名古屋駅から特急列車「ひだ」で約2時間半。高山市は岐阜県の北部を占める、人口約8万人の天領。重要伝統的建造物群保存地区に選定された古い町並みで飛騨の小京都と呼ばれ、乗鞍や穂高などの山岳への玄関口でもあり、年に約400万人の観光客が訪れる。駅弁は駅の開業時からあり、現在は改札脇の待合室に専用売店がある。1934(昭和9)年10月25日開業、岐阜県高山市昭和町1丁目。
飛騨高山の古い町並と、駅弁の中身をイラストで描いたボール紙の箱に、平たい具と酢飯を朴葉(ほうば)に包んだほうば寿司が、3個収まる。具はサケと小鯛、アナゴ、海老とマツタケ。3個まるごと「真空パック」にしており、これで消費期限が翌日昼までという、持ち歩きに便利な商品になったが、一方でこの包装により、手触りも風味も食感もべちゃっとなり、葉の香りは消えてしまった。価格は2002年時点で1,260円、2014年4月の消費税率改定で1,300円、2023年時点で1,400円、2024年時点で1,500円。
朴葉を使う料理は、飛騨国や高山地方の郷土料理。ホオノキの葉には殺菌作用があるため、寿司や餅を包めば保存が利く。枯れ葉になっても厚みと強度があるため、具を載せて火にかけて焼くと香りや味わいが出てくる。紙製やプラ製の工業製品が普及していない時代に、食器や包装材として重宝されたそうな。
※2024年9月補訂:値上げを追記上記の高山駅の駅弁「三色ほうば寿司」の、2002(平成14)年時点での姿。中身は変わらず、価格もほぼ据え置きだが、当時は真空パックでなかったため、朴(ほう)の葉がみずみずしく、寿司の香りと口当たりが抜群であっった。容器に描かれた中身の日本画は、新しい絵柄のパッケージにも引き継がれている。
※2017年4月補訂:新版の収蔵で解説文を手直しスーパーで肉や魚を入れるようなトレーに、酢飯にぷりっぷりの鯖を載せ朴葉で巻いた棒寿司を、ラップで巻いてさらにトレーごとラップで巻いて、光沢カラー印刷の美しいボール紙製パッケージに収める、お土産系の駅弁。価格は高いが、それだけの量と味を備えていると思う。出張実演販売にも力が入る商品で、その場合は写真のようにスライスしてあり食べやすい。価格は2002年の購入時で1,500円、2011年時点で1,800円、2015年時点で1,850円、2022年時点で1,900円、2023年時点で2,000円、2024年時点で2,500円。
※2024年9月補訂:値上げを追記2014(平成26)年1月の京王百貨店の駅弁大会で販売された復刻駅弁。昔ながらの経木折に、戦前の駅弁掛紙の絵柄を取り入れた掛紙で包む。中身と価格は、上記の駅弁「三色ほうば寿司」と同じ。真空パック入りであることも同じなので、経木折を使う意義がない。高山駅の昔の駅弁掛紙は、美しいものが多いと思う。
2006(平成18)年10月のリニューアル。飛騨コンロを模した、漢文のようで平仮名混じりの文字を埋める側面デザインの、四角形の加熱機能付き容器を使う。中身は白御飯の上にほう葉を敷いて味噌を塗り、その上に飛騨牛ローストビーフ、ネギ、タケノコ、ゴボウなどを載せるとともに、椎茸やアンズやがんもどきなどを添える。
外観の見栄えや中身の構成に完成度は高い。しかし大規模催事での大量実演販売がたたったか、ほうばその他の香りは薄く、白御飯は無風味でべちゃべちゃ。それに中身が添付のイメージ写真とかなり異なる。現地ではどうだろうか。価格は購入時で1,050円、2015年時点で1,150円。2015年か2017年頃までの販売か。
※2022年4月補訂:終売を追記