高さと深さのある木目調容器に、単色でシンプルな掛紙をかける。中身は上半分が空間で下半分が、酢飯の上に錦糸卵を敷いて、ウナギとエビとサーモンと鯛を載せて、椎茸と蓮根と栗と生姜を置いたちらしずし。
これは柿の葉寿司屋の一商品に過ぎないと思うが、駅弁屋風の弁当売店でホーム上から買えて、見た目も駅弁らしいので、当館に駅弁として収蔵する。風味もほのかで良い。奈良県の近鉄奈良線生駒駅にも調製元の直営売店があるようなので、同じ商品が買えるかも。
神奈川県のJR横浜線にも同じ名前の駅がある和歌山県の橋本駅は、現在の南海電鉄高野線の開業により、高野山への玄関口の地位を確保、かつては公式な駅弁販売駅でもあった。現在も和歌山線内の駅としては最も利用者が多く、駅舎内での弁当需要があるのだろう。
1976(昭和51)年に奈良県五條市で発売。柿の実と葉を描く土産菓子風の紙箱を、やはり柿の実と葉を描く土産菓子風の包装紙で包む。中身はサバの柿の葉寿司が10個で、普通に美味い。南海鋼索線高野山駅の売店で購入したので勝手に高野山駅弁としたが、実際は奈良・大阪南部・和歌山北部の各地で広く販売されており、しかもさば・さけ・詰め合わせで7個から90個までのパッケージで、全国向けに通信販売されている。このサバ10個入りの商品の価格は、2003年の購入時で1,100円+消費税5%、2022年時点で1,300円+消費税8%。
※2022年8月補訂:発売年と値上げを追記東京駅の駅弁大会で、和歌山駅の駅弁を名乗り販売されていた、サバの棒寿司。ラップを8周も巻いて、まるでソーセージのようにラップでパンパンになった、酢飯をサバで巻いた焼かないタイプのサバ棒寿司が1本、竹皮に包まれて商品名を書いた掛紙を巻いている。腹の皮が添付のプラ製ナイフで切りにくかったが、身が厚く脂の乗った、小腹に効く分量。調製元はデパ地下や駅ビル内に店舗を構える棒寿司屋さん。2018年頃に廃業か。
※2022年8月補訂:終売を追記新大阪駅から特急くろしおで約3時間半。串本町は和歌山県と紀伊半島の最南端で太平洋に突き出た、人口約1.5万人の港町。国立公園や海域公園(海中公園)に指定されたりラムサール条約に登録された海岸を観光資源とするほか、航海の難所としてトルコ軍艦などの沈没で知られる。駅弁は1941年から売られ、キビナゴの握り寿司「うをずし」が少し知られたが、1990年代に撤退した。1936(昭和11)年12月11日開業、和歌山県東牟婁郡串本町串本。