東京駅から新幹線で約4時間。木古内町は北海道の南端で津軽海峡に面する、人口約4千人の町。かつては函館と江差と松前に行く鉄道が集まり、1988(昭和63)年の青函トンネルの開通で本州へ行く鉄道が通り、2016(平成28)年には北海道新幹線の駅ができた。駅弁が1927(昭和12)年から昭和40年代、1970年頃まで存在したことは、もはや忘れ去られている。1930(昭和5)年10月25日開業、北海道上磯郡木古内町字木古内。
木古内駅前で2016(平成28)年1月にオープンした道の駅「道の駅みそぎの郷きこない」で売られていたお弁当。同年3月に開業した新幹線木古内駅に売店はなく、同日にJR北海道から道南いさりび鉄道へ転換された在来線木古内駅からは売店も駅員も撤収してしまい、この道の駅が鉄道駅の売店の機能を担う。
道の駅の弁当であるが、掛紙には新幹線電車の側面図と「北海道新幹線始発駅のまち木古内」の文字がある。中身は白御飯を二色の「はこだて和牛」の牛肉煮で覆い、ソーセージ、コーン、きんぴらごぼう、紅生姜を添えるもの。味付けの甘さで、肉の味が飛んでしまった感があるが、見た目と機能は駅弁そのもの。価格は2016年の発売時や購入時で1,296円、2019年10月の消費税率改定で1,320円、2023年時点で1,200円だという。
はこだて和牛とは、函館市内ではなく木古内町内で1990年代から使われる、同町内で生産するあか牛(褐毛和牛)のブランド名。脂肪でなく赤身の柔らかさとうまさが特徴。特段の宣伝も拡販もなく、地元で作られて食べられる。木古内駅近くのそば屋「蕎麦処 瑠瞳(るとう)」では、和牛御膳、和牛バーガー、和牛弁当のメニューを取りそろえ、そのひとつがこの弁当である。
※2023年6月補訂:値下げを追記