東京駅から東北新幹線で約50分。宇都宮市は栃木県の中央に位置する、人口約52万人の城下町で県庁所在地。工業都市として栄えるほか、二荒山神社の門前町や、餃子の町としても知られる。駅弁は明治時代から一貫して健在。駅弁の発祥地はここだという説がある。1885(明治18)年7月16日開業、栃木県宇都宮市川向町。
2023(令和5)年10月1日に宇都宮駅で発売、同日からのJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2023」にエントリー。2022年12月に宇都宮駅前から益子町へ移転した調製元と、益子町で創業32年の豚肉燻製、ハム・ソーセージの専門店「とん太ファミリー」とのコラボ商品らしい。黒いスリーブにはお肉の燻製の写真を使い、底面などではとん太ファミリーを宣伝する。四角いプラ容器に白飯を詰め、ベーコン、鶏ハム、ソーセージ、豚バラほぐし、豆腐、煮玉子で覆い、わさび菜おひたしとローズマリーで彩る。見栄えは少し雑でも、燻製の香りが豊かな、個性的な肉駅弁。
2023(令和5)年8月18日に宇都宮駅で発売。栃木県の壬生町(みぶまち)と、壬生町内の飲食店でつくる「壬生お殿様料理促進の会」が、2023年4月に壬生町特産のかんぴょうとワサビを使った細巻きを「みぶのサビかん」と名付けてPRを始め、町内で販売したほか、こうして駅弁にもしてもらった。
中身は、笹の葉に載せたかんぴょうの細巻き12個とガリ。ワサビは香り付け程度に入れた感じで、刺激なくいただける。しかしこの分量と内容で千円もの値付けには驚いた。昭和時代に栃木県の名物だったかんぴょうは、今ではこんな高級食材になってしまったのだろうか。
1970年代の発売。今では全国的に少なくなった、山菜が主題の駅弁。長方形の容器に茶飯を詰め、姫竹、ふきのとう、かんぴょう、しいたけ、しめじ、海老から揚げ、グルテンミート錦糸卵で覆い、漬物と酢の物を添える。ワラビとゼンマイに頼らない山菜の駅弁もまた珍しい。グルテンミートを入れることと、肉や魚を使わないことで、健康食をアピール。薄味にはされていないので、意識せず普通に食べられる。グルテンミートの多用は、駅弁では宇都宮駅の特徴である。売店での掲示によると、2022年時点で人気No.3の駅弁だという。
※2022年9月補訂:写真を更新2014(平成26)年2月21日に購入した、宇都宮駅弁の掛紙。上記の2022年の駅弁「下野山菜弁当」と、同じ中身で、同じ値段。当時はこんな、簡素でなく駅弁らしい掛紙をかけていた。
2003(平成15)年7月12日に購入した、宇都宮駅弁の掛紙。上記の2014年のものと比べて、絵柄はまったく異なるが、中身は同じ。値段もまた同じ。
2021(令和3)年の春までに宇都宮駅ビル「パセオ」2階の土産物店「とちびより」で発売か。駅弁として売られるものではないが、ここは事実上、駅のコンコースの商店街であり、過去に駅弁売店があったエリアでもあり、黒磯駅の復刻駅弁なども売る店なので、これは駅弁として買われているようにみえる。
加熱機能付き容器でも入っているのではないかと思える、大きなボール紙のスリーブには、新型コロナウイルス感染症の流行により栃木や宇都宮のキャラクターとして引っ張り出された、疫病退散の郷土玩具「黄ぶな」を描く。普通のプラ製容器に詰めた中身は、かんぴょうとしいたけの混ぜ御飯に、新生姜とたまねぎのかき揚げを載せ、だし巻き卵、日光サーモン幽庵焼、大根やゆばなどの煮物、さつきポークのアスパラ巻、ゆば豆腐ナゲット、かんぴょう煮など。
実は栃木の食材がふんだんに使われる、雰囲気の良いお弁当。調製元は現在の宇都宮の中心市街地で江戸時代の中頃に旅籠屋として創業した宿泊施設。
