東京駅から新幹線はやぶさ号で約100分。仙台市は宮城県の中央に位置する、人口約110万人の城下町で県庁所在地。豊かな植生で杜の都(もりのみやこ)と呼ばれる、東北地方の首都として君臨する大都会。駅弁は明治時代から売られ、戦後昭和から平成時代に3社が競う日本一の激戦区であったが、JR東日本の子会社が駅弁売店を独占した2010年代からは活気がない。1887(明治20)年12月15日開業、宮城県仙台市青葉区中央1丁目。
駅弁の名前は「みやぎサーモン押し寿司」とも。2017(平成29)年9月1日から11月23日まで6000個を販売。翌2018(平成30)年も10月12日から1月31日まで仙台駅と東京駅で7000個を販売。2019(令和元)年は告知なく売られ、2020(令和2)年秋のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2020」ではなぜか新作駅弁とされた。この駅弁の名前と中身で使う養殖ギンザケ「みやぎサーモン」について、掛紙の裏側で解説する。
胡麻を混ぜてサーモンを挟んだ酢飯に、サーモンの酢漬けを貼り合わせたり、大根の甘酢漬やワサビや柚子皮を据えたものが6個。サーモンと野菜のマリネとガリも添付する。マス寿司のようにふんわり柔らかなバッテラだった。
調製元のJR東日本クロスステーション(2020年3月まで日本レストランエンタプライズ)仙台調理センターが2022年9月限りで閉店したようで、以後は同社の100%子会社である神奈川県の大船軒の駅弁になり、2023年4月に親会社へ吸収され東京駅弁となった。価格は2017年の発売時で1,100円、大船軒が2022年9月に1,200円へ、12月から1,250円へ値上げすると発表した。
※2023年1月補訂:値上げを追記2017(平成29)年4月頃の発売か。真っ黒な箱に、しそと生姜を少し混ぜた酢飯にカレイえんがわの炙りを貼った棒寿司を、6切れにカットして笹の葉に包んで詰める。下記の駅弁「笹巻きえんがわずし」を、具も飯もひと味変えたもの。そんな変化は、風味にはまったく影響がなく、同じ味がした。えんがわが口や飯に溶けていき、物足りないくらい。価格は2017年の発売時や購入時で1,250円、2019年5月から1,600円。
※2019年8月補訂:値上げを追記2005(平成17)年秋の発売か。駅弁の名前のとおり、酢飯にサバを併せて白板昆布で巻いた、金華サバの棒寿司を1本、笹の葉に包み、透明なシートで巻き、仙台茄子漬とガリとおしぼりと醤油とともに箱詰めし、見本写真と宣伝文を書いた掛紙を巻く。
こういった焼かない魚の棒寿司は、一回り昔に駅弁でも流行っていたと思う。今は地味な駅弁ながら、過度にならないギリギリの範囲で本当に脂の乗りが良く、味だけなら日本海側の他の駅の有名駅弁に負けていない。価格は2010年時点で1,200円、2015年の購入時で1,250円、2019年5月から1,400円。
金華さばとは、宮城県の金華山沖の周辺海域で、11月以降の指定期間に定置網、一本釣り、まき網のいずれかで獲り、石巻魚市場が認証した、大型で高鮮度で脂のり抜群のマサバのことを指す。この石巻の特産を活用ないしアピールする主旨もあり、この駅弁が生まれたそうな。
※2019年8月補訂:値上げを追記2004(平成16)年8月1日に仙台駅で発売。しそ混じりの酢飯に、カレイのえんがわを貼り付けて、6切れにカットしてライムを添えて、笹の葉で包んでからラップで包み、梅干しとガリと昆布醤油と割り箸とおしぼりとともに、専用の紙箱に詰める。ふんわり御飯も白く透き通るエンガワも身厚で、脂と歯応えととろける感じを同時に備えている。価格は2004年時点で900円、2010年時点で1,000円、2014年時点で1,100円、2019年5月から1,400円、2023年時点で1,450円。
※2024年2月補訂:写真を更新2015(平成27)年1月17日に購入した、仙台駅弁の外箱。構造や絵柄や中身は、上記の2023年のものと、おおむね変わらない。
2004(平成16)年8月5日に購入した、仙台駅弁の掛紙。上記の2015年の駅弁「笹巻きえんがわずし」と、中身や味は変わらない。当時は紙箱でなく、宣伝文はしおりに記し、容器を厚紙の掛紙で包み、ひもで十字にしばっていた。
