東京駅から東北新幹線はやぶさ号で約2時間半。岩手町は岩手県の北部で北上川の上流に位置する、人口約1万人の町。過去には奥州街道の宿場、南部馬の産地、キャベツの生産で知られ、今は畑作やホッケーや盛岡郊外の宅地。駅弁は1950年代に伯養軒の販売があったほか、2002年の新幹線の開通で駅弁が一時的に売られた。1891(明治24)年9月1日開業、岩手県岩手郡岩手町大字江刈内。
これは駅弁ではなく、2011(平成23)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売されたお弁当。長方形の容器に透明なふたをして、弁当の名前と写真を印刷したボール紙の枠にはめる。中身は白御飯の上にきんぴらごぼうを敷いてから牛肉煮をたっぷり載せ、梅干し、クリ、シイタケ、ニンジン、フキを添えるもの。
牛肉の駅弁、ブランド牛の駅弁はいくつも食べてきたが、牛肉の赤身をほぐして煮て詰めたこの牛丼の味は個性があり、脂に頼らないのに柔らかくて「さっぱりしておいしい!」に納得。調製元の所在地が沼宮内とあるため、東北新幹線いわて沼宮内駅かその併設施設で駅弁にできないかと思った。
2012年1月には阪神百貨店の駅弁大会でも実演販売されたが、そこではいわて沼宮内駅前の駅弁と紹介した。実際には駅では売られず、駅から販売地と思われる道の駅まで駅から1km、調製元までは2kmくらいあり、沖縄県壺川のものよりより遠い「駅前」である。2016年時点で、予約により駅や調製元で買える模様。
※2017年8月補訂:現況を追記2005(平成17)年かそれ以前から、道の駅か地元の惣菜として売られていた模様。竹皮製の容器に五目おこわを詰め、鮭塩焼、ホタテ、シイタケ、ニンジン、カボチャ、鶏肉煮、ゴボウを載せる。これは京王百貨店の駅弁大会での実演販売で購入。会場では、駅名を表示しながら、「駅弁」ではなく「うまいもの」扱い。本当に駅で売られているのかは分からない。粘り気たっぷりの五目おこわと、おかずの大きくしっかりした具で、旅先で駅弁として出会えれば、印象に残ると思う。
この弁当がいわて沼宮内駅で買えることはないと思うが、2010年頃に双葉社の漫画雑誌「漫画アクション」の連載漫画「駅弁ひとり旅」で紹介されて単行本にも掲載されたことで知名度が維持された。ネット上には取り寄せた、何年越しで買えた、調製元の通信販売で見たなどの報告が散見される。価格は2010年時点で850円、2015年の購入時で1,000円、2016年1月の京王百貨店の駅弁大会では1,280円。
※2023年7月補訂:終売可能性を削除東北新幹線の八戸延伸による新幹線いわて沼宮内駅の開業を祝い、2002(平成14)年12月1日に発売した地域おこし型駅弁。地元の画家が描いた松川渓谷玄武岩の墨絵を掛紙に使用、中身は、笹を敷いた上に、八幡平の伏流水を集め環境庁(当時)が1985年に選定した日本名水百選にも選ばれる水で育った地元のニジマスと、岩手米ひとめぼれを使用した押し寿司を、長方形の容器に収めるもの。笹の葉と梅酢で味と香りにアクセントを付ける。
新幹線開業を機に村の新たな名産品を作ろうと、村の宿泊施設の調理長や板前が、地元の素材を使ったお弁当を共同で開発したもの。現在は土曜・日曜に駅併設の物産センターで販売されているそうだ。一日の平均乗降客数がわずか210人では商売は厳しそう。駅での販売は2005年頃に、道の駅での販売も2011年頃に終了か。
いわて沼宮内駅は、東北本線の沼宮内駅を新幹線の開業と同時に改称したもの。沼宮内駅は昭和30年代に公式な駅弁販売駅であったため、約40年ぶりに駅弁が復活したとも取れる。駅の利用者は少なくても、かつては山越えのための蒸気機関車の増解結のために列車の停車時間が長かったそうで、駅弁が売れたのだろう。東北本線の電化改良で小駅となり駅弁も消え、特急「はつかり」が停車しなかった駅に新幹線「はやて」が停車するのは、かつて運輸省が盛岡・沼宮内間のみ在来線の改良で新幹線を走らせようとした名残か。
※2017年8月補訂:終売を追記上記の駅弁「八幡平清流寿し」の、2011(平成23)年1月時点での姿か。掛紙と容器は変わっていないが、中身は押寿司からにぎり寿司に変わり、ヒメタケ、玉子焼、ゆり根が加わり、価格が100円下がった。味もジューシーでおいしいものに変わっている。
さらに製造者が「松尾ふるさと振興公社」から「八幡平市産業振興株式会社」に変わり、京王百貨店の駅弁大会での扱いが「駅弁」から「うまいもの」へと変わっている。今ではいわて沼宮内駅や駅併設の物産センターとは決別してしまったのだろう、この年の5月に現地を再訪したが、売店に駅弁の掲示も実物もなかった。箸袋に記される「道の駅にしね 赤松どおりふれあい館」での販売があるかどうかは不詳。
これは駅弁ではなく、2011(平成23)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売されていたお弁当。正八角形の容器に透明なふたをして、八幡平の風景や中身の食材の写真を掲載したボール紙をかける。中身は白御飯の上にベニマスのスライスとほぐし身、小粒なハラコ、玉子焼、ゆり根、ヒメタケ、ワサビを載せるもの。
見た目ではサーモンとイクラにニンニクを添えたお弁当だと思った。ゆり根が異臭を放っていたことを除けば、柔らかくジューシーなお味。しかしどうも、販売箇所とされる「道の駅にしね 赤松どおりふれあい館」に実態はない模様。この駅弁大会でのみの販売か。
八幡平(はちまんたい)は、奥羽山脈で岩手県と秋田県の県境に位置し、1956(昭和31)年に国立公園に指定された高原。百万年前の火山地帯であり、古戦場の伝説があり、過去には鉱山が立地し、現在は温泉と散策と高山植物で売る自然豊かな観光地である。
※2017年8月補訂:終売を追記