札幌駅から快速電車で30分強。小樽市は札幌市の北西で日本海に面した、人口約11万人の港町。北海道開拓の玄関口として19世紀末に貿易港として繁栄、第二次大戦後は大陸側の共産圏化やエネルギー革命などにより衰退し、現在は札幌市のベッドタウンであるとともに、旧市街地の観光で賑わう。駅弁は駅舎の土産物店に置かれることがある。1903(明治36)年6月28日開業、北海道小樽市稲穂2丁目。
2023(令和5)年1月の阪神百貨店の駅弁大会で、小樽駅の駅弁として実演販売。上げ底と上げぶたが極端な、北海道物産展や駅弁大会などの催事向け容器に、酢飯を薄く敷き、ホタテ、サーモン、まぐろ、昆布、玉子焼、ガリを盛り付け、イクラとワサビと花れんこんとバランで彩る。見栄え重視の惣菜で、内容や風味はデパ地下の寿司や物産展の海鮮丼と同じようなもの。これが小樽駅で買えるとは思えないがどうか。百貨店の公式サイトの駅弁一覧にも掲載されなかった商品。
2023(令和5)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売。長方形のプラ容器に白飯を詰め、錦糸卵で覆い、サーモンの薄切りを並べ、イクラを載せて、わさびと玉子焼と甘酢生姜を添える。内容と掛紙の絵柄は華やかかもしれないが、具の薄さと量の少なさで、下記の本当に華やかな弁当と違い、こちらはそうでもなく、おとなしい。実演販売向けの兼用掛紙でなく、これ専用の掛紙が用意されたが、現地でも催事でも、この京王百貨店の駅弁大会以外で売られたという話を聞かない。
リクルートが北海道内で発行する月刊旅行情報誌「じゃらん北海道発」とのタイアップで、2003(平成15)年の9月から12月まで道内の8駅で各1種類が販売された「新・ローカル駅弁」の、小樽駅バージョン。その後も販売が続き、小樽駅を代表する駅弁となった。小樽駅の他の名物駅弁と同じ、柄物の底が浅い長方形の容器を使用、透明なふたをかけ、フルカラーの掛紙で覆う。中身は酢飯の上にウニやイクラや玉子焼やキュウリをちりばめて、蓮根でアクセントをつけるもの。その輝きは掛紙の見本写真よりも強く美しい。
駅弁の名前は、駅弁屋の息子の名前から「輝」を取って付けたそうな。駅弁大会の実演販売では以前の看板商品「北海手綱」を退けて、小樽駅弁で一番人気の地位を獲得した。価格は2003年の発売時で1,250円、2009年時点で1,260円、2014年時点で1,350円、2017年時点で1,580円、2022年時点で1,780円、2023年時点で2,160円。
※2022年3月補訂:写真を更新し値上げを追記2009(平成21)年1月8日に購入した、小樽駅弁の掛紙。この絵柄のものが、長く使われたと思う。中身と夜景の写真を使う構成は、上記の2022年のものと変わらない。縦長の紙で、写真も立っている。
2022(令和4)年1月の京王百貨店の駅弁大会で、小樽駅の駅弁として実演販売。翌月の鶴屋百貨店の駅弁大会でも実演販売。催事で人気を集めた小樽駅弁「おたる海の輝き」の上位版だろう。かなりの上げ底でふたを盛り上げた、催事向け海鮮弁当向け容器に、酢飯を薄く敷き、カニほぐし身、カニ棒肉、マグロたたき、サーモン、いくら、ホタテ、うに、甘えび、玉子焼、錦糸卵、わかめ、甘酢生姜、れんこんを盛り付けた。7種類の海鮮が盛りだくさんとする。北海道物産展などでありがちな海鮮丼に、ネギトロのようなものを加えたことで、香りと口当たりが柔らかくなったと思う。小樽駅で売られるかは分からない。価格は2022年時点で2,160円、2023年1月の京王百貨店の駅弁大会では2,376円。
※2023年5月補訂:値上げを追記2023(令和5)年1月18日に購入した、小樽駅弁の掛紙。上記の2022年のものと同じ。この年は京王百貨店と阪神百貨店の駅弁大会で実演販売。小樽や小樽駅で買えるかどうかは分からない。
デパートでの駅弁も売る食品催事で収穫した、上げ底上げ蓋の催事用海鮮丼。そういう用途の規格容器に酢飯を敷いて、うに、かに、いくら、いか、ほたて、かずのこ、さけなどを貼り、掛紙をかけてビニールひもでしばり、わりばしを添えて袋に入れる。食べにくくて仕方がないが、催事場ではこういう見栄えでないと商品を選択してもらえない。小樽で弁当として買えるかは不明。
JR発足5周年に向けて、1991(平成3)年に発売。平たい長方形の折箱に酢飯を敷き、鮭フレーク、錦糸卵、ししゃも卵、カニほぐし身で覆い、イクラとシイタケとガリを添え、アスパラピクルス1本を置く。具の斜めのストライプで、漁船のロープをイメージしたという。デパートの駅弁大会での実演販売でも人気の商品。価格は2002年の購入時で1,050円、2014年4月の消費税率改定で1,080円、2017年時点で1,100円、2021年時点で1,150円、2023年時点で1,350円。
