北海道の中心地の中央駅。札幌市は明治2年(1869年)に開拓使が置かれたことで北海道の行政の中心地として発展を始めた、人口約196万人の道庁(都道府県庁)所在地。その札幌市を代表する駅として、道内各地への特急列車や空港駅への快速列車など、多くの列車が発着する。駅弁は1階コンコースや2階ホーム上の各地に置かれる売店で、早朝から深夜まで買うことができる。1880(明治13)年11月28日開業、北海道札幌市北区北6条。
2023(令和5)年7月21日に札幌駅で発売。カズノコを詰めた棒状の酢飯に、ニシンの酢締めと白板昆布を貼り、薄く8切れにカットした棒寿司を、笹の葉に置いて細長い箱に収めて、商品名を書いた掛紙を巻く。北の海の漁師たちを意味する「やん衆」の名を、ひっそり付けた。このような内容なので、新作に思えない落ち着きがある。酸味と薄さでニシンもカズノコも風味が淡く、この名の弁当を食べている感じも薄いような。札幌に海はなくても、北海道の日本海側に文化財群を残すニシンとその卵は、大都会の駅弁で意識してもらえるようになるだろうか。
2022(令和4)年8月に札幌駅で発売。長方形の容器をやや斜めに仕切り、一方に花咲がに丼、卵入り蟹バラ煮と足むき身焼きで昆布茶飯を覆い、他方にずわい蟹丼、竹の子入りの蟹バラ煮と殻付きの爪肉焼きで昆布茶飯を覆い、漬物と枝豆を添える。ほぼカニと飯でできた単調な構成にみえて、煮たというより炒ったようなカニの香りで飯が進む。合戦の軍配は、タケノコで伸ばしたズワイガニよりは、粒状感が心地良いハナサキガニに挙げたい。
2022(令和4)年9月に札幌駅で発売。過去の札幌駅のカニ食べくらべ駅弁で見たような、同じ大きさの3区画を持つ長方形のプラ容器に、イカの中に茶飯を詰めた「いかめし」、茶飯を蒸しウニで覆い漬物を添える「うにめし」、竹の子入りずわい蟹煮で茶飯を覆う「かにめし」を詰め合わせた。これが海「鮮」かどうかはともかく、札幌でない駅で昭和時代から定評ある味が並び、安心していただける。昆布茶飯の奥ゆかしい味わいが、そんな印象の要因か。
従前の駅弁「すし処えぞ賞味」を、2012(平成24)年頃に改称のうえリニューアル。近年では2017(平成29)年6月にリニューアル。前身を含め1983(昭和58)年の発売と紹介される。正八角形の容器に酢飯を敷き、ズワイガニほぐし身、イクラ、ホタテ、ウニ、錦糸卵、サーモン、甘酢生姜、北海道型の昆布などで覆う。具が多種でも少量で、海鮮と思うと淋しいものの、普通駅弁と思えば北海道らしさでいっぱい。価格は2017年のリニューアル時や2018年の購入時で1,000円、2019年時点で1,080円。
※2022年4月補訂:値上げを追記札幌駅のキヨスクで買えたお弁当。茶飯に小さなホタテ2個と豆と紅生姜を置き、鶏唐揚、ニンジンやインゲンなどの煮物、ソーセージ、玉子焼、コロッケ、マカロニサラダを添える。見た目も価格もはコンビニ弁当やスーパーの惣菜弁当で駅弁らしくないが、調製元は札幌駅の公式な駅弁屋である札幌駅立売商会。ただし同社の駅弁売店では売られない。駅弁屋がコンビニ弁当も作るのは、全国的によくあること。
2014(平成26)年5月16日の発売。円形の容器にバターコーン飯を詰め、バター味のホッキとホタテなどを載せたもの。パッケージの見本写真に違い、具は飯を半分も覆えずに地肌をさらすものの、バターの香り付けで食が進む、これはうまい駅弁。2017年の春頃までの販売か。価格は2014年の発売時や購入時で980円、2018年現在で1,050円ただし販売休止中、2020年時点で1,100円の冬季販売、2023年時点で「ホッキホタテバター焼き弁当」に改称か。