2015(平成27)年の春までに、宇都宮駅の商業施設での販売を開始か。日光市内で1952(昭和27)年に創業した和菓子屋さんのオリジナル商品が、JR宇都宮駅にもやって来た。商品名を書いて竹皮を模した掛紙で包む透明なプラ容器に、味付けおこわを半生のゆばで包んだ「ゆばむすび」2個と、漬物2種類を詰める。見ても食べてもつやのある湯波が印象的で、おこわなので分量以上に腹持ちがしそう。日光への鉄道の玄関口で買えて良いと思った軽食。宇都宮駅ビル「パセオ」2階の土産物店「とちびより」で売られる。
2022(令和4)年1月の京王百貨店の駅弁大会で実演販売。同月の阪神百貨店の駅弁大会でも販売。ゴマ入り酢飯を鮭そぼろと玉子そぼろで覆い、姫竹と枝豆と紅生姜で彩り、焼鮭を添える弁当に見えるし、味もそんなもの。この鮭そぼろや焼鮭が、栃木県の特産品「プレミアムヤシオマス」つまりニジマスの、中落ち焼きほぐしと柚庵焼きらしい。そう思うと普通の鮭より柔らかい感じがするし、その焼き物と酢飯は相性が悪いとも思う。これは宇都宮駅で売られるのだろうか。
JR東日本大宮支社の観光キャンペーン「本物の出会い栃木」の開催に合わせ、2020(令和2)年4月1日から6月30日まで宇都宮駅で販売。同支社の「2021冬のとちぎキャンペーン」の開催に合わせ、2021(令和3)年1月4日から3月31日まで再販売。4月まで売られたようで、9月に再々販売が始まった模様。
栃木県の特産品「プレミアムヤシオマス」と、天皇の皇位継承の皇室行事「大嘗祭(だいじょうさい)」で献上された栃木県米「とちぎの星」の使用をうたう。押寿司1本分の細長い容器を詰めた紙袋に巻かれた白い掛紙にも、そう軽く書いてある。中身はゴマ入り酢飯を使うマスの酢漬けの押寿司を3種各2切れ、ゆず皮を添えたものと、高菜を貼ったものと、炙ったものを、笹の葉の上に並べたもの。身の厚みと酸味が独特。発売から一年半もかけて、ようやく実物に出会えた。
プレミアムヤシオマスは、昭和60年代に栃木県水産試験場で開発された、通年で養殖し出荷できる全雌三倍体の大型ニジマス「ヤシオマス」のうち、オレイン酸の含有量や肉色、サイズなど7つの基準を満たしたものが名乗れるブランド。肉の色が栃木県の県花であるヤシオツツジの花に似ていることから命名されたという。主に那須や日光など県内の宿泊施設や食堂で、生食や焼き物で提供される。
2020(令和2)年4月27日から「ブラックシーフード」「レッドキーマ」「イエローキーマ」「グリーンキーマ」の4種類を日替わりで販売。「岩下の新生姜とりめし」「岩下の新生姜おつまみ串」に続く、調製元と「岩下の新生姜」で知られる岩下食品によるコラボ商品の第3弾。新型コロナウイルス感染症が流行する時代に、宇都宮で病気よけに吊したり供えた張り子の郷土玩具である黄ぶなの名を使うカレー弁当を発売し、無病息災と基礎体温上昇と免疫力向上を祈念するという。
四角い加熱機能付き容器に巻く掛紙には、きぶなが描かれる。これは「ブラックシーフード」で、きぶな型あるいは魚型の黄色いターメリックライスを、イカスミやココナッツソースを含むカレーソースに浸け、ゆで卵、オクラ、ヤングコーン、ニンニク、赤パプリカを添える。毒々しい見栄えに違い、辛さもクセもほとんどなく、うまみを感じるような風味だった。
このブラックシーフードは、JR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2020」にエントリー、第2位の駅弁副将軍を獲得した。宇都宮駅のほか、土休日に限り栃木県栃木市の岩下の新生姜ミュージアムでも、4種類のいずれかが販売された。