※2023年5月補訂:値上げを追記2015(平成27)年1月の京王百貨店の駅弁大会での実演販売でデビュー。同年4月の仙台駅でのNREの駅弁大会でおそらく輸送販売。これ以外で売られた買えたという話を見聞きしたことはないが、10月のJR北海道の車内誌には小樽駅弁として登場している。このページで紹介した過去の商品と同じく、酢飯の上にイクラ、カニ、玉子焼、シシャモ卵、シイタケ煮、青シソ漬などを散らす。あるいは「おたる海の輝き」のウニをカニに替えて新作にしたものか。その違いにより、風味も食感もより柔らかくなった印象。値段は2015年の購入時で1,380円、2020年時点で1,580円。2022年までの販売か。
※2023年5月補訂:終売を追記2015(平成27)年1月の阪神百貨店の駅弁大会で実演販売されたお弁当。商品名や掛紙の見本写真のとおり、2区画の酢飯の片側をカニほぐし身と焼きがにとカニ爪、片側をホタテ貝柱とイクラとカキ煮にイカやカズノコや甘酢生姜で覆った、豪華で賑やかなお弁当。北海道物産展の海鮮弁当の味を駅弁らしく平面に展開したものの、見るからに駅売りやキヨスク扱いに適さない具のセレクトに思えたし、実際にこの駅弁大会でしか売らない疑義駅弁であった模様。
2014(平成26)年2月の鶴屋百貨店の駅弁大会でデビューか。その名前と中身と掛紙は、約10年先輩の小樽駅弁「おたる海の輝き」にそっくり。その駅弁から、ウニとキュウリを抜いて、カニを入れたもの。つまり、酢飯をカニ、イクラ、玉子焼、しいたけ、ししゃもの卵、れんこんで覆うもの。これで価格が200円ほど安い。価格は2014年の購入時で1,290円、2017年時点で1,350円。2015年以降はほとんど売られていないようだが、JR北海道の広報誌に要予約の駅弁として掲載され続けた。
2013(平成25)年1月の阪神百貨店の駅弁大会での実演販売でデビューか。中身は半分が御飯をカニほぐし身とカニ肉で覆うもので、半分が御飯を蒸しウニと炒り卵とイクラとシイタケとシシャモの卵などで覆うもの。つまり既存の「おたるかにめし」と「おたる海の輝き」を半分ずつ詰めたもの。だから味もそれらと同じ。かにめしにおけるカニの分量と香りはかなり向上したような。掛紙には小樽運河の夜景写真を大きく採用した。価格は2013年の購入時で1,260円、2014年現在で1,350円、2017年時点で1,480円、2019年時点で1,580円。2019年までの販売か。
※2022年4月補訂:終売を追記下記の駅弁「おたるいくら弁当」の、2012(平成24)年時点での姿。具がイクラだけになり、掛紙の中身写真もそのとおりになり、駅弁マークが付き、価格が2割上がった。デパートの駅弁大会での小樽駅弁の実演販売では必ず品揃えされているが、はたして小樽駅では販売されているのだろうか。価格は2012年の購入時で1,260円、2014年4月の消費税率改定で1,290円。2018年頃までの販売か。
※2020年4月補訂:終売を追記正方形の容器に、中身と小樽の町の写真を印刷した、容器をはみ出すくらい大きめの掛紙をかけて、割り箸とともに輪ゴムで留める。中身は掛紙と具の配置が異なるが素材は同じ、カズノコを和えたイカソーメンにイクラなどを御飯の上に載せたもの。なぜかこの駅弁にだけ、掛紙に駅弁マークが付いていない。
2006(平成18)年1月の京王百貨店の駅弁大会で、1,260円にて実演販売。上げ底上げ蓋で中身の見栄えが強調される催事海鮮弁当向けプラ容器を、その中身と小樽運河の夜景写真を載せた紙帯で巻いて、セロテープで留める。中身はウニの混ぜ御飯の上をカニほぐし身で覆い、カニ脚、イクラ、玉子焼などを載せるもの。価格は2014年4月の消費税率改定で1,290円。現存しない模様。
味は良いが、コンビニ冷蔵ショーケースに積むという小樽駅の駅弁販売では扱いにくそうだなと感じたし、事実、この駅弁は小樽では完全予約制で、小樽駅を訪問してもその存在に気が付くことができないらしい。そういう商品を、当館では疑義駅弁と呼ぶ。
しかし、駅弁催事場で旭川や釧路の駅弁や函館の弁当に対抗するには、「北海手綱」や「おたる海の輝き」の容器では不足するのだろう。事実、京王百貨店の駅弁大会では以前より客を集めており、一方で容器を現地と合わせた長万部のかにめしは苦戦していた。疑義駅弁はそういう消費者の嗜好に支えられている。
※2020年4月補訂:終売を追記