大阪駅から特急列車で約2時間。鯖江市は福井県の中部に位置する人口約7万の門前町で、メガネフレームの国内生産を独占することで知られる。駅弁は過去にも公式にも存在しないが、駅のコンビニ(2024年1月閉店)で北陸本線の駅弁の一部が買えたほか、スーパーやデパートの駅弁催事で鯖江駅の駅弁と称する弁当が売られた。1896(明治29)年7月15日開業、福井県鯖江市日の出町。
鯖江駅のコンビニで買えたお弁当。丸い容器に酢飯を詰め、カニのほぐし身で覆い、数本のカニ脚とイクラ醤油漬で彩り、ガリを添える。デパートの北海道物産展で買えるような、属地不詳な商品。駅で買えた弁当に、そんな感想を思うのは、ここのこれらの商品は、全国各地の駅弁催事で、その時々に様々な駅や空港や地域や肩書きを名乗って売られるからである。
鯖江駅のコンビニで買えた商品。その名のとおりの柿の葉寿司で、マスと〆鯖と焼鯖が2つずつ、酢飯と合わせて柿の葉で巻かれ、白いトレーに並べられ、竹皮柄のボール紙箱に収められ、掛紙を巻かれる。これは、福井県の鯖江あるいは小浜の商品というよりはむしろ、東京都内と商業施設の催事場とネットショッピングで売られるナショナルブランド。福井県内では主に、道の駅や高速道路で売られる模様。
2007(平成19)年の秋頃に催事場で現れた、鯖江駅弁を名乗るおそらく史上初のお弁当。コンビニ軽食弁当並みに小柄な容器に透明なふたをして、商品名や中身と調製元の写真に催事屋製「駅弁の達人」マークや、「こだわり」「感動の」などの煽り文句を付けたボール紙の枠にはめる。
中身は白御飯の上に牛そぼろと牛ステーキ3切れを載せて、蒲鉾、玉子焼、柴漬けを添えた牛丼。ぱさついた感じの牛肉の風味は可もなく不可もなし。分量を考えるとえらく高価だが、5段階中上位2段階以上の若狭牛を使っているとは書かれている。
調製元はもともと福井県鯖江市の左官タイル業者。1995年頃に資材置き場をカラオケ店に転換したら大当たりし、ブームが去ると日本料理屋に転換したら土産物の焼き鯖寿司が空弁ブームによる知名度向上で空港や百貨店への販路に乗り、おそらくその縁で催事場、空弁、速弁へ進出、そして駅弁までも出したようだ。
この商品は鯖江駅のキヨスクで販売されているそうだが、2008年5月現在で時刻表や鉄道会社や駅弁業界や地元そして調製元公式サイトからも駅弁としての紹介はなく、BIGLOBEトラベル「全国駅弁ガイド」とジャパンフーズシステムの催事対応駅弁紹介が、唯二の紹介例である模様。阪神百貨店の駅弁大会でも、大阪の空弁屋と紹介されるブースで焼き鯖寿司の陰に隠れて売られていた。
後に2008年7月19日放送にテレビ朝日で放送されたテレビ番組「教科書に載らない!超ゲンダイ史」で全国2位のオススメ駅弁と紹介されたり、駅のキヨスクでの販売が度々目撃されたり、京王百貨店駅弁大会にも出てきたりしている。2011年頃までの販売か。
※2017年5月補訂:終売を追記