2020(令和2)年4月27日から「ブラックシーフード」「レッドキーマ」「イエローキーマ」「グリーンキーマ」の4種類を日替わりで販売。「岩下の新生姜とりめし」「岩下の新生姜おつまみ串」に続く、調製元と「岩下の新生姜」で知られる岩下食品によるコラボ商品の第3弾。新型コロナウイルス感染症が流行する時代に、宇都宮で病気よけに吊したり供えた張り子の郷土玩具である黄ぶなの名を使うカレー弁当を発売し、無病息災と基礎体温上昇と免疫力向上を祈念するという。
四角い加熱機能付き容器に巻く掛紙には、きぶなが描かれる。これは「イエローキーマ」で、きぶな型あるいは魚型の黄色いターメリックライスを、ココナッツソースを含むイエローカレーソースに浸け、ゆで卵、オクラ、ヤングコーン、ニンニク、赤パプリカを添える。少しはマイルドな、辛口の風味。6月から、または2020年内に、ブラックシーフード以外の3種類は売り止めた模様。
※2022年4月補訂:終売を追記宇都宮駅の釜飯駅弁。総プラスティック製の釜飯容器に、駅弁の名前や宣伝文と日光東照宮などを描いた正方形の掛紙をかける。中身は茶飯の上を「いっこく野州どりの照り焼き」「栃木のかんぴょう煮」「国産ふきのとうの煮物」、タケノコ、刻み椎茸、栗、かまぼこ、小エビ揚げなどで覆うもの。
具の大半が付合せのたぐいで、消費にはなかなかの辛抱が必要だと思った。あるいは、昔も今も駅弁に漬け物が足りない足りないと苦情や意見を言う60代以上の年齢層には絶賛されるかも。その割には茶飯の分量がずいぶんと多いのだが。
※2016年9月補訂:写真を更新し解説文を一部追記2009(平成21)年9月6日の調製である、宇都宮駅弁の掛紙。2016年時点のものと、名前も容器も中身も、そして価格もまた同じ。掛紙での宣伝は、比べればだいぶ控えめに感じる。
2002(平成14)年に発売。東京駅で2,200円、横浜駅で1,500円、高崎駅で1,000円した大人の休日駅弁は、ここではたった800円で設定された。後に「大人の休日」キャンペーンが、JRグループ「ジパング倶楽部」のJR東日本版「大人の休日倶楽部」に様変わりしたことによるものか、掛紙のデザインを変えている。
黒く細長い容器を、セピア色の掛紙と紫色の輪ゴムで固定。中身は鶏の肉団子と鶏カツに、人参や里芋などの煮物、そして真ん中の竹皮を開くと、戦後長い間駅弁の元祖と信じられてきた明治18年7月発売の宇都宮駅弁を意識したと思われる、楊枝に刺さった小茄子のたまり漬に、ごまと梅の握り飯がひとつずつ登場する。
駅弁発祥地宇都宮駅説は、江戸風俗と駅弁に詳しい林順信氏の調査により否定され、そのため7月の駅弁記念日が4月の駅弁の日に変更されたのだが、この駅弁の掛紙には「駅弁発祥地より」と朱書きされている。大人の休日駅弁に必ず付くおしながきにもその解説が記されている。さらに宇都宮駅で初めて駅弁を販売した業者はすでに駅弁販売から撤退済み。
ということで、この駅弁の能書きには怪しい点が見られるが、味はさすがの宇都宮駅弁で素晴らしい。特に栃木産ひな鶏使用のぷりぷりした「ひなかつ」こと鶏カツはここだけのものか。
※2017年10月補訂:写真を更新2014(平成26)年8月3日6時の調製である、宇都宮駅弁の掛紙。中身と価格は、上や下の「汽車辨當」と同じ。4年前と比べて掛紙の絵柄が立派になり、3年後と同じものになった。消費期限や製造者を記したシールの書式が、なぜか過去や未来と異なる。
2010(平成22)年12月17日に購入した、宇都宮駅弁の掛紙。駅弁の名前が、少し長くなった。カラーコピーを繰り返した結果か、印刷が不鮮明になっているうえ、デザインもよろしくない。一方で裏面には解説文が登場。中身と価格は同じ。
2006年9月1日15時の調製である、宇都宮駅弁の掛紙。この当時や発売時は、しっかり印刷をかけていた。ただし裏面には何も書かれていない。
