東京駅から東北新幹線で約50分。宇都宮市は栃木県の中央に位置する、人口約52万人の城下町で県庁所在地。工業都市として栄えるほか、二荒山神社の門前町や、餃子の町としても知られる。駅弁は明治時代から一貫して健在。駅弁の発祥地はここだという説がある。1885(明治18)年7月16日開業、栃木県宇都宮市川向町。
2018(平成30)年4月1日に発売。宇都宮を舞台とした地方創生ムービー「キスできる餃子」の6月公開予定を記念した駅弁。真っ白な半円形の容器を、ピンク色の掛紙で包む姿は、まるで餃子型。その掛紙を読むと、2018年4月から6月までのJRグループの観光キャンペーン「本物の出会い栃木」も記念しているのではないかと思う。
中身はおしながきによると「カリカリ梅ごはん」「焼き餃子」「キスのフライ」「ピンクと白のうずら串」「スペイン風オムレツ」「人参の岩下漬けとくるみのマスタードマリネ」「アスパラマヨネーズ和え」。ここの餃子は下記の駅弁「焼餃子ダブル弁当」のふんわり焼餃子と同じものだろうか。その油味や臭みと、飯などの酸味が調和する、意外におしゃれなお弁当。ふたのシールがおみくじになっている。販売は数か月間か。
映画「キスできる餃子」は、ポスター記載「バツイチ子持ち女子とイケメン人気ゴルファーとキスと餃子と−奇跡のコラボレーションが焼き上がる!」のラブコメディ。映画監督と宇都宮餃子会の事務局長の全面協力のもと、宇都宮市街で撮影されたという。
※2022年4月補訂:終売を追記2017(平成29)年5月10日に、6月までの期間限定で宇都宮駅と大宮駅で発売。翌年4月から6月までの実施が予定されている、JRグループの観光キャンペーンに向けて、宇都宮市内の餃子店で構成する協同組合宇都宮餃子会の監修により開発された。好評により7月以降も売られた。
容器を覆う掛紙には、宇都宮市内の餃子店で出てくるような餃子料理を描く。中身は白御飯、焼餃子12個、たれ2袋、柴漬けのみという潔さ。宇都宮駅では下記のように、過去に何度か理屈っぽい餃子の駅弁が出ていたが、本当はこういうものが求められていたのではないかと思う割り切り感。メインの餃子は当然に焼きたてではないものの、もちもち、しっとり、臭いたっぷりで、自然に食べられた。2020年までに終売か。
※2022年4月補訂:終売を追記宇都宮市、宇都宮大学、JR東日本大宮支社、調製元の共同開発により、「栃木味めぐり弁当」とともに2016(平成28)年4月1日から6月30日まで宇都宮駅と東京駅と大宮駅で販売される期間限定駅弁。栃木県の観光キャンペーン「「本物の出会い 栃木」春の観光キャンペーン」に合わせ、JRが宇都宮市に声をかけて、2012年度に宇都宮市と宇都宮大学教育学部大森研究室で共同開発した地産地消レシピ「餃子めし」を駅弁にしたという。その後、販売の継続か、同年10月からのJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2016」へのエントリーに合わせてか、早くもリニューアル。
他の駅弁では見たことがない半円形の容器を、まるで餃子のように赤い掛紙で挟んで包む。中身は掛紙のイラストで紹介されるとおり、餃子めしにザーサイ、小松菜、ラー油を添え、モロ(モウカザメ)のフライ、ゴボウやニンジンなどの煮物を付ける。餃子めしとは、餃子の具を使う炊込飯。中身に餃子はなく、さらにこの飯はニンニクを使わないことで臭いがないのが特徴であるため、駅弁の名前に期待して餃子弁当だと思って買うと、がっかりするかもしれない。2017年に売られているかは不明。
※2017年9月補訂:現況を追記上記の駅弁「「餃子めし」弁当」の、2016(平成28)年4月1日の販売時点での姿。当時は長方形の容器に黄色い掛紙を巻く、駅弁としてごく普通の姿をしていた。中身と価格と風味は、リニューアル後と同じ。
※2016年11月補訂:新版の収蔵により解説文を変更2008(平成20)年10月12・13日の両日に東京駅構内で開催された「東日本縦断駅弁大会−秋−」で販売されたお弁当。同年の富貴堂弁当部の駅弁撤退により、同社の有名駅弁「餃子弁当味味(ウェイウェイ)」に代わる宇都宮のぎょうざ駅弁として発売したと思われる、同じ名前の商品の中身を倍量にしたものだそうな。
木目調の容器と竹皮柄のボール紙容器を重ね、掛紙を巻いて輪ゴムで留める。中身は下段がコシヒカリの白御飯と茶飯、上段にぎょうざ7個、にらまん2個、しゅうまい2個を詰めていた。味も量も大変に食べ応えがあり、この地味が過ぎる名前とパッケージが本当にもったいない。
総務省が1946年から毎年実施している、1世帯あたりの年間収支を調査公表する「家計調査」。1990年に宇都宮市が餃子への年間支出金額で全国一であることを発見した宇都宮市職員が、これをネタにした街おこしを提案、市役所から商工会や観光協会を巻き込んだPRにより、宇都宮は餃子の街になった。今や有名店には県外客の行列ができ、駅売店には餃子関連の土産物が積まれ、しかし餃子の駅弁はあまり賑やかではない。
1993(平成5)年11月に発売。「味味」と書いて「ウェイウェイ」と読ませる餃子の顔のキャラクターを配した、オレンジ色の掛紙がよく目立つ。外枠の直線部のみに経木を使用した半円形のボール紙製容器に白いトレーを入れる。中身は梅干しが載った白御飯の周囲を、ふわりとした皮の大きめで冷めても美味い餃子を贅沢に7個も入れ、焼売とくせのないザーサイが入る。
宇都宮餃子会から供給された餃子は、確かに焼きたてではないと言われてしまえばそれまでだが、冷めてこれだけ良い味が出るものは他に思い浮かばない。宇都宮で市内に出る時間はないが乗換時間がある場合に、すっかり有名になった宇都宮餃子を駅弁で手軽に味わおう。2008年に調製元が駅弁から撤退したため、この駅弁も終売となった。
※2009年3月補訂:終売を追記