東京駅から新幹線はやぶさ号で約100分。仙台市は宮城県の中央に位置する、人口約110万人の城下町で県庁所在地。豊かな植生で杜の都(もりのみやこ)と呼ばれる、東北地方の首都として君臨する大都会。駅弁は明治時代から売られ、戦後昭和から平成時代に3社が競う日本一の激戦区であったが、JR東日本の子会社が駅弁売店を独占した2010年代からは活気がない。1887(明治20)年12月15日開業、宮城県仙台市青葉区中央1丁目。
2023(令和5)年9月15日に仙台駅や首都圏で発売、10月からのJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2023」にエントリー。仙台駅弁の牛たん弁当で見慣れた、円形の加熱機能付き容器に、麦混じりの白飯を詰め、牛たんサガリのペッパーまぜで、牛の舌の裏や根の筋を塩と胡椒で味付けしたもので覆い、コーンと醤油だれを添える。これらを全部混ぜて食べるのが正しい姿のようで、割りばしでなくスプーンを添付する。これで温かい塩味の牛肉の混ぜ御飯ができる。個性的でもくせのない、牛丼か混ぜ飯の味。
2016(平成28)年の発売か。仙台駅弁の牛たん弁当でおなじみの、丸い加熱機能付き容器を使う。中身は白飯を牛たん味噌焼、牛たん塩焼、つくね、いぶりがっこで覆うもの。味は見た目のとおりで、値段の分だけ牛たんの量に優れる。全国各地で買えそうな商品。価格は2016年の発売時で1,500円、2019年の購入時で1,600円、2022年時点で1,950円、2023年時点で2,000円。
※2023年8月補訂:値上げを追記2012年より前に発売か。仙台エリアで牛たんのレストランや売店をチェーン展開する牛たん店の、加熱機能付き弁当。四角い加熱機能付き容器に、麦飯ではなく白飯を詰めて、厚切りの牛たん焼を8切れ並べ、南蛮みそ漬、いぶりがっこ、メンマ、味付け牛たんを添える。シンプルな中身とたっぷりの牛たんで、見ただけで満腹になりそう。価格は2015年の購入時で1,550円、2016年時点で1,650円、2019年時点で1,850円、2022年時点で2,300円。
※2023年8月補訂:値上げを追記2015(平成27)年5月29日の発売。といっても、まったくの新作というより、仙台駅の加熱機能付き容器を使う牛たん弁当の、ウェルネス伯養軒版のリニューアル品だろう。中身はパッケージ写真どおり、白御飯を牛タンのそぼろと塩焼きで半分ずつ覆い、ニンジンで彩り、大根漬と南蛮味噌漬を添えるもの。駅弁として価格相応で、ちょうどよい薄さの牛タン塩焼に、良いツヤと香りと歯応えがある。価格は2015年の発売時や購入時で1,080円、2019年5月から1,200円、2023年時点で1,350円。
※2023年8月補訂:値上げを追記東京、大阪、福岡、札幌など全国各地の主要都市にレストランを展開するようになった、仙台の人気牛たん店の加熱機能付き弁当。2012(平成24)年3月に仙台駅構内で「牛たん駅弁屋」がオープン、訪問時で「たんや善治郎」「伊達の牛たん本舗」「利久」「喜助」の4社6種の牛たん弁当を販売しており、これも駅弁と呼べるようになった。
A4サイズを上回る大きな容器は、意外にも加熱機能付き。中身は麦飯、牛たん、レトルトパック入りの牛たん味噌漬、玉子焼、青菜、南蛮味噌。値段は見た目で張るが、確かに「肉厚でジューシー」な牛たんと、レトルトパックの牛たん味噌漬の分量と味は確かで、仙台や東京の利休の味。一人旅であれば、市内や駅構内「牛たん通り」で行列に何十分も列ぶより、味も値段も変わらないここの弁当を待たずに買って食べるのが良いと思った。価格は2015年の購入時で1,730円、今ではもっと上がっていると思う。
2013(平成25)年の春までに発売か。円形の加熱機能付き容器に麦飯を詰め、パッケージの見本写真どおりの大つぶ帆立2個と牛たん3切れを置いて、ニンジンと漬物を添える。よく似たものが仙台駅弁にはいくつもあると思うが、仙台駅弁の幅を広げる商品であり、味も期待を裏切らない。価格は2013(平成25)年の購入時で1,100円、2014年2月から1,150円。2017年までの販売か。2022年の秋までに、同じ名前と内容で加熱機能付きでない容器を使う駅弁が、1,680円で発売。
※2023年8月補訂:終売などを追記2010(平成22)年3月23日に発売か。牛タンのたんと、豚肉のとんで、たんとん弁当。円形の加熱機能付き容器を使用、中身の写真2個分や駅弁の名前などを印刷したボール紙のパッケージに詰める。中身は白御飯の上に牛たんの塩焼きと豚肉の味噌焼きで半分ずつ覆い、万来漬を添えるもの。
牛たんは厚さが仙台駅の名物駅弁「網焼き牛たん弁当」の倍はあり、肉の種類と味付けが異なるものが半々で入るため、飯と肉だけの駅弁なのに食べて飽きが来ない。既存の牛タン駅弁とひと味違う差別化された駅弁は、東京駅その他の「駅弁屋旨囲門」やデパートの駅弁催事でもよく見掛ける人気商品になっていると思う。価格は2010(平成22)年の購入時で1,100円、2014年2月から1,150円、2020年時点で1,200円、2020年で終売か。