※2011年8月補訂:写真の削除と解説文の簡略化おそらく2021(令和3)年10月1日の発売で、JR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2021」にエントリー。その投票期間をもって、11月30日限りで販売を終えたらしい。2022年に入り再び販売。押寿司1本分の細長い容器を紙袋に詰め、商品名と宣伝文と食品表示を書いた掛紙を巻く。中身は栃木米とちぎの星のワインビネガー飯に、クリームチーズを塗り、ブラックペッパーをまぶし、イタリア産生ハムを貼り付け、ローズマリーで彩り、6切れにカットした棒寿司。
淡泊な味わいながら、見た目の粗製を裏切る、駅弁や宇都宮や調製元のイメージと違う、本格的な和洋創作。宇都宮駅の駅弁売り場でひっそり売られて消えるに惜しい、あるいは昼間の車中で駅弁とお茶という枠にはめてはいけない、ワインやバルや夜に合いそうな味覚。
※2022年4月補訂:販売を追記2023(令和5)年8月25日と26日に計300個を販売。宇都宮共和大学シティライフ学部の学生が、宇都宮ライトレールの開業イベントに合わせ、宇都宮の広告会社と駅弁業者とJR宇都宮駅西口懇談会の会員と共同で駅弁を考案し、駅弁売店でなく同学生が宇都宮駅西口ペデストリアンデッキで実施した記念イベント「ペデフェス」のテントで販売した。掛紙は駅弁マークと調製元名、LRT開業のロゴマークと大学名、宇都宮にちなむ様々なイラストのアイコンでデザインされた。
中身は駅弁宇都宮発祥説を意識して笹の葉に載せた、LRTの車体色にちなんだ、黄色い生姜おにぎりと、黒い醤油と竹炭のおにぎりに煮玉子、そしてパプリカのマリネとハニーマスタードを添えた鶏唐揚、餃子の皮チップス、鮭の粕焼き、ポテトサラダボロネーゼ、桜子餅。創作と多様性で固めた個性的なお弁当は、2日間だけの販売は惜しいと思ったり、この内容で調製し続けるのは大変だろうと思ったり。
2022(令和4)年9月30日までに、JR宇都宮駅の商業施設「パセオ」2階「グランマルシェ」へ2021年8月に入居したテナントのいなりずし店「京源きつね福」で発売。10月のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2022」にエントリー。2022年開催の第77回国民体育大会「いちご一会とちぎ国体」に向けた新商品のようで、出張や観光や国体などで来県する人に栃木県の食の魅力を発信するとのこと。宇都宮駅の駅弁は、明治時代からの公式な駅弁屋の他に、かつての黒磯駅弁の復刻版や、市内のホテルのお弁当の販売が知られてきていたが、そのいずれでもない弁当の「駅弁」としての出現に驚いた。
専用の紙箱には、イラストと名前で中身を紹介し、同じく栃木県内の観光資源を紹介。ふたのうらでは、食材の製造元まで記す詳細なおしながきを掲載。中身はとちぎ県産米の白飯に、岩下の新生姜を添え、かんぴょうとニラのごま和え、らっきょうのたまり漬、鹿沼こんにゃくのきんぴら、那須三元豚の生姜焼き、玉子焼に佐久山コロッケに揚餃子とキャベツ千切り、ゆば、がんも、ニンジン、栃木の柚子。おかずが充実したと思う普通の仕出し弁当に見えて、予備知識または容器の読み込みがあれば、栃木県内一色、栃木を満載した創作に感じる。そのぶんだけお値段も、1,480円+消費税と、かなり張る印象。
2023年に同じ店舗を訪れたら、いなりずし店がなんと湯波の店に転業しており、弁当の販売はなくなっていた。
