浅草駅から特急列車で2時間弱。2006年に5市町村の合併で日光市に吸収されるまで単独で市制を敷いた今市市は、日光から2里8kmほど南東の坂下にある宿場町。江戸時代まで日光へ向かう各街道と会津西街道が集まり、昭和時代からは現在の東武日光線が東武鬼怒川線を分岐する市街を持つ。下今市駅には駅弁があり、2015年まで全国の私鉄(国鉄やその後身でない鉄道)で最後となる立ち売りが残ったが、2019年からは東武日光駅と同じ駅弁がホーム上の売店に入荷。1929(昭和4)年7月7日開業、栃木県日光市今市。
東武鉄道のSL列車「SL大樹」の運行開始に合わせて、2017(平成29)年8月に発売。とはいえ、容器と価格は下記の駅弁「日光まるごと味の弁当」と同じで、中身もほとんど同じ。9区画に日の丸御飯、茶飯、そぼろ御飯で3種の御飯と、湯波(ゆば)、鶏照焼とオレンジ、タケノコとニンジンとインゲンの煮物と玉子焼、焼鮭と山菜とこんにゃく、きんぴらごぼうと大根桜漬、エビフライ。掛紙はSL大樹の写真と路線図、駅弁の名前にはかつての駅弁立売の名を入れた。東武日光駅と下今市駅の売店で売られた。2019年までの販売か。
※2021年3月補訂:終売を追記JR東日本・東武鉄道特急列車直通運転一周年記念弁当として、2007(平成19)年3月18日から6月30日まで販売された期間限定駅弁で、このとおりその後も販売が続く。掛紙の絵柄は日光と新宿の風景と、東武特急スペーシアと、かつては「元気です!!日光」の文字の場所にJR特急電車が掲載されていた。
9区画の中身は、日の丸御飯、茶飯、そぼろ御飯で3種の御飯と、湯波(ゆば)、鶏照焼、タケノコとニンジンの煮物と玉子焼、焼鮭と山菜、きんぴらごぼう、ヤマイモの磯部揚とコンニャクなど。
味は可もなく不可もなし。下今市駅でもその一部が買える東武日光駅の駅弁のほうが、見栄えや味や内容が良いと思う。しかしこの駅弁は引き続き、関東地方で唯一、私鉄では全国で唯一の、立ち売りによる販売でのみ買えるという、希少な販売風景とともに味わう駅弁であった。訪問日はこの駅弁1種のみを、ホーム上で立ち売りしていた。2015年8月に立売が引退した後は、売店や東武日光駅で売られる。2019年8月までに上記の駅弁「SL大樹懐かしの下今市立ち売り弁当」へリニューアルか。
※2018年8月補訂:終売を追記東武日光線下今市駅のホーム上で立ち売りされた幕の内弁当。発泡材枠トレー接着の正方形の容器に透明なふたと白い掛紙をかけてビニールひもでしばる。中身はコシヒカリの日の丸御飯にエビフライ・焼き魚・玉子焼・タケノコ・焼売・肉団子・蒲鉾と湯葉など。
私鉄駅に、それも立売で駅弁が存在するなど、それだけで貴重な存在。中身も湯葉で日光に近いことをアピールするものの、湯葉を除く御飯もおかずも見栄えや味が、まさに日光の手前(今市=いまいち)で、期待しすぎてはいけない感じ。2011年頃までの販売か。
※2017年10月補訂:終売を追記東武日光線下今市駅のホーム上で立ち売りされた鶏飯駅弁。発泡材枠トレー接着の長方形の容器に透明なふたと薄黄色の掛紙をかけてビニールひもでしばる。御飯の半分はタケノコやたっぷりの鶏そぼろと錦糸卵を載せた白御飯、半分は山菜や栗を載せたおこわ茶飯で、その境界線上に風味が素朴に良い鶏照焼が3切れ載っていた。湯葉は銀色カップに入り添えられる。ただの鶏飯駅弁と思って買ったら大間違い、こんな小さな容器の中にいくつもの世界を持ち、海外の観光客に日本独特の駅弁文化をアピールする実力を備えると思う。
駅弁の権威は口を揃えて、幕の内弁当を食べれば駅弁屋の腕が分かると言い、確かに得てしてそのとおりなのだが、下今市では三流の幕の内と一流の鶏飯という組み合わせでこれに当てはまらない。ただ、販売人の接客姿勢は鶏飯より幕の内に近かったので、不振にあえぐ日光や鬼怒川の観光振興策の一環として良い方向へ向かえばいいなと感じた。2011年頃までの販売か。
※2017年10月補訂:終売を追記