か。釜石線の花巻駅と釜石駅を結ぶ観光列車「SL銀河」で、2019年度の運行開始に合わせ4月29日から車内限定で販売されるお弁当「SL銀河帆立おこわ弁当」の姉妹品として、「五目おこわ弁当」と合わせ3種類まとめて冷凍食品としてネット通販されるほか、予約により単品で新花巻駅の駅弁売り場でも買える商品。今回は盛岡駅で予約なしに、解凍されたものを買えた。
この冷凍食品は自然解凍で食べるものとされ、これに対応し長方形のプラ容器に掛紙を巻いた状態で透明な袋に密封する、駅で買える駅弁にない姿を持つ。白い掛紙に記されたおしながきによる中身は、イーハトーヴの太陽(大正金時赤飯)、つめくさの灯り(紅白漬)、ドンブラゴッコぶりの照焼き、銀河鉄道厚焼き卵、クラムボン蟹豆腐つみれ天ぷら、ポラーノの旨煮。宮沢賢治の文学作品にちなんだように見えて、おしながきの表現を除きそうでもない。食べれば少し密度の高い、普通の駅弁、豆おこわ弁当で、冷凍食品のイメージは無い。調製元は釜石市内の餅屋兼仕出し弁当店。
2006(平成18)年に発売か。赤いトレーを接着した長方形の容器に透明なふたをして、商品名を書いたボール紙の帯を締める。中身は白御飯の上にソース漬けの紙カツで覆い、ゆで卵、菜の花、味噌ダイコンを添えるもの。紙カツの肉の薄さは千葉のトンカツ弁当を思わせるが、そこそこのジューシーさとサクサク感が飯にとても合う。最近の脂豊かな豚駅弁とは一線を画す、スッキリとした味。価格は2011年の購入時で1,000円、2017年時点で1,150円。調製元の事業停止により、2018(平成30)年1月16日から売られていない模様。
白金豚(はっきんとん)とは、岩手県花巻市の養豚業者である高源精麦が1997年から生産する豚肉のブランド名。宮沢賢治の作品からその名が採られたことが、この駅弁の帯にも書かれている。どのような特徴がある肉なのか分からないが、偽装品に注意を呼びかけるほどの実力があるようで、八戸の駅弁にもなっている。
※2018年1月補訂:終売を追記2006年の時点で、かなり最近に発売か。赤いトレーを枠に付けた簡素な容器に透明なフタをかけて、商品名と駅弁マークと調製元情報だけを描いた紙枠にはめる。中身は白御飯の上に少量の牛肉と、糸こんにゃくやゴボウに加えてエリンギやさやえんどうを載せて、鉄砲漬に加えて玉子焼とオレンジを添えるという、ちょっとユニークな構成の牛丼弁当。しかし商品の個性は無に近いので、花巻・新花巻駅弁の商品の幅を広げる程度の存在か。価格は2006年の購入時で850円、2010年時点で1,000円、2014年時点で1,050円、2016年時点で1,150円。調製元の事業停止により、2018(平成30)年1月16日から売られていない模様。
※2018年1月補訂:終売を追記こちらも宮沢賢治にちなんだ駅弁。長方形の容器に、おもちゃのようにシンプルな銀河鉄道SL列車を描いた掛紙をかける。中身は仕切りもなしに白御飯を敷いて、その上に帆立やアワビやいくらや椎茸などを無造作に載せる。あるいは帆立を中心に銀河を描いているのだろうか。価格は2004年の購入時で1,000円、2017年時点で1,150円。調製元の事業停止により、2018(平成30)年1月16日から売られていない模様。
※2018年1月補訂:終売を追記大仰な名前が付くが、つまり新花巻駅と花巻駅の幕の内駅弁。駅弁らしい大きさと形の容器に、賢治碑をのっぺらぼうに描いた掛紙をかけて紙ひもでしばる。中身は日の丸御飯にメンチカツ・エビフライ・肉団子・牛肉・玉子焼・焼マスなど。駅や町の規模に比べて、新花巻駅や花巻駅の駅弁は異様に種類が多いと思う。価格は2004年の購入時で820円、2017年時点で950円。調製元の事業停止により、2018(平成30)年1月16日から売られていない模様。
※2018年1月補訂:終売を追記新花巻駅の上等幕の内駅弁。正方形二段重ねの容器を白い掛紙で覆い桃色の紙ひもで締める。中身は下段が見事にシンプルな日の丸御飯。上段は鰻蒲焼・鶏唐揚2個に帆立、焼鮭にだし巻き卵や肉ロール蒸しに煮物類やオレンジなど。まるで昭和の昔の上等幕の内駅弁が、平成時代に生き残ってしまったような、古風な味わいか時代遅れか、今では紹介されにくそうな駅弁。分量はかなり多め。価格は2003年の購入時で1,120円、2017年時点で1,300円。調製元の事業停止により、2018(平成30)年1月16日から売られていない模様。
新花巻駅は在来線の駅が、東北本線ではなく釜石線に属する、並行する在来線の外に接続駅を設けた、新潟県の燕三条駅や、宮城県の古川駅と同じタイプ。そういう場合は将来を見越して、在来線駅も立派に作り替えるのが従来の常識であったが、ここでは在来線が棒線ホーム1本でコンコースを繋げてもらえない、山陽新幹線新岩国駅と旧国鉄岩日線御庄駅の関係のようなあっさりとしたスタイルで完成した。開業後20年弱を経た今もこの設備で、充分に間に合っている。