※2023年9月補訂:終売を追記2022(令和4)年10月1日に宇都宮駅と大宮駅と東京駅で発売、11月30日まで販売。日本鉄道構内営業中央会の鉄道開業150年記念復刻駅弁企画により、同月から期間限定で販売された31社34駅弁のひとつ。さらにこの期間のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2022」にエントリー。駅弁発祥地宇都宮説に基づくおにぎり弁当の内容と、復刻に相当する昔の掛け紙デザインを取り入れた。
中身はまったくの新作。中身の半分は、うるち米と餅米の玄米に大豆を混ぜた味噌炙りおにぎりと、岩下の新生姜とプレミアムヤシオマスを刻んで高菜で巻いたおにぎりと、たくあんを竹皮で巻いたおにぎり弁当。半分はおかずで、牛肉とごぼうのうま煮、プレミアムヤシオマスの柚庵焼き、ナスときのこの煮物、白いかんぴょう、ゆば巻き、れんこん、玉子焼きなど。栃木で固めた重厚感。渋い顔をした1,500円。
2022(令和4)年3月5日に発売。半月間ほどの販売か。駅弁の名前のとおり、宇都宮線(東北本線)の宇都宮駅から黒磯駅までの間と日光線で使われた205系電車の、引退を記念して売られた駅弁。掛紙の写真はもちろん205系電車で、宇都宮線の橙色と緑色の帯色と、日光線の茶色と黄色の帯色もデザインされた。日光線を走った特別仕様の「いろは」のペーパークラフトも添付。
中身は玄米を使い大豆を炊き込んだおいなりさん4個に、玉子焼とシイタケ煮。中身を見せる今風のおいなりさんで、具はそれぞれ鶏照焼とうずら卵、牛そぼろ煮と紅生姜、ゆばとわさび菜とゆず皮、ニジマス塩焼のほぐしとむき枝豆。値の張る記念駅弁でも、食べておいしいもので、現存する宇都宮駅弁にない内容だった。名を変え値を下げ東京駅に持ってきたら面白そう。
205系電車は、日本国有鉄道(国鉄)が1985(昭和60)年に山手線へ投入した新型の通勤型電車。主に鋼製、一部でアルミ製の電車を使っていた国鉄で、初めて大々的に投入したステンレス製の電車であり、軽量化と省エネ、塗装の省略による合理化を実現した。国鉄向けで368両、JR東日本向けで1,073両、JR西日本向けで20両、合計で1,461両が製造され、主に首都圏の通勤輸送を支えた。
2000年代になるとE231系、E233系といった新型の電車に追われ、一部が首都圏の外縁や宮城県そして海外へ転属する。栃木県では10両編成の電車を4両に短縮のうえ、2012年から2014年までに宇都宮線と日光線へ12本48両がやって来て、実は製造年次としてはあまり変わらない今までの107系電車2両または4両編成や211系電車5両編成を置き換えた。多くの乗降扉と横向きの座席で客を詰め込む通勤電車だけに、地方の路線で車窓が見づらく雰囲気が無いと鉄道趣味的には不評だったと思うが、通学客の大量輸送や、インバウンドで激増した大荷物の外国人客の日光輸送には活躍した。もともと約20年使ってきた電車だけに、10年ほどで2022年3月11日にまとめて引退、今度は新造したE131系電車の3両編成に置き換えられ、輸送力不足で客を積み残す混乱を起こすことになる。
2020(令和2)年5月の駅弁売店で買えた弁当。掛紙がなく、実物に商品名もないが、店頭に「期間限定特製弁当」と表示して販売していた。白飯にクリーミーなエビチリをかけ、ザーサイと青菜を添えた中華風。この時は政府の新型コロナウイルス感染症対策による緊急事態宣言が発令されていて、鉄道の利用者が激減していたため、これに対応して普段の駅弁でない弁当を販売していたのだろうか。この日の駅弁売店は、「きぶなカレー」とこれの2種類だけを販売していた。コロナ禍が過ぎて、改札内の駅弁売店が改札外に移転した頃までには終売か。
※2023年9月補訂:終売を追記2017年秋のJR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2017」へのエントリーに合わせ、同年10月から11月まで販売。駅弁発祥宇都宮説に基づく復刻駅弁は、下記のとおり過去に何度か販売されているが、回を重ねる毎にパワーアップし、今回はついに箱入りとなった。
