東京駅から東北新幹線で約50分。宇都宮市は栃木県の中央に位置する、人口約52万人の城下町で県庁所在地。工業都市として栄えるほか、二荒山神社の門前町や、餃子の町としても知られる。駅弁は明治時代から一貫して健在。駅弁の発祥地はここだという説がある。1885(明治18)年7月16日開業、栃木県宇都宮市川向町。
2002(平成14)年に発売。東京駅で2,200円、横浜駅で1,500円、高崎駅で1,000円した大人の休日駅弁は、ここではたった800円で設定された。後に「大人の休日」キャンペーンが、JRグループ「ジパング倶楽部」のJR東日本版「大人の休日倶楽部」に様変わりしたことによるものか、掛紙のデザインを変えている。
黒く細長い容器を、セピア色の掛紙と紫色の輪ゴムで固定。中身は鶏の肉団子と鶏カツに、人参や里芋などの煮物、そして真ん中の竹皮を開くと、戦後長い間駅弁の元祖と信じられてきた明治18年7月発売の宇都宮駅弁を意識したと思われる、楊枝に刺さった小茄子のたまり漬に、ごまと梅の握り飯がひとつずつ登場する。
駅弁発祥地宇都宮駅説は、江戸風俗と駅弁に詳しい林順信氏の調査により否定され、そのため7月の駅弁記念日が4月の駅弁の日に変更されたのだが、この駅弁の掛紙には「駅弁発祥地より」と朱書きされている。大人の休日駅弁に必ず付くおしながきにもその解説が記されている。さらに宇都宮駅で初めて駅弁を販売した業者はすでに駅弁販売から撤退済み。
ということで、この駅弁の能書きには怪しい点が見られるが、味はさすがの宇都宮駅弁で素晴らしい。特に栃木産ひな鶏使用のぷりぷりした「ひなかつ」こと鶏カツはここだけのものか。
※2017年10月補訂:写真を更新2014(平成26)年8月3日6時の調製である、宇都宮駅弁の掛紙。中身と価格は、上や下の「汽車辨當」と同じ。4年前と比べて掛紙の絵柄が立派になり、3年後と同じものになった。消費期限や製造者を記したシールの書式が、なぜか過去や未来と異なる。
2010(平成22)年12月17日に購入した、宇都宮駅弁の掛紙。駅弁の名前が、少し長くなった。カラーコピーを繰り返した結果か、印刷が不鮮明になっているうえ、デザインもよろしくない。一方で裏面には解説文が登場。中身と価格は同じ。
2006年9月1日15時の調製である、宇都宮駅弁の掛紙。この当時や発売時は、しっかり印刷をかけていた。ただし裏面には何も書かれていない。
※2011年8月補訂:写真の削除と解説文の簡略化2022(令和4)年10月1日に宇都宮駅と大宮駅と東京駅で発売、11月30日まで販売。日本鉄道構内営業中央会の鉄道開業150年記念復刻駅弁企画により、同月から期間限定で販売された31社34駅弁のひとつ。さらにこの期間のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2022」にエントリー。駅弁発祥地宇都宮説に基づくおにぎり弁当の内容と、復刻に相当する昔の掛け紙デザインを取り入れた。
中身はまったくの新作。中身の半分は、うるち米と餅米の玄米に大豆を混ぜた味噌炙りおにぎりと、岩下の新生姜とプレミアムヤシオマスを刻んで高菜で巻いたおにぎりと、たくあんを竹皮で巻いたおにぎり弁当。半分はおかずで、牛肉とごぼうのうま煮、プレミアムヤシオマスの柚庵焼き、ナスときのこの煮物、白いかんぴょう、ゆば巻き、れんこん、玉子焼きなど。栃木で固めた重厚感。渋い顔をした1,500円。
2017年秋のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2017」へのエントリーに合わせ、同年10月から11月まで販売。駅弁発祥宇都宮説に基づく復刻駅弁は、下記のとおり過去に何度か販売されているが、回を重ねる毎にパワーアップし、今回はついに箱入りとなった。
竹皮編み柄のボール紙製容器を、やはり竹の皮の絵柄を持つ掛紙で巻く。中身は梅干しの大きな握り飯がふたつと、タクアン、かまぼこ、エビ唐揚、鶏照焼、玉子焼、ゼンマイ煮、小茄子漬、ニンジン煮。価格を500円で据え置き、付合せの種類が激増したが、握り飯のおかずにできるほどの分量まではない。
JR東日本大宮支社の、宇都宮線(東北本線)大宮駅・宇都宮駅開業130周年のイベントに合わせて、2015(平成27)年7月18日から20日までの3日間、一日30個が販売された記念駅弁。駅弁発祥宇都宮説に基づき、握り飯2個とタクアンを竹の皮に包んだ。
今の駅弁やコンビニおにぎりにない巨大な梅干しおにぎりで、一個150グラムの白飯を延々と食べさせる商品であったが、今回初めて、宇都宮駅の茶飯や玄米や古代米でない白飯をうまいと感じた。写真には写さなかったが、ポリ茶瓶をひとつ添付し500円。イベントの記念列車の発着に合わせて、約10年ぶりとなる駅弁の立ち売りも実施されたそうな。
上記の記念駅弁「汽車辨當」を、早くも翌年1月の京王百貨店の駅弁大会で復刻販売。梅干しおにぎり2個とタクアン2切れを竹皮で巻く姿は同じで、掛紙を変え、しおりを省き、値段は50円のダウン。今回の白飯は、輸送販売であるからか、うまくなかった。
1982(昭和57)年9月11日11時の調製と思われる、昔の宇都宮駅の駅弁屋の掛紙。銀輪号とは、当時の東北本線で何度か運転された、電気機関車が客車を牽引する団体貸切列車だったらしい。値段の5銭はおそらく駅弁発祥宇都宮説によるもので、まさかこの値段で売られたものではないだろう。団体客向けの仕出し弁当と思われる。