札幌駅から特急電車で約1時間、函館本線が留萌本線を分ける駅。深川市は北海道の中央部に位置する、人口約2万人の農業の町。石狩川の中流域に広がる平地や盆地を生かした、北海道有数の米どころである。駅弁は改札外駅舎内の観光売店で、銘菓「ウロコダンゴ」とともに販売されていたが、2016年8月限りで終売、道の駅の駅弁が駅の土産物店にやってきた。1898(明治31)年7月16日開業、北海道深川市一条。
深川駅では2015(平成27)年までに、駅舎にある土産物店「深川物産館」で発売か。2007(平成19)年までに深川市内の道の駅「ライスランドふかがわ」で発売した「道の駅弁」が、深川駅にもやってきた。長方形のプラ容器に、深川産米にソバの実と揚玉とネギを混ぜてそばつゆで炊いた茶飯に海苔を巻いた俵飯「深川そばめし」3個と、玉子焼、鶏唐揚、長いものフライ、ウインナー、ポテトサラダ、ミニトマト、きゅうり漬物を詰めて、道の駅弁の掛紙を巻く。蕎麦の味はしないけれど、蕎麦の実のプチプチとした食感と、出汁がほのかに香る御飯が印象的。調製元は深川市立病院の食堂。
深川そばめしは、深川産そばと深川産米のおにぎりで構成されたメニュー。リクルートの旅行雑誌「じゃらん」が2005(平成17)年に始めた、地域が造り上げていく企画開発型グルメ「新・ご当地グルメ」により、米どころの深川市で、生産量を全国2位とする蕎麦を合わせ、2006(平成18)年9月に商品化されたものらしい。市内の食堂では麺の蕎麦やおかずと組み合わせて提供されるほか、道の駅と鉄道の駅で弁当として買える。
深川駅では2015(平成27)年までに、駅舎にある土産物店「深川物産館」で発売か。上記の「深川そばめし俵むすび弁当」のうち、商品名から「弁当」を抜き、茶飯に海苔を巻いた俵飯3個を抜き出し、きゅうりの漬物を添えて竹皮柄の紙で包み、商品名を描いた掛紙を巻く。コンビニおにぎり感覚の軽食。上記の道の駅弁の掛紙に「深川駅にて3ヶ入も販売しております」と書いてあるため、こちらは駅で生まれたものかもしれない。
2018(平成30)年までには、深川駅の土産物店で発売か。上記の商品「深川そばめし」の派生品だろう。惣菜向けの透明なプラ容器に、いなりずし3個と紅生姜を詰め、掛紙を巻く。中身の御飯は深川そばめし。意匠の同じ掛紙は、ちゃんと使い分けられている。
2022(令和4)年までには、深川駅の土産物店で発売か。上記の商品「深川そばめし」の派生品だろう。ふたを盛る透明なプラ容器に、いなりずし3個と、玉子焼に御飯を挟んだものを2個と、ガリを詰めて掛紙を巻く。そのいずれにも、御飯に深川そばめしが使われる。意匠の同じ掛紙は、ちゃんと使い分けられている。
1913(大正2)年に深川駅で発売。2023年時点で3種類あるウロコダンゴのうち「生9個」バージョン。名古屋名物ういろうのような蒸かし団子の、プレーンと小豆と抹茶の3種が各3個、ひだのある直角二等辺三角形に成型されて整然と並べられる。そのままでも、冷やしても、焼いても美味いという。ウロコダンゴの製造元は、2016年まで深川駅で駅弁を販売し立ち食いそば店を営んだが、袋や駅弁やその箸袋に「ウロコダンゴ本舗」と記したとおり、ウロコダンゴが本業で駅弁や立ち食いそば店は副業だった。
製品誕生の由来がしおりに紹介される。1910(明治43)年の留萠線深川・留萠間開業の記念団子「椿団子」として登場したが、当時の深川駅長が椿さんといい、自分の名前を冠した団子が大声で売られるのは変だとクレームを付けたそうで、それならばと三角形のウロコ型という団子の形状と、留萠方面からの貨車でのニシン輸送で当時の駅構内がニシンのウロコだらけであったということから、名称を変更したそうだ。