竹皮編み柄のボール紙製容器を、やはり竹の皮の絵柄を持つ掛紙で巻く。中身は梅干しの大きな握り飯がふたつと、タクアン、かまぼこ、エビ唐揚、鶏照焼、玉子焼、ゼンマイ煮、小茄子漬、ニンジン煮。価格を500円で据え置き、付合せの種類が激増したが、握り飯のおかずにできるほどの分量まではない。
名前にも掛紙にも昭和の香りが漂うが、これは2015(平成27)年春の新作で、4月10日の駅弁の日までに発売。アユの炊込飯に、魚醤で煮込んだ栃木県喜連川産のアユのうま煮を一匹横たえ、かんぴょう、れんこん、梅干し、生姜、小松菜、玉子焼を添える。
骨もヒレもそのまま食べられる、アユのうまさに驚いた。飯もうま煮も柔らかくてクセがなく、例えば熊本県八代の名駅弁「鮎屋三代」から刺激を抜いた感じ。現時点でおそらく関東地方で唯一のアユ駅弁だろうし、輸送販売先の東京駅構内でも牛肉駅弁に負けないよう頑張れと応援したい。ただ、飯に載るその他の具は、刺激物ばかりであった。2016年までの販売か。
※2021年2月補訂:終売を追記JR東日本大宮支社の、宇都宮線(東北本線)大宮駅・宇都宮駅開業130周年のイベントに合わせて、2015(平成27)年7月18日から20日までの3日間、一日30個が販売された記念駅弁。駅弁発祥宇都宮説に基づき、握り飯2個とタクアンを竹の皮に包んだ。
今の駅弁やコンビニおにぎりにない巨大な梅干しおにぎりで、一個150グラムの白飯を延々と食べさせる商品であったが、今回初めて、宇都宮駅の茶飯や玄米や古代米でない白飯をうまいと感じた。写真には写さなかったが、ポリ茶瓶をひとつ添付し500円。イベントの記念列車の発着に合わせて、約10年ぶりとなる駅弁の立ち売りも実施されたそうな。
上記の記念駅弁「汽車辨當」を、早くも翌年1月の京王百貨店の駅弁大会で復刻販売。梅干しおにぎり2個とタクアン2切れを竹皮で巻く姿は同じで、掛紙を変え、しおりを省き、値段は50円のダウン。今回の白飯は、輸送販売であるからか、うまくなかった。
JR東日本大宮支社の観光キャンペーン「本物の出会い栃木」の開催に合わせて、その期間である2016(平成28)年10月1日から11月30日まで販売。日光のブランド豚「日光HIMITSU豚」に根菜類を合わせたハンバーグをメインに据え、女性に人気のロコモコを栃木風にアレンジしたのだという。掛紙はフラを踊る豚が賑やか。
中身は大豆を混ぜた玄米ごはんに、ゴボウと蓮根を混ぜた日光HIMITSU豚の根菜ハンバーグを載せ、目玉焼き風オムレツをさらに載せ、ブロッコリー、ニンジン、ソーセージ、いんげん、パプリカで彩るもの。この玄米飯は宇都宮駅弁の特徴。何も考えず食べてしまえば、栃木との関連付けが難しい、冷たくて固いロコモコ丼。しかもずいぶん高価に思えた。
JR・東武の特急直通運転10周年を記念し、2016(平成28)年8月1日から大宮駅と宇都宮駅で数量限定にて販売。掛紙にもその記念の文字と、ロゴマークと概要が記される。「はらくち」とは、栃木の方言でおなかがいっぱいという意味だそうな。中身はカツ丼と牛丼のセット。日光HIMITSU豚のヒレカツを白御飯の上に載せ、レモンとパセリとラッキョウを添えた1区画と、とちぎ霧降高原牛の牛肉煮を白御飯の上に敷き、ゴボウやカンピョウなどを添えたもう1区画。
そんな中身は、白御飯を除き、きっと栃木県たっぷり。しかし食品表示を丹念に読んで気付かなければ、トンカツは薄く、牛肉は少なく、1,300円もするのに貧相な内容に憤慨しそうな駄作に見える。記念駅弁にしてはおとなしい、特急電車がどこにも登場しない掛紙もあり、評価されないまま消えてしまうように思えた。1か月間ほどの販売か。
