2011(平成23)年12月にモニターツアーとして試行し、翌2012年4月27日から毎土休日の商品設定が始まった、IGRいわて銀河鉄道の旅行商品。ツアーを申し込んで、盛岡駅から指定の普通列車に乗ると、途中の3駅または6駅で一箱ずつの小箱を受け取り、この弁当が完成する。2013年1月の京王百貨店の駅弁大会で、3駅バージョンの弁当が1,980円で実演販売された。
IGRの普通電車のセピア写真を印刷した紙箱の中に、駅名を書いてその電車の姿をした紙箱が3箱入る。それぞれに御飯とおかずが入る中身は、「盛岡」が茶飯、刻みクルミと味噌漬け大根、だし巻き玉子、鮭と枝豆蒸し、紫波きゅうり大葉巻き、信田巻き、「滝沢」がアユの甘露煮、みの干し南蛮、里芋じゅねみそ、干しシイタケ、サツマイモ甘煮、いんげん、シソの実ごはん、「いわて沼宮内」が岩手短角牛やわらか煮めし、岩手短角牛ミニハンバーグ、三陸産ホタテ甘露煮、野菜のやまと豚巻き、やまと豚ドイツソーセージ。デザートのマロンチーズの大判焼は奥中山高原駅と書いてある。
京王での売れ行きは残念ながら見た目で芳しくなく、催事場では見ても食べてもやっぱり、中身に見合わない価格設定と思われたのだろう。いわゆる整備新幹線の事業化と抱き合わせで、政治的に最重要級幹線鉄道を赤字ローカル線として背負ってしまった鉄道会社の、ユニークな取組から弁当だけ切り離されても魅力が出なかったのだとも思う。
この弁当というツアーも、最少催行人員10名、定員30名ないし40名で2014年6月現在で継続されているが、団体でも入らない限り催行決定が出ない模様。ということで趣味的には、現地でもまず手に入らない鉄道絡みの弁当が、ここで買えてラッキーだと思った。現地での実施も2014年限りか。
※2017年5月補訂:終売を追記2017(民国106)年7月21〜24日に、台湾の台北市内のコンベンション施設「台北世界貿易中心(台北世界貿易センター)」で開催された展覧会「2017台灣美食展」での「第3回鐵路便當節(鉄道弁当祭)」で販売された商品。日本の鉄道会社10社と、韓国、スイス、台湾2社の駅弁が、ここで展示販売されていた。
IGRいわて銀河鉄道の駅弁は、同社のIGR7000系電車が夜空を飛ぶ円形の容器に、酢飯を敷き、鶏肉、焼サバ、ごぼう煮、玉子焼、にんじん、たけのこ、きゅうり、しいたけ、れんこんなどを散らしたもの。ふたに「特別限定版 2017鐵路便當節」ともあるので、日本で売ることはないのだろう。IGRの「駅弁」はなかなか定着しないが、はたしてこのような駅弁の復活はあるのだろうか。
2007(平成19)年7月14日に発売。催事業者のジャパンフーズシステムと、岩手県陸前高田市のむらおこし第3セクターの陸前高田地域振興株式会社が共同開発した、道の駅「高田松原」で売られるお弁当。現地では土日に20個を売る一方で催事ではシーズンで2〜3万個を売るというし、調製も第3セクターではなく委託というから、現地での販売を繕った疑義駅弁の道路版だと見えなくもない。
碁石のようなつやと重さを持つ、駅弁より小柄な釜飯型容器にプラスティックのふたをして、割りばしと輪ゴムでふたを留めて、スーパーやデパートの売り場での見栄えを重視した構造だと思える、立ち上がり付きのボール紙の枠に収める。中身は茶飯の上にごっつい鶏肉がごんごん置かれ、玉子焼や梅干しもサイズが大きな、少量なのにパワフルなお弁当。1シーズンのみの商品寿命か。
旧建設省が世界に誇るヒットコンテンツ「道の駅」において、全国各地で何年も何度も様々な「道の駅弁」販売が試みられ、その成功や定着がまったく聞かれない状況を考えると、この商品は現時点ではまだ、催事場で採算か知名度を上げるための商品だろう。後者が勝り現地で観光名物となれば、歴史が変わる。
なお、道の駅高田松原は2011年3月11日の東日本大震災により、高さ15mとも30mとも言われる津波に襲われて建物内部が流失したため、以後は休館が続いている。
※2017年5月補訂:終売を追記東京駅から東北新幹線やまびこ号で約2時間半。水沢は2006年に奥州市の一部になるまで、岩手県の南部の北上川沿いで単独で市制を敷いた城下町。古くから人が住んだり地域の拠点であったと考えられ、戦国時代に城が、明治時代に県庁が置かれたり、昭和時代に商工業で栄えたりした。ここや東北本線水沢駅の駅弁はないが、仙台駅から盛岡駅までの駅弁が駅売店で売られることがある。1985(昭和60)年3月14日開業、岩手県奥州市水沢羽田町駅前一丁目。