名古屋駅から近鉄特急またはJR快速列車「みえ」で1時間強。松阪市は三重県中部で伊勢湾に面した、人口約16万人の城下町。かつて商業で栄えた、日本一の銘柄牛「松阪牛」の主要産地として名高い工業都市。駅弁は1895(明治28)年創業の駅弁屋が、主に牛肉のものを販売。1893(明治26)年12月31日開業、三重県松阪市京町。
2007(平成19)年10月14日の発売。長方形の加熱機能付き容器を、駅弁の名前と昔の松阪駅の写真などを掲載したボール紙の枠にはめる。中身は白御飯の上に120グラムの牛すき焼き肉を詰め、椎茸や青菜なども載せ、南高梅や牛そぼろなどを添えて、黒胡椒を添える牛丼弁当。
その牛肉が松阪牛であり、その証明書のコピーを添付する。分量も十分な牛肉の、特に脂身のうまさは確かなブランド牛。口の中に広がる風味にため息が出る。現地では前日までの予約制だが、2008年1月の京王と阪神の駅弁大会では無予約で買えた。価格は発売時や2008年の購入時で3,150円、2014年時点で3,300円、2020年時点で3,800円。
※2020年12月補訂:値上げを追記2011(平成23)年までに発売か。見た目は上記の駅弁「匠の技松阪牛物語」と、まったく同じ。違いは、スリーブに「極み」の文字のシールを貼ることと、牛すき焼きをもも肉からロース肉に格上げすること。加熱機能付き容器で列車内でも暖めて、松阪牛の柔らかさをたっぷり味わえる。価格は2011年当時で4,200円、2014年時点で4,400円、2020年時点で5,000円。
2015(平成27)年10月1日の発売。駅弁の名前に、松阪の名物が3つ並ぶ。長方形の加熱機能付き容器に白御飯を詰め、松阪肉赤ワイン風味すき焼きで覆い、桜花で彩り、煮汁、うぐいす豆、しば漬けを添える。本居宣長はキャラクターと解説文で、松阪もめんはコースター大の絵柄としてそれぞれパッケージに描かれる。調製元の創業120周年と駅弁誕生130周年を記念するとも書いてある。
価格は普通の牛肉駅弁や松阪駅の元祖特撰牛肉弁当の倍以上。その値段の主因と思われる肉について、松阪牛証明書のコピーが付く。薄くて柔らかくたっぷりで、ここではブランド牛にありがちな霜降りや脂身が強すぎることもなく、弁当で贅沢な味わいを感じられた。価格は発売時で2,900円、2020年時点で3,100円。
※2020年12月補訂:値上げを追記2006(平成18)年に2,100円で発売。同年中に2,630円と3,150円の2種類となり、翌2007(平成29)年に5,250円のものを追加、2014(平成26)年までに3,300円と5,500円、2020(令和2)年までに4,000円と6,000円のものに、どんどん高級、高額化した、予約限定の駅弁。
中身は俵飯と、松阪牛の焼肉と、多種のおかず。こちらのお肉は、元祖特撰牛肉弁当タイプの牛ロース焼肉。おかずの内容は一定しないようだが、今回はエビフライ、鶏唐揚、かぼちゃ、草団子、シャインマスカットなどが入っていた。
2006(平成18)年の発売。見た目と予約販売は、上記の駅弁「牛肉弁当御膳」と、まったく同じ。違いは松阪牛の焼肉が牛ヒレ焼肉になること。加えておかずも、海老真丈揚げや海老団子、鴨チーズ、笹餅、シャインマスカット2個などと、同時に購入した4,000円のものより、高級なものになっていた。両者まとめての注文は、ほとんどないらしい。
2000(平成12)年頃に発売された、日本最高額駅弁。A3サイズの特大容器を、これまた特大の赤い掛紙で包みビニールひもでしばる。中身は日本最高級で通る松阪牛の中でも15段階中最高評価の「A−5」ランクのヒレ肉に金箔を降りたっぷり詰め、俵飯は桜花や南高梅などで個々にトッピング、おかずも太めの伊勢湾産有頭車海老や三重県宮川産鮎甘露煮や有機野菜など地元の食材を詰める。調製時に入手できた季節物も加わることがあり、購入時には熊野灘のイカと伊勢若松のうざくが入った。
メインの牛肉は、口に含むとタレの味が強いのではと感じるものの、少し噛むとそれがすっと引き、体温で熔けた肉の脂身の香りが口内に広がり、もう少し噛むとそれも消えて赤身の牛肉らしい濃厚な風味が支配する。
これだけ高額な駅弁には賛否があると思われるが、地元でもなかなか入手できないという最高ランクの松阪牛を味わえる機会を持てるだけでも希少価値が高いと感じる。一週間前までに予約が必要だが、ひとつから注文可能。テレビや雑誌で何度も紹介される有名な駅弁で、放送や放映の後には駅弁屋さんに問い合わせが多いとか。「松阪牛ヒレ牛肉弁当」5,250円も要予約。
なお、2015年の時点でこの駅弁は、調製元のホームページから削除されている。2014年4月の消費税率改定の前に、販売を終えた可能性があると思う。
※2015年8月補訂:現況の推測を追記