ということで、栗橋駅構内に連絡線を設けて、JR新宿駅と東武日光駅や鬼怒川温泉を結ぶ特急列車「日光」「きぬがわ」「スペーシアきぬがわ」が走り始めた2006(平成18)年3月ダイヤ改正から、10年が経過。当時も今も一日あたり4往復の運行が続き、JR車両は国鉄の古い中古車から「成田エクスプレス」の新しい中古車へ交換、東武車両は2011年から2012年にかけてのリニューアルや2015年の特別塗装という変化があった。千葉や八王子や横浜方面への臨時列車も時々走る。しかし、利用状況はどうなのだろうか。上記の車両の話題を除き、直通特急列車の話はとんと聞かない。
※2017年9月補訂:終売を追記JR東日本大宮支社の宇都宮車掌区と調製元の共同開発により、「餃子めし弁当」とともに、2016(平成28)年4月1日から6月30日まで宇都宮駅と東京駅と大宮駅で販売された期間限定駅弁。栃木県の観光キャンペーン「「本物の出会い 栃木」春の観光キャンペーン」に合わせ、JR入社5〜7年目の車掌5人が、オリジナル駅弁を企画したという。
おしながきにイラスト付きで紹介される中身は、日の丸御飯とタケノコ飯、いっこく野洲どりとプレミアムヤシオマス、ゆめポーク、餃子まんじゅう、ゆば、かぼちゃサラダなど。掛紙には男女の車掌、栃木のJR線の模式図、各路線の電車のイラストなどが描かれる。
JR東日本大宮支社の観光キャンペーン「本物の出会い 栃木」の開催に合わせて、その開催期間である2015年10月1日から11月30日まで販売された期間限定駅弁。「とちぎ和牛ハンバーグ弁当」(1,500円)も同時に販売。駅の店頭では一個700円が相場の宇都宮駅弁において、この価格帯はずいぶん高く設定されたものだ。
各地の駅弁で使われるプラ製釜飯容器の中身は、マイタケ御飯を「プレミアムヤシオマス」のマス柚庵焼き、「いっこく野洲どり」の鶏照焼、マイタケ煮、ししとう、ぎんなん、うずら卵、クリ、小ナス漬で覆うもの。掛紙に3度も繰り返して記す「プレミアムヤシオマス」が高価の原因だと思うが、私の舌ではただの鮭塩焼で、鶏照焼やマイタケ煮が主役だと感じたところ。
そのプレミアムヤシオマスとは、栃木県養殖漁業協同組合の水産試験場で品種改良された大型の養殖ニジマス。柔らかさ、適度な脂、クセや臭みのなさが特徴といい、おしゃれな魚料理への使用が勧められている。
JR東日本の駅弁キャンペーン「駅弁味の陣2013」の開催に合わせた、2013(平成25)年10月の発売か。JR東日本大宮支社の毎年10月から11月までの観光キャンペーン「BIGREDとちぎ」との関連も、掛紙の絵柄に感じられる。
松花堂タイプの容器に、高菜寿司と那須牛肉味噌付き白飯、五目寿司飯、豚鍬焼と葉唐辛子と季節の菓子、ゴボウやマイタケなどの煮物とゆばとカンピョウのごま和えなどを収める。白飯と酢飯で半分を占める御飯だらけの駅弁であり、おかず不足で飯を食べ続ける試練の道。もし半世紀前であれば、多量でうまい白米に感心したのかもしれない。販売は2013年秋のみだった模様。
2008(平成20)年10月12・13日の両日に東京駅構内で開催された「東日本縦断駅弁大会−秋−」で販売されたお弁当。同年の夏に登場した要予約駅弁「ジャズの宮」(1,000円)に益子焼のコーヒーカップを入れて、2,000円で販売したものだそうな。2009年4月にも100個限定で予約販売。
真っ黒な発泡材で細長い長方形の容器を輪ゴムでしっかり留めて、楽譜を背景にした細長い掛紙をテープで貼る。中身に被せた透明なシートにも楽譜と鍵盤の絵柄あり。中身は白御飯にフライドポテト、玄米入りジャンバラヤに肉団子とアーモンド海老とマグロカツ、ミニトマトにらっきょう、そして土産物屋で見るような益子焼のコーヒーカップにサーモンのエスカベッシュ(サラダ)が収まる。そんな内容と洋食弁当の風味は、駅や駅弁催事より地元のイベント会場が向いているような気がした。