※2023年5月補訂:値上げなどを追記2013(平成25)年の発売か。札幌駅の駅弁売店で買えた、安い助六寿司。掛紙には「押寿し家笹吉」とあり、食品表示ラベルには「笹助六」とあり、調製元の公式サイトでは「笹吉助六寿司」とあり、JTB時刻表で「ひぐまの笹助六寿司」と掲載した時期がある。中身はいなり寿司2個、鮭の笹寿司1個、太巻き1個、細巻き3個、カニと卵の押寿司1個。ただの助六寿司にあらず、見た目が賑やか、分量も味も確かだった。価格は2014年の購入時で500円、2015年時点で520円、2016年時点で600円。
※2022年4月補訂:値上げなどを追記2011(平成23)年8月1日の販売開始。従前の「ひぐまの笹弁」のグレードアップだそうで、笹寿司5個のうち「炙り〆サバ」が「鰊親子」に、「柔らか活タコ煮」が「毛ガニ」に、それぞれ差し変わっている。掛紙はボール紙の箱に変わり、クマのイラストが底面で小さくなり、容器に角が付き、価格は120円の値上げ。
2019(令和元)年8月の発売。新元号記念駅弁、つまり同年5月の「平成」から「令和」への改元を記念した駅弁だそうな。現物からはそう感じられないが、スリーブの写真で新たな門出をイメージしたそうで、駅弁に使う機会のない「令」の字を使うこともこれにちなんだものか。
中身は北海道の駅弁として昭和時代から各地でおなじみの内容で、昆布飯をズワイガニのほぐし身と刻みタケノコの醤油炒めで覆い、錦糸卵とイクラで彩り、シイタケ煮とフキ煮と大根桜漬を添えるもの。新作らしからぬ落ち着きで、安心していただけるタイプ。2022年の夏までの販売か。
※2023年5月補訂:終売を追記リクルート北海道じゃらんが2012(平成24)7月1日から9月30日まで実施した駅弁キャンペーン「北海道駅弁選手権2012」に合わせて、札幌駅や旭川駅などのキヨスクで850円で発売、新作部門のグランプリの受賞により、680円の「お手軽なサイズにアレンジ」して再登場。小樽の高島港で水揚げされたニシンの使用を売りにする。
お惣菜向けのプラ容器に、白御飯を軽く詰め、ニシン甘露煮で覆い、カズノコ、玉子焼、かまぼこ、大根漬を添える。駅弁売店でなくキヨスクで売られたこともあり、北海道らしいコンビニ弁当という感じで使われたのではないかと思う。室蘭駅や北見駅など北海道内の各地で売り、2014年までの販売か。
東京駅で札幌駅弁として販売されていた商品。調製元を見る限り新千歳の駅か空港の弁当だと思うし、そもそも北海道内で販売されているのかどうか。小柄な長方形の容器が6区画に区切られ、その中にボール紙枠の中身写真のとおり、タコ焼き型の御飯にサケ2個、カニ2個、「美食千歳」の焼き印入りタマゴ、軍艦でイクラを合わせた手まり寿司が各1個で千円也。現存しないのではないかと思う。
※2017年4月補訂:終売を追記2008(平成20)年12月に発売。細長い容器に木目柄のボール紙でふたをして、商品名とクマを描いた笹の葉色の掛紙を置いて、ひもで十字にしばる。中身は北陸の駅弁でよく見るような、正方形の酢飯に具を置いて笹の葉でタテとヨコに包む笹寿司が5個、土産物のように箱の中へ並べられるもの。
具はすべて異なり、「豪快タラバガニ」「炙りウニホタテ」「厚切りサーモン」「柔らか活タコ煮」「炙り〆サバ」となっている。羆(ヒグマ)と駅弁との関係は分からないけれど、具の選択が北海道らしい、ここでは今までになかった楽しい作品。2011年8月に「ひぐまの笹寿司」へリニューアル。