もはや留萌がニシンで賑わうことも、鮮魚が鉄道貨物で運ばれることも、団子の形状からウロコが連想されることもないと思うが、深川だけの特産品としてその歴史の生き証人となっていくのだろう。2016年8月限りで深川駅の駅弁はなくなったが、ウロコダンゴは駅の物産館や他駅のキヨスクなどで引き続き販売される。価格は2010年時点で565円、2014年4月の消費税率改定で585円、2021年時点で680円、2022年時点で690円、2023年時点で720円。18個入りで1,360円のものもある。
※2023年10月補訂:写真を更新し値上げを追記2015(平成27)年3月8日に購入した、深川駅銘菓の紙箱。スリーブ底面の食品表示と賞味期限案内を除き、上記の2023年のものと変わらない。中身も同じ。
2004(平成16)年4月18日に購入した、深川駅銘菓の紙箱。上記の2015年3月のものまったく同じに見えて、包装紙に「ウロコダンゴ・寿し・幕の内・折詰弁当の」の接頭辞があったり、「100年の伝統」ではなく「90余年の伝統」だったりの差異がある。
2023年時点で3種類あるウロコダンゴのうち「真空10個」バージョン。上記の商品「ウロコダンゴ」の、プレーン6個と小豆2個と抹茶2個を真空パック包装した。紙箱の絵柄が区別され、こちらは白い三角形に見本写真を載せる。製造年月日のシールから、製造日から15日間の日持ちがすることがわかる。価格は2010年時点で630円、2014年4月の消費税率改定で650円、2021年時点で750円、2022年時点で780円、2023年時点で800円。
※2023年10月補訂:写真を更新し値上げを追記2014(平成26)年9月14日に購入した、深川駅銘菓の外箱。食品表示を除き、上記の2023年のものと変わらない。当時は製造から10日間の日持ちだったことがわかる。
深川駅の寿司駅弁。透き通るビニール製惣菜容器に「特撰」や「塵籠」の文字に歴史と伝統を感じる明紫色の掛紙をかけて紙ひもで割りばしとともにしばる。中身は細巻・太巻・稲荷寿司とごく普通の助六寿司駅弁も、太巻が三種で合計五種十個の巻寿司が入るため、ひとりで食べても飽きが来ない。味も良好で価格は廉価。価格は2004年の購入時で420円、2015年時点で430円。2016年8月限りで深川駅の駅弁はなくなった。
深川は函館本線から、留萠でさらに羽幌線を分ける留萠本線と深名線を分ける鉄道の要衝であったが、1987年に羽幌線が廃線され留萠本線が寂れ、1995年には深名線が廃線。しかし函館本線は2004年時点で特急電車が30分間隔で爆走する大動脈となり、旅客駅としての拠点性や利便性はむしろ向上したのかもしれない。
※2016年11月補訂:終売を追記深川駅の幕の内弁当。留萌本線「SLすずらん号」の写真が載るボール紙の容器は、記念駅弁「すずらん号弁当」の余り物のようで、駅弁の名前の部分にシールを貼って使用する。中身は日の丸御飯に焼鮭、蒲鉾、玉子焼、揚げ、骨付鶏唐揚、煮物など。普通の幕の内駅弁風でありながら、鮭が巨大で昆布巻が二本も入ることに特色を感じ、それを廉価で提供することで調製元の実力を感じさせる。
1999年4月5日から10月2日まで放送されたNHKの連続テレビ小説「すずらん」のロケ地は深川市のお隣の沼田町だが、観光波及効果は留萌本線全線に及び、その始発駅である深川もその恩恵にあずかった。2004年時点でブームがもうすっかり去ったことは、この駅弁の容器に現れている。価格は2004年の購入時で735円、2015年時点で755円。2016年8月限りで深川駅の駅弁はなくなった。
