高崎駅から上越線の普通列車で1時間強。みなかみ町は群馬県の北端に位置する、人口約1.7万人の温泉町。鉄道の開通で歓楽街として栄えた水上温泉など、町内に18箇所もの温泉地を抱える。水上駅は上越新幹線の開通と水上温泉の衰退ですたれ、1931年頃から売られ2社が競った駅弁も2002年に消えた。1928(昭和3)年10月30日開業、群馬県利根郡水上町大字鹿野沢。
大きめの掛け紙がかかった長方形の木製風ボール紙製容器の中身は、白御飯に鳥そぼろが敷き詰められ、鳥スライスが2切れ載るもの。山菜と2個の玉こんにゃくも付いていて600円。シンプルで駅弁らしい駅弁。カートを使用してはいるが、駅のホーム上で独特の掛け声での立ち売り風景は貴重であった。掛紙には「水上小唄」の歌詞が入る。調製元の休業により、2002年3月限りで失われた。
これは駅弁ではなく、鉄道にちなんだ土産物。北海道産の小豆、沖縄産の黒糖と群馬県産の赤糖を使ったという饅頭が8個で680円。包装紙は上越線を運行するSL列車にちなんでおり、写真は実際に使われる蒸気機関車、きっぷのイメージに記される列車名と区間と時刻は実際のもの、さらに購入日の日付が定位置に押されていた。地元で観光列車が大切にされていることが、これで分かるもの。駅弁がないことがつくづく惜しい。
入手状況等から1972(昭和47)年6月30日12時の調製と思われる、昔の水上駅弁の掛紙。谷川岳を代表する風景のひとつである一の倉沢の写真で、その玄関口をアピールする。この駅で駅弁が買えなくなる時代が来るとは、きっと当時では想像できなかったに違いない。
1980年代のものと思われる、昔の水上駅弁のパッケージ。調製元は小島商店。この「くりめし」と、上記の「とりめし」は、水上駅で最後まで残った駅弁であった。ここにも水上小唄の歌詞が載る。
1932(昭和7)年3月1日1時の調製と思われる、昔の水上駅弁の掛紙。掛紙に描かれるスキーと温泉は、昭和時代も21世紀も水上の観光資源である。調製元の水上館とは、水上駅の開業から数年間だけ構内営業を実施したという水上温泉株式会社のことか。