2022(令和4)年5月4日から10日まで、阪神百貨店の中央エスカレーター前イベントスペースでの催事で販売。2021年11月に姫路駅で発売した「関西シウマイ弁当」に入るシウマイの単品販売。横浜駅弁の崎陽軒が調製し、駅でも常時でもなく崎陽軒が関西地区で催事販売を実施する場合のみ販売する。とはいえ、大阪梅田の阪神百貨店以外での販売を見聞きしたことがなく、掛紙にも製造者として「(株)阪急阪神百貨店 阪神梅田本店」とその所在地が印字されているため、この店舗での催事に限定して販売する商品なのだろう。
見栄えは神奈川県横浜で1928年から売られる「(昔ながらの)シウマイ(15個入)」と同じ。掛紙あるいは包装紙が赤くなく橙色であり、シウマイの色がやや淡く、磁器の醤油入れ「ひょうちゃん」の絵柄が関西にちなむ。味も「昆布や鰹節といった関西の出汁文化と融合」といい、横浜のものより柔らかな印象。価格は2022年の発売時で620円、2023年時点で640円、2024年時点で660円。
2011(平成23)年1月26日から2月1日まで阪神百貨店で開催された、販売種類日本一の駅弁大会「全国有名駅弁とうまいもんまつり」で、催事の目玉かつ記念として会場内でのみ販売されたお弁当。調製元は姫路駅の駅弁屋である。木目柄で長方形の容器にボール紙でふたをして、阪神電車やこれにちなむ漫画を掲載した掛紙で包む。
中身は白御飯の上に牛すじ肉とコンニャクの煮込み、錦糸卵、チャーシュー、シイタケ、インゲンなどを敷き、大根生酢と奈良漬を添えるもの。黄色いメガホンはかまぼこでできている。神戸のご当地B級グルメ「ぼっかけ」をイメージしたようだが、牛スジもチャーシューもどう見てもチラシ写真の半分程度しかなく、味はクセが控えめでスマートだが御飯ばかりを食べさせられたような印象。実演販売ブースにも行列ができていなかった。
この掛紙からも分かるとおり、今回の阪神は双葉社「漫画アクション」の連載漫画「駅弁ひとり旅」とのタイアップ。会場には作品のパネル展示や単行本の立ち読みコーナーなどを設けた作品紹介ブースが用意されていた。
2004(平成16)年までに「環状線辨當」の名前で発売し、2006年頃に終売、2007年に「環状線べんとう」として、中身と価格を変えずに改めて発売された、近鉄線の大阪エリアの主要駅で販売したと思われる駅弁。正六角形の容器はフタの側面で、近鉄にとっては他社線であるJR大阪環状線のオレンジ色の電車が走り、上面でその沿線の名物名所がイラストで描かれる。
中身は中央に日の丸御飯を配し、その周囲をばってらの鯖寿司、豚角煮、ゴーヤチャンプル、串カツ、牛焼肉、かぼちゃ等の煮物で囲む。つまり、関東人でも分かる沿線名物を描き、中身も旅人には分かる沿線名物をおかずで詰めている。価格ひかえめ、ボリュームあり、見栄えも駅弁らしい。しかし2008年以降には売られていないと思う。
※2015年9月補訂:終売を追記近鉄線内ではおそらく最も有名な駅弁で、名古屋から難波まで各地の主要駅で売られたお弁当。長方形の容器に商品名をデザインしたボール紙のふたをして、輪ゴムで留めてラップで包む。中身は俵型の白御飯に牛ヒレ焼肉、フライドポテト、きんぴらごぼう、タケノコやシイタケなどの煮物、エリンギ炒めとオレンジ。
1,200円もするけれど、和洋折衷なB級グルメ感たっぷり。固めの肉を食べてうまいとは思えなかったが、近鉄沿線ではこういう味が受けるのだと思うと、牛ヒレ肉を「牛ヘレ肉」と表記する点も含め、郷土の味の一種であると思う。かつて近鉄の駅弁は子会社による調製と販売が行われていたが、この時点では別業者の弁当を仕入れて駅で販売する形態に変わった模様。2010年頃までの販売か。
※2017年8月補訂:終売を追記第二次大戦前の調製と思われる、昔の駅弁の掛紙。御飯だけの駅弁ではなく、御飯とおかずが別容器になった駅弁のそれぞれの容器に掛紙がかかっていたものと思われる。大阪エリアの鉄道路線図と駅弁販売駅に駅弁の種類と価格の一覧が掲載される。肝心の販売駅は不詳。
第二次大戦前の調製と思われる、昔の駅弁の掛紙。上のものと内容は変わらないが、大きさはやや大きく、左側の注意書きの「オ」が平仮名の「お」に変わっている。やはり販売駅は不詳。
大阪の阿倍野から阪堺電車で47分の終着駅。堺市は大阪府の中央部で大阪湾に面した、人口約82万人の政令指定都市で港町。石器時代からの歴史があり、約500年前の室町時代に世界的な貿易港として大いに栄え、近世も商業や工業で栄え、今は大阪のベッドタウンでもある。2020年の秋に阪堺電車史上初の駅弁が売られた。1912(明治45)年4月1日開業、大阪府堺市西区浜寺公園町。
阪堺電車史上初の駅弁。ただし、駅で常時売られる駅弁ではなく、イベント時のみの販売。2020(令和2)年10/24,31,11/7,14,21,28の土曜日の11時から14時まで、阪堺電車の浜寺駅前停留場で販売した。調製元は堺市内のあなご専門店。堺の穴子屋や食文化の衰退の打破を目指す堺あなごプロジェクトと、阪堺電車の開業120周年との共同企画で発売された。寿司屋らしい姿の持ち帰り容器には、電車などのイラストや中身の文字などを描いた赤い掛紙を巻いた。
中身は焼あなご箱寿司、煮あなご箱寿司、焼あなご巻寿司、煮あなご巻寿司が各2個ずつ。普段から売られる商品の組合せなのか、トレーの底には食品表示ラベルが「ビックリ巻寿司」「箱寿司ミックス」「堺巻寿司」と3枚も貼られていた。味もアナゴのお惣菜。購入時に試食した温かいアナゴが絶品で、これは冷蔵でなく常温か加温でいただくべきだったのかもしれない。堺の日常が、電車と駅弁の名を借りて、アナゴ漁で栄えた歴史の味付けとネットの力で、効果的に発信されたのではないかと思う。
翌2021(令和3)年は4月3日から17日までの土曜日にあびこ道車庫で、10月2日から11月27日までの土曜日に松井泉本社で、それぞれ販売された。以後も阪堺電車のイベントに顔を出す。