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 旅の友「駅弁」。実際に食べた9,000個以上の駅弁を中心に、日本全国と世界の駅弁を紹介します。

JR北海道 遠軽(えんがる)駅 JR-Hokkaido Engaru Station
2015(平成27)年3月訪問 GoogleMap「遠軽駅」

駅名標 駅舎 駅構内

札幌駅から特急列車「オホーツク」で約3時間半。遠軽町は北海道の北東部に位置する、人口約2万人の開拓地。過去には林業の町や、石北本線が名寄本線を分ける鉄道の町として賑わった。駅弁は大正時代からの駅弁屋が売る「かにめし」が親しまれ、特急列車の発着に合わせて売りに来たほか、特急列車の車内販売で予約注文を取っていたが、その車内販売の廃止に伴い2015年3月31日限りで終売。1915(大正4)年11月1日開業、北海道紋別郡遠軽町岩見通南1丁目。

【終売】かにめし(1,000円)Kanimeshi (end of sales)
2015年3月7日に遠軽駅のホーム上の台売りで購入 Mar. 7, 2015

掛紙 中身
掛紙 外観 外観 外観 中身 中身 中身

昭和時代初期の発売とされる、遠軽駅で最後まで残った駅弁。昼間の特急列車「オホーツク」停車時間にホーム上で台売りされたほか、同列車の車内販売での予約購入もできた。こういう販売形態のため、常に出来立てで温かい品物が入手できた。

長方形の経木折を、カニを描いた掛紙で包む。中身は御飯の上に細かい炒り卵と紅生姜に刻み、海苔とカニ煮付ほぐし身を混ぜて敷くもの。ツヤのある細かなカニ身から煮汁がきゅっと出て、錦糸卵が食感で、海苔が香りで、紅生姜が刺激で、温かく柔らかい御飯とともに個性を出しながら風味を互いに補いふわりとした食感を出す、好評が納得できる素朴で奥の深いカニ飯駅弁。しば漬と数の子山海煮の添付も的を射ている。

遠軽への鉄路は、手宮と幌内を結ぶ北海道最初の鉄道の、岩見沢から分岐し旭川や富良野や帯広や釧路を結ぶ鉄道の、池田から分岐し北見や網走を結ぶ鉄道の、さらに北見から分岐する軽便鉄道として伸びてきた。これがさらに湧別や紋別を経て名寄につながり、その後に遠軽と旭川を短絡するルートが建設された。その後は現在の石北本線の経路が幹線格となり、遠軽から名寄までの名寄本線は国鉄再建法により1989年4月限りで廃止されてしまった。そのため、現在の遠軽駅は二方向から線路が来る行き止まり駅である。

2011年10月7日の駅弁屋での火災発生により、この駅弁の製造が中止され、特急列車車内販売での予約販売も中止されたが、2012年7月10日頃より再開された。しかし2015年3月31日限りで特急列車の車内販売が廃止、売上の9割をこれに頼っていた調製元も廃業を選び、この名物駅弁は消えた。

※2015年5月補訂:写真を更新、終売を追記
※2012年7月補訂:販売再開の追記、解説文の簡略化
※2011年10月補訂:販売現況の追記
販売駅
石北本線 遠軽(えんがる)駅 1915(大正4)年11月1日開業 北海道紋別郡遠軽町岩見通南1丁目
調製元
有限会社 岡村べんとう屋 北海道紋別郡遠軽町岩見通南1丁目2−23 01584(2)2023

【掛紙】かにめし(900円)Kanimeshi
2004年4月17日に遠軽駅のホーム上の台売りで購入 Apr. 17, 2004

掛紙

2004(平成16)年4月17日に購入した、昔の遠軽駅弁の掛紙。上記の2015年のものとの違いは、調製元の電話番号のみである。遠軽駅15時17分発の特急列車「オホーツク6号」向けに駅へ売りに来た駅弁を、普通列車の乗り継ぎ待ちの時間で購入した。

販売駅
石北本線 遠軽(えんがる)駅 1915(大正4)年11月1日開業 北海道紋別郡遠軽町岩見通南1丁目
調製元
有限会社 岡村べんとう屋 北海道紋別郡遠軽町岩見通南1丁目2−23 01584(2)2023

【掛紙】かにめし(800円)Kanimeshi
1997年1月12日調製 Jan. 12, 1997

掛紙

1997(平成9)年1月12日18時39分の調製と思われる、昔の遠軽駅弁の掛紙。色合いと価格と調製元の名前に食品表示ラベルの内容は少々変わったが、それ以外は上のものと変わらない。19時1分発の網走行特急列車「オホーツク5号」と、19時3分発の札幌行特急列車「オホーツク8号」の利用者に向けて売られたものだろう。

販売駅
石北本線 遠軽(えんがる)駅 1915(大正4)年11月1日開業 北海道紋別郡遠軽町岩見通南1丁目
調製元
有限会社 岡村べんとう屋 北海道紋別郡遠軽町岩見通南1丁目2−23 01584(2)2023

【掛紙】かにめし(500円)Kanimeshi
調製年月日不詳

掛紙

昭和50年代のものと思われる、昔の遠軽駅弁の掛紙。そのカニと網と海の絵柄は、21世紀のものとまったく変わらない。注意書きや調製元表記などの文字は、時代のルールに応じて変わってきた。当時の遠軽駅は石北本線が名寄本線を分ける駅であった。

販売駅
石北本線 遠軽(えんがる)駅 1915(大正4)年11月1日開業 北海道紋別郡遠軽町岩見通南1丁目
調製元
有限会社 岡村弁当店 北海道紋別郡遠軽町岩見通南1丁目2ノ23 01584(2)2023