発売年は不詳。食品表示ラベルの内容から、どうもこれはデパ地下弁当と同じように、仙台駅の売店で調製しているようで、するとここにライブキッチンを設けた2017(平成29)年以降の発売か。金華さばを酢飯に合わせた棒寿司を、しめさばで2切れ、炙りさばで2切れ、細長い容器に詰める。風味で作り置きの駅弁より活きの良い感じがした。日本レストランエンタプライズ(NRE)改めJR東日本フーズ改めJR東日本クロスステーションは、2022年9月に仙台調理センターを廃止したため、この駅弁もそれまでに終売か。
※2023年8月補訂:終売を追記2009(平成21)年に発売か。中身は宮城県産ひとめぼれをまぐろコラーゲンで炊いたという茶色い棒状酢飯と、アナゴの蒲焼きが各1本というシンプルさ。これをプラ製の模造笹葉をあてて、竹皮を固めた容器に入れて、透明な袋に密封して、中身の写真を印刷したボール紙のパッケージに詰めるという過剰包装。おかげでタレで手や容器を汚すことはなかったけれど、中身の少量さが強調されてしまった。風味は常温で適度に濃く、食感は柔らかい。2012年頃までの販売か。
※2017年8月補訂:終売を追記2010(平成22)年3月23日に発売。細身の長方形な容器に透明な上げぶたをして、駅弁の名前や中身の写真を印刷したボール紙の枠に収める。中身は左から、スパム、チーズ、チャーシュー、大根甘酢漬で4個の握り寿司。価格も分量も食べやすさもお手頃で、見てのとおり書いたとおりとても奇抜な内容で、しかしゲテモノの風味は感じられず意外に合っている。今はなき登別駅弁「洋寿し」の現代的な生まれ変わり。価格は2010年の購入時で500円、2014年2月から550円。実際に売られたのは2010年内のみか。
※2017年8月補訂:終売を追記仙台駅のコンビニで売られていた、駅弁のような軽食寿司。押寿司を一口サイズに切って、短く切った笹の葉に巻き、中身を書いた紙帯で留め、これを5個まとめて透明な袋に密封し、竹の質感のボール紙容器に収め、商品名を書いた掛紙を巻く。中身は卯の花寿司が1個、〆さんま寿司が1個、サンマの蒲焼寿司が3個。
「卯の花寿司(うのはなずし)」とは、酢飯の代わりにおからを使った寿司や、具におからを混ぜた寿司のことを指す。宮城県気仙沼地方では、サンマをおからと野菜で漬けた「卯の花」の押寿司が郷土料理なのだそうな。購入時の価格は600円。2011年現在で650円へ値上げされている模様。
なお、調製元は2011年3月11日の東日本大震災による津波で全壊したそうで、4月11日付で公式サイトに営業休止の案内を出している。営業再開後もこの商品は、駅には出ていない模様。
※2017年8月補訂:駅での終売を追記木製の押寿司容器を模した容器をボール紙の枠にはめる。中身はパッケージの写真にあるとおり、昆布をかけた鯖押寿司と大根酢漬を載せた鮭押寿司が5切れずつ入り、一応あるぞという感じで笹が敷かれるもので、味気ないシンプルさを感じるものの味と分量はなかなか。三陸産の鯖と鮭を使うことで仙台や駅弁の名前との関連を確保している。2003年4月と今回で、中身も価格も変わっていない。2010年頃までの販売か。
※2017年8月補訂:終売を追記2003(平成15)年4月20日に購入した、仙台駅弁のスリーブ。上記の2007年のものと、何も変わらない。
小さめな長方形の容器にボール紙製のふたをかけて、プラスティックのバンドで止める。中身は正方形の8区画に太巻・いなり・穴子・海老+玉子・北寄貝・イクラの寿司と、カッパ巻に煮物が収められる。すし弁当として年中発売の商品のうち、七夕の時期だけこのパッケージを使用するものと思われ、仙台七夕の七飾りの簡単な解説が裏蓋に記載されている。2005年頃までの販売か。
東北三大祭と日本三大七夕祭のそれぞれひとつに数えられる仙台七夕は、7月7日ではなく8月6〜8日の3日間に仙台の中心街での開催。アーケードに飾りが生い茂り、昼なお暗い歩行者天国に観光客があふれる。
※2017年8月補訂:終売を追記気仙沼湾観光協会推奨品。長方形の容器の底には笹の葉が1枚敷かれ、やや酸味の強いすしめしと脂の乗ったサンマに昆布シートをかけた棒状のすしが1本まるごと入っている。すしめしの割合がとても多く、そのまま食べるとサンマの風味が感じられないため、別々に食べたほうがおいしい。2003年頃までの販売か。
※2017年8月補訂:終売を追記1950年代のものと思われる、昔の仙台駅弁の掛紙。調製印の印字が潰れて読めないが、収集者は1953(昭和28)年12月9日の調製と判断し、掛紙に数字を書き入れた。「外食券お引換」の文字があるので、1952(昭和27)年頃から1955(昭和30)年頃のものだろうから、その時期に収まる。