宇都宮といえば1990年代からは餃子、それ以前はかんぴょうの街だと思うが、なぜか2001(平成13)年頃からジャズの街をアピールし始めている。ジャズはもともと日本の明治時代頃の頃にアメリカで生まれたものであり、日本における発祥地は当時の貿易港であった横浜と大阪と神戸が競っているから、宇都宮が後から頑張るのは困難だろうが、市役所と民間団体で「宇都宮ジャズ協会」を立ち上げ、イベントを継続している。
安房鴨川その他で見たような赤い長方形のプラ製容器に、20年以上変わらない絵柄の掛紙をかける。中身はかんぴょう混じりの酢飯の上に鳥そぼろ、錦糸卵、刻み椎茸、紅生姜を載せるだけ。これで「ちらしずし」を名乗ることにはびっくりしたし、宇都宮城の釣天井との関連もなさそうで、まともな旅行者が買ったら酷評されそうな中身や内容だが、現役商品なので一定の需要があるのだろう。食べれば味は悪くない。2008年に調製元が駅弁から撤退したため、この駅弁も終売となった。
※2009年3月補訂:終売を追記1985(昭和60)年1月5日の調製と思われる、昔の宇都宮駅弁の掛紙。釣天井とは、宇都宮城主の本多正純が江戸幕府三代将軍徳川家光を暗殺するために、城内の天井にからくりを仕掛けたという物語。第二次大戦の戦前から戦後にかけて何度か映画化された。実際にはそんな天井はなかったらしいが、宇都宮城そのものが明治初期の戊辰戦争で全焼したため、真偽は確かめようがないし、日本映画や時代劇の衰退により、この話を知る人も少なくなった。
JR東日本の観光キャンペーン「LOOK EAST」のオリジナル駅弁131種類のひとつとして、1989(平成元)年3月に発売か。プラスティックのわっぱ型容器にペラペラの透明なふたをして真っ青な掛紙をかける。中身は茶飯の上にたっぷりの錦糸卵とごく少量の山菜や帆立に星形の人参を置いたもので、食材の分量で判断すればチープな内容も、口に含めば茶飯の威力でエコノミーに昇格する美味さ。なお、掛紙に小さく「七色弁当」とあり、確かに帆立・山菜・人参・紅生姜・刻み海苔・錦糸卵・茶飯と数えると七色になる。
上野駅と札幌駅を結ぶ寝台特急列車「北斗星」は、すべての列車が宇都宮駅に停車する。運行開始当初は寝台券がプラチナチケットと化していたものの、個室の増強やブームの沈静化に「カシオペア」登場により、特定の時期を除いて切符が取れない状況ではなくなっている。当時から豪華なのはA個室寝台「ロイヤル」と予約制の食堂車だけなので、普通のB寝台を利用するパッケージツアーで「豪華特急北斗星で行く・・・」とされると違和感を覚えるところでもある。2008年に調製元が駅弁から撤退したため、この駅弁も終売となった。
※2020年1月補訂:発売年を訂正1982(昭和57)年9月11日11時の調製と思われる、昔の宇都宮駅の駅弁屋の掛紙。銀輪号とは、当時の東北本線で何度か運転された、電気機関車が客車を牽引する団体貸切列車だったらしい。値段の5銭はおそらく駅弁発祥宇都宮説によるもので、まさかこの値段で売られたものではないだろう。団体客向けの仕出し弁当と思われる。
1970年代、昭和50年前後の、5月30日13時の調製と思われる、昔の宇都宮駅弁の掛紙。絵柄に個性はない。ひさご弁当、茶きんずし、サンドイッチ、幕の内弁当、鳥めし弁当と、駅弁の名前が列記された。
1932(昭和7)年3月14日13時の調製と思われる、昔の宇都宮駅弁の掛紙。調製元の名前と、坂東19番札所大谷観音の写真にのみ、宇都宮を感じられる。