東京駅から東北新幹線はやぶさ号で約3時間半。青森県上北郡(かみきたぐん)七戸町(しちのへまち)は、青森県内で青森市の東に位置する、人口約1.4万人の宿場町。今は畑作や酪農などの農業の町。駅弁は駅の開業日から「桜弁当」が販売されていたが、2019年のテナントの交代で他の弁当に替わった。2010(平成22)年12月4日開業、青森県上北郡七戸町字荒熊内。
2022(令和4)年の発売かどうか。過去に下記の「桜弁当」のち何種類かの駅弁が販売された、七戸十和田駅の駅舎のような公共施設「七戸町観光交流センター」の、喫茶店兼待合室のちカフェ「KEY’S CAFE」で、今回買えた唯一のお弁当。店内でも店頭でも、この弁当の存在を宣伝し、レジで販売していた。
ホカ弁向け、持ち帰り弁当チェーン店向けの、白い発泡材の容器に、商品名や内容に「七戸十和田駅限定販売」の文字を記した、白い掛紙を巻く。中身は掛紙に書かれたとおり、七戸産まっしぐらを使う梅おにぎりと昆布おにぎりがひとつずつと、鶏の唐揚、卵焼き、ウインナー、漬物。七戸も十和田も青森も感じない、コンビニ弁当で足りる内容でも、世界のコーヒーチェーン店のようなデザインの店内で売るに似つかわしくなくても、駅弁が再々登板したことが目出度い。駅前に巨大なスーパーマーケット「イオン七戸ショッピングセンター」があっても、駅の中で弁当が買われる需要があるのかと思う。調製元は青森県七戸の産業用電子部品製造会社。フランチャイズ事業で飲食店も営み、2022年時点でこのKEY’S CAFEも営業し、その店内で調製する模様。
2019(令和元)年5月の発売か。過去に駅弁「桜弁当」を販売した喫茶店兼待合室だった場所にオープンしたカフェ「KEY’S CAFE」で、「七戸十和田駅限定弁当」と掲示し販売していた弁当のひとつ。商品名は「青森県産ロコモコ&長芋フライ」である模様。価格は880円+外税という、内税が当たり前な駅弁らしからぬ設定。他に同じ容器と値段で「七戸ごぼうチキンピラフ&長芋フライ」も発売した模様。
屋台向けの白い容器に御飯を詰め、目玉焼きとハンバーグと長芋のフライドポテトを載せる。つまりハワイ料理とされるロコモコのようなもの。七戸や青森がどこにあるのか分からないが、フライドポテトがナガイモというのは珍しいと思った。調製元はこのカフェではなく、十和田市街のマッサージ店兼仕出し料理屋か。2019年限りで終売か。
※2022年4月補訂:終売を追記2019(令和元)年5月の発売か。過去に駅弁「桜弁当」を販売した喫茶店兼待合室だった場所にオープンしたカフェ「KEY’S CAFE」で、「七戸十和田駅限定弁当」と掲示し販売していた弁当のひとつ。他駅の駅弁でも使われる市販の仕出し弁当向け容器の、9区画のトレーの中身は、白飯に牛飯にハンバーグ、ほたてグラタン、サバ味噌煮、長芋にんじん巻ソテー、昆布の煮付けと豆サラダ、和え物、漬物と黒豆。
見た目では分からないが、十和田産、七戸産、八戸沖や陸奥湾の食材を多用したらしく、添付のおしながきにマッピングされる。単体でおいしい弁当だと思うが、この弁当と引き替えに追い出された下記の桜弁当が素晴らしい駅弁だったので、比べるとどうしても負けてしまうと思った。価格は1,300円+外税。2019年限りで終売か。
駅弁の名前のうち、七戸十和田は駅名、はやぶさは列車名だろう。碁盤の目とは十和田市街を指す。1880年代の東京市区より前の、1870年代の北海道開拓より前の、江戸時代の1855年に始まる新渡戸傳による三本木原台地の開拓では、奥入瀬川から総延長4kmのトンネルを含む約10kmもの人工河川「稲生川(いなおいがわ)」で水を引き、5年で約300ヘクタールの新田を正方形の区画で整備した。今も当時の区画が市街で残り、地元ではこれをもって近代都市計画のルーツとしている。この弁当で使う、なんでもない市販のプラ製トレーが、その市街の地図に見えてくる。
※2022年4月補訂:終売を追記七戸十和田駅の開業に合わせて、2010(平成22)年12月4日に発売。黒塗りの長方形の容器を、南部縦貫鉄道や八甲田連峰の写真とおしながきなどを印刷したボール紙の枠にはめる。中身は青森県産米の白御飯の上に馬肉の味噌だれ和えを敷き詰め、ニンニク素揚げとグリーンピースを載せ、ナガイモ煮、みそ南蛮、赤かぶ酢漬、ゴボウ味噌だれ和えを添えるもの。
馬肉は南部と会津と伊那と熊本を除いてなかなか一般受けしないため、これは舌や口に痛くはないがかなり濃い味付けにより、肉がちょっと固めな牛丼かなという風味になった。ニンニクまで付けて臭みをしっかりガードするやり方は、旅行者という部外者が来て食べたり、こうやって東京の催事に出てくる駅弁としては、アリだと思う。
2019(平成31)年5月に、この駅弁を販売した七戸駅交流センター2階の喫茶店兼売店兼待合室が、東京のキーコーヒーのパッケージカフェ「KEY’S CAFE」へリニューアル。これに伴い、桜弁当は駅から追い出されてしまった。その後は駅徒歩5分の道の駅「道の駅しちのへ」で売られる、道の駅弁になっている。
パッケージに登場する南部縦貫鉄道は、七戸駅と東北本線の野辺地駅を結んだローカル私鉄。沿線の砂鉄を下北半島の製鉄所へ輸送するために1962(昭和37)年に開業したが、まもなく製鉄所の計画が頓挫したため開業4年で倒産する。以後は会社更生法の下で再建を図りながら、東北新幹線の開業を待って待って待ち続けて、1997(平成9)年についに力尽きた。2002(平成14)年には法的に正式に廃止され、廃線跡が新幹線のはやて号やはやぶさ号を迎えた。七戸駅跡は車両ごと営業当時のままに保存され、毎年のゴールデンウィークには写真の車両の走行会が開催されている。
※2019年11月補訂:終売を追記