ヒグマは人間の数倍の大きさを持つ世界最大級のクマで、北海道では木彫りの土産物、クマ牧場、山間部での注意喚起など、住人に限らず観光客にも身近に感じられる存在である。人間と野生動物との関わりについては様々な意見や主張があると思うが、少なくとも毎年のように人間を襲い死傷者を出している猛獣を、この駅弁掛紙のようにとてもかわいらしく描いてしまうのは、どうかとは思う。
下記の駅弁「かに三種味くらべ弁当」の、2009(平成21)年時点での姿。中身でもパッケージのデザインでも、毛がに、ずわい蟹、たらば蟹の三種のカニが丼がしっかり区分・区別され、味くらべがやりやすくなった。御飯は味付飯から昆布酢飯に変更、価格は100円のアップ。2013年に「三大蟹味くらべ弁当」(1,200円)へ改称し、価格は2014年時点で1,250円、2020年時点で1,300円。2020年までの販売か。
日本の三大カニと呼んでもよいこの三種、ケガニとズワイガニは分類学上でカニ下目に属するが、タラバガニはヤドカリ下目に属するヤドカリの仲間である。といっても、いずれもカニとして人気を集めるのは周知のとおり。密輸が横行したり、クリガニやベニズワイガニやアブラガニといった味が劣るとされる近縁種が高く売り付けられるほど、多くの消費者や旅行者に親しまれている。
※2023年5月補訂:終売を追記2005(平成17)年10月1日に発売された、翌年3月31日までの期間限定駅弁。黒い長方形の容器に黒いプラ製のふたをかけ、三種のカニを描いたボール紙の枠にはめる。中身は茶飯の上を三種のカニほぐし身で埋め、カニ脚を一本添える。2009年までに下記へリニューアルか。
どれがタラバでどれがズワイでどれが毛ガニか判別が付かなくても、分かりやすく美味い外観と内容で、パッケージの「北海道札幌新名物」まではいかなくても、札幌駅弁の主力級にはなれそう。購入品はカニの脚もほぐしもややパサパサし、飯が固い感じだったが、正直に航空貨物で駅弁を持ってきたら、こんな味になるもの。
下記の駅弁「ぜいたく寿し」の、2011年時点での姿。漆塗りの木箱を模した正八角形の容器を、中身の名前とイメージイラストを掲載したボール紙の箱に詰める。中身は酢飯の上を錦糸卵で彩り、タラバガニの脚肉とほぐし身、蒸しウニ、イクラ醤油漬を貼り、サーモンとシイタケと甘酢生姜を添えるもの。つまりカニ寿司ではなくなり、北海道の駅弁らしい、悪く言えば個性のない、ウニ・カニ・イクラ丼となった。長距離輸送で冷蔵されても間違いのない味。2013年時点で「海鮮ぜいたく寿し」となり、2014年時点で1,350円、2015年時点で1,400円。2021年までの販売か。
※2023年5月補訂:終売を追記真っ黒な正六角形のプラスティック製容器に酢飯を詰めて、スモークサーモンにタラバガニの身とほぐし身を載せたもの。札幌駅弁の中では紛れもなく一番贅沢な駅弁。ただし駅弁大会で釧路駅「たらば寿司」が隣にいるとやや分が悪いか。2011年までに上記へリニューアルか。
2014(平成26)年9月10日に発売。駅弁の名前のとおり、パッケージのふたに書かれるとおり、ずわい蟹そぼろめし、たらば蟹そぼろめし、毛がにそぼろめしのセット。ただし容器の中での並び順は逆だった。毛がにには卵そぼろが、たらば蟹にはとびこと漬物が、ずわい蟹にはタケノコとシイタケも入る。グルメでなくてもカニの区別が付き、見た目と味に変化を与え、価格も抑えていて、これはとても優れた駅弁。2019年に終売か。