※2018年1月補訂:終売を追記新花巻駅で中等の幕の内駅弁。この名ではJR東日本の観光キャンペーン「LOOK EAST」のオリジナル駅弁131種類のひとつとして、1989(平成元)年3月に発売か。配色が昔風な大きな掛紙で長方形の容器をすっかり覆う。中身はやや味気ないトレーに入り、日の丸御飯にそれぞれ小柄な揚げ海老、鰻蒲焼、玉子焼、煮物、白身魚フライ、焼鮭など。都内はともかく東北でこの内容と価格では割高感があるので、駅弁の名前の解説か中身との関連が欲しかった。現存しない模様。
鹿踊り(ししおどり)とは、岩手県内各地に伝わる、村の平安を祈願し悪霊を追い払う行事を舞踊化したもの。花巻など岩手県南地域では、掛紙の絵のように角を生やし太鼓を持って、6〜8名で舞い踊る。宮沢賢治も詩に歌い、賢治が教壇に立った花巻農業高等学校には「鹿踊り部」があるという。
※2020年1月補訂:発売年を追記新花巻駅で並等の幕の内駅弁。ホカホカ弁当用の容器に日の丸御飯と焼売、ソーセージ、焼鱒、玉子焼、鳥手羽等のおかずを詰めてふたをして、花巻地域の各種ランドマークを描いた掛紙をかけて紙ひもでしばる。容器に水気を調整する機能がない分、製造後時間が経ち冷めると味が落ちるものの、価格を考えると内容は良心的に思える。添付の割り箸が約20センチと長いのも良い。現存しないのではないかと思う。
※2017年8月補訂:終売を追記売店では「ちらしずし」と案内されたもの。この頃の駅弁でも見なくなっていた、惣菜弁当用のビニール製容器に、鶏そぼろを混ぜた酢飯を敷いて、中心から紅生姜・錦糸卵・刻み椎茸・刻み海苔と載せる。工夫や飾り気のまったく感じられない駅弁であるが、口に含むと食感や香りに味が意外に心地よく、掛紙に紙ひもに袋入り割りばしと駅弁の体裁を守りながら、価格は2003年の購入時で破格の310円、2017年時点で420円。調製元の事業停止により、2018(平成30)年1月16日から売られていない模様。
新花巻駅は時刻表を眺める限り東北新幹線の主要駅とは言えないが、駅弁に関しては訪問時に10種類もの品揃えがあり、沿線では東京・上野・仙台・盛岡・八戸に次ぐ駅弁大駅のようだ。しかもこれらの駅には複数の駅弁業者が入るが、ここ新花巻駅は1社のみ。優等列車のなくなった花巻でも駅弁の販売を続けており、地方の駅弁が衰退する現状を思うと嬉しく思える。
※2018年1月補訂:終売を追記スーパーの惣菜容器に茶飯を敷き、鶏肉・玉子焼・椎茸・酢れんこん・ごま昆布と漬物を載せて、掛紙をかけて紙ひもでしばるだけの、特徴も飾り気もない単純なスタイル。駅弁マークが付いてこの安さで個々の食材の味も良く、特に脂肪分の少ない鶏肉はヘルシー、とても実用本位な駅弁。価格は2003年の購入時で460円、2014年時点で500円、2016年時点で600円。調製元の事業停止により、2018(平成30)年1月16日から売られていない模様。
新花巻駅は東北新幹線盛岡開業の約3年後に後付けされた駅で、待避線が省略されたローコストな駅。とはいえ国鉄時代の新幹線の駅なので、ホームと線路を覆う巨大な屋根と壁は、威圧感があるほど大きい。1990年の13両編成、1991年の16両編成列車の登場でホームを延伸した際には、在来線タイプの屋根が付け足されたため、そこにだけローカル感が出ている。
※2018年1月補訂:終売を追記入手状況等から1970年代のものと思われる、昔の花巻駅弁の掛紙。左端にディスカバー・ジャパンの県別マークと思われる記号があるので、1975年以降のものか。花巻駅弁の五目めしが400円なのは、1980年代かもしれない。現役の花巻駅弁「五目めし」とデザインがほぼ同じで、価格もほぼ変わっていないことに驚かされる。
2002(平成14)年の春頃に発売された、新花巻駅の大人の休日駅弁であるはず。正方形の容器に透明なふたをして掛紙をかけて紙ひもでしばる。中身は御飯の上に焼鮭とカニ蒲鉾と金婚漬が載るもの。金婚漬とは北上盆地江刺地方に古くから伝わる保存食で、くり抜いた瓜の中に人参・ゴボウ・シソの葉を昆布で巻いたものを詰めて味噌に数か月から数年漬けたもの。
味は良いが、外観も中身も高額高級な大人の休日駅弁らしくない。そこで掛紙を眺めると、大人の休日マークはシール張りで、「¥800」の値段と山形新幹線開業に伴う1992年7月から1995年3月までのJR東日本の観光キャンペーン「Bound for the Heartland,Japan.その先の日本へ。」のマークがシールで隠されている。となると、昔の駅弁を掛紙のデッドストックごと復活させたものか。現存しない模様。
※2017年8月補訂:終売を追記