東京駅から東北新幹線はやぶさ号で3時間弱。二戸市は岩手県の北端に位置する、人口約2万人の城下町。馬淵川の流域となる北上高地で、リンゴなどの果樹栽培やタバコなどの畑作が盛ん。中心市街地の地名は福岡であり、駅名も1987年1月まで福岡のち北福岡だった。駅弁は1980年代に一戸駅の駅弁屋が進出、2002年の新幹線開業で盛岡駅弁の一部も置かれ、2007年に地元の豚肉弁当と入れ替わり、のちに新青森駅弁の一部も置かれる。1891(明治24)年12月20日開業、岩手県二戸市石切所。
2007(平成19)年10月に二戸駅で発売。長方形の赤い容器に透明なふたをして、商品名や認証マークを印刷した赤いボール紙の枠にはめる。中身は白御飯の上をささがきごぼうで覆い、牛肉煮でさらに覆い、玉子焼、ふき、漬物を添えるもの。
内容を書いて表せば普通の牛肉駅弁だが、肉の詰め方が公式写真よりもたっぷり、ていねいで、肉も赤身の柔らかさと控えめな脂肪分が上品な感じ。パッケージのデザインも中身や味に負けずに上品である。調製元は地元の古物商兼自動車部品業兼ホテル業兼惣菜屋兼スーパーマーケット。価格はかつて1,000円、2014年4月の消費税率改定で1,029円。
いわて短角和牛とは、岩手県農林水産部流通課の「いわて牛普及推進協議会」が定義する日本短角種の岩手県産牛の総称で、江戸時代の南部藩の時代からこの地にいた南部牛にアメリカのショートホーン種を掛け合わせたもの。冬を除き牧草地に放牧され、自然交配で子を産ませるという、赤身が勝る肉質も含めて現在の国内各地のブランド牛とはおおよそかけ離れた飼育方法を取るという。
※2017年11月補訂:写真を更新2011(平成23)年5月2日に購入した、二戸駅弁の掛紙。上記の2017年のものと同じ。二戸駅の駅弁は、メディアでもネットでもほとんど報告されないので、常に現況不詳な感じ。価格は消費税率5%の時代で、ちょうど千円だった。
駅では2013(平成25)年頃の発売か。調製元は二戸に4店舗を持つ惣菜屋。見た目は今風のコンビニ弁当で、プラ容器に透明なふたをして、商品名の紙帯を巻き、ラップを巻いて包む。中身は白御飯をロースカツの玉子とじで覆うもの。飯より量が多いのではないかと思うほど、肉と衣がたっぷり入り、B級の上くらいの肉の香りと柔らかさと、手作り感が印象的。2022年時点で二戸駅の売店では売られなくなり、駅舎代わりの物産館「二戸広域観光物産センター」の1階店舗「なにゃーと」で売られる。
駅では2013(平成25)年頃の発売か。上記のお弁当「佐助豚かつ重」と、中身はまったく同じ。上記が「大」で、こちらが「小」。2020年までには終売。以後は上記の「大」に相当するもののみが、駅でなく駅の隣の土産物店「なにゃーと」で売られる。
※2022年11月補訂:終売を追記、新版の収蔵で解説文を手直し2003(平成15)年10月2日に発売。木目色で内部を朱に塗った長方形の容器に透明なふたと掛紙をかけて輪ゴムで割りばしごとしばる。中身は雑穀入り炊込御飯の上に皮付きのみちのく赤鶏酒粕味噌漬焼を4個ほど置き、こんにゃくや鶏そぼろや舞茸や椎茸などで飯を覆い、デザートはりんご煮。すべて岩手県産品を使用したという「地産地消」がコンセプト。九州北部でないのに鶏を「かしわ」と呼ぶ点が珍しい。
この駅弁は、2001(平成13)年12月の東北新幹線延伸後の二戸駅に名物駅弁を作ろうと、地元の街づくり委員会と駅弁屋が共同で開発したもの。新幹線開業により二戸駅のキヨスクで販売が開始された一戸駅弁に配慮してか、駅構内ではなく駅舎併設の物産センターで販売された。しかし二戸駅での販売は数年間で終わったようで、その後は盛岡駅でのみ販売された模様。2013年頃までの販売か。
※2017年5月補訂:終売を追記