東京駅から新幹線はやぶさ号で約100分。仙台市は宮城県の中央に位置する、人口約110万人の城下町で県庁所在地。豊かな植生で杜の都(もりのみやこ)と呼ばれる、東北地方の首都として君臨する大都会。駅弁は明治時代から売られ、戦後昭和から平成時代に3社が競う日本一の激戦区であったが、JR東日本の子会社が駅弁売店を独占した2010年代からは活気がない。1887(明治20)年12月15日開業、宮城県仙台市青葉区中央1丁目。
2018(平成30)年2月に仙台駅で発売か。白飯をタケノコ入りの鶏そぼろと鶏肉の酒粕味噌漬焼で覆い、はじかみで彩り、玉子焼、笹かまぼこ、紅大根を添える。御飯に宮城県産ひとめぼれを、肉に福島県の伊達物産のブランド鶏「伊達鶏」を使うという。食べれば普通の鶏飯駅弁も、その味は上質。価格は2018年の発売時や2019年の購入時で980円、2022年6月から1,080円。
※2022年11月補訂:値上げを追記2022(令和4)年10月22日に盛岡駅で購入した、仙台駅弁のスリーブ。絵柄も中身も、上記の2019年のものと、まったく同じ。シールによる調製年月日時表示がなくなり、消費期限のみになった。
青森県の東北本線野辺地駅で1952(昭和27)年に発売し、長らく名物の駅弁であった「とりめし」が、仙台駅の駅弁になったもの。かつての調製元である伯養軒が、仙台や盛岡や野辺地や青森に支店を持ち、それぞれで違う名前や意匠で同じような鶏飯駅弁を販売していたものを、おそらく2015(平成27)年に仙台駅と青森駅(盛岡駅でも販売)でブランドを同じくしたとみられる。
菱形の容器に茶飯を詰め、卵そぼろと、グリーンピースをまぶした黒い鶏そぼろで覆い、鶏照焼スライスを並べ、刻みシイタケ煮を載せて、柴漬けを添える。この見た目と内容は、野辺地駅の名物駅弁であった「とりめし」と同じ。そのため、駅弁の名前に「野辺地」とある。というか、2010年代に追加された。価格は2015年の購入時で800円、2022年5月から900円。
※2022年11月補訂:値上げを追記菱形の容器に掛紙代わりの紙のふたをかけて輪ゴムでしばる。中身は茶飯の上に鶏そぼろや錦糸卵を敷き鶏照焼をたっぷり載せる、駅弁の名前どおりの鶏飯。国鉄時代に有名だった青森県野辺地駅のとりめしと中身が同じなのではと思うが、仙台も野辺地も同じ伯養軒なので良いのだろう。味もとても良い。
この紙のふたのデザインは2003年12月20日に、文字にニワトリをイメージした仙台市内の専門学校の学生の作品に変更した。しかしその紙のふたにでかでかと食品表示ラベルを貼るのはいただけない。食品表示の強化により、仙台に限らず全国的にそんな傾向にあり、せっかくの意匠が泣いていると思う。少なくとも2009年までは、このデザインのふたで販売された模様。2015年時点で上記の「野辺地とりめし」として売られていると思われる。
※2016年2月補訂:現況を追記仙台駅の鶏飯駅弁の、日本レストランエンタプライズ(NRE)版。各地の駅弁でよく使われる長方形のプラ容器に、白飯を詰め、辛めの鶏そぼろ、軟らか鶏つくね団子、しっかり鶏照焼と三種の鶏で覆い、煮物などを付け合わせる。内容に仙台駅との関わりは現在も今後も薄そうだが、機能本位で風味も分量も価格も申し分なく、地元業者を駆逐しない範囲で売れて良いと思う。今はこの姿では存在しないと思われる。
2005(平成17)年4月4日に発売。長方形の黒い容器を、鶏炭火網焼を思わせる写真を載せたボール紙の枠にはめる。中身は白御飯の上に鶏そぼろ、卵そぼろ、炭火であぶり焼きにしたという柚子風味な宮城県産「みちのく鶏」3切れ、タケノコなどを載せ、うぐいす豆、大根浅漬け、玉子焼、蒲鉾を添える。
この種の駅弁は各地でいくつも見た気がするが、こちらは鶏肉の締まりの良さと、玉子そぼろの手作り感で上位レベル。仙台駅弁は鶏もうまい。付合せの見栄えと内容をもう一段上げれば、なおよい。2009年頃までの販売か。
パッケージ側面に解説がある「みちのく鶏」。宮城県の平成ファーム宮城事業所が生んだ銘柄鶏を、2001年親会社の丸紅畜産が会社ごと吸収、そしてその主要顧客の生活協同組合が同社了解のもと、同じレベルの他社品もこれを名乗らせている模様。宮城の鶏なのに岩手産や青森産があるのはそのため。カボチャやスイカズラを食べさせていることよりはむしろ、安全や安心にかなり気を配っていることを売りにする。
※2016年2月補訂:終売を追記強度がなく貧弱なプラ容器を、駅弁の名前を書いて鶏がピースをするボール紙の枠をはめる。中身は白御飯の上に、鶏照焼と鶏唐揚その他を載せた、シンプルなもの。見た目に仙台を感じる点はないが、駅弁ファンなら味で仙台駅弁と分かるかもしれない、こんな傍流の商品でも高品質を保つのはさすが。過去には「わかとり弁当」を名乗っていたそうな。2014年頃までの販売か。
※2016年10月補訂:終売を追記1972(昭和47)年12月12日6時の調製と思われる、昔の仙台駅弁の掛紙。聞き慣れないし現存しない駅弁の名前で、御飯の上に鶏肉と椎茸でも載せていたのだろうか。
1960年代、昭和40年代のものと思われる、昔の仙台駅弁の掛紙。平成時代まで販売が続いたロングセラーだが、当時とその後で駅弁の名前が「わかとり」「わかどり」と1文字違う。