※2022年4月補訂:終売を追記北海道とJR北海道が2011(平成23)年7月から9月まで実施した観光キャンペーン「プレ北海道デスティネーションキャンペーン」の協賛企画として、リクルート北海道じゃらんの雑誌「北海道じゃらん」が同年7月20日から9月30日まで実施した「北海道駅弁選手権2011」17社18種類のひとつとして、2011年のおそらく7月から9月30日まで販売された駅弁。調製元は新千歳空弁の札幌バルナバフーズで、駅弁売店ではなくキヨスクでの販売。
黒い正方形のプラ製容器に透明なふたをして、ケガニの写真を大きく使った掛紙を巻く。中身は酢飯の上を半分だけ、イクラと枝豆を散らしたケガニほぐし身で薄く覆い、錦糸卵とカキ煮と大根桜漬を添えるもの。カニは吹雪で吹き飛ばされたのか分量は極小、一方で御飯はうまく、カニのフレーバーだけで食が進む。A4事務用紙の両面コピーで「北海道駅弁選手権2011」の投票方法を説明する宣伝のほうがしっかりしていた。
2001(平成13)年までには登場していた、冬季限定駅弁。長方形タイプの加熱機能付き容器に、かきめしの文字とイラストなどを描いたボール紙の枠にはめる。中身はひじき混じりの茶飯の上に大小10個以上のカキと、それと同じくらいの分量のシメジを載せて、絹さやを添えるもの。加熱で適度に濃厚な美味が出ている。
ただ、「駅弁の達人」なる催事屋マークが後付けされたことと、中身が公式サイトの写真とだいぶ異なることは気になる。また、同じ北海道とはいえサロマ湖は札幌駅から何百キロも何時間も離れていると思うが、地球の裏側から当たり前のように食料が輸入されてくる時代だから、これくらいは近いもの。公式サイトによると2010年時点で販売を終了した模様。
※2010年10月補訂:終売を追記札幌駅の駅弁を名乗る駅弁大会専用商品。電子レンジに対応し、まるで加熱機能付き容器のように感じる分厚い容器を、紙箱に詰める。中身は茶飯の上にたくさんのシメジと少々の煮カキなどを置くもの。厚岸駅のカキ駅弁ほど臭くなく、釧路駅のカキ駅弁ほど淡泊でもない、風味のバランスが都会的で、味だけを求めて大都市や駅弁催事で買う弁当にふさわしい印象。2008年頃までの販売か。
※2017年4月補訂:終売を追記1994(平成6)年に発売。八角形の容器にボール紙のふたをかけて紅白の麻ひもでしばる。中身は御飯の上にタラバガニの足身とほぐし身をたっぷり、本当にたっぷり載せるもの。味は悪くないが、あと百円玉をいくつか追加すれば市内でカニ料理が食べられるはずで、これは駅よりむしろ駅弁大会での販売に向く駅弁だと感じた。なお「弁菜亭」とは1999年頃から札幌駅の駅弁屋が用いる商号で、駅弁業者が入れ替わったわけではない。価格は2002年の購入時で1,530円、2005年6月現在で1,400円。2005年頃までの販売か。
※2017年4月補訂:終売を追記手のひらサイズの小さな容器をボール紙の立体パッケージに収める。中身はそのパッケージに写真があるまんま、酢飯の上にイクラとタラコと小さな帆立に、写真ほど多くは見えないカニの身とほぐし身を載せている。うまいものがたらふく喰えるイメージの札幌と「札幌名物」を名乗るこの駅弁を、うまく結び付けられるかどうか。価格は2002年の購入時では920円、2012(平成24)年頃に「海鮮えぞ賞味」へリニューアル。
※2018年6月補訂:終売を追記