新宿駅から中央本線の特急列車で約2時間。北杜市(ほくとし)は山梨県の北西端を占める、人口約4万人の市。甲斐駒ヶ岳や八ヶ岳や金峰山や茅ヶ岳に囲まれた高原に、農地が広がり、山や緑に観光客が来る。駅弁は大正時代から売られ、平成時代に売店へ「小淵沢駅の名物は駅弁です」と掲示するほどの名物となった。1894(明治27)年12月21日開業、山梨県北杜市小淵沢町。
2021(令和3)年3月27日に小淵沢、甲府、新宿、東京の各駅で発売。調製元とJR東日本八王子支社とのコラボで、ワイン県やまなしの魅力を発信するため、調製元がワインに合う駅弁をテーマに企画し、商品作りに甲府エリアのJR社員アンケートを生かしたという。食材や料理が列車内で乾杯する掛紙のイラストは、北杜市の堀内麻実氏と絵本作家のこいでなつこ氏によるもの。9区画の中身は、カツサンド、牛焼肉、ほうとうグラタン、鶏照焼、サーモンマリネ、チーズケーキとレーズンパン、鳥もつ煮、アヒージョ、ドライフルーツとチョコレート。ワインも御飯も入らない、なかなか奇抜なおつまみ。
2010(平成22)年9月15日の発売は、同年10月から12月までのJRグループの観光キャンペーン「信州デスティネーションキャンペーン」や、2010〜2011年の駅弁大会シーズンに向けた投入か。電子部品でも入っていそうな独特な形状の薄いプラ製容器を使用、透明なふたの中に掛紙や割りばしやおしぼりを詰める。
中身はイヅツワイン「信州紀行」の赤ワインのミニボトル1本に、笹巻きサーモン押寿司、丸めたハムチーズサンド、レーズンレパン、野菜のキッシュ、豚肉串団子、野菜アンチョビマヨネーズ。これは下記のワイン入り駅弁「甲州ワインランチ」の生まれ変わりなのだろうか。とすれば価格が700円下がり、中身は軽食に変貌。しかし笹寿司と野菜スティックがあり得ないほど酸っぱいことだけが印象に残った。2011年に終売か。
※2015年9月補訂:終売を追記2008(平成20)年11月5日の発売は、京王百貨店の駅弁大会または駅弁大会シーズンに向けたものか。2009年1月の京王百貨店の駅弁大会では酒入り駅弁特集で輸送駅弁コーナーに積まれたが、現地では前日16時までの要予約駅弁。
トレー入り容器とワインの小瓶1本を詰めたボール紙の容器には、駅弁の名前に加えて卵殻モザイク画が印刷される。中身はアワビ煮貝の押寿司、紅マス押寿司、古代米の細巻が御飯として入る他は、甲州ワインビーフのサイコロステーキ、スパニッシュオムレツ、レーズンパン、スイートピクルスなどのサラダ、ヤマイモにブロッコリーなど。これに「中央線オリジナルワイン 甲斐のしずく」180ml瓶とプラ製カップが付いてくる。ワインは予約時のリクエストで赤ワインへ変更可能。
ワインに合いそうなおかずを添えた中身の選定や見栄えや味は妙に洗練されている。1982(昭和57)年の塩尻駅「ワインランチ」を発祥とするワイン入り駅弁は、各地でなにかと入手難となっているため、後発でもガンガン売って駅弁の魅力を発信してもらいたいもの。なお、山梨県内では駅や道路の観光売店でワインの大瓶や小瓶を気軽に買えるため、駅弁にわざわざワインをセットする必要があるかといえば、そうではないかもしれない。2010年に終売か。2013年1月の京王百貨店の駅弁大会に、ひょっこり出てきた。
※2015年9月補訂:終売を追記