※2016年11月補訂:終売を追記留萌本線の観光列車「SLすずらん号」の運行を記念し、2001(平成13)年に期間限定の駅弁として発売し、その後に販売を継続。桶のような形をした真ん丸の容器を、汽車や山並みや漁の風景を描く掛紙で包む。中身は山菜のおこわっぽい炊込飯に、留萌産の巨大な柔らかニシンとカズノコを2切れずつ惜しげなく詰め、蒲鉾や玉子焼やアスパラや煮物なども入れたもの。
容器の高さの3分の1くらいは上げ底なので、容器の巨大さほど中身は多くないが、分量は十分で味は良い。それよりもニシンとカズノコをこれだけ積んで容器にもこだわるのに、購入時でなぜ735円という激安価格で提供できたのか、びっくりする逸品。2011年現在で一日20個が土日曜日のみの販売。価格は2004年の購入時で735円、2015年時点で755円。2016年8月限りで深川駅の駅弁はなくなった。
番屋(ばんや)とは、ニシン漁の親方と漁夫が寝泊まりするベースキャンプ。肥料にするほど獲れた明治中期までのニシン漁の隆盛により、北海道の日本海岸にはニシン御殿と呼ばれる巨大で豪壮な番屋が建ち並んだ。しかし以後の漁獲高は右肩下がり、1955(昭和30)年頃を境に激減し、海岸線には昔を偲ぶ建物だけが遺された。現在はその一部が観光施設として利用されている。
※2016年11月補訂:終売を追記少なくとも2003(平成15)年の秋には出荷されていた、深川駅では売られない深川駅弁。漆塗り風の小さな四角いプラ容器を、中身の写真とイメージイラストを載せたボール紙の枠にはめる。中身は御飯の上にイクラと山菜と海老と鮭フレークと椎茸などを載せるもの。見栄えどおりの味がすると考えて良い。おそらく中京地区が地盤の大手スーパー「ユニー」の駅弁催事でのみ取り扱われると思われる、現地に実態のない商品。2016年8月限りで深川駅の駅弁がなくなったため、この商品も今後は出現しないと思われる。
※2016年11月補訂:終売可能性を追記少なくとも2003(平成15)年の秋には出荷されていた、深川駅では売られない深川駅弁。漆塗り風の小さな四角いプラ容器を、中身の写真とイメージイラストを載せたボール紙の枠にはめる。中身は御飯の上でかにフレーク、帆立、鮭フレークがストライプを描き、コーンが散らされるもの。見栄えどおりの味がすると考えて良い。おそらく中京地区が地盤の大手スーパー「ユニー」の駅弁催事でのみ取り扱われると思われる、現地に実態のない商品。2016年8月限りで深川駅の駅弁がなくなったため、この商品も今後は出現しないと思われる。
※2016年11月補訂:終売可能性を追記深川駅で売られない深川駅弁シリーズの、2004〜2005年駅弁大会シーズンの新作と思われる。円形の加熱機能付き容器を、帆立やカニを描いたボール紙のパッケージにはめる。中身は御飯の上に帆立を数個とカニ足やほぐし身などを載せる。真ん中に据わるのはカニ焼売。暖かさにコーンのアクセントが効いて、味はよかった。
おそらく食品表示に製造委託の表記があるか、調製元の社名にアルファベットの接尾語が付くか否かで、駅弁の真偽を判断できる模様。テーマパークの売店商品など、製造元の名前を出さず販売者の名前で商品を売る場合に、広く使われる手法。2016年8月限りで深川駅の駅弁がなくなったため、この商品も今後は出現しないと思われる。
※2016年11月補訂:終売可能性を追記1960年代頃、昭和30年代頃の、4月28日の調製と思われる、昔の深川駅弁の掛紙。50円の価格が60円に訂正された。どこの駅でも使えそうな絵柄の掛紙に、深川駅や滝川駅を中心にした、この当時から昭和時代の末まで変わらなかった鉄道路線図を小さく描く。