※2023年8月補訂:終売を追記仙台市内に十数店ものレストランを構える人気牛タン店の、催事向け弁当。駅弁でも使われ、実際に販売員が駅弁と同じだと説明していた、長方形の発熱容器を美しいボール紙枠をはめる。中身は麦飯に牛タンを貼り付ける、仙台名物牛タン弁当。
価格差もあるが、感覚値で駅弁の3倍くらい敷き詰めた牛タンの柔らかく薫り高い風味を味わうと、もう駅弁に戻れないかも。仙台駅弁の牛たん弁当は、その知名度だけで売れている感があるが、価格を上げて品質を上げるか上等版を作っておかないと、不味いしょぼいのレッテルを貼られかねない気がした。
2006(平成18)年12月頃に「やわらか牛タン弁当」として発売、2011(平成23)年10月にこの「炭火焼き風牛たん弁当「塩竈藻塩付」」へリニューアル。四角い加熱機能付き容器に、麦混じりの御飯を詰め、牛たん焼5枚で覆い、花人参と南蛮味噌漬を添え、塩竈の藻塩を別添する。
これは、仙台駅で1990(平成2)年に発売され、仙台の牛たんと駅弁と加熱機能付き容器の宣伝と普及に貢献した、こばやしの「網焼き(炭火焼き)牛たん弁当」の模倣である。売れた駅弁が各社に広がるのは、よくあること。しかしここでは、駅弁屋を上位の立場で監督する鉄道会社の100%子会社が、同じ駅で同じ駅弁をぶつけてきたのだから、穏やかでない。
後に各社が駅構内で構えていた駅弁売店をこの子会社に統合してしまい、販売元と納入者という関係でも駅弁屋の上位の立場にしてしまったことで、かつて日本一多様といわれた仙台駅の駅弁は、すっかり衰退してしまった。食べて温かくておいしい牛たん弁当でも、そんな支配関係を思うと複雑な気持ちになる。調製元の仙台市のJR東日本フーズは、2020年3月までの日本レストランエンタプライズ。2021年までの販売か。
※2023年4月補訂:終売を追記2013(平成25)年7月1日に「極上厚切り牛たん弁当」(1,350円)として発売。2014年に1,450円へ値上げし、2015年に現在の名前へ改称。長方形の加熱機能付き容器を使い、麦飯、牛タン、きんぴらごぼう、南蛮味噌漬を別個の区画に詰める。一味唐辛子と塩竈の藻塩を添える。ステーキ駅弁風に刻む、確かに厚切りな牛タンがごろごろ。これならば下記の利休その他の、仙台の牛タン食堂の牛たん弁当に負けない味と量だと思う。価格は2018年時点で1,500円、2020年時点で1,600円。NRE改めJR東日本フーズ改めJR東日本クロスステーションは、2022年9月に仙台調理センターを廃止したため、この駅弁もそれまでに終売か。
※2023年4月補訂:終売を追記2012(平成24)年の夏までに発売。名物の牛たん弁当と同じ構造を持つ加熱機能付き容器に、白御飯と牛たん焼に加えて鶏照焼も詰めたもの。温めた鶏と麦飯がミスマッチも、牛たん弁当のパートではさすが信頼と実績の仙台駅弁。最近は厚切りでジューシーなタイプの牛タン弁当が増殖中だが、こういう薄く小さく固いタイプも乙なものである。2014年時点で現存しないものと思われる。
※2015年2月補訂:終売を追記2006(平成18)年12月に発売か。日本レストランエンタプライズ(NRE)の仙台駅弁で、初めてとなる加熱式駅弁だそうな。円形の加熱機能付き容器を底すぼみな紙箱に詰める。中身は麦飯に網焼き牛たんを貼り付ける、仙台駅弁としておなじみのタイプで、これにとろろを別添する。つまり内容は、仙台駅に牛たん駅弁を生んだ、こばやし製「網焼き牛たん弁当」のパクリ。しかし食べてみれば、分厚く柔らかくジューシーでピリ辛な牛たん、そしてとろろいもが醸し出す風味は独特なもの。先駆者との差別化は図られている。
しかし、現在の仙台駅弁は3社共通売店でしか売られないため、この駅弁の出現でこばやし製の販売個数は半減するのでは。駅構内営業の殺生与奪を握る鉄道会社の100%子会社が、ヒット作の模倣品を投入し真正面から競合させることは、横暴としかいいようがなく、大変に残念なこと。NREは近年に駅弁売上倍増という急成長を遂げたが、それが故の大きなノルマかプレッシャーが、現場や担当者に重くのしかかってないか、心配に思う。2011年頃までの販売か。
※2017年8月補訂:終売を追記仙台駅伯養軒の牛たん弁当。円形の加熱機能付き容器をボール紙のパッケージに入れる。中身は白御飯の上に特製のピリ辛味噌をたっぷりからめて焼いた牛たんが4切れ載るもので、ひもを引くと盛大に蒸気を出した後8〜10分で全体が暖まる。ライバルこばやしの牛たん駅弁にまったく引けを取らないが、全国的な知名度や駅弁大会での露出度ははるかに劣っている。2010年頃までの販売か。
※2015年10月補訂:終売を追記