京阪電車の三条駅で売られるお弁当。中身は俵型の御飯に、焼鮭、かまぼこ、玉子焼と、メンチカツ、タケノコ煮、高野豆腐、フキ煮、サトイモ煮、柴漬け、煮豆など。売り場は駅のコンビニ「アンスリー」。出町柳駅でも買えると聞く。この弁当の調製元は、長らくJR京都駅の駅弁屋であった。
コンビニで売られる弁当なのに、掛紙の絵柄も、中身の見栄えも内容も、経木折に掛紙をかけて、ひもで十字にしばる姿も、すべてが半世紀くらい前の幕の内駅弁ないし折詰の姿を残す。貴重な文化遺産と言ってもよい。幕の内駅弁と考えれば、日本一安いと思う。2019年12月に三条駅と出町柳駅の駅売店「アンスリー」での取り扱いが終わってしまい、この弁当を買うことができなくなった。
※2020年5月補訂:終売を追記これは駅弁でなく、コンビニ弁当。ファストフード向けの容器に、白飯を詰め、海苔で覆い、鶏肉の竜田揚、白身魚フライ、ちくわの磯辺天、玉子焼、きんぴらごぼう、高菜の醤油漬で覆い、タルタルソースを添える。値段も内容も味も、持ち帰り弁当チェーン風の海苔弁当でいて、中身が見えない容器に掛紙を巻く、駅弁のような姿も備える。
販売店のアンスリーは、京阪電車と南海電車の駅のコンビニ。調製元は京都駅や新大阪駅に駅弁のような弁当を卸しており、掛紙にその名を記す販売元は上記の古風な幕の内弁当を駅売りしていた。これも三条駅や出町柳駅で売れば、京都の駅弁として見てもらえるかもしれない。
おそらく1920年代、大正時代末期か昭和時代初期のものと思われる、昔の木津駅弁の掛紙。名刺サイズほどの大きさしかない、とても小さな掛紙。この頃の木津駅では阪田嘉蔵と藤井竹松が構内営業を手掛け、公式な駅弁販売駅であり、おそらく第二次大戦で終売の模様。
京都駅から特急列車「はしだて」で2時間強。その名のとおり、著名な観光地である天橋立の近くにあり、駅から歩いてその砂州まで行ける。駅弁は1970年代から1990年代まで、西舞鶴駅の駅弁が売られた。以後に公式な駅弁の販売はないが、観光列車「丹後あかまつ号、丹後あおまつ号」乗客限定で駅で受け取れる予約制の「えきべん」があるほか、駅の売店で駅弁のような惣菜が売られる。1925(大正14)年7月31日開業、京都府宮津市字文珠。
天橋立駅の売店で買えた惣菜。商品名のとおり、酢飯に焼きサバを貼り合わせた棒寿司が1本、フィルム包装で密封され、青い紙箱に収まる。値段も分量もコンパクトな、普通においしい焼きサバ寿司。駅では茶色い箱の「牛肉いなり寿司」(920円)と、黄色い箱の「丹後ばら寿司いなり」(830円)も販売するらしいが、いずれも駅弁と名乗ったり紹介されたことは、ないと思う。調製元は京丹後大宮駅と峰山駅の間の国道沿いで料亭「千代乃家」の仕出し部門と紹介する仕出し弁当店。
天橋立駅の売店で買えた惣菜。きゅうりと玉子焼とカニかまぼこのマヨネーズ和えを具とした太巻き寿司を4切れ、透明な惣菜容器に詰めて、商品名の掛紙を巻く。掛紙に「いととめ手作り」「丹後産こしひかり使用」とある、地元のお惣菜。調製元は京丹後大宮駅前のぼたもち店。
天橋立駅は、その名のとおり天橋立の玄関口であり、京都駅から特急列車が乗り入れる。1990年代まで駅弁が売られ、以後も丹後寿司など駅弁のような弁当が、駅の売店で買えたと思う。今回2024年の訪問時には、駅舎で死角にある小さな店舗で、棒寿司のような箱入り商品3種類とこれと、飲料やおつまみや冷凍食品が売られていた。